ここは、一傍聴者が傍聴の際に残していたメモ・記憶等を元にまとめた非公式議事録を掲載しているページです。正式な議事録は1〜2ヶ月後に文化庁サイト [URI] に上がるはずですので、そちらを参照してください。
政府主催の公開会議においての発言が無編集で伝わると困ると主張される方からの直接の連絡があれば、その旨記載の上で本ページの内容を削除します。その際連絡は kazhiro@marumo.ne.jp までお願いします。
当日配布された資料は以下の通りです。
それでは定刻でございます。若干遅れて到着なさる委員もおいでになりますけれども、ただいまから文化審議会 著作権分科会 法制・基本問題小委員会の第4回を開催したいと存じます。本日はご多忙の中ご出席をいただきまして誠にありがとうございます。
議事に入ります前に、本日の会議の公開につきましては予定されている議事内容を参照いたしますと特段非公開とするには及ばないように思われますので、既に傍聴者の方には入場をしていただいているところです。特にご異議はございませんでしょうか。
(会場より「異議なし」との声)
それでは本日の議事は公開ということで、傍聴者の方にはそのまま傍聴いただくことといたします。
それでは、まず事務局から配布資料の確認をお願いいたします。
はい。議事次第の下半分の方を見ていただきたいと思います。資料1「ワーキングチームの設置について(案)」でございます。資料2「国立国会図書館 提出資料」でございます。資料3「独立行政法人 国立美術館 提出資料」でございます。資料4「一般社団法人 映像コンテンツ権利処理機構 aRma 提出資料」でございます。資料5「日本放送協会 提出資料」でございます。資料6「今村先生 提出資料」でございます。
その他としまして、参考資料1「小委員会設置について」でございます。参考資料2「分科会の議事公開について」でございます。参考資料3「ヒアリング出席者一覧」でございます。参考資料4「小委員会の前回の議論の概要」でございます。
以上でございます。落丁等ございましたら事務局までお声掛けください。
ありがとうございました。それでははじめに議事の進め方について確認をしておきたいと存じます。本日の議事は「(1) ワーキングチームの設置」について、「(2) 裁定制度の在り方等」について、関係者ヒアリングをいただきます。「(3) その他」について、この3点になります。
「(1)」の「ワーキングチームの設置」につきましては前回までの議論等も踏まえてお諮りをしたいと思っております。「(2)」の「裁定制度の在り方等」につきましては前回の議論等も踏まえ、本日はまず関係者の方々から裁定制度の利用にかかる現状や課題等についてご発表いただきまして、次に権利者不明著作物等の利用方法について明治大学の今村先生にもご発表をいただくこととしたいと存じます。その後まとめて質疑応答、さらに自由討議を行いたいと思っております。
それでは早速「(1)」の議事、一つ目の議事でありますけれども、「ワーキングチームの設置」に入りたいと思います。先程ご紹介のありました資料1、お手元にございますのでご覧いただければと思います。「ワーキングチームの設置について(案)」という資料でございます。
前回までご議論いただいておりましたクラウドサービス等と著作権につきましては今後の検討方法の一つとして複数の委員からワーキングチームの設置についてのご意見をいただいておったところでございます。
クラウドサービス等と著作権の問題については関係者へのヒアリング等も踏まえ、検討対象とすべきサービスや、検討すべき法的論点については議論が進められ、クリエイターへの適切な対価還元の在り方も含めて議論となっておりました。
これらの議題・課題は法的論点を含めて非常に難しいものと認識しております。今後さらに専門的かつ集中的に検討を行う必要があるものと考えております。
また本小委員会においてはこうした課題以外にも知的財産政策ビジョンで示されている諸課題について速やかな検討が行われておるところでもある訳です。
従いまして、私といたしましてはこの課題はワーキングチームにおいて検討を進めることが適切であると考えますので、その旨お諮りをしたいと思います。
ワーキングチームの設置について、事務局から説明をお願いいたします。
それではワーキングチームの設置についてご説明申し上げたいと思います。資料1と参考資料1・2をお手元にご覧いただければと思います。
まず参考資料1となりますけれども、参考資料1として配布しております「小委員会の設置について」におきましては、一番下の「4. その他」の「(2)」でございますが、「議事の手続きその他各小委員会の運営に関し必要な事項は当該小委員会が定める」とされてございます。
これを受けて資料1をご覧いただきたいのですけれども、先程主査からお話がございましたように、法制・基本問題小委員会の下にワーキングチームを置くということとしてございます。
ワーキングチームの名称としましては「著作物等の適切な保護と利用・流通に関するワーキングチーム」としてございますが、その検討課題としましては「クラウドサービス等と著作権について」それから「クリエーターへの適切な対価還元」そして「その他」ということとしてございます。
それからワーキングチームの構成員についてでございます。「2」の「(1)」にございますとおり、「座長を置き、法制・基本問題小委員会の委員のうちから、法制・基本問題小委員会の主査が指名する」ということとされております他、「(2)」にございますとおり、「法制・基本問題小委員会の委員のうちから主査が指名した者およびその他の者であって、主査と協議の上、文化庁が協力を依頼した者で構成される」ということとしてございます。
それから議事の公開につきましてでございますが、「3」にございますとおり、「文化審議会著作権分科会の議事の公開について」これは参考資料2としてお配りしておりますけれども、これに準じて行うこととしてございます。
簡単に申し上げますと、現在の法制・基本問題小委員会における議事の公開についての取り扱いと同様ということでございます。
ワーキングチームの設置につきましては以上でございます。
ありがとうございました。ただいま事務局より説明のあったワーキングチームの設置について、ご意見がございましたらお願いいたします。
どうぞ、笹尾委員。
前回から今回までという非常に短い時間の中でワーキングチームの設置まで色々とご調整いただきまして、私は民放連という放送事業者の立場ですが、歓迎いたします。
そもそも今、この検討課題の中にもございますが、クリエイターへの適切な対価の還元ということが実はできていない状況というのが、これは非常に由々しき自体だと認識しておりますが、そういう状況が続いてしまっているということがございます。
放送局にとっては非常に重要なパートナーであるメーカーさんとの裁判ということで一つの結論が出されて、そこからこういう状況になっていると認識しておりますけれども、こういう専門の先生方を前にして言うのもアレなのですけれども、あの問題に関しましては法律の建てつけと言いますか、その辺に不明確な部分があったが故に仕方がないことだったのかもしれないと思ったりもしております。
ただ重要なのは、クリエイターへの適切な対価の還元ということに関しては、恐らく今、日本の中ではコンセンサスができているのじゃないかと思いますので、対価の還元というものがまた適切に行われるように、このワーキングチームというものが突破口になればいいなと感じております。
以上です。
ありがとうございました。他にございますか。(20秒ほど発言希望者現れず)特にございませんか。
それでは……ワーキングチームの設置につきましては、今、事務局から提案のあったと言いますか、説明がなされました、こういう考え方にもとづいて本小委の下に置くということでよろしゅうございますか。
(会場より「異議なし」との声)
はい、ありがとうございます。それではこれも先程事務局から説明のあったことですけれども、本ワーキングチームの座長およびワーキングチーム員については、先程の資料1の真ん中あたりにある「2」にもとづいて任命されることになっておりますので、ワーキングチームの構成につきましては、後日委員の皆様にご連絡をしたいと思っております。どうぞよろしくお願いします。
それでは、二つ目の議事に入りたいと思います。二つ目の議事は「裁定制度の在り方について」でございます。関係者のヒアリングを今日は予定しておりまして、お忙しい中おいでいただいております。
ご発表にあたりましては参考資料3に記載しておる順でご発表いただきたいと思っております。それからご発表の時間でございますけれども、誠に恐縮でございますけれども、15分程度を目安に一つよろしくお願いしたいと思います。
では、まずは事務局からヒアリングのご出席者の紹介をお願いいたします。
はい。それでは参考資料3をご覧ください。発表順に紹介させていただきます。
国立国会図書館 電子情報部副部長 佐藤 毅彦(さとう たけひこ)様。
独立行政法人 国立美術館 情報企画室 室長 水谷 長志(みずたに たけし)様。
一般社団法人 映像コンテンツ権利処理機構 aRma 理事で、当委員会 委員でございます、 椎名 和夫(しいな かずお)様。
同機構 事務局長 橋本 淳(はしもと じゅん)様。
日本放送協会 知財展開センター 著作権・契約部長で当委員会 委員でございます、梶原 均(かじわら ひとし)様
またこの他に、著作権不明著作物の研究をされていただいております、明治大学 情報コミュニケーション学部 准教授の今村 哲也(いまむら てつや)様。
以上でございます。
はい。どうもありがとうございました。それでは早速でございますけれども、国立国会図書館の 佐藤 毅彦 様、よろしくお願いいたします。
はい。国立国会図書館で電子情報部副部長をしております佐藤と申します。国立国会図書館では所蔵資料を大規模にデジタル化しておりまして、そのインターネット公開につきましては文化庁長官裁定制度を非常に利用させていただいております。
そういう関係から今回このようなご説明の機会を頂戴いたしましたことにつきません、誠に感謝に堪えません。どうもありがとうございます。
それでは資料に従いましてご説明いたします。資料の構成ですけれども、最初の2ページが本文、これにもとづきまして説明いたします。その後別紙1が一枚、デジタル化の資料提供状況。それから別紙2としまして、デジタル化資料の図書館送信についての概要説明資料が1枚でございます。それから別紙3といたしまして裁定制度の利用実績等について3ページものの資料がございます。
それでは本文の方に従いましてご説明させていただきます。
こちらの構成は大きく二つに分かれておりまして、まずは国会図書館における資料デジタル化の概要、それから二つ目が2ページ目の方ですけれども、裁定制度についての利用にあたっての現状と課題、というふうになっております。
まずは「資料デジタル化の概要」でございます。国立国会図書館は国立国会図書館法にもとづきまして、納本制度によって出版物を網羅的に収集して、文化的資産として後世に伝えるとともに、国会・行政・司法各部門及び国民の利用に供することとされております。
当館は資料の利用と保存の両立を図らなければいけないと、そういうことで原資料を守る・保存するという意味合いも込めまして、所蔵資料のデジタル化ということを進めてきております。
それの裏付けとなるように著作権法の改正等も行っていただきまして、デジタル化を進めてきているという状況でございます。
「1.2 所蔵資料のデジタル化」の方でございますけれども、当館は平成12年度以降、著作権処理を行ったものをデジタル化し、インターネット公開するという形で継続的に所蔵資料のデジタル化を進めてきております。
近年の著作権法改正の一つ目の大きなものとして、平成21年の著作権法改正で、第31条第2項というものが新設されまして、当館が権利者の許諾なしに所蔵資料を保存のためにデジタル化できるようになりました。
同時期に、平成21年度と22年度ですけれども、総額で137億円という巨額の補正予算を計上させていただきまして、当館所蔵資料のデジタル化を急激に進めて参りました。今年の9月末時点で、明治期刊行以降の図書につきましては34万点、それ以外の雑誌とか博士論文を含めますと47万点の資料をインターネット公開しております。
館内限定資料、これは著作権法の制限がかかっているもの、保護期間の影響中の資料ということになりますけれども全体では227万点のデジタル化資料というものを提供しております。別紙1の説明は省略いたします。
デジタル化資料をインターネット公開するにあたりまして、当館では文化庁長官裁定制度を活用させていただいておりますが、これは後ほど詳しくご紹介いたします。
それから「1.3 図書館向けデジタル化資料送信サービス」の方でございます。インターネット公開できない資料については基本的に当館内で限定して提供を行ってまいりましたけれども、近年の著作権法改正の二つ目の大きなものとしまして、平成24年に第31条第3項が新設されまして、デジタル化資料を全国の公共図書館等に自動公衆送信できるようになりました。
送信対象機関については著作権法第31条第1項の適用のある図書館等に限定するということと、電子書籍市場の形成・発展の阻害とならないように配慮・考慮する必要がありますので、送信対象資料につきましては入手困難な絶版等資料に限定しておりますけれども、この制度によって、今後、来年1月からを予定しておりますけれども図書館へのデジタル化資料の送信サービスを開始すべく、現在準備作業を進めているところでございます。
大きなところで言うと、こういったところでございます。この図書館送信サービスにつきましてはこれから始まるところですけれども、大規模な国費を投じて実施した資料デジタル化の成果をより多く人に活用していただけますように、出版者・権利者等関係の方々にご理解・ご協力を賜りながら、さらに利便性の向上や運用上の課題の解決等に取り組んでいきたいと考えております。
2ページ目の方にまいります。「裁定制度利用の現状と課題」でございます。こちらにつきましては、別紙3を時々参照していただきながら説明してまいりますので、よろしくお願いします。
まず「2.1 現状」でございます。インターネット公開中の図書につきましては現在34万点をインターネットで公開してございますけれども、その内の8万5千点は長官裁定を受けた著作物でございます。
長官裁定は平成17年以来5回受けております。これの他に平成11年に児童書について一度裁定を受けておりますので、それを加えますと6回受けているということになります。
このうちの2回につきましては、インターネット公開にあたって許諾の期間が5年というふうに定められておりますので、その期間が満了したことに伴う再裁定が2回含まれております。
別紙3をご覧いただければと思いますが、表の1でこれまでに受けた裁定の一覧を掲げてございます。平成11年のものは除かれております。
それから表2のところで平成25年9月末時点で裁定に基づいて公開している著作物・著作者の数を掲げてございます。現時点で著作物数にしまして10万5787件、著作者数にいたしまして5万8192名の著作物を裁定制度に基づいて公開しているというところでございます。
本文の方に戻ります。「2.1」の第二段落になりますが、当館で行っている著作権処理の作業は別紙3の図のところに書いてございますが、まず著作物の著作者を、資料そのものをあたって一ページ一ページめくりながら、挿絵を描いている方もいらっしゃれば、前書きを書いている方もいらっしゃるということもありますので、個々一ページ一ページをめくりながら著作者の洗い出しを行います。
その後、没年調査・連絡先調査・許諾依頼あるいは文化庁長官裁定という流れを踏みまして、公開できるものについては公開するという流れをとっております。
本文の方ですが、著作者の没年調査および著作権者の連絡先調査につきましては著作権法施行令第7条の7等に基づいて行っております。
この判明実績が別紙3の2ページ目になりますけれども、表3、「調査過程での判明実績」というものがございます。調査方法としましては「名簿・名鑑類の閲覧」「ネット検索サービスによる情報の検索」「同種の著作物等の販売等を行う者への照会」「著作者団体等への照会」「一般に対して情報提供を求める」といったことを行っておりますが、一番右に判明率が載っておりまして、「名簿・名鑑類の閲覧」で4.2%、それ以外のものについては零点数パーセントという実績になっております。
何度もあっちこっち行ってしまって申し訳ございませんが、また本文に戻ります。
「2.1」の第三段落目でございます。補償金についての現状でございますが、直近の裁定は平成24年3月1日に行われまして、その時の補償金額が著作物1件あたり81円という裁定を受けております。補償金の算定については電子書籍の平均価格を基礎として算定しております。
ただし、当館の場合何万点という形で裁定をお願いしている関係でですね、供託金について言うとかなりの割合を占めることになっております。
ただし、これまでに5件ほど著作権者が判明したというものがあったのですけれども、結果的に81円の補償金を受け取るためにそれなりのコストがかかるということもあるかと思いますけれども、補償金を受け取られたという例はなく、補償金を受け取らないままインターネット公開というものを認めていただいているという事実がございます。
続きまして、「課題」の方でございます。大きく三つ掲げてございます。
一つは著作権調査に関する問題です。最近、全体的に個人情報保護の潮流によって、検索や照会というったものによって情報を取得することがなかなかできなくなってきております。
名簿・名鑑類は更新版がなかなか発行されなくなってきておりますので、段々情報の有効性が下がってきております。
それから当館で裁定をお願いします資料というのが、例えば古書といいますと、1968年以前に刊行されたものということで、古い資料が裁定対象となっていることもございまして、公開調査を行っても非常に判明率が低いという事情がございます。
これは別紙3の表の5というところをご覧いただきますと、平成15年度は公開可能となった資料というのは1193点と非常に多いのですが、これは当館で最初にこういうことを行ったということでマスコミでかなり大きく報道していただいた関係でかなり情報提供いただけたというような事情もございます。
それ以降については、6点とか0点とか4点とか、実績としては非常に実績としては少ない数字が出てきております。
また本文に戻ります。そんなことで公開調査による判明率が低いというようなこと、それから取得した情報が先程申し上げましたように、資料が古いということもございますので、住所が既に無効になっているということで連絡が取れないといったような問題がございます。
それから再裁定の場合にまた改めて資料を提出する部分があるのですが、最初に提出した資料以上の新しい情報がほとんど記載できないというような事情もございます。
そういったこともございますので、調査手法の簡素化については検討の余地があるだろうということで、先程調査方法として「名簿・名鑑類の閲覧」とか「ネット検索」とか「同種の著作物の販売等を行う者への照会」とか、そういったものがありますけれどもこの辺についての簡素化について検討の余地があるのではないかと感じております。
二つ目の課題は補償金の供託に関する問題でございます。先程申し上げたとおり供託した補償金が著作権者に支払われたことがない。現実に著作権者の利益となっていないという状況が、当館に関して申し上げますとございます。
また当館の場合、大量の資料デジタル化に伴う裁定によって、結構手間がかかるということが正直なところございまして、申請する当館だけでなく、文化庁様や法務局様の方には結構大きな手間をかけていただいているという事情がございます。
そこで当館に関しては、例えば裁定を受けた著作物の著作権者から補償金の請求があった場合には、法的な根拠があればということでございますけれども、然るべく補償を行うといった方策が考えられるのではないかと考えております。
それから今、裁定利用期間は5年間となっておりますけれども、この期間を延長するといったこと、あるいは補償金の算定方法について見直しといったことも考えられるのではないかというふうに挙げておる次第です。
それから第3ですけれども、裁定結果の共有それから他の裁定への活用ということができないかということを課題として挙げさせていただいております。
現在当館でインターネット公開している裁定資料について、利用できないかという照会が何件かあるのですけれども、その場合でも当館としてはこれは利用したいという方が改めて裁定を受けなければいけないのですけれども、その方がまた改めて一から調査しなければならないという状況のようですので、そうしますと中々利用に至らないという事情がございます。
そういったことがございますので、裁定を受けた著作物・著作者等をデータベース化するといった形で裁定結果を共有できるようにするとか、あるいは一旦行われた裁定について第三者が裁定申請する根拠として、より簡易に活用できるようにするといったことができると、さらに裁定制度が使いやすくなるのではないかと考えております。
雑駁ではございましたが、以上で説明を終わります。
佐藤様どうもありがとうございました。それでは独立行政法人 国立美術館 水谷 長志 様どうぞよろしくお願いいたします。
はい。独立行政法人 国立美術館の水谷と申します。よろしくお願いします。
そもそも国立美術館というのがいつ誕生して、日本国内に何館あるかということを確認したいのですけれども、国立の美術館は昭和27年、1952年にですね、京橋、日活のビルに国立近代美術館として誕生しました。これが今日の竹橋にあります東京国立近代美術館になっています。
ですので昨年ですね、国立美術館は最初の館をですね60周年を迎えたということです。東京の国立近代美術館、そして京都に国立近代美術館があります。それから上野に国立西洋美術館、そして大阪に国立国会美術館があります。そしてもうひとつ、2007年に六本木に新しい国立新美術館というのが誕生した訳で、独立行政法人 国立美術館というのはこの計5館で形成されています。
国立博物館、上野それから京都・奈良にあるわけですけれども、それは別の独立行政法人として存在している訳で、博物館と美術館は別法人になっているということです。
そして独立行政法人 国立美術館の5館のうち、1館、すなわち国立新美術館は所蔵品を持っていませんので今回の問題とは無縁だということです。
ではその残りの4館の所蔵品というものを考えますと、国立西洋美術館はかなり古い西洋美術から後期印象派まで、一部20世紀美術を含んでいますがほとんど著作権の問題とは無縁です。
東京の国立近代美術館、京都の国立近代美術館、国立国会美術館というのはいずれもですね、近代および現代の美術を扱っているので、かなりの割合で著作権の活きた作家・作品を持っているということを前提として確認したいと思います。
国立美術館におけるデジタルアーカイブというのはかなり時間を費やしてはいますが、先程の国立国会図書館のようにダイナミックな動きでデジタルアーカイブを推進している訳ではございません。1990年代からいわゆる所蔵作品の管理システム・データベースシステムを構築をする、あるいはネットワークシステムを作る、あるいはホームページを開設するというプロセスの中でいくつかの成果を築いています。
そのひとつが独立行政法人 国立美術館 所蔵作品総合目録検索システムというものなのですけれども、これは所蔵品を持っている4館の所蔵作品についての作品メタデータ・テキストデータと、一部、全てではございませんけれどもイメージ、デジタルイメージを掲載しているというものです。それからネットワークシステムのVPN。
それからもう一つが東京国立近代美術館にはフィルムセンターというのがあります。フィルムセンターにおいては映画のメタデータ、テキストデータのデータベースを構築して、すなわち動画そのものを公開するという訳ではございませんけれども、メタデータの検索システムを構築しているという、こういった試みを行っています。
そして一番の、所蔵作品の目録検索システムの派生的成果としていくつか、特に国立情報科学研究所との共同開発という形で、「想 - IMAGINE」であるとか「遊歩館」であるとか、あるいは文化庁の「文化遺産オンライン」、国立国会図書館の「サーチ」とのデータベース連携というようなことを行っています。
こういう世に出た成果を、国立四館がそれぞれデータを蓄積して、それを独立行政法人の本部の情報企画室がとりまとめてインターネット公開するというようなプロセスになっている訳なのですが、別紙の資料、A4 横の資料をご覧いただきたいのですけれども、独立行政法人 国立美術館、すなわち所蔵作品を持っている4館がWEBに公開している情報目録における画像掲載の許諾の状況です。
まず確認していただきたいのは4館の所蔵作家というのを単純に総和を計算しますと、およそ5194人です。これは重複があるので若干少なくなる訳ですけれども、およそ5000人の作家の作品をトータルで4万弱ぐらいの作品を所蔵しています。4館でですね。
その所蔵作家5000人のうち、著作権がいわゆる切れている、没後50年を経っているというのが17.89%の929人。著作権が今もある作家というのがこの82.11%で、4265人ということで、圧倒的多数が著作権があるという状況です。
インターネットに作品の画像を出すについてはともかく許諾を取るというプロセスを踏まなければいけないというのがこのシステムを立ち上げる時に文化庁さんに相談して得た一つの回答だった訳なので。そして平成18年からジャンルごとに、日本画からはじまって油彩その他・彫刻・版画・写真・水彩・素描・その他・工芸(陶磁)とですね、毎年度ジャンルを区切って、いわゆる掲載をしてもよろしいですかという許諾の依頼文書を出しています。
この出している先というのは国立美術館が作品を持っていて、何らかの著作権者情報を既に入手している、そういった作家あるいは作家の著作権継承者に出した文書です。
トータルで1715通を出しています。調査対象作家数と送付件数が若干ずれはありますけれども、1700通ほど出していて、基本的には8割ぐらい、1373名ですね、著作権者あるいは継承者から「いいですよ」と許諾をいただいています。
それに対して、「掲載は困る」あるいは掲載にあたって掲載料を求められた──今回私たちは、国立美術館の場合は著作権料を払って画像を掲載するということは今、行っておりませんので──そういう意味で掲載に対して「否」ということを言ってこられた方は極めて少ないです。0.99%、17件ということです。
ですので基本的には支持していただいている訳なのですが、ただ残念なことに著作権者あるいは著作権継承者の住所に宛てて出した許諾の文書が必ずしも著作権者・継承者に届いていないということがあります。149件、8.69% は戻ってきてしまっている。
これがさらに精査するべき対象ではあると思いますけれども、現状宛先不明というのが8.69%ということです。
さらに届いてはいるのですけれども回答をいただけていないという方が176件で10.26%ですので、宛先不明で返送あるいは無回答であわせますと18.95%については今のところ手立てが取られていないということです。
無回答のケースはおそらく推測するに二つの理由があるのではないかと思います。やはりこういった許諾の文書を返送するということが若干煩わしいということが予想されるのが一点と、それから著作権者あるいは著作権継承者の方が極めて代替わりをされているあるいは高齢化されている、そして私たちはインターネットに国立美術館の所蔵作品の情報なり画像を公開したいのですよという趣旨で文書を出しているのですが、なかなか実際には高齢の方々だと思うのですが、その趣旨あるいはインターネットというもの自体のご理解をいただけないと感じるケースがままあります。
このような状況の中で宛先不明になっている、即ち著作権者を同定できない作家の作品について、じゃあどういうふうにアップするかというところは現状のところでは裁定の所についてはまだ手を付けてはおりません。
それはまだこれから許諾の依頼を出すべき対象が工芸、工芸の中ですね、染色とか幾つかのジャンルがありまして、まだまだその作業を年次的に進行させる必要がありますので、まずはそれを行った上で裁定の問題を考えていきたいというふうに考えています。
ただし国立美術館の場合はその課題に対してマンパワーにおいてまだまだ非力なところがありますので、何年か後に裁定に向けての作業を進められるかどうかについてはまだ未知数なところがあります。
裁定に関わるいくつかのプロセスをもう一度美術館の中で検討したのですが、相当な努力に関わる「(ア)〜(ウ)」の項目についてはほぼ全て行っています。例えば著作権台帳にあたるような書籍類あるいはインターネットでの検索、あるいは日本美術家連盟等々管理団体への照会は行いつつ許諾文書の発送は行っているのですが、ひとつ、これは中々難しいなと思うのが「(エ)」ですね「利用しようとする著作物等と同種の著作物等の販売等を行う者への照会」というのは中々難しいところがあります。
というのは国立美術館が所蔵している作家はかなりバラエティに富んでいて、例えば東山魁夷さんとか幾つかの著名な作家がいると同時に、おそらくは個人画集を個人の作品集を出版するに至らないような作家さんも数多い訳なので、中々「(エ)」のような「同種の著作物等の販売を行う者」というのが現れる可能性は中々少ないというふうに考えております。
そういったことで国立美術館の場合、著作権者の許諾を得ながらデジタルアーカイブの公開について努めておりますが、なお工芸作品あるいは若干ですね、許諾をいただきながらも画像のアップまで至っていない、作業がそこまで進んでいないということもありますので、そこら辺をフォローしつつ裁定に関わることについて国立美術館全体でですね検討していきたいというのが現状です。
以上です。
ありがとうございました。水谷さんどうもありがとうございました。それでは一般社団法人 映像コンテンツ権利処理機構 椎名 和夫 委員、橋本 淳 様 よろしくお願いします。
はい。ちょっとご説明をする前に議題の1について、私共提案させていただきましたワーキングチームの設置につきましてご賛同いただきありがとうございます。
笹尾委員もお話になりましたとおり、私共権利者から言うと対価の還元の仕組みというものがもはや機能しないという状況を抱えた中で、やはり最大の関心事はそういったところにもあるわけですが、一方クラウドというようなことで著作物の取り扱い・取り回しの仕方も大幅にバリエーションが出てきているという中で、個別のビジネスモデル等に分け入って精緻な議論をしていくということが必要なのではないかと思っておりますので、その点一つよろしくお願いしたいと思います。
それからご説明の方に入らせていただきますが、「資料4」ということで、不明権利者探索業務、これが結局何故我々がやっているかということの背景とかからご説明しなければならないと思いますが、私共 aRma というのはですね、何年か前から「実演家の権利が邪魔をして放送番組が中々流れないよね」というような議論があった時に、権利者側からの円滑化の努力ということで、従来、非一任型と一任型に分かれていた二つの業務をあわせて、一か所でワンストップで処理していくことができないかというようなことが権利者側からの提案としてありまして、設立された背景があります。
設立が(平成)21年の6月17日ということで、ほぼ非一任型で映像の権利処理をやってこられた音事協と、芸団協・CPRA にぶらさがる形で一任型の処理をやってきた四団体、これらが一緒になりましてワンストップで許諾等の事務作業をやっていくということを前提に設立されました。
そこの「目的と事業」というところをご覧いただくと、「(2)」に「映像コンテンツに係る不明権利者の探索・通知」ということが掲げられておりまして、折しも実演に関する裁定制度が導入されたところと相前後しておりまして、その部分を担っているということでございます。
おめくりいただきまして、なんで aRma がそういう業務をやるのか。本来は利用者に課せられた様々な努力とかそういったことがあるわけですけれど、一方で、出演者が多数居て一人だけ見つからないとそのコンテンツが使えないというようなことがある訳ですね。
さはさりながらですね、権利者団体側の方には権利者の所在に関する情報が集積されておりますので、そのことを放送局さんがやるよりは権利者団体がやった方が円滑に行くといった事情がございます。
そういったことで、多数の不明権利者をコストを割いて探索するためには連絡先情報と探索業務が一元化されて行われる必要があると。それで連絡先情報は aRma にございますので、aRma が「相当な努力」と言われている部分を担うことによって円滑に探索をすることができるのではないかという考え方の下に行っているものでございます。
具体的にどういうふうなスキームになっておるかと言うとですね、スライドの3でございますが、放送局さんが放送番組の二次利用をしたいと考えた時に、まず仮申請ということをいたします。
その仮申請というのは、出演されている方々の中で aRma が権利処理を行える人たち、そして aRma が権利処理を行えない人たちを aRma 側でまず識別をするという作業を行っています。
その仮申請の回答をお返しする時点で、すぐさま本申請ということになります。即ち aRma で管理をしている権利者さんに関する許諾申請というのがその時点で出て参ります。
放送局さんは仮申請で aRma が扱えないと返答した方々についてはそこで直接権利処理をなさるということなのですが、それとタイミングをあわせて、所在が判らない方々についての連絡先を探索してほしいというご依頼を受けることになります。
そこで不明者探索業務ということがスタートするのですが、前後してまたその本申請の回答を行いまして、二次利用の許諾と言う場面になるのですが、それと前後してやはり不明者探索結果の通知ということをいたします。
それが私共のやっている不明権利者探索業務の内容でございますが、私共は基本的に権利者団体でございますので、一旦は管理外とお返しした方々についても権利者団体と契約をしていただくことによって、管理内、インサイダーに収めるという努力もあわせて行っております。
それがスライドの4でございますけれども、先程のフローで来た中で、不明権利者探索を行って、居所が判明した者につきましては、私共の関連団体である芸団協・CPRAと協力をいたしてそういう方々をインサイダーに取り込む、そういう作業も行っているところでございます。
それで先程来でております裁定制度に関する利用者の「相当な努力」の内容ですけれども、「(ア)」から「(カ)」までございます。
「(ア)」はまず「権利者の名前や住所等が掲載されている名簿・名鑑類の閲覧」ということで、私共では VIP タイムズ社が出しております「日本タレント名鑑」それから著作権情報センターが出しております「出演者名簿」これらをデータベース化いたしまして、中にもちまして、これらとの突合作業をいたしております。
それから「(イ)」の「ネット検索サービスによる情報の検索」ということでこれにつきましては Google と Yahoo の二つの検索エンジンを利用して探索業務を行っております。
それから「(ウ)」の「著作権等管理事業者への照会」ということになりますと、私共の関連団体であります、公益社団法人 日本芸能実演家団体協議会 実演家著作隣接権センター CPRA というところから委任者データをそのまま提供を受けておりますので、これも私共の中のデータベースの中で照合すればよいということになります。
「(エ)」に関しましては「利用しようとする著作物等と同様の著作物等の販売を行う者への照会」ということで、これは他の放送局の放送番組に出演したこと又は出演された放送番組が二次利用されたことが明らかになった場合は当該放送局から情報提供を受けるという仕立てでございます。これに関しては aRma 一般用ホームページに掲載をして出演された方々を探しているということになります。
それから「(オ)利用しようとする著作物等の分野に係る著作権団体等への照会」これは先程もお話したように、一任型の芸団協に対して、非一任型の音事協さんというものがございます。これに関しましてもやはり委任者情報の提供を受けておりますので、これが aRma のデータベースに入っているということでございます。
「(カ)」でございますが、「広く一般に対して権利者に関する情報提供を求めること」これにつきましては、aRma ホームページに実演家の芸名・出演番組名等を掲載しまして、CRIC のホームページとリンクを貼りまして、CRIC のホームページに aRma ホームページに誘導する広告記事を掲載するという形でこの広告から情報提供を求めています。「aRma 一般用ホームページ 『放送番組に出演された方々を探しています』」という形でこの探索業務を行っているというところでございます。
これらの業務のコストということになるのですが、これは aRma が権利処理の一元化業務をやっているコストの中に重積して出てくるもので、幾らかかっていますという話は中々できにくいのですが、前回の委員会でも梶原委員からご発言がありましたように、そのコストの一部については放送事業者さんのニーズに応じてご負担をいただいているということでございます。
それで次のスライドでございますけれども、それでは相当な努力をした結果どれだけ判明しているのかということでございます。
「(ア)」から「(カ)」まで、「VIPデータ」に関しますと判明数が121名、それからWEB検索が結構多くて430名、それから管理事業者でありますCPRAのデータでヒットしたものが460名、それから他局照会というところでは非常に残念ながらゼロ、それから音事協さんのデータベースに入っていましたよというのが7、非常に時間と手間を取りますHP掲載に関しては残念ながらゼロということでございます。それをグラフにいたしましたのが右側の円グラフでございます。
探索対象人数合計3513名に対して、不明者の合計が2495名ということになっております。
最後のスライドは最初の仮申請の受け付けから始まりまして、どういうタイムラインで動いていくかということを図示したものでございますけれども、やはりHP掲載の30日間、その後の14日間、この辺りが一番大きな要素としてあるのではないかと思っております。
こうした業務を行ってきたおかげかどうかは判りませんが、一応かなりの長い間こういったことを行って参りまして、放送番組に関する限りは実は不明権利者というのは大分減ってきております。ある程度潰せてきているのではないかなということが言えるのではないかと思います。
それと、これは前回発言したのですが、やはり不明権利者を産まない努力が必要なのではないかということで、それに関しては放送事業者と権利者団体の間でできるだけ早く情報を共有しておく、それによってアウトサイダーを産まない仕組みなどということを、これは別なラインになりますけれども、様々な実証実験を通じてそういった努力をやっていこうということになっております。
私からは以上でございます。
椎名委員ありがとうございました。橋本さんはよろしいですか。はい。じゃあ、どうもありがとうございました。
それでは、日本放送協会の 梶原 均 委員お願いします。
はい。NHK の梶原でございます。それでは資料に沿ってですね、裁定制度とデジタルアーカイブについてちょっと述べたいと思います。
まずですね、不明権利者の裁定制度についてのNHKの現状ですけれども、大河ドラマを中心に NHK オンデマンド、これはネット配信ですけれども 8 番組、DVD で 4 番組でこれまで裁定制度を利用しました。
裁定を申請した権利者は実演家のみということになっております。不明者総数は805名、ですから一番組当りになると68名ということになります。
大河ドラマで申し上げますと、大体10年ぐらい経つと50〜60名の実演家の方に限って言うとですね不明になっているという現状がございます。
判明した権利者の方は12名ということで、一つの番組について10名の方が判明したということで、そこは調査が不十分だったので判りませんけれども、一番組で10名判明したケースがございました。
裁定手続きにかかる期間ですけれども、これは aRma さんの結果と同じですけれども、当然でしょうけれども、相当な努力──aRma さんのですね──が40日程度、文化庁への申請から担保金の決定までは2週間程度ということになっています。
課題ですけれども、やはり経費や手間を考えると全ての番組について裁定制度を利用するには至っていないということがございます。
あとこれも先程ご意見がありましたけれども、一度裁定を受けても利用方法が異なる場合や、許諾期間、公衆送信権については5年間ということですけれども、それを超えて利用する場合にはまた同じ手続きを踏まなければいけないということが課題としてあるかなと思います。
また権利者が判明しても還付手続きが煩雑なため、補償金の額を考えると法務局に還付請求することが難しく、結局、我々先程12名判明したと申し上げましたけれども、結局我々の方が使用料を払っているという実態がございます。
先日この会で、わざわざ取りに行かなければいけないと申し上げましたけれども、最近では振込かなにかで法務局も支払うことができるということですけれども、実際に還付請求をするにあたっては印鑑証明を取ったり、会社の証明がいったりとかですね、手続きが煩雑なのは変らないかなと思います。
あとは不明者が判明することが少なくて、その結果補償金の多くは国庫に入るということで、補償金が権利者のために活用される制度となっていないことは一つ課題かなというふうに思います。
ページをめくっていただいて……じゃあ今後の対応ということで考えましたけれども、最初の「○」は「現行の制度を前提に簡素化・迅速化するため」にはどういった動きが必要かということを書いています。
やはりHPへの掲載と同時に裁定の申請ができるようにしたら良いのかなと思っております。その代わり今掲載期間は30日以上となっていますけれども、掲載期間を1年以上とするといったようなことも必要だと思います。
おそらく30日でですね、ホームページを見て名乗り出ていらっしゃる方はいなくて、30日をかなり越えてからこれまで判明された方も出ていらっしゃるということを考えれば、掲載と同時に裁定を利用できるのだけれども、掲載期間を延ばす。30日というのはちょっと短いかなと思います。
それから情報提供を求める方法として CRIC しか指定されていませんけれども、やはり権利者団体のホームページを可として欲しいと思います。CRIC の方に別途広告の掲載料を払わなければいけないということでも、やはり aRma さんの方でお金がかかっているかと思いますので、権利者団体で良いのかなというふうに思っております。
あとは同一の著作物の利用については裁定申請を不要として補償金の支払いのみとするといったことで簡便にできるのかなと思いますし、後は相当な努力のうち、具体的ですけれども「同種の著作物等の販売等を行う者への照会」これは放送番組で言うと民放さんに問い合わせをすることになると思いますけれども、今裁定をしているものだけでも800名の実演家の方が不明な訳ですけれども、これを各放送局さんに800名調べてくださいよというのはなかなか業務の負担があるでしょうし、さらに住所等が判っても教えてくれるかどうかという問題もあると思いますので、これについては実質的に機能していないのかなというふうに思っております。
あと新たな対応策についても考えてみました。これは現行制度を見直すということよりは抜本的な見直しということになりますけれども、現行の裁定制度というのを権利者が不明であることを疎明することにすごく労力をかけている制度となっていますけれど、やはり不明権利者を無くすことだとか、不明権利者に名乗り出てもらうことを目指す制度に見直すべきではないかと思います。
個人情報保護とかの中で不明者を探すというのはすごく労力がかかるし、かなりですね、探す方にとっても徒労感があるというかですね、そういった中で無くす努力や名乗り出てもらうということが大切かなと思います。
そうした中で、例えば放送番組に限ってですけれども、先程 aRma さんから説明がございましたけれども、かなり aRma さんについてはですね、もう権利者さん、沢山の権利者団体も加入されていますし、これまでの実績もありますので、例えばそういった所にですね、権利者が権利を行使するためにはですね、権利者団体に権利を委任するか、又は委任しない場合はそういった aRma さんみたいな所に所在を登録することにして、そうでない場合には不明として扱うという制度を検討してはどうかなと思ったりしているところでございます。
当然 NHK としてもですね、できるだけ放送時に二次利用まで含めて許諾を得る、了解を得ると言う努力をしているところでございますけれども、全ての方に了解を得ることは中々難しいということがある訳ですから、全く不明者がゼロになるというのは中々難しいことかなと思います。
後はデジタルアーカイブについて NHK でやってる取り組みについて資料の方に載せています。これについては NHK で行うのは無償のサービスということもあって、実際にこの無償のサービスの中で現行の裁定制度を費用かけてやるのは難しいということもあって、色々な形で過去のコンテンツを今 1 万コンテンツがあるかと思うのですけれども、それについて実際に裁定制度を利用したという実績はございません。
権利処理が難しいものはその内に載せないとかということでこのデジタルアーカイブスを構築しているというところでございます。
私からは以上です。
梶原委員どうもありがとうございました。それでは続きまして、権利者不明著作物の利用方法等について明治大学 情報コミュニケーション学部 准教授の今村先生にもご発表をいただけるということのようでございますので、どうぞよろしくお願いします。
なお今村先生からのご発表の後に先程の関係者の方々からのご発表とあわせて質疑応答および意見交換を行いたいと思っております。
それでは今村先生よろしくお願いします。
はい。ただいま紹介にあずかりました明治大学の今村と申します。このたびはこのような研究の報告の機会を与えていただきまして誠にありがとうございます。資料6なのですけれども、権利者不明著作物の利用方法につきまして、国際的な動向と我が国の裁定制度の実績を踏まえながら、今後どのような制度が取り得るかというような観点からご報告をしてまいりたいと思います。
まず「1.」の「国際的な動向について」でございますが、これまでのところベルヌ条約やTRIPS協定等を含めた、我が国も関わっております著作権や著作隣接権に関する国際条約に権利者不明著作物、いわゆる孤児著作物について定める一般的な規定は特に存在してはおりません。
一部にあるにはあるのですが非常に限定的なものでございます。そのことがこの問題について国際的に多様なアプローチを産む背景の一つとなっているものと思われます。勿論各国は孤児著作物、権利者不明著作物の利用の在り方について完全に自由な裁量を有している訳ではなく、例えばベルヌ条約やTRIPS協定等の国際条例では「国内法令によって著作権の制限・例外規定を設ける場合にはスリーステップテストと呼ばれる三要件を満たさなければいけない」など、あるいは他にも「無方式主義の要件に従う」など国際条約の各種の定めを順守する必要もあり、こういうことの下で著作者の許可なく孤児著作物の利用を認めることがはじめて可能になる、なぜかというと著作権の制限を認めるという効果がありますから、そのような国際的なルールのパワーに対する準拠が必要になってくる訳でございます。
この国際的な動向について、文化庁の委託事業で調べた内容等を表にまとめたものが、この「諸外国等の制度アプローチ」というものでございます。ここではデジタルアーカイブ事業等における大量デジタル化の問題に対応できる主要な制度を挙げて整理をしておりますので、この他にもいわゆる孤児著作物の問題に対応できる制度はあり得るのですが、そういうものは省いてこの表にまとめました。
次に各アプローチにつきましては、前回、第三回のこの小委員会でご紹介がされたということでございますので、それぞれの特徴について簡単に紹介していきたいと思います。
まず「著作権の例外/制限」のアプローチにつきましては、2012年の10月に成立した「EU孤児著作物指令」が基本的に採用したとされています。この指令については、前回もご案内があったかと思いますけれども、対象となる主体や客体、利用の目的や条件、利用態様において非常な限定がなされている訳です。
著作権の例外や制限アプローチを取る場合に、国際条約上のスリーステップテストの関係もあると思いますので、そのことに配慮して限定的になるということもありますが、これに加えまして、指令そのものが欧州デジタル図書館計画を背景にして立案された、それを背景にしてできた部分がありますので、その目的との関係でも相当な絞りがあるということでございます。
従いまして、スリーステップテストに従うと、欧州の孤児著作物指令のように限定的なものにならざるをえないのかと言いますと、必ずしもそういう訳ではないかと思います。
次に拡大集中許諾制度でありますが、これは平たく言いますと著作権の集中管理団体に対して、権利の管理を委託していない著作権者の著作物について、一定の利用目的をもった利用形態については許諾を与えることができる権限を当該集中管理団体に付与するという制度でございます。
スウェーデンなどの北欧諸国で採用されている制度で北欧では50年以上の歴史があります。図書館などによるデジタルアーカイブ作成のための複製もいくつかの国でこの制度の対象とする利用目的に含めて運用されており、ノルウェーなどではデジタルアーカイブのインターネット配信でこの制度を用いて実施したという指摘もあるようです。
この制度は権利者不明著作物の利用の円滑化を図ることを直接の目的としたものではなかったのですが、昨今のこの問題、孤児著作物の問題を是正するための制度として機能しうるということも評価されまして、諸外国でもイギリスなどのように新たに採用に至る国も出てきている状況でございます。
次に強制許諾制度ですが、これは我が国やカナダ、韓国などが採用している制度でございます。特定の場合に、事前にある機関または著作権団体に申請し、当該機関・団体が許諾を与えることで著作物等を利用することができる制度でございます。
制度の内容は国によって異なる部分もありまして、許諾を与える機関が我が国やカナダ等では文化庁長官であったり著作権委員会といった公的機関が許諾を与えますけれども、フランスの制度では集中管理団体が与えるということになります。
イギリスについてはいずれになるのか、公的機関となるか集中管理団体となるのかはまだ不明のようですが、公的機関としての著作権審判所を有するイギリスの機関がその任に当たるべきという話は法案の議論の過程では出ておりました。
そして補償金の扱いなどについても異なる部分があります。加えまして、当制度の下で利用できるのは我が国やカナダの場合、公表された著作物の他、我が国で言う所の著作隣接権の対象物も含みますけれども、フランスの場合には「20世紀の入手不可能な書籍」に限定されています。
ここでは一応フランスの制度も──最近できたばかりのものですが──強制許諾制度の一種に位置づけましたが、フランスの場合法律の名前自体が「20世紀の入手不可能な書籍の電子的利用に関する2012年3月1日法2012-287号」という名前が示す通り、かなり対象が限定されているところで、日本やカナダの制度と比べて限定的なものと言えると思います。
その他法制化されているものではありませんが、米国著作権局が2006年の報告書において示した案では詳細な調査を合理的に行ったが著作権者の所在を特定できない場合かつ侵害行為を構成する利用の過程において、可能な限り合理的な著作権者の表示を行ったことを利用者が証明した場合、著作権者が後に出現して著作権侵害の請求を行ったとして、本来受け取れる救済──損害賠償金や差止命令──が制限されるということを内容とした案を出したことがあります。
最後の権利者不明状態の相互承認等については、これはEU固有の問題になるかもしれませんけれども、各国間の共同という観点が出てきた時に参考になるアプローチかと思いまして二重線で線引きの上、ここに加えたところです。
「(2)」として「イギリスの動向」なのですけれども、ここで簡単にイギリスの近時の動向を紹介しておきたいと思います。2013年の企業・規制改革法とそれに関連する政策について紹介します。
まず、何故特にイギリスの動向を特に紹介したのかと申しますと、今回の2013年4月の、この法律による著作権法の改正で、我が国も現在採用している裁定制度としての強制許諾制度を新たに取り入れると共に、北欧型の拡大集中許諾制度も並行して取り入れているという点が、我が国の今後の政策を考える上で参考になると思われたので、ここに特に挙げた訳です。
ただ残念なことに、新しい制度の詳細をまだご紹介することができない状況です。何故かと申しますと、この2013年企業・規制改革法は77条3号によって、所管大臣に対して権利者不明著作物の利用に関する強制許諾制度と拡大集中許諾制度の二つのスキームを大臣が定めることができるということで、規則によって定める権限を授権したに過ぎなくて、その内容は今後大臣定める規則によって規定されるということになるためです。
ただし、主な機能としてそれぞれの制度について、議論の過程で出てきたものについてご案内をしておきますと、強制許諾制度については権利者不明著作物の利用許諾に対応すること、拡大集中許諾についてはオプトアウトベースの権利許諾により、権利クリアランスの過程を簡素化するということであります。
従いまして、権利者不明著作物への対応としては、ここで想定されるものとしては、それぞれ権利者不明著作物の個別利用への対処としての強制許諾制度、デジタルアーカイブ事業に対する大量デジタル化に対応するものとしての拡大集中許諾制度ということが考えられると思います。
まあ、まだ決まっておりませんので、想定される権利者不明著作物の対応としてこのようなものが考えられるということでございます。
なお2011年に発表されました、いわゆる「ハーグリーヴスレビュー」という報告書において、デジタル世界における大量の作品の少額な取引に対応するシステムとしてデジタル著作権取引所というものを創設することが提案されまして、その後本年になりまして、著作権ハブというシステムが始動しつつあります。
詳しくはこの文化庁の委託事業の報告書の207ページ以下に書かれているのでこちらをご参照いただきたいと思うのですけれども、これによって権利者不明著作物の関係で実現することというのは、まず権利者不明状態が生じることを防止できる、そういうシステムができるということと、あとは強制許諾制度やEU孤児著作物指令における入念な調査等の要件とどのように法的にリンクさせるのかという点については……たとえばこの著作権ハブというのは一つのポータルサイトみたいなもののようなのですけれども、このポータルサイトである著作権ハブを用いて調査すれば入念な調査の要件を充足するのかといったような問題は、私の調べた範囲ではまだ定まっていないということでありました。
次に、「我が国の著作権者不明等の場合の裁定制度の問題点──制定制度の分析」という部分でございますけれども、ここでは我が国の裁定制度の実績について、文化庁長官の告示等、文化庁の公表データについて、1971年1月1日の現行法施行日から2013年6月17日までの告示に示された裁定を元にいくつか分析をしまして、その一部をここで紹介しつつ、改善できる点などを示したのが、2ページ目の「分析」というところでございます。
「分析」ですが、まず過去5年間の裁定数の増加は……5年以上掲載されています4ページ、最後のページを見ていただきますと、2003年から2012年の移数がありまして、過去5年間は明らかに増加しているということが見て取れると思います。
ただこの大部分は幾つかの特定の類型に分けられるものであって、一つはデジタルアーカイブ事業、英語入試問題の権利処理および近年法改正で設けられた著作隣接権の処理に帰趨するものであります。
4ページ目には図が二つあるのですけれども、上の図は2003年以降の裁定件数なのですが、図2の方は現行法施行以降、1971年の1月1日から2013年の6月17日までの裁定を利用形態に着目して分類したものでありまして、ちょっと上と下で時期が違います。
また2010年以降に着目してこの図2にある利用形態によって分類すると、入試問題に関する裁定が50%を越えているという状況になって、ちょっと偏りがある傾向が見てとれます。
まず、裁定の利用に関しては、私は当該権利者不明著作物について代替性がある場合とない場合があると思います。
代替性がない利用形態とは、客観的にみて当該著作物を利用しなければ意味がないような場合を指し、例えば復刻版や、復刻版がその典型例であると思いますけれども、転載をして利用する場合とか英語入試問題、あるいは放送番組の二次利用やデジタルアーカイブ事業もこの代替性のない利用形態になります。
以下、私の意見にあたる部分が2ページ目の「A)」「B)」「C)」とあるのですけれども、「A)」の入試英語問題の権利処理については大学側の慣行にちょっと改善の余地があるのではないかと。
「B)」につきましては、実演家の権利について法改正によって隣接権の処理も認めるようになったことの理由が、実演などの著作隣接権に関わる放送番組の過去のコンテンツの利用を促進することにあったことを考慮すると、裁定制度のさらなる利用円滑化を講じて、もっと利用しやすくすることが望ましいのではないかとか。
代替性のある利用形態、これは他の作品の素材として孤児著作物を利用するという形態なのですけれども、これについては通常の許諾スキームの利用円滑化を図ること、あるいはそれを作りだすことが本来的な課題なのではないかと思っております。
次が、裁定制度が大規模なデジタルアーカイブ事業のために利用されるようになったのは、1999年の国立国会図書館による絵本ギャラリー事業が最初で、現行法が制定された当初から想定されていた状況ではないと。ところが、現在までの裁定の利用実績を題号数ベースでみると、デジタルアーカイブ事業によるものが全体の98%程度を占めていて、同制度におけるプレゼンスが非常に大きいということが見てとれます。
「④」については時間等の関係でちょっと省略したいと思います。
2ページ目の「権利者不明著作物の利用方法等に関する提案」という部分で、いくつかこれまでの研究等を踏まえて、こういうものがあるのではないかということを提案したのが次のものですが。
まず、EU孤児著作物指令のような例外・制限のアプローチですが、これは非常に判りやすい方法でありますけれども、一旦著作権の制限規定を創設すると、将来にわたってその分野における通常の許諾スキームの発展を妨げてしまうおそれがありますので、仮にこのアプローチを取る場合にはEU孤児著作物指令のように適用要件を限定して対応していくべきなのではないかと思います。ただ、EU指令はすこし適応範囲が限定されすぎかもしれないということは思っております。
次に、イギリス方式として強制許諾制度と拡大集中許諾制度を並列して採用するというアプローチもあり得るのではないかと。これについてはさらに、通常の利用許諾の円滑化と促進を図るために、ハーグリーヴスレビューで見られましたような、デジタル著作権取引所や著作権ハブといったポータルサイト等のシステムを導入することも考えられます。
この点問題となりますのは、北欧諸国では主に拡大集中許諾制度で対応してきた問題を、我が国では著作権の制限規定で対応してきたという経緯がありますので、既存のそういう著作権制限制度との棲み分けというものが問題になってくるかもしれません。
最後に、「裁定制度の修正および運用面における調整」という点で、いくつか書いてあるのですけれども、補償金の共通目的基金化あるいは申請者への返金を内容とした新制度も考えられるかもしれません。
この点は昭和41年4月の著作権制度審議会答申の付属書として提出された説明書でも、「供託された償金を受け取るべき著作権者が現れない場合に、償金が国庫に帰属することとなる現在の取り扱いを改めて、償金を供託者が受け取ることができるようにし、ないしは文化目的に効果的に使用できるための方途について検討の余地があろう」と述べて、実際にはそうはならなかったのですけれども、この点を改めて検討してはどうかということもあります。
ただし、カナダでは集中管理団体に補償金を納めるという制度を採用しているのですけれども、これで著作権委員会というカナダの公的機関がそういう裁定に強制許諾を与えるのですが、著作権委員会は「権利者が現れた場合の払い戻し義務が5年間あることを前提に、著作権集中管理団体がその構成員の一般的な利益の為に適切であると考える方法によって、利用料を処分することを認める」という制度を採用しています。まさに文化目的に利用できるということになるのですが、カナダの有識者の意見としては「共通目的基金化は制度の利用者に対して慈善的寄付を強要するものになる」という批判もあるにはあります。
次に申請者への返金についてですけれども、これは実際には著作権調査と連絡先調査の方がコスト面で大きな問題であるために、裁定制度を通した権利者不明著作物の利用促進という観点からは抜本的な解決策とはならない可能性も高いと思われます。
その他、公表時から相当程度の期間が経過している過去の作品については、権利者を探す相当な努力の要件を緩和するというようなそういう調整も考えられるかと思います。
以上で私からの報告を終えたいと思います。どうもありがとうございました。
今村先生どうもありがとうございました。それでは本日おいでいただいた関係4団体の方々にはご発表いただき、それから今の今村先生に丹念にご教示いただいて、時間がちょっとかかりましたので、残る時間の中で質疑応答・意見交換を行っていきたいと思っております。
どうぞ、ご質問・ご意見ありましたらどうぞお出しください。
……(30秒ほど発言希望者が出なかったので)どうぞ御遠慮なく。
……(さらに20秒ほど発言希望者が現れなかったため)梶原委員にお尋ねしたいのですけれども、資料5の下のスライドで「経費や手間を考えると全ての番組について裁定制度を利用することは難しい」とこういうふうにお述べになっている。この場合には二次利用を諦める訳ではないんじゃないでしょうか。
この場でしゃべるのはアレですけれども、今の所ですね、大量に出た場合に裁定制度を利用して、少数の場合についてはですね aRma さんの努力までで止めて、利用の仕方によるのだと思いますけれども、打ち込んでもらったら実際に利用をしていると。リスクを負いながらやっているということでございます。
どうもリスクを負いながらということで良く判りました。どうぞ、ご質問・ご意見ございましたらお願いいたします。
……(30秒ほど発言希望者が出なかったので)今後この法制・基本問題小委においては裁定制度というものを考えていきたいと思っておりますので、折角こうした機会を設けていただきましたので、どうぞ色々な認識とか情報の共有を図っていただいてもよろしいので、どうぞお出しいただければと、はい、どうぞ。
ありがとうございました。aRma さんの方から詳細なご報告をいただいておりまして、他方今村先生の方からも諸外国の紹介、特にイギリスにおける昨今の動きというのをご案内いただいた訳ですけれども、その中で北欧諸国あるいは今回のイギリスで拡大集中許諾というやり方があると。つまり集中管理団体が許諾を出すと言う形をとっておられるということな訳ですね。
例えば aRma さんのような団体にそういった拡大集中許諾と言うような形を当てはめるということが考えられるという訳だと思うのですけれども、仮にそのような権限を aRma さんが持つということになった場合に、それは aRma さんとしてはどういう受け止めというか、イメージといいましょうか、お持ちになるような感想を持たれるでしょうか。
拡大集中許諾制度という、色々と詳しく承知している訳ではないのでアレですけれども、不明者探索にかかる相当な努力、それからそれをクリアした時に裁定制度のルールということで供託したとしてもそのお金が権利者に渡る割合というのが非常に低いという総合的なスキームを勘案しますと、その、許諾の事務権限と言うのですか、どうしても判らないものについてそういう役割を担っていくことはあり得る話なのではないかと思います。
今村先生、今の拡大集中制度についてもう少し情報と言うか、何かお話いただけることがあったらご提供いただけますか。
伺っていると、何やら aRma のメンバー外の話になるのですよね。
はい。その通りです。
よろしかったらその辺をご存じの範囲でご説明いただけますか。
この拡大集中許諾については私が担当して調べた部分と少し違いますので、この辺は事務局の方から説明をいただいた方が……助け舟をいただきたいかなと。まずそちらの方から説明いただきたいのですけれども。
前回説明させていただいた拡大集中許諾制度につきましてはご案内の通り北欧諸国で非常に長い歴史があるのですけれども、著作権法の規定にECL規定という、拡大集中許諾制度という条項を設けまして、特徴としては著作物の利用者と大多数の権利者を代表する集中管理団体、この間で自主的に行われた交渉を通じて、締結された著作物利用許諾契約というこの効果を、当該集中管理団体の構成員ではない者にも拡大するというところに非常に大きな特色があるという制度でございます。
ですので今回の場合ですと、aRma が仮にそのような立場に立った場合には、aRma に入っていない方にもその効果が及ぶという所が一つ大きなポイントになるということでございます。
(マイク外での短い発言で聞き取れず。椎名委員を指名しただけ?)
効果が及ぶという意味合いが、自ら管理することを標榜し、自ら管理している人にまでそのルールが及ぶということであれば、それは中々難しいのではないかと。
所在が不明で事実上の許諾が得られない場合に、そういった部分を権利者団体が代行するということであれば良いのですが、管理外を標榜している人たちまでこのルールに従わなければダメですよというのは中々難しいのではないかなと思います。
はい。どうぞ。
ちょっと私の言葉足らずの所がありましたが、非構成員の方においても影響が絶対及ぶと、必ず及ぶという訳ではなくて、オプトアウトする権利というのも一部認められております。
そのオプトアウトを認めるという権利については各国様々な制度が設けられておりまして、一概には言えないのですけれども、そういった制度も用意されている制度となっています。
ありがとうございます。
今説明をいただきました、オプトアウトというのは具体的にはどのような手続きが各国で見られるのでしょうか。
オプトアウトについてはですね、どのような手続きによるかの詳細な研究というのは前回の調査研究の内容にはそこまで至ってない部分があるのですけれども、スウェーデンはですね、かなり広くオプトアウトの権利を認めていまして、有線放送を除いて、全ての規定においてオプトアウトする権利が認められていると。
おそらく集中管理団体の方に手続きをして「自分は個別に交渉します」とすることが認められているということになると思います。
ありがとうございました。他にございますか。はい、前田委員どうぞ。
今ご説明いただきました拡大集中許諾制度とそれからこの集中管理団体による強制許諾制度というのは別のように今村先生の資料からは思えるのですが、これはどういう違いがあるのでしょうか。
これは私の方から。
はい。お願いします。
フランスの制度を私自信が調べた訳ではないので、正確にお答えできるかどうか判りませんけれども、フランスの場合個別に処理するということになる、つまり集中管理団体に対して許諾を与えるように申請してその結果許諾が与えられるということになると思うのですけれども、拡大集中許諾というのは特定の目的の利用に関して、作品自体が孤児状態になっている人も含んでまとめて許諾が与えられるということになるものなので、個別処理なのか、まとめて処理するのかということで違いがあるということで、一応区分けしてここではまとめております。
ありがとうございました。椎名委員どうぞ。
権利者に代わって許諾を出すというところまでは判ったのですけれども、許諾を出して結局利用料の収受ということも団体が行うのですか。そうすると一体どういう処理をするのですか。
はい、山中さん。
その点につきましてはですね、非構成員の使用料請求権というものは3年間認められております。ですので、その3年間のあいだは代表者の管理団体である団体の方において管理していただいて、3年間請求されるのを待つと。
3年間のうちに見つかって、個別の使用料を請求する際には非構成員が自らの著作物が利用された事実を証明して請求するという建てつけになっております。
よろしいですか。
ということは、一回権利者団体が受け取るということですね。それが前提ですよね。
そのようになっております。
それで誰も3年言ってこなかったときはどうするのですかね。先程の共通目的の話とかに行くのですかね。
3年請求が……よろしいでしょうか。
はい。
3年請求されなかった場合についてはですね、前回の調査研究でどのような扱いになるのかということについては、利用者から徴収した使用料は構成員全体の為に使うということもあるというふうに調査結果になっています。
ありがとうございます。他にございますか。はい、じゃあ上野委員どうぞ。
今日は今村先生においでいただきましたのでご提案の内容についてお伺いしたいと思います。2ページ目の最後の辺りからご提案と言うことでお書きになっていらっしゃる。2点あると思うのですけれども、一つ目は「大量デジタル化を伴う一定のデジタルアーカイブ事業に対する新制度を導入するべきである」こういうご提案であって、その手段としてオプションが二つあると。
一つは権利制限、もうひとつは強制許諾とECLということだろうと思います。これはあくまでですね、この「(1)」と書かれているところの「デジタルアーカイブ事業に対する制度を導入すべきだ」という趣旨だけに理解してもよろしいでしょうかと。
何故このようなことをお聞きするかと言いますと、この ECL は確かに色々注目される所もある訳ですけれども実際には孤児著作物だけではなくですね、権利者不明でない、団体に属しないアウトサイダーの権利も含めてまとめて権利の処理ができるということである訳ですけれども、実際にはこの北欧の制度もですね、私の知る限りは──これは今村先生も「こうしたものは我が国では権利制限規定で対応してきた経緯がある」と書かれているのは──この ECL も例えば放送であるとか教育であるとかあるいはアーカイブであるとか、行政内部での複製であるとか、企業内複製なんかは若干微妙ですけれども、公共的な目的と言いましょうか、そうしたもので、多くのものは日本では権利制限規定で対応してきたものではないかと思います。
ですからイギリスやドイツでも今これを導入しようとしている訳ですけれども、その対象というのは限定的であって、広く商業利用も含めてというようなものではないのではないかと私は理解しておりまして、そういう観点から日本でも ECL を導入するということを考えるにあたりましては、どこまでの範囲を含むのかということが問題になろうかと思う訳ですけれども、今村先生のお考えではこれは導入するとしても、差し当たりは少なくともここで書かれているのは「デジタルアーカイブ事業に対する制度の導入」ということを提案されているという理解でよろしいでしょうか。
はい。その通りでございます。やはり制限規定の方で対応してきた問題について、将来的には何らかの形でライセンスのスキームに置き換えていくということがあり得るのかもしれませんけれども、それは少し難しい問題をかなり含みますので、拡大集中許諾等について議論する場合でもやはり一定のアーカイブ事業、デジタルアーカイブ事業に限定する形で目的を限定した形でこの制度に挑戦してみるというような形になるのではないかと思います。
ありがとうございました。他にございますか。はい、前田委員どうぞ。
またこの拡大集中許諾制度についての質問になってしまうのですが、この拡大集中許諾制度の下で、集中管理団体は許諾をしないという自由があるのでしょうか。もし仮に許諾をしない自由はなくて、必ず許諾するということであるならば、それは例えば日本の著作権法で言うと二次使用料の指定団体のようなものと何処が違うのか、似ているのか違うものなのかというところを教えていただきたいと思います。
これは事務局の……。
拡大集中許諾制度においてはですね、団体と利用者との間で契約が締結されて市場がうまく機能するということが前提されているのですけれども、うまく行かない場合、契約が締結されないという場合もありまして、そのような場合は調停・仲裁を通じて利用許諾契約を締結させる、促進させるという制度が補完的に設けられております。
よろしゅうございますか。他には……どうぞ松田委員。
aRma の制度ができました時に、その中の資料で少し勉強したことがあって、記憶に残っていることがあるのですが、確か NHK さんと協定を結んでいて、NHK さんは権利者について許諾を取る訳ですけれども、その中に権利者不明等で許諾が取れない場合がありましても、aRma さんが包括してそれこそ拡大許諾制度みたいに許諾をして、その使用料を一時預かるということを読んだことがあるのですが、私、間違いでしょうか。
aRma ではなく、その前の芸団協・CPRAの時代に管理事業法が出来て、任意関係に関して非常に厳密な切り分けがあるということで、本人が使っては嫌と言っている人まで預かっている訳ではなくて、連絡が取れない人については一定期間預かって連絡先を探しますと、それで届けますと。ただし見つからなかった場合は返しますよということを前提でお預かりした。
この管理事業法導入後の激変緩和というか、暫定受け皿という言い方をしていましたけれども、そういうことをやった事実はあります。
そうすると暫定的に預かっても、放送コンテンツを(許諾なしに)二次的に使ってしまうということは相当してしまいませんかね。
私はそれは、いけないとは思っていないのです。実を言うと。あれを読んだ時にいささかショックではありましたけれども、ショックではありましたけれども、これはもしかしたら突破口になりはしないかなというふうに思ったことがあったのです。
先ほどの梶原さんのお話でも、最終的に追い込めない部分は「リスクを取って」という発言をされました。ある種、天に祈って使うと言うことではないかと思いますけれど。
管理事業法が導入された当時、従来 CPRA というのは仰った、先程出ていました指定団体制度に関しての業務、報酬請求業務が主でございまして、その許諾を出すということと、委任があるのかないのかということを非常に厳密に捉えた時期がありまして、やはりそれだと大半が流れなくなってしまうということで、さっきも申しあげたとおり、あくまでも暫定受け皿ということで、現在やっておりませんし、ある一定の期間、ある種、激変を緩和するということでやったことでありまして、おそらく今後それと同じようなことをやるということは考えにくいのではないかと思います。
残念です。
他にございますか。本日は国立国会図書館それから国立美術館の関係者の方においでいただいておりますので、もしよろしければ……ございませんか……はい、前田委員お願いします。
先程国会図書館さま、あるいは NHK さまだったかもしれませんが、裁定が5年に限られていて、5年経ったらまた裁定申請を出し直さなければいけないというお話があったと思うのですが、それは過去に所在不明の調査を行っていたとしても、また5年後には同じ調査をまたやり直して、証拠を改めて出すという運用になっているのでしょうか。
はい。じゃあ……。
運用上そういうことになっております。
あの、佐藤さんどうぞ。続けてお願いします。
すみません失礼しました。実際に再裁定する際には最初の裁定での資料を改めてコピーして提出するのと、さらに新たに判明した事実を追加して提出するという事務作業を行っているというふうに承知しております。
よろしいですか。
はい。
では龍村委員。
今村先生の整理で二つの類型がイメージできるかと思うのですけれども、一つは強制許諾と言うかライセンス型の在り方、もう一つは著作権の制限型の在り方。
それで EU が後者であり、日本が前者であるということですけれども、今の問題と関係するかもしれませんけれども、5年経つともう一回やらなければならないという、そういう手続きを省く強制許諾もあり得ると言いましょうか、そういう中間のものもあるような気がしてまいりまして、一旦どなたかが入念な調査をされて、孤児著作物とほぼ認定され強制許諾が一旦された以上は、何らかの形で孤児著作物認定とでも言いましょうか、そういうものを経て、どこかの登録機関に登録して、爾後の強制許諾についてはスルーと言いましょうか手続き面は軽くして強制許諾を出すという姿もあり得るのかなと。
権利制限の方は、それも EU の方は言わば孤児著作物を登録かなにかする訳ですかね。
はい。OHIM と呼ばれる機関に登録するのですけれども、登録されたものは孤児著作物の状態にあるというようなことになりますので、それを同様に公共のアクセスに供する図書館等が利用する場合には一々手続きを踏まなくても良いということになりますが、ただ一般の人が使えるかというと、そうではないという理解になりますので、その点は……。
……主体の方で絞られると。ただ先生のお考えでもスリーステップテスト、まあベルヌ条約の関係で、逆にEUの方は少し厳しすぎるのではないかと。もう少し緩めてもクリアランスを取れるのではないかというお考えをお持ちのご意見もお伺いしましたが、そのようなお考えでしょうか。
ちょっとそれはもう少し検討してみないと判らない部分ではありますけれども、EU がこの指令を検討して実際に採択に至った経過を見ますと、目的との関係で最初から縛りがあったように見えますので、もう少し緩和してもみてもスリーステップテスト等をクリアする例外、制限のアプローチは取り得るのではないかと思います。
一応権利者と利用者の間を調整しながらできた規定だと思いますので、狭まったり広がったり色々な中で、色々な選択肢がある中でこの制度があると思うので、あり得た制度の中には出来上がったものより広いものがあり、それがスリーステップテストをクリアできているものもあると思いますので、あくまでも仮定の話ですけれども、広くても大丈夫なケースもあるかもしれませんが、それは別途検討を要すると思います。
ありがとうございました。他にございますか……よろしゅうございますか。はいそれでは本日は佐藤さま、水谷さま、椎名さま、梶原さま、今村さま、本日はお忙しい中おいでを、ご発表をいただいてありがとうございました。
本日いただきましたご意見については今後の本小委における検討として十分に活用させていただきたいと思っております。
それで今日伺っております、誠に様々な選択肢があって、我々は相当色々考えなければいけないなというふうに思います。
これからの本小委における検討が精緻になるように、是非今後も委員におかれましてはご協力をお願いしたいと思います。
それから……「(1)」「(2)」についてはこれぐらいにしたいと思いますけれども、「(3)」の「その他」があるのですが、ご質問等特段ございましたらお聞きしたいと思いますが……。
お時間をいただきありがとうございます。その他ということで、本日 1・2・3 ということで、これはおそらく著作権制度に関する重要事項という趣旨だろうと私が理解いたしまして、折角今日はご協力をいただいて進行が非常にスムーズでしたので、手短に重要事項についてお話させていただければと思っております。
これは今申し上げました通り、ここに居らっしゃいます著作権関係者全員の共通関心事項だろうということであります。
もったいをつけて始まっておりますけれども、ここでは著作権関係ということで、大体一般的には良く言われることでありますが、権利者と利用者の対立的なことも時々それから時々以上にあるかと思います。
そうした中で私が傍で見ておりますと、できるだけ WIN-WIN の解決が図れればなあと思っておるのですが、そういう中で以下述べるのはそういう対立関係とは関係のない、というかそれを超えた著作権関係者全員の共通関心事項だろうということで以下述べたいと思います。
手短に行きます。端的に申し上げますと、これは前々から少しずつ出ていたので、全員ご関心、それが急に動き出したという話でありますが、色々想像通り、新司法試験というのがございまして、これは弁護士になるための試験でありますが、そこでこれはおそらくできるだけ負担を軽くしたいというそういう趣旨の中で、負担軽減の中で科目数を減らしたいという中の一つの、色々なレベルの策の一つとして、選択科目の──基礎科目に集中するということでもあるようですけれども──選択科目を廃止するという意見がちらりほらりと出てきて、それが急に検討が始まりだしたということであります。
これが選択科目というのはどういうものかと言うと、筆頭が知的財産法、我々の著作権法で、その他労働法ですとか倒産法ですとか、まあ色々経済法・民法ですとかありますが、他の科目は別として、選択科目というのはイコール知的財産法であり著作権法であるということで、最初に勿体を付けましたけれども、ここにいらっしゃる全員の方にとって極めて強い共通関心事項だと。
皆さんは直接関係ないと思われるかもありませんが、実は非常に関係しているということでちょっと説明させていただければと思います。
実はこれは今日は週の一番最後の金曜の夜でありますけれども、実は週の始めの、ご承知されている方もいらっしゃるかと思いますけれども、月曜の午前中に、著作権法とならぶ特許法等を所管しております特許庁の知的財産分科会というところがありまして、そこでもこのテーマが、私が提起した訳ではなくて確か特許のPLOをやっておられる方がこれは危機だと。
それでその方がどのようなことを仰ったかと言うと、全て申し上げますと、これまでに自分たちは知財立国ということで頑張ってきたけれども、その中では非常に大きなテーマとして知財人材の育成というのが非常に大きな柱としてあるのですが、そこで今まで努力してきたのに、そこの一角である知財法曹の養成が軽視されるようでは知財立国が泣くと。判りやすく言うとそういうことでありまして、何でこれが知財立国に関係あるのかというのは、ご説明するまでもないかと思うのですが、中にはそんなものは選択科目から廃止したって基礎科目だけ勉強して、志のある人はしっかりと勉強するのだから試験から外しても関係ないじゃないかという非常に優等生的なご発言があることは重々承知しておりますが、皆様の若かりし頃に学生さんだったころを思いだしていただければ、試験科目と、こういうのは私、教師として言うのは嫌なのですけれどもちょっと公益の為に恰好悪いのですが申し上げますと、試験科目になっている科目となっていない科目と、自ら振り返って差が無かったかと言われるとおそらくかなり差はあって、少なくとも私のごとき凡人には差はあったということで、聖人君子の方は別に試験と関係なしに真に著作権のことが好きであれば勉強されるのでしょうけれども、おそらく今後の著作権法を担う担い手を養成するにあたってはおそらく綺麗ごとだけではなくて教育現場の実情を直視した現実論でなければいけないのではないかというふうに思っている訳で、そういうことをややその際も申しあげまして、その場では全員から──今日と同じで一番最後の方だったので、前の方だったらおそらく沢山発言をいただけたのですけれども、なにゆえか今日と同じ一番最後なので──おそらくご賛成等いただく時間的余裕がないかもしれませんけれども、現状を申しますと先程のような元々誰も選択科目を積極的に廃止しようと思っている人は誰もいない訳でありまして、ただ単に負担を減らす為にはどこか、その一つとして色々な案はあるので、基礎科目重視ということを考えると選択科目を外すというのが一つ出てくる訳でありますけれども、状態については急に動き出した話なので、私の近くの学生などの一般的な感覚としては……(おそらく近くの人がもう止めるように促した?)……判りました、もう。
今も非常に微妙な所で、強い反対がなければ通るというような非常に微妙などちらに転ぶか判らないよな微妙な所なので、そういうことで皆さんにお願いしたいのは、そういうことですのでできるだけ説明を省きまして、恐らく、私がこういうことでおそらく私が勝手に忖度するにお立場を離れた一個人としては全員ご賛成ではないかと思って、お立場上色々と──実はこれは皆さんに事前にお話ししてと思いつつもできないこの厳しい──昨日ヒアリングを受けてアレしたという状態で、それを踏まえて近々にも決まるということで、ヒアリング等では微力ながら、今度ホームページに来週ぐらいにアップロードされるらしいので、私の苦しい戦いをご覧いただければと思いますけれども、それは別として、そういうことですので是非とも、皆さんに残りの時間でご意見伺えればと思っております。
よろしくお願いします。
その、残る時間もないのですけれども、何分、法制・基本問題小委であるということで……。
大渕先生から今、司法試験の話が出まして、日本弁護士連合会、日弁連の方でもこの問題につきましては極めて重大な問題だと受け止めております。
日弁連の意見につきましては既に知的財産推進計画に関する意見を出しておりますので、詳細はそちらからご覧いただければと思いますので、知的財産基本法の制定から始まって、一連の知的財産推進計画、あるいは法科大学院の設立構想そのものの思想・哲学を考えましても、幅広い人材から登用するべき法曹のルート、これを充実したものとする、そういう考え方と全く逆行するものだという意見が日弁連では極めてに強くございまして、近々に緊急意見表明する予定でございます。
はい。そういう、今、初めてお聞きになった方もおいでになるかもしれませんけれども、今、状況としてはそのような状況であることを共有しておきたいと思います。
何分、著作権の分科会、法制・基本小委としてどこまでサポートできるか判らないのですけれども、どうも大渕先生、それから龍村先生どうもありがとうございました。
それでは事務局から連絡事項があったらお願いします。
本日はありがとうございました。次回の本小委員会の日程につきましては調整の上、改めて連絡いたします。以上でございました。
ありがとうございました。それでは以上をもちまして、文化審議会 著作権分科会 法制・基本問題小委員会の第4回を終了させていただきます。本日はどうもありがとうございました。