ここは、一傍聴者が傍聴の際に残していたメモ・記憶等を元にまとめた非公式議事録を掲載しているページです。正式な議事録は1〜2ヶ月後に文化庁サイト [URI] に上がるはずですので、そちらを参照してください。
政府主催の公開会議においての発言が無編集で伝わると困ると主張される方からの直接の連絡があれば、その旨記載の上で本ページの内容を削除します。その際連絡は kazhiro@marumo.ne.jp までお願いします。
当日配布された資料は以下の通りです。
今年度の他の法制問題小委員会の非公式議事録は以下に置いています。
時間でございますので、只今から文化審議会 著作権分科会 法制問題小委員会の第三回を開催いたします。本日はお忙しい中ご出席をいただきまして、まことにありがとうございます。
議事に入ります前に、本日の会議の公開につきましては予定されております議事内容を参照いたしますと、特段非公開とするには及ばないと思われますので、既に傍聴者の皆様には入場していただいておるところでございますけれども、特にご異議はございませんでしょうか。
異議なし。
それでは本日の議事は公開ということで、傍聴者の方にはそのまま傍聴いただくことといたします。
議事に入ります前に、事務局に人事異動があったようでございますので、事務局から紹介をお願いいたします。
それでは事務局の方から人事異動の紹介をいたします。まず、8月1日付で文化庁長官官房審議官に就任いたしました作花 文雄(さっか ふみお)でございます。
作花でございます。どうぞよろしくお願いします。
同じく 8月1日付で文化庁 長官官房 著作権課長に就任いたしました田口 重憲(たぐち しげのり)でございます。
田口でございます。よろしくお願いします。
また 7月1日付で著作権課の著作権調査官に着任いたしました小坂 準記(こさか じゅんき)でございます。
小坂でございます。どうぞよろしくお願いします。
以上でございます。
ありがとうございました。それでは議事に入りますけれども、初めに議事の段取りについて確認をしておきたいと存じます。本日の議事は、「1. 間接侵害について」「2. その他」の二点でございます。
1 につきましては昨年、司法救済ワーキングチームによりお取りまとめをいただきました間接侵害等に関する考え方の整理について、関係団体の方々からお考えをご発表いただき、質疑や議論を行いたいと思います。
まず事務局から配布資料の確認と出席者のご紹介をお願いいたしします。
はい。配布資料については議事次第の下半分をご覧ください。本日は関係団体ヒアリングということで資料1から資料5として関係団体の皆様方のご発表資料をお配りしております。その内、資料1と資料3については三つの資料からなっておりますので、お手元の資料をご確認のうえ、不足等ございましたらお近くの事務局員までお声がけください。
その他にも参考資料を三点ほどお配りしておりますけれども、その内の参考資料3につきましては前回の本小委員会の主な意見の概要をまとめたものをお配りしております。配布資料につきましては以上でございます。
次に、本日のヒアリングにご出席いただいている皆様方を参考資料1に沿って紹介させていただきたいと思います。参考資料1をご覧いただければと思いますが、まず、一般社団法人 日本音楽著作権協会から北田様、それから池上様にお越しいただいております。
次に、一般社団法人 日本レコード協会から、畑様、それから楠本様にお越しいただいております。
それから、一般社団法人 コンピュータソフトウェア著作権協会から久保田様にお越しいただいております。
続きまして、社団法人 日本書籍出版協会、同じく社団法人 日本雑誌協会から酒井様と恩穂井様にお越しいただいております。
最後に日本知的財産協会より大野様、それから藤野様にお越しいただいております。出席者につきましては以上でございます。
それでは議事に入りたいと思います。ご発表にあたりましては、参考資料1、今ご紹介ありましたペーパーの順でご発表いただければと思います。ご発表ですけれども、それぞれ全体 15 分程度でお願いをしたいと思います。その後にまとめて質疑応答と意見の交換をおこないたいと思います。それではまず、一般社団法人 日本音楽著作権協会 北田様 池上様 よろしくお願いいたします。
それでは発表させていただきます。本日はこのような機会を設けていただきありがとうございました。まず私どもの意見でございますけれども、意見1といたしまして「一定の範囲の間接行為者も差止請求の対象となる」という司法救済ワーキングチームの考え方につきましては妥当であるというふうに考えております。
意見2でございますが、「差止請求の対象となる間接行為者の類型をもし規定するのであれば、直接行為者該当性の判断につきまして、裁判所が紛争の適切な解決を目指してこれまで考案してきました判断枠組みを維持する手当を併せて行うことが必要である」というふうに考えております。
その理由でございますけれども、まず意見1につきましてでございます。資料の方ですね、別に、別紙ということで資料1-2というものがつけていると思いますが、こちらの方をご覧いただければと思います。
この問題に関する議論、私どもも色々なところで記されているところを読ませていただいたりしているのですが、中々判り難いところが多くありまして、こちらの方に「司法救済ワーキングチームの間接侵害等に関する考え方の整理」ですとか、その他の資料に記載されている内容を私共なりの理解ということで整理させていただいたフローチャートでございます。
私共の意見にしましても、そこの理解が的外れになってしまうといけないと思いまして、このような形で整理させていただいて、意見をこのような考え方に基づいて述べさせていただいているということでございます。
まず 1 番上のところで、被告が著作物利用行為の関与者ということになる訳ですけれども、著作物利用行為の関与者である被告について、直接行為者にあたるというふうに判断することができるかどうかを検討します。
その上で被告が直接行為者にあたると判断することができるということであれば、次にその被告の行為が著作権を侵害するかどうか、具体的に言いますと、支分権対象行為該当性ですとか権利制限該当性の判断を行うと。
ここで著作権を侵害するということが言えるのであれば、差止も賠償も認められるという流れになって、この領域としては間接侵害の問題ではなくて、直接侵害の問題として解決すべき領域というふうに考えております。
この範囲に収まる限りであれば、物理的な行為者の行為が違法であるとか適法であるとか、あるいは適法な行為が違法に転換するといったような問題はそもそも生じないというふうに解しております。
具体的な事例で言いますと、キャッツアイ事件ですとか、ファイルローグ事件、あるいはMYUTA、TVブレイク、まねきTV、ロクラクII、これらはいずれもこの領域に含まれるものであるというふうに考えております。
一方そこの上の所で、被告を直接行為者というふうに判断することができないという場合については、下の赤いほうの領域に移って、その際の実際の直接行為者に著作権侵害が成立するかどうかということを検討して、もし侵害が成立するということであれば、考え方の方で示されている三類型のいずれかに被告が該当するかということを考えて、該当するのであれば、差止も損害賠償請求も認められるということになると思います。
具体的な事例で言いますと、これは過去の例で言いますと、ヒットワン事件などがこちらに該当するということだと思います。仮に三類型に該当しないということになりますと、こちらは後は、民法 719 条の共同不法行為によって損害賠償の責任を負うかどうかが残るということで、賠償責任が認められるかどうかということが YES か NO かということになりますが、差止についてはいずれも認められないということになるのであろうと思います。
このフローチャートのうち、直接侵害として解決すべき領域の範囲については、先ほど申しました最近の最高裁判例をはじめといたします、判例の蓄積が十分ございます。
ということで、十分に予測可能な状況に既にあるというふうに思います。それから、間接侵害として解決するべき領域で、間接行為者に対して損害賠償請求が認められるということについても、これは教唆者・幇助者を共同不法行為者とみなすという 719 条 2 項の規定によって明らかであると思いますので、ここは問題になる余地がないのではないかと思っております。
次に、資料の方で別紙 2 としておりますけれども、資料 1-3 をご覧頂きたいのですけれども、こちらはこれまでの裁判例において、直接行為者の該当性の判断と間接行為者に対する差止の可否について、主要な判決についてそれぞれ分類して整理したものでございます。
こちらを見ていただきますとお判りになるように、少なくとも直接行為者につきましては先ほど申し上げましたように、かなりの既に判例蓄積があると読めます。それから間接行為者につき、損害賠償が認められるということについても、高裁あるいは最高裁の判決で既に示されているということでありますけれども、間接行為者に差止が認められるかどうかということに関しては 8 番のヒットワン事件、9 番の 2 ちゃんねる事件、それから 11 番の選撮見録事件、この 3 つの地裁判決があるだけで、それぞれ法律構成も違いますし、それから 2 ちゃんねる事件、選撮見録事件については高裁でこれがひっくりかえっているということでございますので、必ずしも十分に明らかになっているということは言えないという状況だと思います。
ただし、一定の範囲の間接行為者に対して差止請求が可能ということはヒットワン事件で詳細な法的根拠を挙げて明らかにされておりますので、現行112条1項に言います著作権を侵害するもの、または侵害するおそれがあるものの解釈論によって対処することも可能であると考えておりますので、立法措置が必ずしも必要不可欠であるとは言えないと思っております。
また米国やドイツでも明文の規定を設けずに間接行為者に差止を認めるというようなことも行われているようです。ただ、多数の直接行為者に著作権侵害の道具を提供しているという、たとえばリース事業者のような幇助者に対する差止請求を認めないで、あるいは事後的に損害賠償請求を認めるだけということであれば著作権制度が実効的な司法救済としては不十分になりますので、間接行為者であっても差止請求の対象となる場合があるということを立法的に明らかにするということは、これは現実的には一定の意味を有するというふうに考えております。
次に意見 2 についての理由を申し述べます。先ほどのフローチャートでご説明しました通り、この問題を考えるにあたりましてはまず最初に直接行為者の該当性を判断する、問題は直接行為者をいかに判断するかということが一番重要になってくるのだと思います。
そのことに関しまして、裁判所は従来適切な判断を行ってきたと思っております。裁判所の判断枠組みは法概念の規範的解釈として一般的な法解釈の手法の一つであるというようなことも、ロクラクIIの判決で、金筑裁判官などが補足意見として言われておりますけれども、極めて普遍性の高いものであります。
ところがこの問題の議論を見ますと、カラオケ法理というような呼び方をしたり、カラオケだけに妥当するというような特殊な法議論であるかのような誤解をしたり、あるいは矮小化するような議論が依然としてございまして、私共は必ずしも正しい理解をされているというふうには考えてございません。
こちらの委員会の第二回の議論の中でも差止請求の対象となります間接行為者の類型を規定することによって、直接行為者の該当性の判断枠組みに何らかの影響を与えるというような認識であるとか、あるいは影響がなければ立法する意味がないというような、そのような発言も見受けられています。
このような状況を考慮いたしますと、直接行為者該当性の判断について、裁判所が紛争の適切な解決を目指してこれまで考案してきました判断枠組みの維持というのが、もっとも重要になると思われますので、その手当をしないままに差止請求の対象となる間接行為者の類型だけを規定することになりますと、これまで直接行為者の領域で解決されていた事案の処理に何らかの混乱の影響が及ぶのではないかということを危惧しております。
直接行為者の該当性の判断につきましては、一部では規範的判断を全て排して、物理的観察を重視するべきであるという見解もあるようでございますけれども、そのような考え方につきましては資料 1 と 2 のところに引用させていただきましたけれども、最高裁判所の金筑裁判官の意見ですとか、あるいは前田先生のご意見ですとかにあります通り、社会的・経済的側面を持つ行為である、著作権の領域というのは社会的・経済的側面を持つ行為であるので、そういったことを考慮する総合的な観察というのが当然必要であるというふうに考えております。
以上のことを考慮いたしますと、差止請求の対象となります間接行為者の類型というのをもし法的に規定するのであれば、まずその先決問題として一番重要な直接行為者の該当性の判断について、単に物理的観察や、いわゆる手足理論によるのではなくて、判断要素として社会的・経済的側面を総合的に考慮するべきものであるということも併せて法的に規定するということが必要なのではないかと思います。
そうでないと、法改正の結果、これまでの裁判所が重ねてきた判例に従った著作権法の精神を後退させるということにもなりかねないのではないかと考えてございます。
それから最後でございますけれども、違法ファイルへのリンクの問題について、考え方の整理では若干触れられている程度で、一定の方向性を見出すというところまでは至っていないようでございますけれども、リーチサイト、それからリンク行為による被害というのは非常に深刻なものになっております。
こちらも司法、それに対する実効的な司法救済というのも是非ご検討いただければと思います。私からの説明は以上でございます。
ありがとうございました。それでは続きまして、一般社団法人 日本レコード協会 畑様、楠本様よろしくお願いいたします。
はい。日本レコード協会の畑でございます。座らせていただきます。
本日は我々の意見を述べさせていただくこの機会を頂戴してありがとうございます。我々がご用意させていただいた資料はですね、資料 2 号として配布されてございますけれども、こちらを使いまして意見を述べさせていただければと思います。
まずスライドの方の 1 番でございますが、私共の団体の概要をお伝えしておりまして、ご承知の通り、レコード会社、レコード業界を代表する団体でございますので、レコード会社の ○○[うまく聞き取れず] という意見をこれから述べさせていただきたいと思います。
めくっていただきまして 2 ページ、間接侵害に関する意見というページが我々レコード協会からの意見でございます。
違法音楽ファイルのダウンロードを助長するリーチサイトおよび音楽系アプリ、これらの対策を講じるために、これらに特化した差止請求規定を設けていただきたいと考えております。
これは昨年度の司法救済ワーキングチームにおきましてもリーチサイトについては一定の方向性を見出すというところには至らなかったのでございますが、我々レコード協会といたしましては、まさにこのリーチサイトあるいは類似の問題であります、スマフォあるいはタブレット端末に向けて提供されております音楽系アプリ、それに対策を講ずることができるような間接侵害にかかる差止請求規定というものを設けていただきたいと希望しております。
背景というところに少し説明してございますけれども、直接行為者、直接侵害者として認定される間接侵害の類型につきましてはこれまでの判例の積み重ねによりまして、管理支配性が認められる類型につきましてはいわゆる「カラオケ法理」ということで直接行為者という判断がこれまで裁判所でなされ、その判例が蓄積されてきたところでございます。
我々この、管理支配性の認定による直接侵害と侵害者ということにつきましてはこの判例法理に今回の間接侵害の規定を検討することにより何らかの影響を及ぼすということを望んでおることではございません。
これまでの判例の積み重ねは適切なものだというふうに考えておりますので、ここに関しては今後も適切な判断がなされるベースが保たれるということが必要だと考えます。
しかしながら、既に司法救済ワーキングチームでもご議論いただきましたリーチサイトの問題、また音楽系アプリの問題というのが今のところ増加しておりまして、まさにこの部分の対応に我々、今苦慮してきているというのが実態でございます。
特にリーチサイト・音楽系アプリ、それぞれ実態につきましては違法コピーして送信してございますけれども、これについてはここに記載しておりますような状況によりエンフォースメントあるいは救済という観点では有効な手段が見いだせていないというのが現状でございます。
我々、そのリンク先である違法なアップロード、違法にアップロードされたファイルの削除、あるいはリーチサイト上に掲載されております当該リンク情報(URL等)の情報の削除、あるいはその情報を要求したときに接続しないようにしてほしいという、プロバイダでのリンク切除と呼んでおりますけれども、こういった対応は事実上極めて困難な状況であります。
またリーチサイト全体の削除、またスマフォ向けのアプリであります場合はその提供停止ということにつきましても、我々権利者から販売事業者・プロバイダ等に要請してもなかなか応じていただけない、進まないというのが現状でございます。
従いまして、我々としましてはまさにこのリーチサイト、あるいは音楽系アプリへの対策を講じることができるような差止請求規定を設けていただきたいというのが要望であります。
次のページにリーチサイト、リンクの現状ということを記載させていただきました。このリーチサイトの運営者というのは違法ファイルの利用を助長する場を提供するというふうに考えております。
違法なファイルへのリンク、まさに導線を提供することによってそのサイトの運営者は広告収入等の利益を得ておるということでございます。赤枠の中に三つの四角で記載をさせていただいておりますけれども、23 年度、経済産業省様の助成によりまして、電通大様を中心に記載のような報告書がまとめられております。
その中の調査分析によりますと、リーチサイトの約 97% というふうに今、資料に記載させていただいておりますが、これは誤っておりまして、93% というのが正解となります。訂正をいただければと思います。93% が広告の掲載による収入を得ていると。
その個数は当該報告書の調査におきまして、117 サイト、リーチサイトであるサイト 117 サイトを対象とした調査となっております。また、リーチサイトからリンクされたファイルへのアクセスはそうでない場合と比べて、約 62 倍のアクセスがあるという観測・予測もされておりまして、リーチサイトよりのリンクがある場合とない場合でやはり利用具合が明らかに異なっておるということ。
また、この調査の範囲内では、リーチサイトからのリンクしているコンテンツの違法率は 100% であったと。全て違法なものへのリンクであったということがこの時の調査では分析をされておるところでございます。
先ほども申しましたけれども、これらに対する対応というのも我々権利者側ではやってはおる訳ですけれども、なかなか、実質的には難しいという現状がございます。
その一つはファイル、リンク先の開示でありますとかリンク情報、URL 情報の削除の要請ということについては、そもそも誰に対して削除要請すればよいのか。つまり、サイト運営者の連絡先が明示されない場合が多々ありますので、そもそも要請を出すのが難しいという状況がございます。
また、リンクをされている先の違法ファイルの個別削除、あるいは連絡先が判ったとしても、全て URL 情報の個別削除を要請するということは、やはり数が、膨大な数があるということで、中々権利者に過大な負担を強いることになる状況がございます。
また、特にファイルにつきましてはやはり蔵置場所が中国でありますとかロシアでありますとか日本のサービスでない所に蔵置されるケースが多々ございますので、なかなか削除の要請を出すといっても大変な作業といったような困難性もございます。また先ほども申しました通り、ISP・サーバー管理者が我々からサイト全体の削除要請をしたとしてもなかなか応じていただけないという実態もございます。
これらの状況によりまして、リーチサイトにつきましては現在 ○○ [聞き取れず] という状況でございます。
一方、4 ページでございますけれども、音楽系アプリの現状につきましても申し述べさせていただいております。音楽系アプリと言いますのは、これは我々が付けた名前なのですが、基本はスマートフォン、iPhone・Android 含めスマフォ、またはタブレット型の端末向けに無償提供あるいは販売をされているアプリの中で、違法音楽ファイルの利用を助長するという機能を持つというものをここでは音楽系アプリと言っております。
これらのアプリにつきましては、いわゆる違法なアプリと共に、Android でありますれば、Google Play、iPhone でありますれば iTune App Store などそういった正規のサイトに掲載されておるものでございます。従いまして、ユーザーの観点ではこれらの違法な音楽ファイルの利用を助長するツールも適法なアプリなのだろうということで誤認をしたうえで利用されておるという実態もあるというふうに把握しております。
これらにつきましては、やはり違法音楽ファイルの利用を助長することにより、アプリの販売収入、または広告をとることによる収入による利益を得ておるという実態もございまして、中には月間 500 万回ダウンロードされておるといったような人気、非常に一般化しているアプリもあるという状況でございます。
一口にアプリと言っても二種類あるというふうに我々は分析をしてまして、一つは検索エンジン系アプリ、これはアプリの機能として検索エンジンを積んでいる、検索エンジンサービスを利用するということを機能とし、ユーザーの検索によって目的とする音楽のリンク情報を検索サービス・検索エンジンから引っ張ってくるというものが一つございます。従いましてこの検索エンジン系アプリにつきましてはアプリ自身にリンク先である URL の情報とかは予めは持っていないというタイプになります。
一方 ② のインデックス検索系アプリにつきましては、これは予めリンクをする違法音楽ファイルの URL 情報をアプリが持っておりまして、それをリスト化しておりまして、それをユーザーの入力したキーワードと突き合わせることによりまして、目的とするリンク情報を表示して、コンテンツ、音楽ファイルをダウンロードするといったようなアプリとなっております。
これらにつきましてはレコード協会からアプリを販売するプラットフォーム会社、Google・iTunes 等に対しましてもそのようなアプリの販売の中止を要請するという対応を今しているところでございますけれども、現状としましては Google・iTune からは当該アプリの開発者または販売者にこういった要請が来ていることを通知するだけの手当となっているという状況でございます。
その結果アプリの開発者・販売者がいったん販売を取り下げたとしましても、また少したって同じものが出てくるという、まさにいたちごっこの状態になっているということでございます。
音楽アプリにつきましても先ほどと同様、お手上げの展開ということがございまして、アプリにつきましてはそもそもアプリの上でリンク先の URL 情報を表示しない。つまりリンクをさせる機能を持っているのですけれども、どこの URL にリンクするという情報を表示しないものが非常に多々あります。
従いまして我々権利者側としてはアプリを使って違法ファイルの削除要請をしようと思って探索をしてもそもそも情報が中々とりにくいというコンスタンスが一つございます。また上記 ②、つまりインデックス系検索アプリ、リンク情報、URL 情報を既にアプリが持っているアプリにつきましては、そもそもリンク情報を削除しようと思ってもそのリンク情報が既にユーザの端末上にありますので、いくらこれをアプリの開発者あるいはプロバイダに削除を求めても ○○ [聞き取れず] であるということで、実質的に削除が不能な状況にあります。
このような状況でリーチサイトまたはスマフォ・タブレット型端末向け音楽系アプリについてはなかなか実効的な対策ができないという状況にございます。そういったことを踏まえまして、先ほど、2 ページの意見のページに戻りますけれども、我々としましてはまさにこの間接侵害の取り組みにおきましては、このリーチサイトおよび音楽系アプリへの対策を講じることができるような明文の規定を設けていただければという要望を強くしております。
それ以降の 5 ページ目・6 ページ目、5 ページ目は音楽ソフト市場のこの数年の推移、また 6 ページとしてはレコード協会として実施しております刑事・民事等の法的措置をまとめてございますのでご参照いただければと思います。以上です。
どうもありがとうございました。それでは続きまして、一般社団法人 コンピュータソフトウェア著作権協会の久保田様どうぞよろしくお願いします。
コンピュータソフトウェア著作権協会の久保田でございます、どうぞよろしくお願いします。
本当に日々、この問題は個人的にアカデミックな意味で見ているのですが、これはまた現場の問題を、今レコード協会さんから報告、色々侵害状況の報告がありましたけれども、非常に頭の痛い問題で、お忙しいところご審議の時間を頂戴してありがとうございます。
ただ、協会としては放送メンバーもあるのですけれども、プログラムの団体が中心ということと、ソフトウェアの事業という中にはユーザにも事業者にも権利者にもなるというそういったバランスの問題から言いますと、今喫緊の問題としてこの間接侵害をですね、すぐに立法化していただいて、何か処理をしていかなければいけないという問題については、今、沢山紹介があったような問題点はあるのですけれども、誤解を恐れずに言いますと、今すぐこの問題を解決していただかないと協会としてはどうにもならんという状況ではないということをお伝えしたいと思います。
しかしながら、検討が平成 14 年度から始めていただきまして、我々としても、学問的な意味におきましても、著作権制度の在り方につきまして非常に沢山の問題を含んでおりますので、こういった中で一般論ではありますが、協会の方の考え方を簡単にまとめましたので誤解のないように読み上げさせていただきます。
平成 14 年度に検討が開始され、現在に至るまである程度の間接侵害に関連する考えられる判例が蓄積されています。そして、それらが事案によって判断を異としているというのですから、それらを検討し相当程度の行為を類型に含めることを目的として立法化しようとしても、対象となる行為が個々具体的でありますので詳細になってしまうことから、結果として対象行為を狭める結果になりはしないかという懸念が残っております。
一方包括的な、これは法律の限界かと思いますけれども、法律家解釈論ということが中心に進められる訳ですから、どこまでいってもこれは立法化された後で、解釈の問題等について、問題が出てくるのではないかと。
とりわけ今まで蓄積されてきた過去の判例について、懸案が提示されてきたことについてですね、その新しい要件と齟齬が起こるのではないか。これは一般論として十分に考えられることではないかと思っております。
その結果、著作権が非常に複雑な条文構造になって、一般の著作権に関する見方から乖離してしまう、専門家のだけの法規ということになりはしないかという懸念も一般論としてあろうかと思っております。
また、今回検討結果が差止請求ということから民事上の救済措置をターゲットにしているのですが、これは我々はまあ、当協会の活動、秩序維持の観点から刑事手続きも沢山行っておりますけれども、そういった意味では、刑法的な、刑罰的なアプローチという意味では正犯・幇助犯の問題にも国民の法意識として影響を与えていくのではないかと思っております。
10 月 1 日から施行される違法ダウンロードの刑事罰処罰化の問題につきましても、2009 年の段階では民事上違法だということにとどまった訳です。こういった観点から行きますと、刑事罰との関係、また民事上の違法ということにつきまして、国民の意識として、法に対する意識としてこういう問題がどう影響を与えていくのかということについても具体的にも考えていかなければならないことだと思っております。
そういう観点から言うと、明確に間接侵害とされる行為に対する抑止効果というのはある程度期待できるのではないかと思いますけれども、逆にその行為にあたらないという反射的な解釈からですね、適法行為であると曲解されると書いておりますが、曲解されることによって、また判断のしづらいところではですね、不心得者がそういった違法なビジネスに加担する、もしくは自分がそういうビジネスを差し止めるということになる可能性も高いのではないかと思っております。
また今回の法制小委における検討におきましても著作権法 第 30 条 第 1 項の見直しや従属説の徹底についてなど様々な論点について意見の対立があるように思えます。これは個人的な意見も含めて、どちらが正しいというような判断がしづらいこともありまして、責任を持って「こういう法律を作ってほしい」ということが言いづらいことには、正直、そう思っております。
そういう観点の中でそういう議論の過程におきまして、現行法における解釈指針を示す必要があるという判断がされるのであれば、現行法の条文が直接侵害者のみを対象とするものではないことを明確にするということで十分足りるのではないかと考えております。
最後になりますが、違法ファイルへのリンクの対策につきましては各団体頭を痛めておりまして、このリーチサイトの問題等について対策が打てるようなですな、法文なり、そういった解釈ができる環境で直接ということにつきましては、これは現場で侵害に対して戦っている我々としては非常に重要な問題でありますので、是非ご検討していただきたいと思います。
簡単ではありますが、以上でございます。
ありがとうございました。それでは続きまして社団法人 日本書籍出版協会 酒井様、社団法人 日本雑誌協会 恩穂井様、よろしくお願いいたします。
はい。書協と雑協でまとめてということで資料をお出ししております。その前に簡単に一言ですね、今回の間接侵害に対する印象を申し上げたいというふうに思います。
実はこれまで報告をされました方々と出版界の違いというのが大きくございまして、出版者は残念ながら差止請求をする根拠を全く持っておりません。隣接権も持っておりませんし、かろうじて出版権設定契約は著者の意向に沿ってですね、依った場合にしか差止請求が基本的にはできないという構図になっています。
たとえば出版界の漫画とかですね、アニメとか、大量に生産をしそれなりの利益をあげるそういうジャンルと学術書のように利益額としては非常に少ない、しかしそれなりに重要なジャンルというものもございます。
こういう場合には侵害があった場合には、損害賠償よりもむしろ差止の方が大事な場合が非常に多いのですね。商業雑誌の場合であろうと、学会誌の場合であろうと即座に差止をしてですね、回収をして、正しいものを出していくというような姿勢が非常に重要なことがあろうかと思います。
こういう場面に対しても、出版社自体が直接的な差止請求権を、防止する権利を持っていないという実情でございますので、この間接侵害についても気合を入れて考えていると言いますか、議論するというような一歩手前の状態かなというふうに思います。
そうは言っても差止請求についての議論というのはこれまでされてきている訳ですし、議論的にも非常に深化されてきているということで、今後の議論を楽しみにしたいと思います。
ただし私共、法律の素人としては非常に判り難い議論になっているような気がします。そもそも直接・間接という時の侵害ですね、例えば刑事法の領域では間接正犯という理論がありますけれども、これは正犯に導こうとする、道具理論等を使ってやっていこうとする議論でありますし、特許法関係の間接侵害というのはまた著作権法で議論されていることとはちょっと違うということになると、モデル的な間接侵害の事例をですね、何として考えればいいのかと、非常に判りづらいところがございます。
私共で非常に昨今、この侵害の問題が増えてきて、これは間接侵害の事例に乗るのかなと思っているケースは、先ほどもちょっと似たようなケースが出ていたように思いますが、ウェブサイトに違法著作物がアップされまして、その削除要求を何度も、法的な措置も含めてしたけれども、一向に削除されない。
じゃあどうするかというと、ウェブサイトの管理人に要求せざるを得ないという事例が何件かありました。この際のウェブサイトの管理人、プロバイダの責任ということである面で法的な対象とされているのかもしれませんけれども、こういう場合に間接侵害にあたると考えて、これに対して差止請求を求めるという考え方がここに提供されるのかなと思ったりもしていますが、現状では幇助的な行為については差止が認められていませんので、もし、侵害を救済しようとすれば、どのような場合でも、これも間接的に直接侵害にあたるはずだという主張を多分するだろうと、その為の理論あるいは主張を考えるのではなかろうかと思っております。
従って、間接侵害の立法化については幇助行為について差止請求を認めるということで、なおかつ直接侵害の領域をあまり狭めないというような理論的な担保がされるということであれば大いに賛成をしたいというふうに思いますが、それ以前に是非、これは今日のこの場でする議論ではありませんけれども、出版会に是非とも権利をいただきたいというふうなことを主張させていただきたいと思います。
引き続き恩穂井の方から説明いたします。
集英社 編集総務部 の恩穂井と申します。今日はこのような機会を設けていただきありがとうございます。
私共から先生方の 14 年から進められた議論の流れとは、もしかしたら的外れとなる部分があるかと思いますが、あくまでも出版の現場から、何に困っているか、どういう侵害が深刻であるかということのご報告を、具体例としてご報告したいと思います。
先ほどレコード協会さまの方からもご紹介のあったまさにリーチサイトですけれども、ここ 1・2 年の内に非常に悪質化している、混迷化しているというようなことがございます。
仕組みに対してはもう皆さんご存じだと思いますが、基本的に、順番は逆になってしまいますけれども、今有効な対策としてはデータがアップロードされている海外のサイバーロッカー、オンラインストレージと言われますけれども、ここに直接 DMCA の方法に準拠した削除要請を出すということが、今、唯一の方策なのですが、具体的にそれをどういう過程でやるかというと、無料会員の場合はダウンロードを普通にやって 1 時間程度かかります。
我々は一応内容が本当に侵害されているものかということを確認するためにそういう形で手続きを踏むのですけれども、そのために今、リーチサイトというのは一つのタイトルに四つぐらいのサイバーロッカーにアップロードするということが普通になっております。
さらに悪質なサイバーロッカーとの連携と言いますか、削除に中々応じないというのも、あるいは時間をかけるということもあるのですが、甚だしいものでは、一つのサイバーロッカーにデータを上げると、自動的にサイバーロッカーが連携している 10 個ぐらいのサイバーロッカーにいわゆるミラーと言うデータを上げるというサービスを行うというような形となっています。
そうすると、我々、今の段階での削除というのが 4 倍、数倍ということになっております。ですので、後ほど説明しますけれども、マネタイズの関連で非常に不本意ではありながら、我々は多くのサイバーロッカーに対して有料会員としてダウンロードのスピードを上げるというようなことをせざるを得ない。
さらに、先ほどご説明とはちょっと違うのですが、出版においてのマネタイズというのは非常にシステム化しております。まず広告収入がありますけれども自らのリーチサイト上でのアフィリエイトと同時に、資料にあります通り、タイトルをクリックするとデータに行きつくまでの間にいわゆる広告サイトを噛ませます。これのクリックによって広告料が入るという形でマネタイズされます。
さらに一番、出版におけるマネタイズの大きいものはですね、実はサイバーロッカーというのはページビューを稼ぐためにより多くダウンロードされるファイルを歓迎するというシステムになっておりますので、より多くダウンロードされたファイルに、そのポイントに応じてですね、キャッシュバックをする。それはもちろんアップロードした人間に対してですけれども、そういう形でマネタイズしていくということになります。
リーチサイトというのは、縦割りの誰がアップロードしたか判らないデータについてリンクするだけだということになっておりますけれども、ここに書いてある通り、今の日本の代表的なリーチサイトはリクエストあるいは削除された場合については報告いただければまた再アップロードするというような指針を取っております。
非常に再アップロードのスピードも速い。それとこのマネタイズの仕組みからすれば、実際には運営者が直接アップロードしているという可能性が非常に高いものなのですけれども、結局、国内におけるプロ責法(プロバイダ責任制限法)、海外における管轄の問題があって、発信者情報開示はほぼ不可能と。我々は勿論ですけれども、日本の警察においても中々難しいというような状況にあります。
そのためにですね、非常に、今リーチサイトはビジネス化しておりまして、出費の効果的な、ファンが自分の好きなマンガを例えば皆に見てほしいというようなものではなく、明らかなビジネスとなっております。
マネタイズの証明ということで言うと、ここに書いておりませんのは、ご存じの通りメガアップロードが今年の 1 月に FBI の強制捜査を受けて閉鎖しましたけれども、それにあわせて大手のサイバーロッカーがファイル共有を全て中止いたしました。リーチサイトが非常に、数か月停滞したのですけれども、それはデータをアップロードしているリンクが切られたという理由というよりも、新たにマネタイズをしてくれるサイバーロッカーを探しているという状況が数カ月続いておりました。
ですから、リーチサイトの運営者、いわゆる海賊連中がですね、どこのサイバーロッカーが良いかという情報を交換するサイト、掲示板というものも我々は把握しておりまして、次はどこにアップロードしていこうとしているかということも観察しておりました。
というように非常に悪質であり、かつ、直接侵害、直接の行為者である可能性が十分高いながら、有効な対策が取れないというのがリーチサイトではないかと思います。
次が、これはですねもうここに書いてあるように必死な思いというか、これまでに二店舗ですけれども、まさに 2010 年の 1 月にスタートした案件です。仕組みとしては、皆さんいわゆる自炊代行業、スキャン業者というのはご存じと思いますが、それとは若干様相・様態を異にしていまして、いわゆる自炊機材、建前上自炊機材とスペースをレンタルすると、それに対する対価を取るということを表面上は標榜しております。
と同時に、同一店舗内に「自炊の種」と称する裁断本を大量展示しておりまして、利用者はそこで好きな書籍を選んで、自らがスイッチを押すという形でスキャンしたデータを持ち帰るという様態となっております。
皆さんにお話するはなんなのですけれども、要するに 30 条 私的複製と 附則 5 条の 2 によって現状はこの様態の違法性を問うことは難しいであろうというのがおそらく専門家の方の大勢ではないかと思います。
しかしですね、資料を見ていただければ判りますけれども、ホームページのトップページというのは、まずスキャン可能な人気作品と新刊案内ということをしております。あと、丁度現在は休んでおりますけれども、キャンペーンをやっておりまして、在庫本コミック&ライトノベル 10 冊 1000 円キャンペーンと。これは明らかにコンテンツを販売しているというような様態ではないかと思います。
また、一旦外から見れば、これは資料にテキストに書いてありますように、電子書籍のいわばオンデマンド出版という様態にしか思えないのですね。この様態が今後増えていった場合というのは、今後、特に出版にとって市場を失う状況に、特に電子書籍については市場を失っていく危険性を孕んでいて、非常に我々にとっては危機感を持っている様態です。
このような様態が認められるとしたら、本来創作者に還元されるべき利益が失われますし、これは創作のサイクルとよく言われますけれども、そういうものを破壊しかねない、非常に危険なものではないかなと我々は危機感を募らせています。
この様態が、いわゆる 30 条、附則 5 条の 2 によって守られている、著作権が保護しているということは、著作権市場における、創作文化の発展に寄与するという著作権法の精神にかなうものかということを私は常々疑問に思っています。以上です。
酒井様、恩穂井様、どうもありがとうございました。それでは続きまして、日本知的財産協会、大野様、藤野様、よろしくお願いします。
日本知的財産協会です。本日はこのような機会をいただきましてありがとうございます。お手元の資料 5 に当協会の意見をまとめさせていただいておりますので、こちらの方に従いましてご説明させていただきたいと思ってます。
まず、間接侵害規定の導入について小論ということで、昨今、ネットワーク環境の発達ですとか、サービスの多様化の中で、一般的な、ユーザと著作物の両方における事業者の役割というのは多様化しているところでございます。
こうした環境の変化に伴って、いわゆる「カラオケ法理」の拡大適用などによって裁判所の規範的利用主体の認定が行われることにより、物理的に著作物の利用行為を行っていないようなサービスあるいは製品の提供者が著作権侵害の直接的な主体というふうに認められて、当該サービス等が差止られるという事例が増えております。
しかしながら現行法上、どのようなサービスが著作権侵害の主体となるのかという判断基準、規定がないために事業者にとっての侵害の予見可能性が低いと。結果として、新しいビジネスの委縮効果というふうになっておりまして、産業界としては非常に大きな問題であるというふうに考えております。
物理的に著作物の利用行為を行っていない事業者が、著作権侵害の主体となるような場合、この類型を明確にして、予見性を高めるという観点から、間接侵害に関する規定を著作権法に設けるということについて賛成いたします。
ただし、規定の創設にあたって解釈をめぐって混乱を招いてしまったりですとか、結果的に産業の発展、あるいは利用者の利便性向上を妨げることのないように、以下、言い述べさせていただく点について十分にご検討いただきたいと考えます。
二つ目の具体的な内容についてですが、先の 6 月 29 日の法制小委で公表されております資料、「著作権間接侵害の基本枠組み」という資料を拝見いたしまして、その中で間接侵害と直接行為主体認定、この問題を切り分けて別々に考えられていくと拝見しました。
実務においては間接であるか直接であるかということがかかわらずですね、侵害の帰責主体となるのかどうかということが最大の関心事であります。
仮に間接侵害の類型を定めた規定と、従来からのカラオケ法理等の直接行為主体認定の基準が併存するということになりますと、侵害の成否をめぐって事業者の方で混乱するということになりかねないと懸念しております。
事業者の予見可能性の担保という観点からは、どのような場合に差止が認められるかということをより明確になるように検討を進めていただきたいなと思っております。
二つ目に、従属説と独立説ということについてですが、適法な行為を助長あるいは容易化するといった行為を違法な行為というふうに考える行為をするということは適当ではないと考えておりますので、当協会としては従属説の考え方に賛成いたします。
特に一般ユーザー向けサービス・製品にあたっては、私的利用・私用領域での著作物の利用に向けたものが多い訳ですけれども、ユーザーの利用が適法な私的利用に留まる限りにおいては事業者も著作権侵害の責を負わないという整理をしていただくことが非常に重要であると考えます。
三つ目に司法救済ワーキングチームにおきます間接侵害行為の類型ということで 1 〜 3 番の三つの類型が示されております。それにつきまして、いわゆる事業者について、著作権侵害の成否を判断するための手がかりが何らか、今までない状態に比べますと、侵害成否の基準として一定の明確化がなされているという点で評価をさせていただいております。
ただしですね、もっとも著作権・著作物というものが客体が特許権とは異なって不安定でありますこととか、権利制限規定との関係によって運用上の難しさがあるのではないかということ、それから、類型の中にかかれているような「専ら侵害の用に供される」や「侵害発生を積極的に誘因する態様」というものが具体的にはどういうものなのかということを事業者の側で要件の該当の該当の該否を判断することの難しさというところが懸念されるところであります。
従いまして、引き続いて、この点を含めて議論を深めていただきたいと。
それから二つ目の類型にあります「知るべきでありながら」というような要件がございますけれども、こちらの方が事業者に対して監視義務ですとか、あるいは放置しないための措置を何らかの義務を負うというようなことを想定しているとしますと、事業者にとっては過度な負担が増えることとなりますので、望ましくないと考えております。
いずれにしましても、権利の保護ということと利用のバランスということを当然踏まえた選択として産業の発展の妨げとなることとならないように検討を続けてしていただきたいと考えております。
当協会からの意見は以上でございます。
大野 様 どうもありがとうございました。それでは残る時間で質疑応答・意見交換を行いたいと思います。最初に出席者に対するご質問・ご意見ありましたらお願いいたします。
特にご質問はございませんか?
はい。それでは奥邨委員どうぞ。
これは全く純粋に教えて頂きたいのですが、JASRAC 様の報告の中で 3 ページの所の カ の所、ここの所では、直接行為者の該当性の所を社会的・経済的・総合的に考慮すべきですよということを仰っておられまして、そうでないと狭くなりますよと、国際的に見ても狭くなりますよということを仰っておられるのですが、これは、済みません、直接侵害者の認定というのをここでお書きのであれば、国際的には通常は社会的・経済的に行っているということで仰っておられるということにも読めたのですが、それで具体的に何か、海外の方でこういう例がありますよということを教えていただけるとありがたいのですが、そういうご趣旨なのでしょうか。
それとも、私の読み方が悪くて、海外ではそういうふうに読んでいるよということではなく、トータルで、直接侵害と間接侵害をあわせて、大きさが海外のものと同じぐらいないとおかしいですよというお話なのか。
その辺りが判りかねたのですが。
ご質問ありがとうございます。ひょっとしたらご質問の趣旨を取り違えているかもしれませんけれども、トータルとして妥当な結論であればよいという点はその通りだと思いますが、我が国の著作権法におきましては 30 条 1 項の、私的利用、私的使用目的の複製の範囲が非常に広いということが指摘されていると思いますけれども、そういった事情がありますので、安易に直接行為者該当性の判断枠組みを変更して、今までよりも狭く狭くというふうなことになった場合に、その上で従属説を取るということになりますと、諸外国ではクロになっているような事案について、我が国は、ことエンドユーザが直接行為者であるならば私的複製目的で権利制限されているからシロであって、従属説によれば、直接行為者がシロならば事業者側も必ずシロであると。
そういった結論になってしまうと、国際的なハーモナイゼーションを害するという趣旨を指摘させていただいているのがこの「カ」のところの意見でございます。
済みません。ということは、違法になる行為の範囲が国際的にハーモナイゼーションするべきであるというご趣旨であって、直接侵害の認定手法が社会的・経済的な判断をすることが先進諸国の国際ハーモナイゼーションですよということを仰っている訳では必ずしもないのですね。
そうですね、必ずしもそういう訳ではないですが、我が国の今の状況を前提にすれば、直接行為者の判断枠組みはこのような総合考慮によるべきだろうというふうに考えております。
他に如何でしょうか。ご質問はよろしゅうございますか? では、道垣内委員。
道垣内と申します。私は専門が国際的な法律関係なので、そちらの方のご質問というのは ○○○○[聞き取れず] 特に ○○○○[聞き取れず] ですけれども、書籍・雑誌の方々から出ている紙には、間接侵害者が外国に居るような場合について書いてございますけれども、音楽についても同じようなことがあるのではないかと思うのですね。
その実態はどうなのかということと、今回改正をした場合に、外国にそのような人たちが居る場合に、どのような対策をお考えなのかということ。それから本当は、さらに難しいのは外国に直接侵害者が居て、日本に間接侵害者がいる時に、日本の法律はどう対応してあげるのがよいのか。
外国の著作権法を日本の債務者としてあげるところところまでするべきなのか。それはご関心が無いのかもしれませんが、そこをやってあげないとですね、間接侵害者が外国にいる場合に外国で提訴したとしますね、日本の著作権に基づいて間接侵害者の行為を差止たいということを外国裁判所にお願いしなければいけないかもしれないのですが、そことの関係で国境を越えた侵害についてどのようにお考えなのか、特に音楽について記述がなかったものですから伺いたいと。
音楽ということですので、JASRAC の方、それからレコード協会の方にも、両団体にお願いできればと思いますが。
音楽の著作権の場合にはそれぞれの国ごとに著作権の管理団体がそれぞれに存在しておりますので、具体的にそういう事例が生じている訳ではないですけれども、その場合にはその事例に応じてそれぞれの各国の団体毎に連携しながら、その事例に応じて、例えば外国、アメリカであればアメリカの団体と協力してそちらの方でやるか、あるいは日本の団体が対応するかということを協調しながら対応していくということになるのだと思います。
レコード協会もお願いできますか。
今、具体的にご質問に該当する事例があるかどうかといったことは、にわかに、処方例がないのですが、基本的には今の JASRAC さんのご説明の通りに我々も国際的には IFPI という国際的なレコード産業の連盟がございます。そこの各国支部あるいは ○○○ [聞き取れず - アリサ?] であれば現地事務所、そういったところと連携しながら、例えば間接侵害者が国外に居た場合、あるいは直接侵害者が国外の場合、そういったネットワークで連携しながら対応していくことになる。実際、そういった対応をして起こる事件もありますけれども、そこでそういったサービスに対して何か救済を求めることができるかどうかはやはり現地の法律に従ってということになろうかと思います。
私の伺い方が、いろんなことを聞いてしまったので。一番典型的なことで申しますと、日本の市場で、日本法上の著作権侵害にあたると。しかし間接侵害者は外国に居て、そこに現地サイトを設けてやっていると。
その場合は外国の著作権管理団体にお願いしても、当該外国法上のこととしては問題にならないかもしれない訳ですよね。その場合、日本では問題なので日本法を適用してこれを止めてくれということまでお願いできるとは思えないのです。
そうしますと、ですから日本で自分でやるしかないので、日本が侵害地なのだから日本で裁判を起こし、被告が外国に居てもとにかく日本で差止の判決を取って、それを外国で執行してもらうと。
そこまでやらないと実際には実効的ではないと思いますけれども、そういうことまでお考えなのか、そこは先の問題だとしてとりあえずは日本国内のことを考えるのか。
というのは国内の引き締めというか、強く厳しくしますと外国に逃げていくので、いたちごっことなるのではないかと思いますがいかがでございましょうか。
現時点では残念ながら日本国内の侵害に対して対応するということが精一杯の状況ですので、例えば外国に存在する間接侵害者に対して、具体的な事例が出てきているということではありませんけれども、それに対して現状どのように対応するということが具体的に考えられているということでは、想定していることはございません。
それはかなり、それが深刻な事態が生じてきたということが具体的に出てくれば、それはその時点でどのような対処をすることがもっとも適切かということはその時点で考えていく。
ご指摘の通り、そういう問題は既にあるのだと思いますので、今からそういったことも考えていく必要はあるとは思います。
今すぐにそういった事例を想定してこの間接侵害の検討を我々が進めていることはありませんけれども、仰る通り日本で間接侵害に対する何らかの措置を講じた時に、海外に出ていくということも可能性としてはあろうかと思います。
ただまあ、音楽に対する侵害の類型はある程度国際的に共通しているルールでもございますし、そこは当然ながら各国のエンフォースメントを意図しながらも、やはり問題は外国のレコード会社の意思であるということになればその国の法制度、あるいはエンフォースメントをする機関とエンゲージさせていただくということで個々に対応をおそらく考えていくことになるのではないかというふうに今は思っております。
よろしゅうございますか? 他にございますか? はい。森田委員お願いします。
リーチサイトの問題についていくつかご意見があって、その内容について確認的といいますか、お伺いしたいと思います。
それで、JASRAC さんの補足部分では「実効的な司法救済を図るべきである」とありまして、レコード協会さんは「リーチサイトに特化した差止請求権を設けること」ということを要望されておるということなのですが、この司法救済ワーキングチームでは、間接侵害についての一般的な基準を、こういうものを設けてはどうかという提案をされていて、仮に、改正が仮になされたとすると、それに該当する場合は違法だということが肯定されることになるのですね。
しかし、それに該当しない行為については間接侵害ではないということになる。間接侵害でないということになったとしても、そういう場合であってもなお、リーチサイトについては止めるような規定を設けてくれということだとすると、一般基準では適法な行為がなぜその場合は差止対象となるのかという疑問に答えなければいけないことになりますので、そうしますとそうではなくて、一般的な基準でそういうものもカバーできるようにしてほしいというご要望だとすると「特化した」という規定がなぜ必要なのかと。
まあ、一般的な基準にある場合はあたるということを確認する規定を設けてほしいということは、それぞれの権利者は自分が抱えている問題についてはこの条文にあたるということを確認する特化した規定を設けてくれということになりますと、これは山ほどの規定を設けなければならないことになりますから、これは実際上は考えにくいことではないかと思います。
そう考えますと、この司法救済ワーキングチームの立てている基準では、ここがカバーできないとかですね、不十分であるとか、そういうご主張が背後にあるのかもしれないと思うのですが、この一般的基準ではだめだと、だからカバーできないところに特化した基準を設けてくれということだとすると、この基準そのもののどこに問題があるのかという点についてお聞かせいただければと思います。
それから、海外とのハーモナイゼーションの話が出ていますけれども、このリーチサイトの問題について、間接侵害一般的な基準の適用によって違法となる場合は違法となると。そもそもリーチサイトをどう定義するかということですが、違法なサイトをリーチサイトと呼ぶとすれば、それはぐるぐるまわりになっちゃう訳ですから。その、海外でリーチサイトに対して特化した規定を設けている国というのがございますでしょうか。
その点について何か、そういう対応している、リーチサイトについては特別な対応をしているというようなことがあることをご存じであれば教えていただきたいと思います。
以上 2 点です。
それでは、レコード協会さんの方が「特別な規定」の要望をなさっておられますので、畑さんお願いします。
レコード協会の要望として「リーチサイトに特化した」という言い方をしておりますけれども、先ほど森田先生が仰ったご趣旨ですけれども、間接侵害において、最初から間接侵害において差止請求の対象となる規定を設けて、それからはずれてもリーチサイトについては差止を可能とするべきだということを必ずしも申し上げておる訳ではございません。
逆に、今回の参考資料 2 号で配布されております、昨年度の司法救済ワーキングチームのまとめにおきまして、リーチサイトに関する検討結果ということが記載されておりますけれども、確かに、個別の事案ごとに判断せざるを得ない状況はありますが、我々が今回ご説明させていただいたようなリーチサイトに含まれたりしている、まさにおそらくは違法なものへのリンクであるというような類型が、検討されている間接侵害の差止規定で読めないことになっては困ると申し上げておりまして、まさにこのリーチサイト、それからスマフォ向けのアプリの問題が、違法対策の観点からは喫緊の課題となっており、そこに十分に対応できる間接侵害規定であってほしいというのが趣旨でございます。
それから海外においてリーチサイトに特化した規定を設けている国があるかというご質問ですが、そこにつきましては、そのような規定を設けている国があるということは我々承知しておりません。
以上です。
先ほど、日本雑誌協会さんの方もリーチサイトについてはご意見を発表いただいたわけですけれども、今のご意見で何かございましたらお願いします。
はい。各業界のそれぞれの問題ということに対応して個別規定を設けよということの難しさというのはよく理解いたしますけれども、現状のにおいてインターネットにおける侵害の一典型としてリーチサイトがありまして、そういう意味では、我々としても個別にこれを違法化するということは非常に理想論としてはあります。
このレポートにも書いてあります通り、違法ダウンロードについて、そこに意識を持った場合、犯意をもった場合ということが要件としてある訳で、このリーチサイトについて言えば、明らかに不正なファイルであることに特化したリンク行為、その周知的な行為でありますから、誰もが不正なものを感じている訳なので、その……リンク行為そのものを違法にすることは今のインターネットのシステムから言って不可能であることはよく理解いたしますけれども、いわゆるリーチサイト、不正なファイルに集中してリンクしている行為が違法でないということは心情的には、我々はやっぱり理解できないというふうに思っております。
ありがとうございます。あと、JASRAC さんは 3 ページの補足の所で「実効的な司法救済を図るべきである」と表明されている訳ですけれども、その点について如何でしょうか。
ここに記載させていただいておりますけれども、先ほど少しお話がありました通り、今の考え方の整理で示されている内容ですと、そもそもリーチサイトというのはどの程度の範囲なのかという所についても明確ではないということでこういう形で書かせていただいておりますけれども、今、示されている間接侵害の三類型以外に、特別に何か別途のものを設ける必要性があるということを申し上げている訳ではありません。
はいありがとうございました。森田委員よろしいですか? 他にご質問はございますか。あ、茶園委員どうぞ。
これはちょっとあるいは誤解があるのかなと思いまして、確認させてください。今のリーチサイトの問題というのは、この司法救済ワーキングチームの考え方の整理では 1 が間接侵害で、2 がその他リーチサイトということで、ここではリーチサイトの問題は間接侵害とは違う種類の問題という位置づけだったのじゃないかというように思います。
ですから間接侵害についてこのペーパーに書いてある 1・2・3 の類型の、それに当たるか当たらないか、当たらなければ容認しないとかそういう意味のものではなくて、リーチサイトとは間接侵害とは別個の問題で、それについてこのペーパーの 5 ページの所でこういう検討をしたということではないかと思います。
ですから私はそれでも、方がリーチサイトについて仰られたのは、いわゆる間接侵害の問題とは別個に、リーチサイトについてもさらに検討を進めてもらいたいと、そういう趣旨ではないかと思ったのですけれども、それでよろしいでしょうか。
茶園委員はメンバーですよね、(司法救済ワーキング)チームの。
はい。ですから先ほど、すみませんリーチサイトを間接侵害の問題として捉えられているのか、あるいはそうでないのかという、両方の考え方が混在したのではないか思いまして、それぞれが仰られた意見は別個の問題として仰られたのじゃないかと思いますが、それでよろしかったでしょうか。
それでは、またお願いいたします。JASRAC 北田さん。
ここで記載させていただいておりますのは、委員の仰られるように別個の問題ととらえて記載させていただいたということでございます。ご質問がそことからめて、間接侵害の問題との関係で聞かれましたので、ということでお答えしました。
レコード協会さんも同じ意見ということでしたね。特に……
当協会からも。
はい。それでは久保田参考人のコンピューター……なんでしたっけ、久保田さんお願いします。
別です。はい。別でございます。
じゃあ、書協・日本雑誌協会、恩穂井さんからも。
冒頭で申し上げた通り、法律構成についてここで私共が云々することではないと思います。ただし、今日ご報告した二つの事例というのは、明らかに直接侵害では対応できない、特に深刻な侵害であるのではないかということでご報告した次第です。
それが間接侵害の範疇に入ってくるかどうかということについては、是非是非、入れていただければと検討いただければと思います。
知財協さんは何かありますか? 特にないですか。それでは奥邨委員どうぞ、ご質問があったと思いますので。
書協さんと雑誌協さんに、本当に簡単な事実関係の確認だけなのですけれども、ここで仰っておられるサイバーロッカーというもの、同じですが、大きく分けると二つ実態としてあろうかと思います。
共有型のサイバーロッカーと完全にプライベート型のパーソナル型のサイバーロッカーと二つあろうかと思うのですが、例えばメディア型だと、メガアップロードなんかはどちらかというと共有型、誰でもダウンロードできますよというようなもの、アップロードもダウンロードも誰でもできますよというファイル置き場みたいな形のものと、純粋なパーソナル型のものと二つあると思いますが、これはどちらを今イメージして書いておられるのでしょうかということだけお願いいたします。
勿論、正確に言えばファイル共有機能を持ったサイバーロッカーということですね。先ほどちらっと説明しましたけれども、メガアップロードの閉鎖からファイル共有を中止したのですけれども、中止したサイバーロッカーが非常に多かったのですけれども、それまではファイル共有を前提としているサイバーロッカーということでありす。
ほかにございますか? 特にございませんか? じゃあ茶園委員どうぞ。
間接侵害とは別個の問題として、リーチサイトの問題をどのようにお考えなのかということをお聞かせ願いたいのですけれども、リーチサイトは個々的に見れば単なるリンクというのですかね、リーチサイトについてなにか対応すべきだというお考えの方はリンクそのものが問題があるというふうにお考えなのか、あるいはリンクそのものは特に問題ないけれども、例えばそれが違法なものであることを知っていたとか、あるいはそれが違法なものが大量にあるとか、量とか、認識の問題として問題になるように変化するというか。
個々のリンクと、どういう関係でリーチサイトが問題であるとお考えなのか、もし何かございましたらお聞かせいただきたいと思います。
(質問先の)団体としては?
それぞれに。
大変難しい問題だと思っておりまして、極端に言うと、一般個人の方のブログでもそこからリンクを張っていて、その張っていた先が違法なものであったというような事例はいくらでもあるのだと思います。
微細なものはそういうものから始まって、やはりこちらが一番問題視しているのは違法なものを全部まとめて、そこのユーザーが違法なものをダウンロードしやすく、あるいは見つけられやすく、それだけを集めてということがやっぱり経済的にも打撃を受けているところですので、まずそこが一番、すぐにも対処しなければいけないし、対処していただきたいという部分でもあるわけですけれども、そこから最初に申し上げたブログまでの間には色々な段階があると思いますので、そこの線引きというのは、今、俄かにこうこうこうだとは中々言えない部分だと。
まあ、ブログにリンクを張っているところについてまで、そんなことは違法だというところまで言うつもりはないのですけれども、その中間あたりの、どのあたりからというのはこれから色々、我々も考えなければいけないですし、まさにそこの所を今日はご検討いただければと思っているところです。
リーチサイトあるいはスマフォ等に向けたアプリの問題というのは、やはり個々の、当然ながら違法なアップロードが一番の問題だということはあるのですけれども、そういったリーチサイトあるいはアプリがなければユーザーは個々にそうしたものを探していく、あるいはじっと見ていて追いかけるという作業をしなければいけないところを、それを集約して大量にまさに体系化してユーザーに見せることによって、事実それにリンクされているファイルについては、そういうリンクの無いものと比べて非常に多くの利用がされていると。
まさにそれによって、権利者に金銭的被害を及ぼし、またそういったリーチサイトを運営するものはそれで利益を得ていると。そういう、何がキーかと言うと非常に難しいのですし、数の問題もあると思いますし、数を集めて見せることによって、違法なアップロードの利用を助長しているということというはやはり問題ではないかと考えております。
少し補足させていただきますと、やはり「無料」で、「タダ」でというのがもうキーワードになってしまっているのです。それが、タダでダウンロードできますよ、無料でここにいけば自由になりますよというのがどうしてもうたい文句になって、それが集められているところに、対処しなければいけないけれどもできないというジレンマが、現場では非常に持っているところでございます。
誤解を恐れずに言ってしまうと、リンクは複製そのものだという感覚はあります。とは言え、先ほど言いましたように、ネットワークという情報に通じる仕組みがあるわけですから、やはり、その専門としては、先ほど先生が言われたような、リンクを大量に集める問題とか、量の問題だけでなく、法なので加罰的な違法というのはどこからということは考えざるを得ないと思うのですが、我々が実際に仕事でやっている場合にはですね、そこには自分がアップロードもしていて、ダウンロードもと。要するに同一人物がやっているとか、グループでやっているというのがありますから、そういった秩序維持の観点から我々が権利侵害に対応していくということについては、勿論、警察が動く訳ですから捜査についてもそういったことは十分になければ事件にならないのですね。
ですから、本当に無理なお願いをしているようで恐縮なのですけれども、その辺りの線引きをするような条文を作れといっても、じゃあお前考えてくれと言われても考えられないというのが正直なところなので、実態としてはそういう事実関係の中からまあ ○○○○ [聞き取れず] といって違法性の高い、被害の大きいものをチョイスしていって事実関係をつないでいくしか方法は無いと思います。
そこの所に気持としてやるせないものがあるので、少しでも○○○ [聞き取れず - マミキ?] にもアプローチできるものがあればというような、そういうことなのではないでしょうか。私はそういう感覚です。
リンクそのものを違法とする定義は非常に難しいと思います。ただ、電子書面だけを見れば、作品タイトルがあってそこにクリックをするとデータが出てくる、データがダウンロード可能になる。
これが自らのサーバーであれば明らかな直接侵害で何の問題もないわけですけれども、これを、ユーザーから見れば見た目は同じような行為を、リンクという行為を間に入れることによって違法性を問えないという状況は、明らかに不備ではないかなと個人的には思います。
もはやリンクという行為自体を全般的にとらえるのではなくて、ここに書いてあります通り、ここにはある犯意を持った、意図をもったリンクというのが存在する訳で、これほどの不正なファイルに対して、まさにその事実を知りながらリンクをする行為というものについて違法性を問えないというのは、我々コンテンツホルダーからすると、インターネットにおける侵害対策としては非常に、我々の対応しようがないと思っております。
知財協でございます。元々この問題については先ほど茶園先生からご指摘あったように、間接侵害の問題とはちょっと違うかなということで今回の意見として触れていないのですが、権利者の皆様のご意見を伺う限り、例に挙げられているようなヤツに関しては、確かに必要だろうと思います。
ただ、矢張り私共としては定義ですね、例えばリーチサイトの定義について、矢張りたまたまリンク先に違法サイトがあり、それも明らかな故意の違法とかいう訳ではなく過失違法になっているものがあった時に、それすらダメという話に読まれてしまうような規定ができてしまいますと、矢張り委縮してしまうということがございますので、仮に規定を作られるのであれば、矢張りそういうところは配慮していただきたいかなというところで考えております。
ありがとうございました。他にご質問ございますか? じゃあ、まずは中山委員から。
レコード協会の資料を見ますと、リンクされたコンテンツの違法率は 100% と書いてございますので、これだとなにかされてもよいような感じはするのですけれども、仮に法律を作るとなれば実効性ある法律を作らなければいけないと思うのですけれども、おそらく作るとすれば「専ら」とか何かこう要件を入れてやると思うのですけれども、しかし、そうだとするとおそらく相手方は、悪い人は外国に逃げるか、あるいは 50% ぐらいの目くらましの合法ファイルを作るということで、おそらく極めて容易に免れてしまうのじゃないかと思います。
そう言えば先ほど久保田さんが仰ったように、「じゃあどういう条文を作るのだ」ということになるわけですけれども、ある程度それを示していただかないとですね、なかなか議論ができないのじゃないかと気がするのですけれども、その辺の対策となるものは、特に、レコード協会の資料を見てご質問をしたものですから、レコード協会、如何でしょうか。
非常に難しい質問だというふうに思っておりまして、先ほどご指摘の通り、それをじゃあ何らかの線引きを指し示すことができるのかということについて、我々の方で今、何か具体的なアイデアを持っているということではございません。
そこについては我々も考えていきたいと思いますけれども、是非ご議論をいただければと思います。今何か、こういった指針があるのではないかということを、ここでお示しできるような形では持ち合わせておりません。
それでは大渕委員。
それでは、先ほどリーチサイトの所についてご議論がついてきておりまして、茶園委員からもご指摘がありました通り、これは一番簡単なのは本日、参考資料 2 で配られている、5 ページ、これは元々 5 ページしかない内の一番最後なのですが、ここをご覧いただければお判りの通り、少し、補足的に説明だけですけれども。
本体がローマ数字の 1 で、間接侵害となって、これは短くも含め、○○ [聞き取れず] いたしましたけれど、最後に 2 としてその他リーチサイトとなっているというふうな形で明確な形で別枠だと。間接侵害本体とは別の問題としてローマ数字の 2 その他と。これは非常に明確な形で。
中身についてはドラフトの検討結果として書いてありますけれども、悩みに悩んで、これはワーキングチームの中では間接侵害本体と同じくらいの膨大な時間を費やしてまとめた結果がここにあるので、その問題の、今思い出して見ますと、非常にさらっとまとめてはありますけれども、最初のパラグラフの一番最後の方に「意見があった」というところですけれども、リンク先で行われる著作物等の利用行為の内容がダウンロードを伴うか、視聴に限られるか等というのが、その辺りに問題の胆の部分が出ておりますけれども。
ちょっとお伺いしたいのはこの関係で、間接侵害というのは刑法的に言うと、どなたかが先ほど仰ったように、幇助。幇助というのは犯罪行為が完了する前に助けるということな訳ですけれども、この別枠になっている主な理由というのは例えば送信可能化が済んでしまった後では、送信可能化行為が済んでいるのだけれども、その違法ファイルの拡散行為という言葉としては良くないという説もありますけれども、事後従犯と言われている、犯罪終了後に犯罪成果物を拡散する行為という、これが、リーチサイトの場合にはそういう性質のものじゃないかということになると、幇助というよりは事後従犯だと。
何を持って、助けている行為というのが、犯罪が終わる、送信可能というか、違法アップロードしたものをばらまくというのであれば事後従犯の方になるので、それも悩んでいる。
場合によっては、視聴に限られるのであれば、視聴自体は著作権法は捕捉していない行為を助けるのだったら、そもそも著作権法で規制する話ではないのではないかというようなことがあるのですけれども。
先ほどには、別枠ということは、今のような理解でよろしいのでしょうか。要するに事後従犯的というか、一番典型的には違法アップロードされたものの拡散行為ということになると、別途検討しなければいけないからまた別の問題になって大変ではあるのですけれども、むしろ 1 番と混ぜると話が混乱するということで、先ほど、権利者の方々が別個の問題と言われたのは、そういう理解でよろしいのでしょうかと……
罪質としては状態犯で考えられないでしょうか。ずっと、違法な状態が続いているという。行為が一回で終わっているとは、私はもうネット上の状況を見ていて、ずっとそれが何かしない限り、不作為も含めてずっとそれが続いているというふうな。
私は刑法は専門ではないのですけれども、昔ならったような状態犯的な状況とは考えられませんか。
状態犯的と言われたのが、何か、送信可能化であれば状態は状態でしょうけれども、別に送信可能化にした行為についてはした瞬間に終わっているので、助けていただく必要もないと。それに対して実際のダウンロードの、そこでこのダウンロードを伴う云々ということになっているので、そこむしろ、お伺いしたいのは状態犯かというよりも、何を助けているという、そこを検討しましょうということで難しい論点があるのですが……
そこの辺りが色々と考えがあったと思うのですけれども、お聞かせいただければ。
サーバーの中に電気が入っていて、ずっと複製状態が続いているという状況をどう考えるかということですよね。一回の行為で複製物を一枚作りましたという状況とは僕は実態が違うし、インターネットや今のコンピュータ社会を考えても、やはり複製についてもそれで行為が終わっているという判断をするのかという。
今、ご質問があったようにそういう言い方をするのですけれども、そこの辺りは議論されて、一回こっきりで終わっているのですよという線引きができるようなもので罪質は学会なんかで決まっているのでしょうか。
今のご質問は、そういう聞き方だとあんまり誤解が。複製を助けていないと幇助にならないですよね。そういう趣旨です。そこで状態がどうかではなくて、複製を助けていれば事後従犯ではない幇助の方に行くのですけれども、終わった後の拡散行為とそこの話がちょっと判りにくかったかもしれません。お判りいただけたでしょうか。
はい。理解しました。
山本委員どうぞ。
コメントと質問なのですけれども、このワーキングチームで私も参加しておりまして、今大渕委員の方からお話がありましたように、これは事後従犯にあたるかどうかの判断ですけれども、送信可能化の侵害であれば事後従犯の問題になると思うのですが、公衆送信権の侵害であれば事後従犯ではなしに事前従犯の問題にまずなると思います。
ですので、後はレコード協会さんの関連するところ、隣接権であれば送信可能化権しかないというところでつらいところになって、結局ダウンロードが問題になるという構図だと思うのですね。関係はそうだと思うのです。
質問としてはですね、ワーキングチームの中で議論している時に、私は、先ほど森田委員の方が仰ったように、この問題はリーチサイトの問題というか、結局は間接侵害に対する問題であって、その中で処理される問題だろうと。
つまり、特殊な問題というのは別に無いのではないかと。リーチサイトとは言いながら、色々な形態があって、リンクと言っても色々な形態があってですね。それはその間接侵害である幇助の形態が色々あるのと同じような問題であって、特にリーチサイトだからと言って、通常の間接侵害と別個に検討するような特殊な要素は無いのではないかと思っていたのですが。
ひとつは、レコード協会さんが今仰るように、送信可能化権しかないから手当が必要だというような事情だったら、ひとつは判ります。それから久保田さんからご指摘があったように、リンク自体が複製だという観点に立てば、それはまた別の組み立て方が必要だという発想は判るのですが、その点を除けばですね、リーチサイトについて今の間接侵害の枠組みの中を越えて検討しなければいけないという特殊事情というのは存在しないと私は認識しているのですが、何かそういう所がありましたら、今申し上げた点以外にですね、ありましたらご指摘いただけないでしょうか。
どなたか、今の山本委員の要請がございましたけれども、可能であればお願いいたします。特によろしいということでしょか。ございませんか、レコード協会から、よろしいですか?
今、山本先生がおっしゃって下さったところで、綺麗に整理するとそういうことであろうということで。
資料や発表の方は言葉を選んで言っておりますが、やはり、こういう所で発表してしまいますと、先程どなたかが仰ったように、「ああ、権利者はそういう理解をしているのだ、できない、犯罪を止められないのだね」というところが明確にしたくないという意図もあって、言葉を選んではございますが、仰る通り、送信可能化権しか持っていない音楽の我々の団体からしますと、明確にここに対してある規定が出てくれば、リーチサイトでありますとか音楽系アプリに対する対処ができると。
現状じゃあ逆にできないのかと聞かれると、答えはなかなかはっきり申し上げづらいところではあるのですが、今、先生が仰っていただいた所かなと思っております。
はい。リーチサイト以外に、委員の中から資料を何点か見て、あの、今日、本日お忙しい中わざわざご意見を発表していただいた訳ですが、我々の方から本日ご質問させていただきましたけれども、今日ご出席いただいた方のほうから、折角の機会でございますので、補足のご意見、ご質問があればお伺いしたいと思いますが……よろしいですか。
はい、無いということであれば、委員の方から特によろしいでしょうか? はい、じゃあ、松田委員どうぞ。
議論になってから発言しようと思っておりましたが、もうそんなに時間もないので、質問の形でお聞きしたいと思います。今の議論の範囲では大きく意見が分かれている所は、ワーキングチームの整理において、間接侵害の差止の対象をどうするかという 1・2・3 というものの意見よりはむしろ、直接侵害の範疇をもっと明確化しろというご意見と、直接侵害については既に判例で形成されたところがあるので、それに任せればよいという大きな意見の違いがあったように思いました。
そこでお聞きしたいのですけれども、具体的にその点をご意見に述べているところは知財協のペーパーで意見を述べていまして、最初の所、1 のところの 4 行目から 5 行目ぐらいの所ですね、「著作権侵害の直接的な主体と認定されてしまって、当該製品またはサービスが差止られる事例が増加している」というふうに書かれています。これはまさに直接侵害のことを言ってらっしゃるのだと思います。
これは例えば、事例が増加していて具合が悪い判例というのはどういうものがあるのか。その部分を検討すると直接侵害についてこのままでよいかということの議論が出てくるのですけれども、具体的にはどういうご意見をお持ちなのでしょうか。
知財協お願いいたします。
知財協でございます。今ご質問をいただいた件ですけれども、具体的にどの判例がということになりますと、そもそも事案として結論が適正かどうかというところではなくて、最近、特に最高裁で出ております、「まねき」であり「ロクラク」であり、その他下級審を含めて色々ありますが、その判旨の射程の所がやはり広すぎるのではないかという意識から来ている問題意識でございまして。
元々このような間接侵害の規定について議論が始められた経緯というのも、もちろん間接的な侵害に対する権利保護というところもさるところながら、直接侵害の主体認定のところで広く解されすぎているのではないかという問題意識もあったかと思いますので、やはりその点を意識した議論を是非していただきたいというのが、私共の意見でございます。
ですので事例というよりも、前回の判例の射程の所の問題意識というふうにご理解いただければと思います。
具体的には、「まねき」と「ロクラク」という判例となったということですね。後は議論します。
他にございますか。特になければ本日の質疑・意見の交換というのはこれぐらいにしたいと思います。事務局から連絡事項がございましたらお願いいたします。
はい。本日はありがとうございました。次回の小委員会でございますけれども、9 月 4 日、火曜日、10:00 からこの建物と一緒ですけれども、旧庁舎 6 階の第二講堂において開催することを予定しております。
次回も引き続き関係団体の方をお招きしてヒアリング・意見交換を予定しております。
以上でございます。
それでは本日はこれで第三回の法制問題小委員会を終わらせていただきます。本日は関係団体の皆様にはお忙しい中、大変貴重なご意見をご発表いただき、まことにありがとうございます。これで法制小委を終わらせていただいます。