日々の戯言


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11月7日(金) ソフト CAS の可能性 [この記事]

先月のデジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会 (第45回) では、B-CAS の見直しとして、カード・チップ・ソフトの三方式で、現在の B-CAS に対して出されている批判の、どれが解決できて、どれが解決できずに残り、また、新たに発生する問題は何かということを比較していくという (当面の) 方針が示された訳ですが……正直な感想を言うと、ソフト方式が選択肢として出てくるとは思っていませんでした。

実は、ソフト CAS は既に技術仕様自体はある程度固まっていて、ARIB STD-B25 5.0版 [ARIB が公開している PDF への直接リンク] の第3部として、昨年から公開もされていました。

ですが、この方式は既存の B-CAS カードとは ECM のフォーマットに互換性がありません。もしもこれを採用するのだとすると、次のいずれかを選ぶことになります。

  1. これまでに販売してきた地上デジタル受信機を見捨てて消費者に買いなおさせる
  2. これまでに販売してきた地上デジタル受信機すべてで、ソフト CAS に対応するためのファームアップデートを行い、一斉に切り替える
  3. 放送事業者が送出設備を二重に持ち、既存受信機向けの放送と、ソフト CAS 対応受信機向けの放送を、物理チャネルを分けて並行して行う

最初の選択肢は、2011 年のアナログ放送廃止というスケジュールから見ると、ここで受信機の普及率を 0 にリセットすることになりますから、まず現実的ではありません。

二つ目の選択肢にしても、ソフトウェア改修のコストはどうするのとか、そもそもそんなことが可能なのかとか、物理的に対応できない受信機があればそれは見捨てるのかとか、アップデートに失敗したらどうするのだとか、地デジ受信機から撤退してるメーカはどうするのだとか、問題点が山積みで現実的な案には思えません。

最後の選択肢は……UHF 帯は空きが多いので物理的には可能かもしれませんが……そもそも当初の目的だった電波の有効利用とやらはどこへ……とか、送出設備を二重に抱えるぐらいなら B-CAS システムのコスト負担の方が軽いんじゃないかとかでこちらも現実的ではありません。

こういった事情があったためか、昨年末の時点で、ソフト CAS は導入が断念 [参考 URI] されています。

一応私はこの辺の内容を記憶していたので、現時点で可能な技術的見直しはチップ組み込み方式ぐらいだろうと予想して、10 月 7 日の内容 [URI] を書いた訳です。

ARIB STD-B25 5.0版 第3部を無視あるいは手直しをして、既存 B-CAS と ECM に互換性を取れる形としてであればソフト CAS の導入の可能性がない訳ではないのですが……その場合、本当に、ソフト CAS がセキュリティ的にゆるゆるの柔らかい CAS になりかねないので、現実的には採用されることはないだろうと予想しています。

◆◇◆

一応予告しておきます。今月 13 日のデジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会 (第46回) も、傍聴希望メールは送信済みなので、聞いてくる予定でいます。傍聴レポートをあげるのは週末になってしまうでしょうけど。


11月10日(月) ARIB STD-B25 仕様確認テストプログラム [この記事]

バグ修正での更新です。ダウンロードは [URI] からどうぞ。変更内容は次の 2 点のみです。

最初の修正が影響するのは、B-CAS カードに書き込まれている通電制御情報を表示する場合のみです。通常の利用には影響しないので、特に困っていない場合は更新する必要はありません。

ARIB STD-B10 第2部 付録C の記述をコードに落とす際に一部ミスしていたのが原因でした。EIT を眺めて遊ぶ際に、MJD の展開処理から浮動小数点を除去してみて、旧コードの結果と比較している時に問題に気がつきました。

今回のコードでは、手抜きをして 2000 年 3 月 1 日以降についてしか、正しい日付は保証しない形になっています。また、月日を求めている箇所はそこそこ邪悪な処理になっているので、参照する場合は注意してください。


11月21日(金) デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会 (第46回) [この記事]

週末に作業が間に合わなかったデジコン委員会 第46回 の分の傍聴レポートです。結局開催から一週間以上経ってしまいました。今回の内容はワーキンググループからの検討状況報告では無く、第五次中間答申へのパブリックコメントでネット権・ネット法側から「偏った検討に基づくもの」「様々な立場のものから広く意見を聴取して」等の批判を受けての、ネット法および知財本部関係者からのヒアリングと意見交換 (……というかアウェーでの吊るしあげというか……) が主な内容でした。

議事自体は、次の流れで進みました。

まず、最初の村井主査からの開会の挨拶ですが、今回からこの検討委員会に委員が追加されたということで、KDDI から 雨宮 俊武 委員 (コンシューマ事業統括本部 コンテンツメディア本部長)、パナソニックから 今井 浄 委員 (AVC ネットワークス社 副社長)、ソニーから 久保田 幸雄 委員 (業務執行役員 技術渉外担当) の紹介がありました。

雨宮委員は以前から、オブザーバとして参加していた方で、今回も出席していたのですが、パナソニック・ソニーからの両委員は今回は欠席とのことで、村井主査からの名前の紹介だけでした。

残りの挨拶部分と、資料の確認は飛ばして、岩倉オブザーバの発表から、議事を追っていくことにします。発表の内容は、次のようなものでした。

以上で岩倉オブザーバの発表は終了しました。次に発表を行ったのは三尾オブザーバで、その内容は次のような形のものでした。

以上で三尾オブザーバからの発表は終了しました。次に発表したのは関本オブザーバで、その発表内容は次のような形のものでした。

以上で関本オブザーバからの発表は終了しました。次に発表したのは佐藤委員で、その発表内容は次のような形のものでした。

以上の発表に引き続いて、岩倉オブザーバに対して 4 つほど質問をしたいとのことだったのですが、村井主査から、他の方の発表が完了してから意見交換の際にとのことで、とりあえず次の発表に進むことになりました。

次の発表者は椎名委員で、その内容は次のような形のものでした。

以上で椎名委員からの発表は終了しました。ここで事前に発表を予定されていた方からの発表は終わったようなのですが、村井主査から、堀委員からも意見を頂きたいとの指名があり、堀委員から次の内容の意見が出されました。

以上で堀委員からの意見は終了しました。ここから、意見交換および質疑応答ということで、さきほど後回しにされた佐藤委員の質問からスタートしました。

佐藤委員からは、4 つほど質問を予定していたけれど、時間が無くなってきたので、3 つだけお願いしたいと前置きがあり、以降、一問一答の手順で進んで行きました。最初の質問は次のような内容でした。

この質問に対する岩倉オブザーバの回答は次のような内容のものでした。

以上の回答を受けての、佐藤委員からの二つ目の質問は、次のような内容のものでした。

岩倉オブザーバが、この質問に答える前に、村井主査から、次の内容の議事進行に対する要望が出ました。

以上の要望を受けての、岩倉オブザーバからの回答は次のような内容のものでした。

以上で岩倉オブザーバの回答は終了しました。次に、寺島オブザーバと高橋委員が発言を用意しているとのことで、村井主査から寺島オブザーバが指名されたのですが「もう時間で、私もいずれにせよ反対意見だが、大体主要な反対意見は披歴されているので、もし次回また呼んで頂けるのであれば、制作事業者として反対表明をしたいと思う」と発言されて、詳細な発言は辞退されました。

ここで、華頂委員が発言を求めて、次の内容の発言を行いました。

以上で、華頂委員からの発言は終了しました。次に、高橋委員が村井主査から指名され、次のような内容の発言を行いました。

以上で高橋委員の発言は終了しました。次に、菅原委員が発言をしたのですが……傍聴席からは、前半部分がうまく聞き取れなかったので、断片的な紹介になります。三点指摘をしていたのですが、最初の二つはほとんど聞き取れませんでした。

以上で菅原委員の発言は終了しました。次に、岸上委員から、トライアルの受賞作品の内覧会の案内が行われました。

以上で岸上委員の発言は終了しました。次に、村井主査から、まとめのような、次回以降に向けての方針のような発言が行われました。その内容は、次のようなものでした。

村井主査からの発言は以上でした。この後、事務局の小笠原課長からの挨拶と、村井主査からの閉会のあいさつがあって、今回の会議は終了しました。

◆◇◆

とりあえず岩倉オブザーバの発表内容についての感想から。

直接プレゼンを聞くと、スジの悪さが際立ちますね。一体、説得しにきたのだか、喧嘩を売りにきたのだか。聞き始めた最初のころは、一応説得するつもりで来てるのだろうと思いこんでいたので、だいぶ首をひねりながら聞く羽目になってしまいました。

例えば私がネット権を売りこまなければいけない立場に立たされたら、どんな風に話を進めるだろうかという例で考えてみます。

まず CPRA が一番嫌がっているのは CPRA 以外が、実演家のネット権者となることです。次に、CPRA が実演家のネット権者になれたとしても、応諾義務を負わなければいけないので、ネット権に反対するという立ち位置にあります。

デジコン委員会で、椎名委員は、実演家がネット配信に「ノー」というのは対価が折り合わない場合のみで、対価さえ折り合えば「OK」を出すと繰り返し発言をされています。「通信事業者はコンテンツを作らない」「通信事業者はコンテンツを安く調達したいだけ」「権利者はネット配信の障害では無い」という恒例の発言ですね。

これらの条件を見る限りでは、応諾義務のところさえ納得させることができれば、CPRA をネット権側にとりこむことができそうに思えます。例えば次のような話をするとどうでしょうか。

どうせネット法には「合理的な対価での使用申請に対しては応諾しなければいけない」とか条件が付くのでしょうから、この方向での説得の方が成功率が高そうな気がするのに、どうしてそれを取らないのでしょう。

もしもこれでもネット権に反対するのだとしたら、今までの椎名委員の発言は何だったのという話に、つまり、「逆の方向に非合理的な、高すぎる対価じゃなきゃ許諾しないってこと?」と「それは実演家がネット配信の障害になっているってことじゃないの?」という方向で切り込むことが可能になるのに、どうしてそれをとらないのだろうと、説得する気がまるで無いなぁと思いながら聞いてました。

◆◇◆

個人的には、ネット法は現状を実質的に追認して、補強して固定するだけの効果しかないと評価をしたので、あまり賛成しません。

なんで現状から実質的に何も変わらないのに、わざわざ権利者団体とかに新たに法的裏付けをプレゼントしてやらなければいけないのだろうと考えたりはしませんか?

◆◇◆

次に、関本オブザーバの発表内容についての感想とか。

こういう具体的な話はすっと頭に入って判りやすいのでうれしいですね。NHK オンデマンドのコスト構造 [権利コスト/サーバーコスト/回線コスト/決済コストの内訳] とか、価格設定の根拠とかも聞けるともっと嬉しいのですけれど、さすがにそこまで期待するのは贅沢かなぁとも思います。

◆◇◆

さて、堀委員の発言の感想を。

仮にも上場企業の代表としてその発言はどうなのかなぁという感想を持ちました。以下、ちょっと抜き出してみます。

最後に抜き出したのはちょっと毛色が違いますが、えー縮小していくマーケットで細々と営業を続けていきますと、パイを広げる努力も、すそ野を広げる努力も、海外のサービスと利便性で競い合う努力もしませんと、海外のサービスが来たら白旗をあげますと。

そういう受け取り方もできる発言なんですが、それでよいのでしょかね。


11月30日(日) PT1 購入 [この記事]

それなりに潤沢に出回り始めたらしく、金曜日の昼御飯を食べた後ふら〜と見て回っていたら在庫を発見したので 2 枚購入。本当は 4 枚欲しかったのだけど、他に必要としてる人も入手できた方がいいかと考えた。

当然専用 PC に入れるつもりだったので、昨日今日と PC パーツを買い漁り、今日の時点で一通り組み上げるところまで到達。というわけで、デバイスマネージャのスクリーンショット [URI]

このスクリーンショットに載っていないパーツとして、MB は MSI の P45 Neo3 で、メモリは UMAX の 1Gx2 という選択。動けばそれでいいと割り切った。CPU ももっとケチっても良いかと思ったのだけど、一応少しだけ余裕を持たせてみた。

さて、問題はソフトの方なのだけど、こちらは全然作業できていないからなぁ。デバイスも手に入ったことだし、すこしは作業時間を確保するようにしなければ。


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