日々の戯言
バックナンバー
1月3日(木) P2P と DVDBOX
昨年末に書いた GDH P2P の後日談。せっかくなので (Amazon で 40% OFF だったし) DVDBOX も買って「テレビを見るときは〜」のテロップが入っていないか確認してみた。以下がその結果。
左が P2P 版で、右が DVDBOX 版。当然 DVDBOX の方には問題のテロップは入ってない。色が違うのはたぶん DVD 側の再生に使ってる PowerDVD が補正してるせい。P2P が左右額縁状態なのは DVD はスクイーズなのに対して P2P は上下黒帯付きのレターボックスエンコードな為。WMV ならアスペクト比情報を付与できるのだから DVD 同様にスクイーズ収録すればいいのに、どうして黒帯追加なんて無駄に画質を下げるだけの手法を採用してるのだろう。
この辺調べるために再生してて気がついたのだけど、P2P 版の第02話 OP は何故かクレジットが一切入ってなくて、DVDBOX 版の OP とは絵もまったく別物になってるのね。なんか単純な作業ミスなんじゃないか (絵が違うのは DVDBOX 版がディレクターズカット版で OP を変えた可能性があるけど、クレジットが入ってないのは明らかに作業ミスっぽい) と思いはじめ、他ではどんなミスしてるんだろ〜かと調べるために残りの第03話〜第24話の購入手続きもしてしまおうかという血迷った考えが浮かんだりもした。流石に無駄遣いが過ぎるかと思いとどまったけど。
えーと……一応金を取ってるわけだし、ブランドイメージを毀損せずに済むよう、コンテンツの配信前に再生チェックぐらいしといた方がいいんじゃないかな。
1月4日(金) 12 月視聴番組感想
年末年始の間は通常編成の放送がないので、ノルマがたまらずに済んで楽ができている。今まで見てきた番組の感想とかを書いておく。
- パタリロ西遊記 (テレ玉 月深夜)
一応テレ玉の最終話までは付き合った。途中でぶっちぎるのはどーなのだろうと思うがテレ玉だし仕方がないことなのかもしれん。(C)
- ef - a tale of memories (テレ玉 月深夜)
最終話まで消化。大変すばらしい OP/ED だった。本編のストーリーはあんまり記憶に残ってないけど、そーゆー番組なんだからそれでもいいのだろう。(A-)
- バンブーブレード (テレビ東京 月深夜)
継続視聴中。安定。楽しんでいる。今後もまたーりと楽しめそう。流されまくりの東さんと黒いみやみやに注目中。(A)
- スケッチブック full colors (テレビ東京 月深夜)
低空飛行だったものの最終話まで消化。特筆すべきことなし。(B-)
- D.Gray-man (テレビ東京 火夕方)
4月からの継続番組。特に変化はなくまたーりと視聴中。(B)
- 素敵探偵ラビリンス (テレビ東京 火深夜)
低空飛行。マユキたんが可愛らしいから継続しているけど正直ストーリーはもーちっとどうにかならないものなのだろうか。(B-)
- げんしけん2 (テレ玉 火深夜)
最終話まで消化。構成「横手美智子」だけのことはあり、見てて痛いだけということはなかった。むー就活かー懐かしいな。どっちかというと高坂タイプの就活しか経験してない [URI] ので笹原には同情しかできないなー。(B+)
- Kawaii jeNny (テレ玉 火深夜)
最終話まで消化。今期の番組ではもっとも楽しめた作品。ここまで突き抜けていると称賛しか出てこない。(S)
- キミキス pure rouge (テレ玉 水深夜)
継続視聴中。安定。そこそこ楽しんでいる。(B)
- ドラゴノーツ - レゾナンス - (テレビ東京 水深夜)
墜落寸前。一応まだ見てはいるが、いつ脱落してもおかしくない状態。「考えるな、感じるんだ」と自分に言い聞かせて耐えようにも絵にも動きにも音楽にも見所がないので耐えられそうにない。乳に対する偏愛があれば耐えられたのかもしれないけど、そーゆー趣味はないしなぁ。(C-)
- もやしもん (フジテレビ 木深夜)
最終話まで消化。楽しんだ。終わったのが残念。続きが見たいので、置く場所もないのに原作購入してしまいそう。(A)
- BLUE DROP (テレ玉 木深夜)
最終話まで消化。微妙。あまりよい沢城みゆきではなかったのが残念。デジタル放送でもレターボックスの超額縁だったのでマイナス補正が加わってる。(C)
- ご愁傷様二ノ宮くん (テレ玉 木深夜)
最終話まで消化。大変よい沢城みゆきだった。ストーリーはさっぱりおぼえてないけどきっと感動的な内容だったのだろう。(A-)
- Myself; Yourself (テレ玉 木深夜)
最終話まで消化。( ゚д゚) ぽかーん。「雑波業」への評価がだいぶ下落した。雛子回 (第04話・第06話) はそこそこ楽しめたんだがなぁ。(B)
- 逮捕しちゃうぞ フルスロットル (TBS 木深夜)
継続視聴中。安定。見ててもそれほど痛くないので最後まで見ることができそう。(B-)
- CLANNAD (TBS 木深夜)
継続視聴中。微妙に評価上昇。いかんな、風子召喚あたりでふつーに笑えるようになってしまった。もう人としてダメかもしれん。(B+)
- プリズム・アーク (テレ玉 金深夜)
最終話まで消化。さっぱり内容が判らなかった。多分私にはこーゆーものを楽しむための素養がないのだろう。(C-)
- 灼眼のシャナII (TBS 金深夜)
継続視聴中。安定。のいぢ絵・釘宮・能登の3連撃にめろめろ。ストーリー?それなに? (A)
- デルトラクエスト (テレビ東京 土早朝)
継続視聴中。安定。特に問題なし。(B+)
- しゅごキャラ! (テレビ東京 土午前)
継続視聴中。安定。耐性獲得済みなのでもはや痛さを感じない。このまま最終話まで消化できそう。(B+)
- 機動戦士ガンダムOO (TBS 土夕方)
継続視聴中。デジタル放送で見ると OP の書き込みの緻密さが素晴らしい。ストーリーは……どーにも「武力介入できないソレスタル・ビーイング」という M@D シリーズを思い出して吹き出しそうになるのが困る。(B+)
- スカイガールズ (テレ玉 土深夜)
最終話まで消化。あの痛いストーリーにも関わらず最後まで脱落しなかったとは、黒星紅白は偉大だ。(C)
- ナイトウィザード (テレ玉 土深夜)
最終話まで消化。可もなく不可もなく。特記事項なし。(B-)
- ハヤテのごとく (テレビ東京 日午前)
継続視聴中。なんでこのグダグダの番組をまだ見てるのだろう。釘宮補正があるとはいえ謎だ。(C)
- ダ・カーポII (テレ玉 日深夜)
最終話まで消化。そんなにストーリーが痛くなかったので最後まで耐えられた。(B-)
- レンタルマギカ (テレ玉 日深夜)
継続視聴中。評価変わらず微妙のママ。この痛い魔術設定さえなければもちっと純粋に楽しめるんだけどなぁ。(C)
- みなみけ (テレビ東京 日深夜)
最終話まで消化。ケラケラと笑いながら楽しめた。減点要因なし。1 月からの「おかわり」にもついていく。(A+)
- 獣神演武 HERO TALES (テレビ東京 日深夜)
継続視聴中。評価はちょい下落。まだ脱落を心配するほどではないのだけど、ちと微妙。(B-)
前回 から脱落したのは「はたらキッズ・マイハム組」「ぷるるん!しずくちゃん」の 2 本のみ。週 28 本ならさほど負荷が高くなかったので C 評価のものも生き残ったらしい。
1月6日(日) 掃除
年末に大掃除をさぼった埋め合わせ。床の上に積んである本の山をどかして積もった埃と毛玉を掃除機で吸い、床にこびりついているナニカを雑巾で拭う。ひととおり片付いたら除けていた本を戻して、残りの部屋も同様に。
プリント出力や雑誌の類を「判断に悩む物は捨てる」基準でまとめて紐でくくり、今度の資源ごみの時に出す用途で玄関まで運んでおく。ここ4年ほどまともに掃除していなかったために汚れがひどいことになってる便所も掃除する。
ここまでやる必要があるのかなと悩んだりもするけど、すでにまともな思考能力は失われているので、洗面所も磨き、鏡の水汚れを落とす。台所のコンロの吹きこぼれと油汚れが炭化してこびりついているのも削り落す。
ふと我を取り戻した時には既に二日が経過し、年始休暇最後の日が暮れていた。まー部屋が綺麗になったのはいいことなのだけど、どーせ二ヵ月後には埃まみれの床に戻ってるのかと思うと空しくなってくるな。そーならないようにマメに掃除機をかけてればいいのかもしれないけど……やらないだろうなーこれで同じこと考えるのは 4 度目だし。
1月7日(月) ARIB STD-B25 仕様確認テストプログラム ver. 0.1.1
バグ報告があり、確認ができたので修正した。修正版は [URI] からダウンロード可能。
セクション (PAT/PMT/ECM 等) が複数 TS パケットに分割されている (184 バイトを超えていた) 場合に、先頭パケット以外が先になっていた場合に正しく処理できていなかったのがバグの原因。
手元でテストした際には PAT/PMT/ECM いずれも 1 パケットで収まっていたので問題に気がついていなかった。報告してくれた方に感謝。
1月11日(金) ARIB STD-B25 仕様確認テストプログラム ver. 0.1.2
デジタル BS 放送等で、休止中のチャネルの PMT PID が PAT に記述されているため、PMT 未着エラーとなり処理できなくなっていた問題に対処した。更新版は [URI] からダウンロード可能。
二周目の PMT が届き始めたら、すべての PMT が到着したものと判断して ECM 検索フェーズに移行するように変更した。また、PMT の記述子領域 2 に CA_descriptor が存在し、特定ストリームだけ別 ECM で暗号化されている場合でも正しく処理できるように変更した(つもり)。
ただし、後者の修正点に関しては本当にこれが処理として正しいのか自信がない。というのは、南関東で受信可能な地上デジタル放送では物理 (UHF) チャネルで単一の ECM しか使われていない (SD マルチ放送であっても同一の ECM を参照している) のでサンプルが存在しないため、テストができていないから。
デジタル BS 放送では正常に動作しないということで提供してもらった BS-J のサンプルでは、PMT の記述子領域 2 に CA_descriptor (デスクリプタ ID: 0x09) を検出したので、これで動作確認ができるかもと期待したのだけど、これをパースしてみても本体の PID はストリーム内に存在しないし、ECM PID も 0x1fff と NULL パケット (パディングストリーム) の PID が指定されている始末。どこかで処理を間違えているのかと不安になるけれども、デバッガ上で追いかけた限りでは異常な処理を見つけることができなかった。
無駄にページ数が多くて、日本語版を買うと高くなってしまうから TR-B14/B15 は読んでなかったのだけど……やっぱり読んどいたほうがいいのかなぁ。
1月21日(月) メイン PC 組み換え
昨日 E8400 (wolfdale 3.0GHz) と対応 MB (GIGABYTE GA-P35-DS3P) およびメモリを購入してきたのでメイン PC の中身を入れ替えた。初物価格なのはある程度納得済みなのでさほど後悔していない。以前 (Athlon64 2.2GHz/nForce4) と比較するとチップセットファンの分静かになっているのがうれしい。
とりあえず昨日のうちに完了したのは OS 再インストールと Windows Update、エディタと通信環境の再インストールまで。今は開発環境のインストール中。多分今日中にはほぼ旧来の環境を復活させることができるだろう。
VC6 はいい加減インストールしなくてもいいかと思ったのだけど、まだ仕事で VC6 と完全に縁を切ることができていない間はインストールしておくかと考え直した。コマンドライン環境をインストールしなければさほど環境は汚さないはずだし。当面は VS2008 と共存させることにしよう。
1月23日(水) ええい、TR-B15 (4.2 版) はまだか
ここのところ毎日 ARIB の頒布図書のページをチェックしてるのに、一向に TR-B15 (4.2 版) が注文可能にならない件について。中旬というのは 10〜20 日のことを指すのではなかったのだろうか。
あくまでも中旬頃 なのでまだ予告範囲内なのかもしれないけど。eggman さんの真似をして直接メール出してみるべきなのかな。本棚にスペースを確保して後は注文するだけの状態に準備しているのにいったい何時まで待たせるつもりなのだろう。
1月24日(木) X Video Station for Digital
eggman さんの記述 [URI] 経由で知った、MIRO さんの偉業 [URI] ワンセグ限定とはいえ、あの 妄想 を既に形にしていた人がいたとは……。
今日の昼の段階ではまだあきばお〜に在庫はあったようなのだけど、ここのところ出費がかさんでるからどーしようかと悩んでいる間に売り切れ。残念。まだ他の店では在庫があるようだけど、一気に 1000 円近く価格が上がるからなぁ。
うーむ私が MULTI2 と戯れている間にも、着実に世の中は進んでいるのだなぁ。(MULTI2 の件についてはまだ公開できるほどの情報は集まってないのでもう少し水面下での作業が必要)
1月28日(月) 明日も総務省いってきます
今日の 16:45 に「傍聴希望の方へ」なメールは届いてるので明日の「デジタル・コンテンツの流通の促進に関する検討委員会 (第31回)」は聞きにいきます。Friio スレッドで気にしてる方がいたようなので一応報告。
そろそろ制度的エンフォースメントの具体案ぐらいは固まったかなと思いつつ、放送局以外の権利者が機器に対する制限を希望してない状況で製造とか販売とかを制限することができるのかしらという辺りが聞き所になるかと妄想中。
前回 同様聞いた内容は記憶してる範囲内で報告します。
1月29日(火) デジタル・コンテンツの流通の促進に関する検討委員会 (第31回)
今回も陰険漫才を聞いてきました。まず、多くの人が気になってるだろう無反応機 (Friio) およびスクランブル関連の話題がとりあげられたかどうかについて。今回は放送コンテンツの二次利用向け流通市場 (権利データベースの構築や取引ルールのガイドライン作成等) に関する検討状況の報告が主ということで、無反応機関連の話題は取り上げられませんでした。
それでもそこそこ面白い話が聞けたので、聞いた内容をまとめておきます。(傍聴希望者 20 名の枠に入ったものの義務として)
◆◇◆
まず、配布資料は以下の4点でした。
- コンテンツの取引市場形成について (取引市場ワーキンググループでの検討状況報告)
- 取引市場データベースについて (社団法人デジタルメディア協会からの参考意見)
- TV番組の二次使用活性化にむけた取引市場データベースの視点 (東北新社からの参考意見)
- 「Yahoo!動画/TVバンク」事業について (ソフトバンクグループのTVバンクからの参考意見)
直前の会議が長引いていたとのことで、当初予定よりも 10 分遅れて会議が開始されたのですが、配布資料の順に報告や意見発表が行われました。
取引市場ワーキンググループからの報告要点をまとめると以下のとおりです。
- 海外と比較すると、日本国内では TV 番組の二次流通が少ない
- アメリカや韓国では放映翌日からネット配信が行われている、放送事業者が直接配信をしている
- 映画コンテンツではネット配信も行われているが、放送コンテンツは配信されていない
- TV番組が死蔵されている
- 違法な動画もアップされているニコニコ動画のユーザ数が Gyao のユーザ数を上回った状態で、どうやって市場を作るべきかが問題
- 制度や規制によって (コンテンツ作成者の権利を制限することで) 実現すべきという意見があった
- しかし現時点の理解としては制度や規制の導入は考えず、民間でトライアルを行う、著作者の権利は維持して、許諾ベースの運用を行うという前提
- 問題点1、既存市場との衝突懸念 (放送とネット配信は競合関係にあるので、既存プレイヤーである放送局は消極的)
- 問題点2、プレイヤーがリスクを負いたがらない
- 問題点3、既存の相対取引で十分だと考えるものにとってトライアルにメリットがない
- 以上から、放送局が権利を持つコンテンツについては難しそう
- 作成者が権利を持つコンテンツや権利者団体が管理しているものに関しては意味があるかも
- しかしリスクとコストを負担してでも市場を立ち上げたいプレイヤーの不在
- プレイヤーが居ないのに、国はどこまで関与すべきか
- 相対取引で十分だと希望するプレイヤーが多いのならば、マーケットがそれを選択したということだから国は関与せず、マーケットに任せるという選択肢もある
- プレイヤーが居ない状態では具体論をする意味がない
- 誰がコンテンツを求めているのか、どのようなデータベースが必要なのか、どんな役割分担でやるのかの整理が必要
- 少なくともトライアルというものに意欲を持っているプレイヤーを明確にした上で議論を進める必要がある
コンテンツ取引市場ワーキンググループが機能してないという悲痛な報告だというのが聞いていての感想です。既存勢力の抵抗は強固なようですね。
2番目の、社団法人デジタルメディア協会からの意見の要点は以下のとおりです。
- データベースのニーズを見極める必要があるとの報告だが、コンテンツの流通や作成といった立場から意見を述べたい
- 社団法人デジタルメディア協会とは、コンテンツ作成者と配信ウィンドウを提供しようとするコンテンツ事業者から構成されている団体
- 製作者側は可能な限り多様なウィンドウに提供することで対価を得ることが望ましい
- その際、より有利な対価が想定されるウィンドウを選択可能な環境が整備されてほしい
- 相対取引ではなく、作成者と事業者双方の選択の機会が拡大することが望ましい
- ただし、個別の企業では取引市場構築のコスト負担が難しい
- 日本はブロードバンド大国であるにもかかわらず、コンテンツの流通に関しては遅れている
- 海外 IT 企業からは既に日本市場が無視されつつある、市場としての地位が下がっている
- このままではコンテンツ輸入大国になりかねない
少なくとも、出版やゲーム系のコンテンツ作成者とコンテンツ配信事業者はコンテンツ取引市場を求めている (コストはなるべく負担したくないけど) との意見でした。
3番目の、東北新社からの意見の要点は以下のとおりです。
- 東北新社とは、番組作成・TV 配給・CS 放送を行っている企業
- 二次流通市場の成長に大きな期待をしている
- 新規作成コンテンツであっても、ルールや慣行が存在しないため、二次流通を前提とした契約にできてない (古い番組が二次利用できないだけではない)
- 他にもさまざまな問題はあるので、それらの解決に結びつくようなデータベースに期待する
- しかし (権利者と配信事業者の直接取引きという形になると) 既存の仲介事業者 (海外番組を調達して TV 局に卸すような) にとって圧迫となりうるので、十分に配慮してほしい
- データベースの運営主体は中立的かつ独占的なものにならないことが望ましい
こちらは番組作成事業としてはデータベースのメリットを享受できる立場だけれども、チャネルへの仲介という取引データベースと競合する事業も営んでいる微妙な立場からの意見です。実に複雑ですね。
最後、Yahoo!動画/TVバンク からの参考情報です。資料は一番厚いのですけど、半分以上が宣伝内容なので一番中身が薄いんですよね。
- ネットワーク配信の現状として、YouTube に続く国内 2 位の動画サービス事業者 (3 位はニコニコ動画で、4 位は Gyao、YouTube とニコニコが急激にユーザ数を伸ばしている)
- 視聴数のタイトルの内訳は、無料広告コンテンツが 95% で、CM 無しが 3%、会員無料が 1% で有料コンテンツは 1%
- 視聴数のカテゴリ内訳は、音楽 29%、グラビア 22%、アニメ 13%、ドラマ 12%、映画 7% の順
- ただし、課金売り上げとしてはアニメが約 6〜7 割
- 製作委員会方式のアニメーション作品は権利処理がしやすく展開が容易
- CM ミュージアムという CM のみの視聴サービスも扱っているが、CM であっても権利処理の問題がある
- 動画投稿サイトの状況を見るに、放送番組のネット視聴のニーズは高い
- 製作委員会が権利管理しているアニメーション以外はあまり展開できていない
- 消費者ニーズや事業性を確かめる意味でもトライアルには賛成、ただ、成功するかどうか見極めるために具体的に検討が必要
ネット配信事業者としては普通の意見ですね。カテゴリ内訳や課金売り上げの内訳は貴重な情報です。
以上の報告の後で、各委員の意見表明が行われました。まずは恒例らしい河村委員から。
- 放送事業者が障害になっている
- 放送事業者が権利を持っているものに関しては、ネット配信に乗り気でなくても仕方がないのかもしれない
- しかし、二次利用のために権利保護が必要だと訴えてきた放送局に文句を言いたい
- 取引上の立場によって製作者にとってフェアでない環境があるのなら改善が必要
次に高橋委員の意見
- 既得権を持っている方と新規参入される方で衝突している
- 民民でのトライアルは暗礁に乗り上げそう
- コンテンツの二次利用だが、消費者利益を無視している
- 海外と比較して日本の消費者は非常に不利益をこうむっている、いつまでこうでなければいけないのか
- 消費者・生活者重視が国会でさかんにうたわれているが、消費者行政の中に情報通信分野も入るのは当然
- そろそろ制度の話 (権利制限) に戻ってほしいなという気分です
次に椎名委員の意見
- 実演家としてはどの程度リスクを負担するつもりがあるのかということが気になる
- 権利処理のコストは高いもののあるかもしれないし、低いものもあるかもしれない
- 高いものはハイリターンかもしれないし、あるいは低いけれどもハイリターンというものもあるかもしれない
- それを一括で、権利処理のコストが負担になっていると語られるのに抵抗がある
- 権利処理というのはマスト(必ずクリアしなければいけない部分)なのだから、それが面倒なのならば流通するわけがないし、流通しないほうがいい
- 権利者側も別に手をこまねいているわけではなく、ワーキンググループで紹介したが権利情報を提供したりもしている
- 権利者側が志しているのに二次利用を求めている方が及び腰であるというのはもうこれは流通の拡大というのは困難なのではないか、リスクやコストを負担していく姿勢が必要なのではないか
- 相対がよいか、市場がよいかについてはコメントする立場にない
- YouTube とニコニコの問題を解決しないとだめなんじゃないですか
次に元橋委員の意見
- NHK の VOD サービス、珍しく朝日新聞にほめられた
- 放送法改正で NHK がそういったサービスを行う障害を越えることができた
- 2008 年予算が通ればアーカイブスオンデマンドに予算をつけられる、予定としては 12 月からサービス開始し、放送翌日以降、1 週間程度配信を継続する
- それ以降に関してはアーカイブとしての VOD も検討している
- 諸外国では、例えば BBC では iPlayer という専用プレイヤーでのみ視聴可能な形だけれども、そできるだけ幅広くコンテンツを視聴してもらうため専用プレイヤーは導入しない
- 独立会計でやれということになって、受信料を使うことはいけないと法律で決まったので、受信料とは別の有料サービスになる予定
- 個人的な意見だが、YouTube やニコニコに違法コンテンツがアップロードされている実態が問題なので、抑止力が欲しいが、正規コンテンツを適切な価格で提供するのが筋ではある
- 放送をリアルタイムで見ていただきたいのはやまやまだけど、見られなかったお客様にはネット経由でも私たちが作った画面を見ていただく、今頃参入するのが早いのか遅いのかわからないが、とりあえず 12 月から参入する
次に植井委員の意見
- 放送事業者は積極的でないとの意見があったが、放送外収入のアップは至上命題であって、むしろそういったことに向けて必死にならなければいけない状態にある
- コンテンツ流通・コンテンツマーケットをどうするかという話であって、ネット配信に特化した話をこの場で議論しているわけではない
- ブロードバンドで流れれば他のビジネスは終わってもいいという話ではない、ネット配信に特化した話ではないと確認したい
- ビジネスとして適法にコンテンツが流通し、コンテンツ作成にかかわったすべての方々に適正な利益を配分させていただくことが必要だと思っている
- アメリカの動画投稿サイトに違法な複製物が大量にあふれ出るようなコンテンツサイトへの対策は正規のコンテンツマーケットを構築するためにも是非とも必要
- このままではネット上では適正なコンテンツビジネスが成立するのは難しいのではないかと考えている
- そもそも、ネット上のコンテンツ流通を制度的対応が必要なのならば、むしろプロバイダ責任制限法の改正といった制度的対策こそが必要だと考えている
次に佐藤委員の意見
- 放送事業者にとってもコスト負担が難しいのは変わらない
- TV 放送時の無料広告モデルの収益と、ネットワーク配信字の無料広告モデルの収益を比較して、勝算がない限り参入は難しい
- コンテンツを安売りしてしまうと、その後高く売ることはできない、なるべく高い値段で、最大の収益をあげ、最大の影響力を行使しようと設計している
- 無料広告モデルに挑むにも勝算を得るために十分な数字が得られていない。
- 競争をしているので既存事業者が新規参入に厳しいのは当然。
- 事業者間での競争に寄与しないデータベースには冷淡になってしまう。
次に池田委員の意見
- IP 再送信、著作権法が改正され可能になったが、再送信の申請をしにきた会社はまだ一社しかない
- おそらくいろいろなハードルがあるのだろうから、一足飛びに二次利用は進むものではない
- 動画投稿サイトへの不正投稿、これによっていろいろなところで市場が消えつつある
- シンガポールでは P2P による違法動画流通が進んでいて、アニメーションを売りにっても買う人がいない
- 市場が死んでいる、この環境を何とかしないことにはいけない、海外には手が届かないので制度面の対応をしていただきたい
- 環境を整えていただくまでは二次利用は進まないだろう
次に岩浪委員の意見
- 着メロで音楽市場は拡大した
- 電子書籍も拡大している
- 倍々と市場が拡大し、ケータイ小説などの新しい市場も生み出している
- 多くのプレイヤーは許諾を受けている
- オープンネットワークを利用した市場にニーズがあるのかと問われれば、ニーズはある
次に浅野委員の意見
- 本当に見る人がいるのかと、すくんでいるのではないか
- 大量の悪貨がある状態で、見てくれるひとがいるのかわからないとすくんでいる
- 暴論になるかもしれないが、悪貨に負けないほどの大量の良貨を、権利者との協力で例えば過去 5 年分のコンテンツを一度全部公開して、ユーザがどんな反応をするか見てみるべきじゃないか
次に、BB ケーブルの佐藤オブザーバ
- 動画投稿サイトがはやっていて、権利者の皆様にお金がおちてこない、この状況をなんとかしないといけないという意見には同じ立場ではないかと思う
- 放送局としてはパトロールを行って、コストをかける状況をなんとかしたいのは理解する
- それに取り組む姿勢について若干ちょっと違いがある
- 私たちとしては一度やってみたらどうかと提案したい、ソフトバンクグループとしてはトライアンドエラーという文化がある
- 取引市場としてもわれわれのビジネスにプラスになるかどうかは分からないが、権利者の皆様であったり流通のわれわれが WIN-WIN-WIN の関係になれればハッピーだと考えている
- 取引市場の件に関しては、そういった面も含めて、そろそろ具体的に「じゃあこういった項目はどうしましょうか」といった展開になって欲しいと期待してる
以上で意見交換はおわり、次回は 2/19 と 2/29 という連絡があって散会しました。
◆◇◆
これらの意見交換をまとめると、消費者の攻撃「民民の契約でうまくいかないなら法改正で権利制限だ」放送局の逆切れ「みんな動画投稿サイトが悪い」でおしまいだというのがなぁ。なんつーかホント陰険漫才だね。
つーかそんなに YouTube とニコニコが嫌いなら「著作権法違反」と「著作権法違反幇助」で訴えればいいじゃないとか思ってしまう。それ以上どんな権限が欲しいのだか。確か JASRAC は YouTube およびニコニコと包括契約してるはずなので勝手にニコニコ上で JASRAC 管理の曲を使っても問題ないはず。それを見習うなり、条件が折り合わないなら訴えるなりすりゃいいだろうに。
1月30日(水) ARIB TR-B15 (4.2 版) 注文
昨日委員会の傍聴から帰ってきたあとで ARIB の頒布図書ページをチェックしてみたところ、TR-B15 の新らしいバージョンが注文可能になっていたので発注。
放送データの情報の意味 (この情報があったらどういう形に解釈すべきか) という内容が書かれているらしいのでその辺に期待して 29,000 円の出費を許容することにした。あったほうがいろいろと便利なものだし。
たぶん来週中には届くだろう。到着が楽しみ。
1月31日(木) コンテンツの取引市場関連の感想
検討委員会 傍聴 から一日おいて、その間に思いついたことあれこれ。
まず、取引市場ワーキンググループの昨年 9/18 段階の名簿 [URI] を見ると一目瞭然というか、このメンバーの中で作業してる中村主査に同情してしまう。放送局関係者と権利団体の人しかいないじゃない。流通側の人間もオブザーバ参加してるのだろうけど、固定メンバーとして意見が言えるわけじゃないのだろうからそりゃ後ろ向き (相対取引の維持) な主張が支配的になるよなぁ。
で、取引市場トライアルに消極的な参加者ばかりで構成されてるワーキンググループでそれでも取引市場構築を進めたいなら、著作権侵害の非親告罪化の保護対象を取引市場で非排他的かつ合理的価格でライセンスされるものに限るとゆー餌を投げるべきじゃなかろーかと考えてしまう。こーゆー餌があればひたすら YouTube とニコニコを非難してた方々はころりと態度を変えそうに思える。
個人的には非親告罪化は大反対なわけだけど次の条件を満たしてれば賛同する人はそこそこいるのじゃないかなーと思ったりもする。
- 非親告罪化の対象は複製権侵害と公衆送信権侵害に限定する
- 二次的著作物の原著作者への権利侵害は非親告罪化の対象としない (創作を過度に萎縮させることがないように)
- コンテンツ取引市場のような場に登録され、非排他的に合理的な価格でライセンスされるものしか非親告罪化の対象としない
実際のところ、著作権法というのはひどい法律で、ここでだらだらと書き連ねている内容すら著作物として保護される (公表した時点で権利が発生する) 法なのよ。親告罪である (著作者が訴えない限り、権利侵害が成立しない) からこそ世の中が回ってるわけだ。
そんなものを非親告罪化して、著作者の訴えがなくても捜査・逮捕・起訴ができるようにしようだなんてとんでもない話だと思うでしょ? 過去に似た内容を書いてる人がいたらそれだけで逮捕されるかもしれないのよ? 警察にそんな権限渡して、別件逮捕のために有効活用されるなんて状況は実現してほしくない。
けれど、上で書いたような条件ならば何とか我慢することができる。で、取引市場の成立にむけてのインセンティブになるだろう。
実際には縦割り行政とかで難しいのかもしれないけど、こーゆー意見とかが出ることってないのかね。(まー既に検討済みで、私が思いもよらなかった障害があってぽしゃったという可能性のが高いけど)
[TOP]