昨日の朝、更新チェッカに総務省の情報通信審議会 開催案内ページ [URI] と、デジコン委のページ [URI] が引っかかっていたので、そろそろ第50回の日付が決まったのかなと、期待して見に行った訳なのだが。
どうやら、単純にページデザインの変更と、デジコン委のページを分けて、トップページには直近情報を載せる形に変更しただけらしいと判明。で、そのページに「第47回(平成20年12月27日) 議事録」とか「第48回(平成21年1月21日) 議事録」とかの記述があったので、前回聞いてた公式議事録の公開がようやく始まったのかと思ってみれば……。
これまたリンク先はただの議事次第という状況。「過去の会議資料」ページを見に行っても、議事録が第29回までしか掲載されていないのは変わらずと。ちょっと期待が大きすぎただけに、落胆も大きかった。
今朝、日経エレクトロニクスのサイトをぼーっと眺めていたら「パナソニック Si チューナ 4 個を 1 パッケージにしたデジタル放送受信用モジュールを発売」[URI] が気になった。
一瞬、全局録画向けの部品をパナソニックが作り始めたのか (そのうち全局録画レコーダがパナソニックから発売されるのか) とワクテカしながら記事を開いてみたら……車載機向けにエラー補正強化を目指したモジュールで、全然期待したものとは違っていた。
以上、ここ数日で、勝手に期待をしながら裏切られて失望してしまった出来事ふたつの紹介。
JVA (社団法人日本映像ソフト協会) [URI] で 2008 年分の集計データが公開されていたので、昨年 9 月に書いた記事 [URI] に引き続き、データを眺めてみました。総売上高の推移は次のグラフのような形になります。
繰り返しになりますが、縦軸が売上高 (単位は億円) で、横軸が年度になります。色を変えている二つの年は、赤で塗りつぶしたのが中古ゲームソフト訴訟で「映画の著作物の頒布権は最初の販売時に消尽する」という最高裁判決が確定した年で、青で塗りつぶしたのが無料広告放送にコピー制御が導入された年です。
無料広告放送へのコピー制御の導入以来、映像ソフトのマーケットは着実に縮小を続けているようです。本当に、コピー制御はコンテンツへのリスペクトと対価の還元に寄与する素晴らしい方策ですね。
景気の影響や公開コンテンツの質を完全に無視した冗談はこのぐらいにしておいて、もう少し詳しく、ジャンル別の売上高の推移を見てみることにします。
国内音楽、国内ドラマ、海外ドラマ以外のほぼ全てのジャンルで売上高が縮小していて、特に海外映画・国内アニメ・国内映画の下落が大きいというのが 2008 年の傾向になります。
さて、CPRA / 芸団協が主に関係しているジャンルと思われる国内ドラマについて、2008 年の売り上げデータをその他のジャンルと比較してみます。
国内ドラマの売上高は、海外ドラマの半分にも届いていないという状況は 2007 年と変わっていないのですが、2008 年から、海外ドラマがアジアとアジア以外で別々に集計されるようになりました。
ここは非常に驚いたところなのですが、アジアの海外ドラマの売上高は 179 億と、国内ドラマの売上高 197 億にほぼ匹敵する額に達しています。つまり、国内ドラマはアジアの海外ドラマと同程度の評価しか受けられないコンテンツだということが、如実に示されている訳です。
こういったことを書くと「経済的価値だけがコンテンツの価値ではない」という定型文が帰ってきそうなのですが、もしもそれが正しいのだとすると、コンテンツへのリスペクトと対価の還元をイコールで繋ぎ、対価の還元がないところにはリスペクトも存在しないとでもいうかのような主張を繰り返す、デジコン委員会での権利者団体代表委員はいったい何なのだろうと疑問に感じてしまうわけです。
この「対価の還元がすなわちコンテンツへのリスペクトである」という主張をそのままに受け入れると、アジアの海外ドラマは国内ドラマに匹敵するほどのリスペクトを受けていて、それだけ文化的にも優れたコンテンツであるということになります。また、国内アニメの売上高は 2005 年以降縮小を続けているとはいえ、海外ドラマと国内ドラマをあわせたものよりも大きな売上を確保しているので、アニメはドラマよりも遥かに優れたコンテンツだという結論も十分に説得力を持ってしまいます。
昨日の記述 [URI] の続きです。アニヲタとしては「アニメこそが至高のコンテンツであるとマーケットで証明された、ドラマなんてカス、対価の還元以外のリスペクトなんてありえない」という結論はそれなりに心躍るものではあるのですが、いくら日本文化が爛熟を極めているにしても流石に国民の大半がアニヲタな変態国家であるとは信じたくありません。もうすこしマシな国であってほしいと思っていますし、実際そこまで腐ってはいないだろうと考えています。
それでは、何故これほどまでに国内ドラマの DVD/Blu-Ray の売上高は低いのでしょうか。私は、国内ドラマの売り方が下手だからだと考えています。
まず、JVA のデータには売上金額だけではなく、販売点数も含まれているので、この二つのデータから平均単価を算出してみます。
国内アニメ | 海外ドラマ(アジア) | 海外ドラマ(非アジア) | 国内ドラマ | |
売上高 | 779.03 億 | 179.46 億 | 241.18 億 | 197.18 億 |
販売点数 | 1929.32 万 | 522.69 万 | 956.81 万 | 321.45 万 |
平均単価 | 4038 円 | 3433 円 | 2520 円 | 6134 円 |
平均単価自体は、売上高を販売点数で割ることで算出することが可能です。比較しているジャンルの中では、国内ドラマがもっとも購入単位あたりの単価が高くなっていることが判ります。
購入単位あたりの価格が高い場合、どうしても実際に購入に至るまでの敷居は高くなってしまいます。高価な DVD に慣らされているヲタ向けのアニメよりも平均価格が上に設定されているというのは、よほどの好きモノ以外は購入するなと自ら主張しているとしか思えません。
実際にはドラマの DVD はシリーズ全体を購入した場合で時間当たりの価格を比較すればアニメよりも圧倒的に安いのですが、最小購入単位での平均価格は高くなってしまっています。このあたりの背景は過去数年間のオリコン年鑑で DVD TOP 500 等を眺めてみると判るのですが、ドラマの場合は、基本的に DVD BOX の形でしか販売がされていないのです。
レンタル店向けの単品パッケージも存在はしているようなのですが、基本的に小売に並ぶのは DVD BOX だけとなっています。私は、この売り方も問題なのではないかと考えています。
まず、DVD BOX という形でリリースする以上、販売時期はテレビ放映が全話終了して、ひと月以上経ってからになってしまいます。さて、テレビ放映が全話終了した後、まだそのドラマシリーズを覚えていて、まとまった金額を一度に支払って DVD BOX を買おうという人が、果たしてどの程度残っているでしょうか。
コンテンツの価値が最も高いのは放送前で、それにシリーズ放送中、シリーズ放送終了後と続きます。国内ドラマの売り方は、コンテンツの価値が下落するのを待ってから、わざわざ旬を外してから発売を開始するという愚かな行為に見えます。
例えば、アニメであればシリーズ放映中から順次単品発売を行い、ある程度は見逃し視聴ニーズも拾える程度の遅れでコンテンツの販売を行っています。また「24」等の海外ドラマであれば、国内での放送よりも早く新シーズンのリリースを開始することで、最もコンテンツの価値が高い時期を有効に収益につなげようとしています。
在庫リスクや分割販売による管理コスト増加を嫌ってのことだとは思うのですが、国内ドラマの売り方を見ていると他のジャンルと比較して必死さが見えてきません。
本当に、対価の還元が重要であり、コンテンツと隣接権へのリスペクトが必要だと考えているのであれば、実演家が持つ許諾権の行使について「相対取り引きで十分」などと寝ぼけたことを言って、市場での競争を排除しつつリスクを回避した方式を続けようとしている放送事業者の言い分をそのまま受け入れるのではなく、また、「地上放送の無料モデルの特殊性」などといった、同じ状態でも収益を上げている他ジャンルの放送コンテンツの存在を無視して、売り方が下手なだけなのじゃないかという視点から目を逸らすだけの意見に浸ることもなく、より収益化に有利な売り方を実現するにはどうするべきかと、影響力を発揮していく方がよほど建設的なのではと考えています。
4/2 (木) から BS h で再放送開始のはずの「CCさくら」が PT1 録画鯖 (HDD 1.5Tx4 / PT1x4 でジャンル「アニメ・子供向け」指定で地引中) での録画予約リストに入っていなかったので EIT 情報を眺めてみたのだが、どうやら姑息にもジャンル指定をずらして EIT を流しているらしい。後番の「アリソンとリリア」はきっちり入ってるのに「CCさくら」だけ抜くとは、NHK もなかなかやってくれるじゃないか。
実際にはただのミスなんだろうけど、モノがモノだけに作為を感じてしまってどうにもいけない。陰謀論信者に堕ちないで、常識人のままでいたいと思っているのだが。
えー当然ですが Blu-Ray BOX 上巻は購入済みです。下巻も amazon にて予約済みで発売待ち状態です。それなのになぜ録画するのかと聞かれそうですが、そこに放送があるからと答えておきます。台風情報で L 時テロップが入るのはいつだろうとか考えるとワクワクしてきませんか?
んで、明日 16:45〜 開催の第50回デジコン委に関して。つーかさ、総務省 情報通信審議会 開催案内ページ [URI] に開催案内へのリンクが追加されたのが先週金曜の 16:30 で、傍聴希望の締め切りが 12:00 ってひどい話だと思わない?
デジコン委の開催案内ページ [URI] は 27 日 10:13 に更新されてるみたいだけど、そこまで到達するリンクがそれまでは存在してないのよ? 掲載時点で申し込み期限が過ぎてるのにどうやって申し込めというのよ。
実際には気づいてからすぐ (27 日 17:40) に傍聴希望のメール送って、傍聴可能の返信が今日の 13:13 に届いてるからいいけど、これ、締め切りの時間だけみて諦めてる人がいたとしたら陰謀論信者に堕ちてても不思議じゃないよ。
まーそもそも「国民による監視は民主主義のコスト」とか考えて審議会の傍聴している時点で立派に変人の仲間入りをしてるのかもしれないけど、そーゆー自分に都合の悪い意見は都合よく無視することにしておこう。
本日のデジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会 (第50回) の傍聴レポートは現在まとめている最中なのですが、会議開始までの待ち時間に google にキーワードを入れて遊んでいたら面白そうな論文を見つけたので紹介してみます。
その論文とは、Aumasson, Jean-Philippe ; Nakahara Jr., Jorge ; Sepehrdad, Pouyan "Cryptanalysis of the ISDB Scrambling Algorithm (MULTI2)" FSE '09, 2009 [URI] です。まだざっと眺めてみただけで、正しく内容を理解してはいないません。
a related-key slide attack in (2^128)/r r-round computations for any number r of rounds that is a multiple of eight (thus including the recommended 32 rounds).
ただ、上記部分が気になったので、もう少し真面目に読んでみようかという気になりました。
Although our results do not represent any practical threat when the 32-round recommendation is followed, they show that the security of MULTI2 is not as high as expected, and raise concerns on its long-term reliability.
一方、上記のように、現時点ではあんまセキュリティ高くないよということが示されただけの段階なので、実用的な攻撃方法を求めている人はあまり期待しすぎないようにしましょう。