さて、IO-DATA のユーザサポートにメールを書いてからほぼ1月、新バージョン(2.02a)のサポートソフトウェアが出たので追試を行ってみます。
私が発見してしまった DVWorks 2.0.1 までの不具合は次の2つです。
この他に、「約 100 sample/min オーディオデータが短くなる」という問題や、「取りこむ毎にオーディオデータが変化する」という問題もありますが、これは EzEdit/EzVideo でも発生することなので、DVWorks の不具合ではなく、Panasonic NV-DM1 の不具合と解釈するべきでしょう。
DVWorks 特有の不具合である2つを、順に確認してみます。
まず、DV テープへの書き込み・再読み出しでオーディオデータが劣化する不具合が改善されたかの確認です。インタリーブ間隔1と15の二つの形式の AVI ファイルで、書き込み・再読み出し後の WAV ファイルと、オリジナルの WAV ファイルを比較します。結果は次の表のようになりました。
インタリーブ - 1 | インタリーブ - 15 | ||
オリジナル | キャプチャ | オリジナル | キャプチャ |
1600 | 206605 | ||
3202 | 208207 | ||
4803 | 214613 | ||
6405 | 216215 | ||
9608 | 222621 | ||
11210 | 224223 | ||
12811 | 230629 | ||
14413 | 232231 | ||
17616 | 238637 | ||
19218 | 240239 | ||
20819 | 246645 | ||
22421 | 248247 | ||
.. | .. | .. | .. |
表1 ドロップ位置 |
この表で「オリジナル」は PCM Compare でオリジナルファイルのドロップとして報告されたサンプルで、「キャプチャ」は書き込み・再読み出し後のデータのドロップとして報告されたサンプルです。各ドロップのドロップサンプル数はどれも 1 で共通でした。
この結果から、次の2つのことを指摘できます。
……ちょっと頭痛がしてきました。少しストレス発散をさせてください。
〜 ソフトウェア童話 〜
は〜い、良い子のみなさ〜ん、今日はお使いについて考えてみましょう。良くできた子には花マルをあげますよ〜。でも悪い子にはおしりぺんぺんです。みんな良く聞いてくださいね〜 まず〜、みなさんは〜、おかあさんからお使いにたのまれました〜。お使いとは〜、おとおさんのところに〜、にもつをとどけてほしいということです。 だいじなだいじなにもつだと教えられていたので〜、とってもとってもたいせつにはこばなければいけません。 ところが〜、にもつを入れたふくろに〜、ほんのちょっと穴があいていたので、はこぶあいだにたいせつなにもつが少しずつこぼれていってしまいます。 おとおさんは〜、しばらくにもつがへってることに気がつかなかったのですが〜、遠くまで、長いじかんをかけてとどけてもらったとき、とうとうにもつがへってることに気がついてしまいました。 このおとおさんは〜、とってもけちんぼうでいじわるだったので〜、おこって「もう、おまえにはたのまない。おとうとにたのむことにする。おこずかいもなしだ」といいました。 それだけならまだがまんができますが、人にあうたびにこのことを言いふらして、わらいものにします。 みなさ〜ん、さあ、こういうときにどうすればいいか、わかりますか〜 そうです。次のチャンスに、きっちりと、こんどこそ、まちがいなくにもつをとどけて、いじわるなおとおさんをみかえしてやるのです。 さて、1月ごに、またお使いをたのまれることがありました。めいよばんかいのチャンスです。 さあ、みなさん。もんだいは、はこぶあいだににもつがへってしまうことです。どうすればいいでしょうか ゑ? すこしはこぶたびにおもさをしらべて、へっていたら同じおもさの石を入れてごまかす? ……た、たいへんどくそうてきで良いいけんですね……ほ、ほかにはなにかないですか? それに、おとおさんはいんけんでこそくな人ですから、にもつをひとつひとつしらべて、石をみつけておこるかもしれませんよ〜。いいですか、にもつは、はこぶあいだに、ちょっとずつなくなっていくのですよ〜。なぜ、にもつがなくなるのか、わかる人はいますか〜? そうです。にもつをいれたふくろに穴があいているからです。では、どうすれば良いかもうわかりますね〜。 そう、ふくろの穴をふさげば良いのです。そうですね、べつの穴のあいてないふくろを使うのもいいですね。みなさ〜ん、良くできました〜。みんなには花マルをあげましょ〜。 〜 了 〜
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少し、すっとしました。続けます。
残念なことに、DVWorks 2.0.2.243 は、DV への書き戻しには使えない(書き戻しはできるが、常にデータが変化するので、劣化の無いデジタルコピーによる書き戻しという用途には使えない)ソフトウェアとなってしまいました。(注・これは誤解であったことが後で判明)
GV-DVC/PCI はあくまでも「DV キャプチャボード」であり、「DV 編集ボード」ではないので、それで良いのかもしれません。
ただし、DV への書き戻しを行わない、単純な長時間キャプチャだけならば、Giga Link Capture/Codec と汎用 IEEE1394 ボードで可能ため、GV-DVC シリーズの存在意義というものは既に失われているのかも、と考えることがあります。
gdv1202i.txt によると、「インターリーブ設定が1ではないAVIファイルの書き戻しの際に、映像と音声の同期がずれる不具合を修正」とのことですが……。そうですね、確かに同期はずれなくなってます。嘘はついていませんね(長嘆息)
当初は安物買いの銭失いをしたかと思っていましたが、こうして散々おちょくらせて楽しませてもらってますので、最近は充分に元が取れてると考えるようになりました(嘆息)
来月のサポートソフトの更新でも楽しませてもらえそうです。
いっそのことサポートソフトウェア、オープンソース形式にしませんか?
なんだか横から見ていて、DVWorks の開発とテスト IO-DATA には荷が重いんじゃないかと思ってしまいます。
でもそんな事はできないでしょうね〜。GV-DVC/PCI, GV-DVC/CB でしか使用できないという「不具合」まで直ってしまうでしょうから(笑)
気をとりなおして、AVI ファイル末尾のオーディオデータの出力落ちについての追試です。実験3 と同様の作業をおこない、データを入手します。
次は、DVWorks 2.0.2.243 でシームレスキャプチャした二つのファイルを結合した後、VideoMaid で最終フレームを表示してみた図です。
1 | |
ドロップは全く発生していない |
見てのとおり、全くドロップは発生していません。一応「AVI ファイル末尾のオーディオデータの出力落ち」はきちんと解消されたようです。
また、EzEdit/EzVideo での取りこみ結果と比較して、正しい長さのデータが得られているように見えます。これは、書き込み・再読み出しの追試で明らかになったように、AVI ファイルにオーディオチャンクを書き出す際、サンプル数の辻褄あわせの補完を行っているためでしょう。
この制御をおこなうと見られるオプションが、DVWorks の「(DV キャプチャ)モード切り替え」ダイアログに追加されており、その設定欄は「映像と音声の同期を補正する」となっています。
そこで、このオプションをオフにしてシームレスキャプチャを行い、結合してオーディオデータがどのようになるか確認してみます。結果は次のようになりました。
1 | |
欠けているオーディオデータは 100 sample/min 程度で、EzEdit/EzVideo と同様 |
オプションをはずした状態では欠落が発生します。やはり、DV デッキ側(Panasonic NV-DM1)の問題 ―― おそらく、録画時の音声 A/D 変換サンプリング周波数が微妙にずれている ―― なのでしょう。
しかし、「AVI ファイル末尾のオーディオデータの出力落ち」は間違い無く解消されています。同期補正を行わない、DV デッキから送られた生のデータを出力するだけのモードで、EzEdit/EzVideo と同等の結果が得られているところからそれが確認できます。
ついでですので、「同期補正」オプションを外して書き込み・再読み出しの追試を行ってみました。
すると、インタリーブ間隔に関係無くオーディオデータの劣化は発生しないという結果になります。
また、書き込み時に「同期補正」オプションを付けておき、取りこみ時に「同期補正」オプションを外した場合も、オーディオデータの劣化は発生しません。
……繰り言です。どうせやるのならば、もう少しまともな形で「同期補正」は実装して欲しかったですね。なにも、オーディオチャンクの規定サンプル数に1足りないだけで補完したり、1余っているだけで間引く必要も無いと思うのですけど。ある程度の幅を持たせて処理しても良いのでは無いかと考えます。
私は、このオプション(同期補正)を使用することはないでしょう。