文化庁 文化審議会
著作権分科会 第40回
(2014年7月18日) [非公式議事録]


ここは、一傍聴者が傍聴の際に残していたメモ・記憶等を元にまとめた非公式議事録を掲載しているページです。正式な議事録は1〜2ヶ月後に文化庁サイト [URI] に上がるはずですので、そちらを参照してください。

政府主催の公開会議においての発言が無編集で伝わると困ると主張される方からの直接の連絡があれば、その旨記載の上で本ページの内容を削除します。その際連絡は kazhiro@marumo.ne.jp までお願いします。

当日配布された資料は以下の通りです。


[冒頭の15分、分科会長選任部分に関しては議事非公開のため傍聴できず]

土肥 一史 分科会長 (日本大学):#

それでは議事に入りますけれども、本日は今期最初の著作権分科会でございますので河村文化庁次長から一言ご挨拶をたまわりたいと思います。よろしくお願いします。

河村 潤子 次長 (文化庁):#

ありがとうございます。今期の著作権分科会の開始にあたりまして、一言申し上げさせていただきます。委員の皆様方におかれましては大変お忙しいなかこの著作権分科会にご出席いただきましてお礼を申し上げます。

我が国の文化・芸術というものは世界に誇る我が国の大変重要な資産でございます。これら文化・芸術が、例えば祖先から引き継いできた伝統的なものもございます、こうしたものを継承して行くとともに、新しい創造活動・創作というものを進める環境が充実されることが大事だと考えております。そうして国内外にこういうものを受け入れられて文化資産の蓄積を促進していく必要があると存じます。

文化庁また政府全体の位置づけといたしましても 2020 年に東京オリンピック・パラリンピックが招致されるということを見据えまして、またそれを超えた文化芸術立国を目指した政策の深耕が大事だと考えております。

こうした文化政策の深耕に関連しまして著作権については著作者等の権利の保護を図りつつ、素晴らしい作品の創作、創作された作品についての活用、いわば円滑な流通の促進、これらが図られることが重要であると考えております。

こうした観点で昨年度のこの著作権分科会においては電子書籍に対応した出版権の見直しを当分科会としてご審議いただきました。

この件については今年の4月に著作権法の一部を改正する法律が成立いたしまして、現在文化庁としましても関係する方々と相談しつつ、来年1月の施行に向けて準備を進めさせていただいております。

一方クラウドサービスやクリエイターへの適切な対価の還元、新たに出てきた事業の促進など、デジタル化・ネットワーク化、インターネット時代ならではの課題がなお多くございます。引き続きこれらの課題の解決に向けた審議を続けていくことが、時代の要請であると存じます。

こういったそれぞれの課題の解決を目指し、さらには我が国が希望する文化芸術立国を実現して、心豊かな、また活力ある社会の実現に寄与するために是非とも委員の皆さまのお知恵をお借りし、前進して参りたいと存じます。

これからのご審議にご助力をお願い申し上げて、私のご挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。

土肥 一史 分科会長 (日本大学):#

ありがとうございました。次に文化審議会 著作権分科会 運営規則 第3条 第1項 でございますが、この参考資料1にあるものでございますが、この規定に基づいて小委員会の設置につき決定したいと思っております。

本小委員会の設置案について事務局より説明をお願いいたします。

菊地 史晃 課長補佐 (文化庁 著作権課):#

はい。資料2に基づきまして小委員会の設置についての案を説明させていただきます。資料2を御覧ください。

文化審議会 著作権分科会 運営規則 第3条1項 の規定に基づきまして、「法制・基本ッ問題小委員会」「著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会」それから「国際小委員会」の3つの小委員会を分科会に設置する旨を記載させていただいております。

各小委員会での審議事項につきましては、「2.」を御覧いただければと思います。まず、「法制・基本問題小委員会」では著作権法制度の在り方および著作権関連施策に係る基本的問題に関すること。

それから「著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会」ではクラウドサービス等と著作権およびクリエイターへの適切な対価還元等に関すること。

それから「国際小委員会」では国際的ルール作りおよび国境を越えた海賊行為への対応の在り方に関することを審議事項として記載させていただいております。

「3.」の「各小委員会の構成員」ですが、分科会長が指名する委員・臨時委員および専門委員により構成されると記載をしております。

そして最後に「4.その他」といたしまして、各小委員会の運営に関して必要なことはその小委員会が定めるということを記載しております。

資料2の説明は以上でございます。

土肥 一史 分科会長 (日本大学):#

ありがとうございました。ただいまの説明につきましてご意見・ご質問等がございましたらお願いいたします。

(発言希望者 20 秒程度現れず)

特にございませんか。

(発言希望者 20 秒程度現れず)

格別ご意見ご質問無いということでございましたら、ただいまの事務局からの説明にもとづいて小委員会の設置を決めたいと思いますけれどもよろしゅうございますか。

(会場より「異議なし」との声あり)

ありがとうございます。ご異見無いとのようにございますので、小委員会の設置についてはただいま事務局から説明がございました、資料2「小委員会の設置について」この内容の通りに分科会に設置させていただきます。

なお、使用料部会とこの小委員会への分属をお願いする委員につきましては、文化審議会令 第6条 2項、これは参考資料1の3ページにございますし、また文化審議会 著作権分科会 運営規則 3条 第2項、これは参考資料の8ページにございますけれども、これらの規定により分科会長が指名することとされております。

従いまして、私から指名させていただくことになりますけれども、各小委員会等への委員の分属につきましては後日皆様にお伝えさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

次に今期の著作権分科会において検討するべき課題について意見交換を行いたいと思っております。各小委員会における検討課題等につきまして事務局より詳細な説明をお願いできればと思っております。また、昨年度の著作権分科会の検討課題でございます、出版者への権利付与等に関しまして、著作権法の一部を改正する法律が成立しておる、このようなことでございますので、これについての説明も併せてお願いできればと思っております。

どうぞ、よろしくお願いします。

菊地 史晃 課長補佐 (文化庁 著作権課):#

はい。それではまず 参考資料3 と 資料3 をお手元に用意いただければと思います。

まず、参考資料3 に基づきまして、知的財産推進計画2014等で示されております今後の検討課題を説明させていただいた後に、資料3 に基づきまして各小委員会において検討する課題の例をご説明させていただきます。

まず 参考資料3 でございますが、ここでは本年7月に知的財産戦略本部において決定をされました、知的財産推進計画2014 や 6月に閣議決定された規制改革実施計画の中で取り上げられております著作権関連の課題について記載をしております。

まず 知的財産推進計画2014 からですが、デジタルネットワーク社会に対応した環境の整備といたしまして、クラウドサービス等の新たな産業の創出や拡大を促進するため、著作権の権利制限規定の見直しや円滑なライセンシング体制の構築等の制度の在り方について、文化審議会の議論を加速化させ、今年度のできる限り早期に結論を得て必要な措置を講ずること、それからクラウドの検討と併せてクリエイターへ適切な対価が還元され、コンテンツの再生産に繋がるよう、私的録音録画補償金制度の見直しや当該制度に代わる新たな仕組みの導入について検討を進めることなどが求められております。

またコンテンツ提供のプラットフォーム構築とありますが、コンテンツに関するデータベースの構築や国際的に共通化されたコンテンツの管理システムの導入に向けた民間での取組が促進されるように必要に応じて支援を行うこと、それから後ほどご紹介いたします、今般の著作権法改正を踏まえて、電子書籍の本格的な普及促進に向けて改正法の趣旨の周知等を行うことが求められております。

2ページをお開きください。次は教育の情報化の推進でございます。

二つ目の「・」にあります、大規模公開オンライン講座等インターネットを通じた教育やデジタル教科書・教材の位置づけや教科書検定制度等の在り方の検討とあわせて、こうしたデジタル教科書・教材に係る著作権法制度上の課題について検討することが求められております。

次に「2. アーカイブの利活用促進に向けた整備の加速化」でございます。諸外国の取組等を参考としつつ、アーカイブ化の促進に向けて新たな制度の導入も含めた検討を行うことというふうに述べられております。

次に「コンテンツを中心としたソフトパワーの強化」といたしまして、総務省と共に aRma による一元的な権利処理に関して、権利使用料の徴収・分配に係るシステム化を行い、一元的な窓口としての機能強化を図ること。それからその下ですが、海外の権利処理団体の育成支援を行うことが求められております。

3ページをお開きください。次に「模倣品・海賊版対策」についてでございます。官民一体となった働きかけや各国との連携により侵害発生国での模倣品・海賊版の取り締まりを強化すること、それから三つめの「・」にありますように官民が連携し、侵害発生国政府による著作権の普及啓発活動を支援することなどが求められております。

それから「グローバルな模倣品・海賊版対策の強化」として ACTA への参加を働きかけ、協定の早期発効を目指すことや、その下「国際的な問題の解決・改善のため、通商関連協定の活用に関する事項が記載されております。

4ページ目をご覧ください。「国内取締りの強化」ということでございます。ここでは国内取締り強化としての啓発活動の推進等が求められております。

以上が知的財産推進計画ですが、次が規制改革実施計画についてです。

内容は「クラウドメディアサービスの実現のための規制の見直し」と記載されておりまして、先ほどご説明いたしました 知的財産推進計画2014 とほぼ同様の内容でございます。

その内容といたしましては「著作権の分科会において検討を行い、関係者間の合意が得られることを前提に結論を得る」ということ、それから実施時期につきましては今年度の上期に結論を得ることが求められているということころが知的財産推進計画との違いでございます。

なお5ページ以降では昨年知的財産戦略本部において取りまとめられました知的財産政策ビジョン、これは今後10年間を見据えた長期のビジョンとして作成されたものでございます。こちらを記載しておりますが、その説明については省略をさせていただきます。

次に資料3に戻っていただければと思います。

先ほど申しましたような、知的財産推進計画等において様々な検討課題が示されておるところでございます。資料3では各小委員会における検討課題例を、先ほども申し上げました課題例を踏まえて記載をさせていただいております。

まず「1.」では「法制・基本問題小委員会」の検討課題例といたしまして、例えば著作物の利活用促進や教育の情報の推進など、「2.」「3.」の各小委員会の課題例とされるもの以外の課題を掲げさせていただいております。

それと共に、「視覚障碍者等の発行された著作物へのアクセスを促進するためのマラケシュ条約」これは仮称でございますが、このマラケシュ条約について対応などを課題として挙げさせていただいております。

次に「2.」で「著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会」の検討課題例について、クラウドサービスに関して著作権の権利制限見直しや円滑なライセンシング体制の構築と共に、クリエーターへの適切な対価還元のための私的録音録画補償金制度の見直しや当該制度に代わる新たな仕組みの導入を課題例として掲げております。

最後に「3.」で「国際小委員会」の検討課題例として、著作権保護に向けた国際的な対応の在り方やインターネットによる国境を超えた海賊行為に対する対応の在り方、それと、知財と開発問題、フォークロア問題への対応の在り方を掲げております。

以上3つの小委員会における検討課題例をお示ししておりますが、資料3の冒頭にありますように、今後の状況の変化等に応じまして検討体制というのは適宜見直すことも考えられるとしております。

各小委員会における検討課題例についての説明は以上でございます。

引き続きまして、参考資料 2-1 と 2-2 をお手元にお持ちいただければと思います。

参考資料 2-1 に基づきまして今般の著作権法改正の概要について簡単にご説明いたします。また参考資料 2-2 として新旧対照表をお配りさせていただいておりますので、適宜ご参照いただければと思います。

この著作権法の一部を改正する法律につきましては昨年度の著作権分科会 出版関連小委員会での検討結果等を踏まえて作成をされたものでございます。本年 3月 14日に閣議決定され、国会に提出された後、衆議院・参議院において政府案に対する質疑、それから参考人質疑が行われ、本年 4月 25日の参議院の本会議において可決成立し、5月 14日に公表されております。

まず改正の趣旨として「1. は近年デジタル化・ネットワーク化の進展に伴い、電子書籍が増加する一方、出版物が違法に複製され、インターネット上にアップロードされた海賊版が増加していることから、紙媒体による出版のみを対象としていた出版権制度を見直し、電子書籍に対応した出版権の整備を行う」ということと「2. 視聴覚的実演に関する国際的な保護を強化するため、視聴覚実演に関する北京条約の実施に伴う規定の整備を行う」こと。これらが改正の趣旨となります。

そして改正の概要でございます。電子書籍に対応した出版権の整備については「(1)〜(3)」に記載のように見直しておりまして、下線を引いてあるところが特に変更のあるところでございます。

まず「(1) 出版権の設定」について、これまでは紙媒体による出版を引き受ける者のみが対象となっておりましたが、こうした者に加えて、① の括弧書きのように「記録媒体に記録された著作物の複製物により頒布すること」これは CD-ROM 等による出版を表していますがこうした出版や、②の「記録媒体に記録された著作物の複製物を用いてインターネット送信を行うこと」を引き受ける者に対しても出版権を設定できることとされております。

また「(2) 出版権の内容」ですが、出版権者は当事者間の合意である設定行為で定めるところにより、「① 頒布の目的をもって、文書又は図画として複製する権利や記録媒体に記録された電子的記録として複製する権利」「② 記録媒体に記録された著作物の複製物を用いてインターネット送信を行う権利」これらの全部又は一部を専有することとされております。

こうした権利を専有することによりまして、独占的に出版を行うということと共に、その権利を侵害する海賊版に対して対応することができるということになります。

さらに「(3) 出版の義務・消滅請求」ですが、「出版権者は出版権の内容に応じて以下の義務を負う」と、具体的には「原稿の引渡し等を受けてから六月以内に出版行為又はインターネット送信行為を行う義務」や「慣行に従い継続して出版行為又はインターネット送信行為を行う義務」を負うこととなります。ただしこれらの義務につきましては「設定行為に別段の定めがある場合はこの限りでない」ということとされております。

それから「(3)」の「②」著作権者は出版権者が、今申し上げましたような義務に反した時は義務に対応した出版権を消滅させることができるとされております。

以上が電子書籍に対応した出版権の整備の概要でございます。

それから「2. 視聴覚実演に関する北京条約」の関係ですが、条約を締結するため、「著作権法の保護を受ける実演 (第7条)」がございますが、この著作権法の保護を受ける実演に「視聴覚条約の締約国の国民が行う実演を加える」とされてます。

これらの施行期日につきまして、電子書籍に対応した出版権の関係については来年、平成27年 1月 1日から施行されることとされ、視聴覚的実演条約の関係では、条約が我が国について効力を生じる日から施行されることとされております。

最後になりますが、改正法の条文や解説等を文化庁のホームページに記載させていただいております。お時間のございます時にこの概要の一番下に小さく書いております記載の URL からご覧いただければと思っております。

長くなりましたが私からは以上でございます。

土肥 一史 分科会長 (日本大学):#

ありがとうございました。ただいまの事務局からありました説明を踏まえまして、今期の分科会において検討する課題の在り方に関するご意見、あるいはこれからの課題に関してお考えいただいておることがございましたら、ご自由にご発表いただければと思います。どうぞ、よい機会でございますのでどなたか、この時間に意見交換させていただきたいと思いますけれども……はい井坂委員。

井坂 聡 委員 (映画監督協会):#

監督協会の井坂でございます。監督協会は1970年の著作権法改正以来ずっと、著作権法29条のお願いをしたりしてまいりましたけれども、近年はそういったことだけではなくて、ステークホルダーどうしがどうやって WIN-WIN の状態になれるかということを踏まえて、監督協会の主張だけではなくて色々な方の意見を聞いて行きたいというふうにここ数年はやってきております。

その結果かどうか判りませんが、今日の紙面に出ておりますけれども、芸団協と超党派の文化芸術推進議員連盟との共同での文化芸術推進フォーラムで、昨年の決議で初めて映画監督等の権利を見直そうということが正式な議題にあがりました。

これは今年の文化芸術議員連盟の先日総会がありましたけれども、そこでも映画監督等の権利を見直しということについて決議をいただいております。その中で自民党の伊藤伸太郎議員を座長とする映像問題研究会、これも丁度、国会議員の勉強会が立ち上がっており、現在までに5回、勉強会が進んでおります。

これは単に我々の主張、国会議員の勉強会ですので我々はあくまでもオブザーバーで出席しておりますけれども、その中で単に監督の主張だけではなくて、第2回は文化庁・総務省・観光庁や経産省からもご出席いただいております。

それから我々の、元々対立関係ではなのですけれども、映画製作者であるいわゆる映連からもご出席をいただいたり、先日はニコニコ動画の社長であったりとか WOWOW、それと最後の5回はユニフランスとアメリカの MPA の方に来ていただいて勉強を行っております。

そういう機運もございますので、これは一朝一夕ということではないのですけれども、監督協会も色々と変わっていこうとしている時代でもあります。

そういうことも含めて、我々の主張も汲み入れていただきつつ、同時にやはり我々自身もこれだけインターネットというかネットが、流通がすごく時代になってきて、実際に先日もニコニコ動画とかの状況を聞いていると、従来の我々の主張とは相容れない部分もありますが、例えば最終的にユーザーのアップしたモノが動画を作成した者に断りなく二次利用・三次利用をして、色々と組み替えて行って、そのことがかえって最初の著作者の作品の知名度アップに繋がったりとか、変な話ですが非常に儲けを得るとか、このことは著作権者としてはどうなのだろうということもありますけれども、現実にそういう形で、ここにもありますけれども、クリエーターへの対価の還元が結果として行われているような事態もあり、今までの30年前40年前の法律で縛れないこともいっぱい出てきているのじゃないかと思っておりますので、そういうことも含めて是非、法制・基本問題小委員会などではその辺りの我々の権利も含めて、縷々、この21世紀の著作権の在り方というものを是非、一度お考えいただければなと、そんなことを思っております。

長くなりましたが以上です。

土肥 一史 分科会長 (日本大学):#

ありがとうございました。他にございますか。今、井坂委員が仰ったように小委員会の議論、小委員会への検討の対応ということもございますので、是非、委員の方々からご発言いただければと思います。はい、前田委員どうぞ。

前田 哲夫 委員 (弁護士):#

法制・基本問題小委員会での検討課題として著作物のアーカイブ事業の推進がありましたけれども、昨年は所謂オーファンワークス、孤児著作物の問題についても検討されたのですけれども、孤児著作物の問題とアーカイブの問題は重なる部分とズレる部分がありますので、アーカイブの方の著作権の検討と併せてですね、オーファンワークス、孤児著作物の問題についても引き続き検討を進めて行くのがよろしいのではないかと思います。

土肥 一史 分科会長 (日本大学):#

事務局の説明としてはそこは入っていなかった思いますが、そこは当然ということでよろしいですか。

菊地 史晃 課長補佐 (文化庁 著作権課):#

はい。先ほどの説明の中では説明を簡略にするためにかなり省略をしましたが、昨年の法制・基本問題小委員会での検討を受けて、現在パブリックコメントもある裁定制度の見直しについても検討を進めておりますので、またそれが仕上がった時にはそのご報告をさせていただければと思います。

引き続いて孤児著作物も含めてアーカイブ、デジタルアーカイブといったものや孤児著作物の利用円滑化ということは共に重要な点だと認識しております。ありがとうございます。

土肥 一史 分科会長 (日本大学):#

そういうことですので、どうぞ引き続きお願いします。他にございますか。はい、龍村委員どうぞ。

龍村 全 委員 (弁護士):#

先ほど事務局からご説明いただいた資料の中に、参考資料3 の 4 ページ目ですか、規制改革実施計画という、6月 24日の閣議決定を受けての、いわゆる「創業・IT分野等」の「起業・新規ビジネスの創出・拡大」というテーマでかなり厳しいスケジュールを示されておるということが見受けられるのですが、例えば、実施時期が今年度の上期ということで、これはかなり厳し要求を突きつけられていると言いましょうか、「文化審議会著作権分科会で検討を行って結論を得る」のだというスケジュールなのですけれども、非常に厳粛に受け止めなければいけない問題だろうなと思います。

ですので色々と諸テーマがある中でも、この問題は喫緊の問題なのかなと思う次第でございます。その中で「関係者間の合意が得られることを前提に」という言葉が入っている訳でございますので「関係者間の合意」というのがどういう枠組みで果たして得られそうなのか、どういう評価になってくるのか、その辺りを優先的にと言いましょうか、あらかじめ問題を先出しにして決めておく必要があるのではないかなと思う次第でございます。

ですので、これをかなり優先的に取り扱う必要があるのではないかなと思います。

土肥 一史 分科会長 (日本大学):#

ありがとうございました。今の点について事務局から何かございますか。

菊地 史晃 課長補佐 (文化庁 著作権課):#

ありがとうございます。龍村先生が仰る通りで、今年度上期ということで非常にスケジュールとしては厳しいことになっております。かつ、関係者間の合意を経てということになりますので、少なくとも文化庁といたしましては、この問題をご議論する場所としては「著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会」において検討することになろうかと思います。

この分科会において先ほど説明いたしました小委員会の設置を承認させていただきまして、それを、精一杯会議を回させていただきまして、関係者の合意を得られるような模索を委員の先生方と探って行きたいというふうに考えております。

昨年来、法制・基本問題小委員会の下に置かれておりましたワーキングチームで、また法制・基本問題小委員会で審議を続けておりますので、ある程度法的な論点であるとか具体的に問題となるようなサービスは少しづつ明らかになってきているのかなと思っておりますけれども、さらにそこから実際にどのような出口と申しますか、今、検討課題としては著作権の権利制限規定の見直しと併せて円滑なライセンシング体制の構築というのが書かれてございますけれども、関係者間の合意が得られるような方策というのはどのようなものかというのを文化庁側で帰って検討させていただきたいと思っております。

土肥 一史 分科会長 (日本大学):#

よろしいでしょうか、今ご発言いただきましたけれども。(龍村委員より「はい」との発言)はい、よろしくお願いします。他にご意見ございますか。はい、松田委員どうぞ。

松田 政行 委員 (弁護士):#

[この発言全体について、音声がマイクにきちんと拾われていない傾向だったので聞き取りに自信なし]

3点ございます。著作権法の改正が行われて、これのおそらくは目標とするところは電子的な出版権の設定によって、海賊版等の違法の利用に対して出版権を設定された者がこれを差し止めるという、そういう武器を持ったことは、整えばよかったことになります。

そしてその議論の中で、こういう設定型ではなくて、少し版面の方に視点を持ってきて、版面権を隣接権的なものにしてほしいとかいう要請があり、なおかつ、あるいは一体化論と言っていましたが、紙で編集したところは電子的なものを自動的に得るというような捉え方はできないかという要請があり、あるいは、みなし侵害規定というような議論もした訳です。

それは何かというと、その三つの共通したところは、出版者が出版行為をするところの編集行為によって、隣接権まで要らない場合であったとしても、何らかの武器を自動的に持つことによって、さらに差し止め等、海賊版等の違法な利用についての差し止めを可能にしていこうという捉え方があった訳です。

もちろんこれは全ての人が賛同するものではありませんが、ひとつ理由があることは、背景に理由があることは間違いないと私は思います。

しかし今回のこの改正ではもちろんこれは受け入れられなかった話です。電子出版権以降、設定契約を結んで、出版者が著作権者と契約を結びましょうということになっています。これは恐らく団体間でそういう契約慣行としてのご検討ががなされるのだろうと期待を込めて思います。

是非是非、それはできるだけ実務に密着して、そして差し止め等が容易にできるような条項を団体間で作って貰いたいと、再三、私共の所に言ってもらって来ております。

一つの問題はそういう契約が結べないような、毎週出るような週刊誌的な方法による日々出版される本をどうするかの点についてはさらに議論が必要になることだろうと、私としては考えております。しかしこの部分については現行法に中々難しいところがあると思います。どうぞその点についても果たして団体間の調整によって今度の79条等の規定が使えるかどうかを考えていただきたいと思います。

これを使えない場合についてはどういうことがあるのかということは、また別途議論の余地が多少残っているのではないかと、これが電子出版のところの問題点とした論点です。

もう一つは、急いで申し上げますと先に改正いたしました国立国会図書館のアーカイブ化とその後のデータの利用についてです。おそらく今後も政府においてアーカイブの利用を拡大する可能性はあるのだろうと思います。

その先には電子出版を行う者やないしはプロバイダーによる電子的なデータの利用とそのアーカイブの結合はどうなるのだろうかと私は思います。もっと先を見たものがビジョンとして必要なものではないかと思います。

国の財産になります。国立国会図書館のアーカイブは国の財産です。国民の財産です。多分、文化・科学の発展する新たな原動力にもなると思います。それをどう有機的に使うかというようなことも電子出版との関係では必ずどこか結びつく点があると思います。

そういう政策も国と、政治家さんだとか、ないしはお役所でもきちんとビジョンとして持つべきだと思います。

今度の改正ではそういう点も含めまして、課題があるなというふうに感じております。

以上です。

土肥 一史 分科会長 (日本大学):#

ありがとうございました。他に如何でございましょうか。はい、井村委員どうぞ。

井村 寿人 委員 (書籍出版協会):#

書籍協会の井村でございます。松田先生のご指摘、電子版への取り組みにあたりまして、まことに皆様方のお力添えがありまして、著者との契約さえすれば海賊版・海賊行為に対して一定の効果が得られるような立法をいただいたと理解しております。その点では本当にありがとうございました。

ただ、松田先生が今ご指摘の通り、全ての著者、特に雑誌等に関しましては全ての著者の方々と契約が結ばれるかというと、中々やはり厳しい面が残されています。

昨日今日と書籍協会の中で、出版権に対する今回の改正につきまして勉強会等を開催しております。森課長にも昨日ご挨拶をいただいて、新しい方式の編集物の規定、それと契約で何とか対処していきましょうという形で進めておりますけれども、やはり松田先生のご指摘の通りまだまだ難しい点があります。

そういう意味では「みなし侵害」はなかなかハードルが高いと先生方からご指摘をいただいておりますけれども、限定的な版面を利用した何らかの方策でさらなる、海賊版に対処ができるようなことが考えられれば本当にありがたいなと考えておりますので、今後とも引き続きご議論していただきたいと思っております。

以上でございます。

土肥 一史 分科会長 (日本大学):#

ありがとうございました。もしかしたら再設計の機会もあるのじゃないかと思いますので、それは是非今後ともフォローに努めていただければというふうに思います。他にございますでしょうか。

(20秒程度発言希望者現れず)

よろしゅうございますか。折角のよい機会でございますので。ご希望の方には是非ご発言いただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。

(20秒程度発言希望者現れず)

本日いくつかのご意見を頂戴いたしましたけれども、それらは小委員会の方で検討していく中で議論に反映できるようにしたいと思います。本日なにかございますか。

(20秒程度発言希望者現れず)

特段発言ないようですので、本日はこれぐらいにしたいと思いますけれども、事務局から連絡事項がございましたらお願いいたします。

菊地 史晃 課長補佐 (文化庁 著作権課):#

本日はありがとうございました。いただききました意見を踏まえまして、事務局としても各小委員会での議論を進めさせていただきたいと思います。

次回の著作権分科会につきましては、それぞれ今日ご承認をいただきました各小委員会における検討の状況を踏まえつつ、あらためて日程を相談させていただければと思っております。

今後ともどうぞよろしくお願いします。

土肥 一史 分科会長 (日本大学):#

ありがとうございました。それでは以上をもちまして、文化審議会 著作権分科会 第40回の審議を終わらせていただきます。本日はどうもありがとうございました。