日々の戯言
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2月1日(金) ARIB STD-B25 仕様確認テストプログラム ver. 0.1.3
110CS 放送等で、未契約状態のプログラムに対して、B-CAS カードから鍵が取得できていないにも関わらず、間違った鍵での暗号解除を試み、壊れたストリームを出力していた問題に対応。ダウンロードは [URI] から。
B-CAS カードからの戻り値をチェックし、0x0800, 0x0400, 0x0200 (購入済み・視聴可) 以外の場合は MULTI2 モジュールのインスタンスを作成しないように変更し、MULTI2 モジュールのインスタンスが存在しないのに暗号化されているパケットではスクランブルフラグに手をつけず、入力を素通しする形に変更。
購入済み・視聴可以外の応答があった場合は、処理終了時に復号しなかったプログラムの、チャネル番号・処理できなかった ECM の数、B-CAS カードからのリターンコード、全 TS パケット数、暗号化されたままの TS パケット数を表示するようにした。
さらに、一切暗号化されていないストリームが入力された場合、例外を発生させるバグも報告して頂いたので修正した。
バグ報告および、サンプルストリームの提供をしてくれた方に感謝。
2月2日(土) ARIB TR-B15 4.2 版 (全 4 冊) 受領 / ARIB STD-B25 仕様確認テストプログラム ver. 0.1.4
予想していたよりも ARIB の事務処理が迅速だったようで、昨日のうちにクロネコヤマトで ARIB TR-B15 4.2 版 を受け取ることができた。料金の振込み手続きは済ませたけど、FAX で振込み通知までしなきゃならないのがちと面倒なんだよなぁ。
とりあえずざっと目を通してどこにどんなことが書いてあるかは把握できたと思うので、後は必要になる都度参照することにしよう。
◇◆◇
昨日公開した ARIB STD-B25 仕様確認テストプログラム ver. 0.1.3 ですが、修正時にエンバグしていたようです。番組の境界をまたいでいる (PMT が更新される) 場合、更新以降、復号処理が行われなくなってしまいます。現在修正作業中ですので ver. 0.1.3 の使用は避けて ver. 0.1.4 の公開をお待ちください。
◇◆◇
修正版です。ダウンロードは [URI] から。変更内容は以下のとおりです。
- ver. 0.1.3 での PMT 処理方法変更に問題があり、PMT が更新された場合、それ以降で正常な処理が行えなくなっていたバグを修正
- B-CAS カードとの通信でエラーが発生した場合のリトライ処理が機能していなかったバグを修正
公開まえにもっとテストをしておくべきでした。ver. 0.1.3 を使って問題が発生していた方々に申し訳なく思います。
2月12日(火) ARIB STD-B25 仕様確認テストプログラム ver. 0.1.5
再度バグ修正。ダウンロードは [URI] から。今回の修正内容は以下のとおり。
- PMT の更新に伴い、どのプログラムにも所属しなくなった PID (ストリーム) でパケットが送信され続けた場合に、そのパケットの復号ができなくなっていた問題を修正。
今回の修正も対処療法であまり綺麗な解決ではないので、もっとマシな手法があるのではないかと考えているのだけれども、結局妥協してしまった。
野良 PID が送出されてるのって局側設備のバグなんじゃないのと八つ当たりしたい気分でもあるのだけど、放送されてて実際の受信機で問題がおきてない以上説得力を持たないからなぁ。
あースクランブル / ノンスクランブル切り替え時と同様の配慮 (切り替え前後ではスクランブルフラグを落として、暗号化なし状態でパケットを送出する) しててくれりゃ受信機側で楽ができるのにー。
2月14日(木) PMT の更新タイミング
12 日の記述の補足。2ch の Friio 解析スレで 561 さんに、PMT の更新タイミングは実際のストリーム切り替わりタイミングの 0.5 〜 2.0 秒前 (推奨値は 1.0 秒前) だと ARIB STD-B32 に書いてあると教えてもらった。
というわけで「局側設備のバグなんじゃないの」というのは完全に八つ当たりで、仕様をきちんと読んでない私が悪かったということになる。実際のストリーム切り替えよりも前に PMT を更新する必要性はさっぱり理解できないが、規格で決まっている以上は送出側でも守らなきゃならん。
でもさー多重化時の運用規定が STD (標準規格) の、しかも映像フォーマットの符号化方法のところに書いてあるなんて予想できる? 一応 STD-B32 の多重化方式 (第 3 部) はチェックしてたんだよ? さらにいいわけしても見苦しいだけだからやめるけど。
2月16日(土) 宣伝
今日から書店にならんでいるはずなので。ゲームラボ 3 月号 (2/16 発売) に、小倉秀夫弁護士と私の対談が掲載されています。無反応機 (Friio 等) に関する現行法での規制の可能性について、外から見た範囲での検討等がメインテーマになっています。
貴重な場を設けていただいたゲームラボ編集部に感謝しています。現行法 (著作権法・不正競争防止法・特許法・B-CAS カード契約) での規制の可能性について、対談時点では気づいていなかったことや、紙面の都合で収録しきれなかった部分がありますが、それら関しては来月以降にこのページで書く予定でいます。
また、他の記事では、チューナ内部からの平文 TS 取り込みとかも取り上げられている (こちらの記事には私は関与してませんが) ので、興味のある方は手にとってみてください。
2月18日(月) 視聴リスト (2008年 1月〜2月)
- ヤッターマン (日テレ 月夕方)
1 月からの新番組。ちと微妙。あまり趣味ではないのでそのうち脱落するかも。(C-)
- 破天荒遊戯 (テレ玉 月深夜)
1 月からの新番組。原作は未読。ストーリーはよく判らんがそこそこ楽しめている。当面継続。(B)
- シゴフミ (テレ玉 月深夜)
1 月からの新番組。原作は未読。実に病んでいるな〜。もちっと若ければ楽しめたのかもしれんがあまり趣味ではない。それでも黒星紅白なので多分最後まで付き合ってしまうのだろう。(B)
- バンブーブレード (テレビ東京 月深夜)
継続視聴中。安定。最近タマ父がいとおしく思えてきた。(A)
- ARIA The ORIGINATION (テレビ東京 月深夜)
1 月からの新番組。第1期は見ていないものの第2期は視聴してたのでそれなりに背景は理解してる。空気アニメとしてまたーりと楽しんでいる。(B+)
- D.Gray-man (テレビ東京 火夕方)
継続視聴中。評価に変化はなくまたーりと付き合っている。(B)
- 狼と香辛料 (テレ玉 火深夜)
1 月からの新番組。原作はシリーズ購入中。まーこんなもんだろう。(B-)
- 君が主で執事が俺で (テレ玉 火深夜)
1 月からの新番組。原作はやってない。正直見てるのが苦痛。多分そのうち脱落する。(C-)
- 素敵探偵ラビリンス (テレビ東京 火深夜)
低空飛行だけど継続視聴中。苦痛ではないので脱落はしないだろう。(B-)
- キミキス pure rouge (テレ玉 水深夜)
継続視聴中。評価上昇。かなり楽しんでいる。こういう少女漫画の文脈のシナリオは好きなので。(A-)
- ドラゴノーツ - レゾナンス - (テレビ東京 水深夜)
一応まだ脱落していない。何かきっかけがあれば脱落するんだろうけど、その前に脱落しそうな番組が二つ新番組で入ってきてるからなぁ。(C-)
- 墓場鬼太郎 (フジテレビ 木深夜)
1 月からの新番組。ちと微妙。あまり趣味ではないけど、もーちっと付き合ってみてもよさそう。(C)
- フルメタルパニック (テレ玉 木深夜)
1 月からの再放送開始番組。WOWOW 放送時も見てたのだけどそれなりに好きな番組なのでもう一度付き合っている。(B+)
- H2O 〜FOOTPRINTS IN THE SAND〜 (テレ玉 木深夜)
1 月からの新番組。原作はやってない。エンディングクレジットの声優欄で吹いた。あまり趣味ではないのだけど、前後の番組を見てる都合で継続してしまうかも。(C)
- true tears (テレ玉 木深夜)
1 月からの新番組。原作はやってない。今期の番組の中ではもっとも楽しんでいる。特に第04〜06話までの演出とかが大好き。とりあえず「西村純二」の名を記憶に刻んだ。HD 作成なのもすばらしい。Blu-Ray が販売されれば再生環境とセットで買ってしまうだろう。(A+)
- 逮捕しちゃうぞ フルスロットル (TBS 木深夜)
継続視聴中。評価は変わらず安定。(B-)
- CLANNAD (TBS 木深夜)
継続視聴中。評価は変化なし。ふんぐるい・むぐるうなふ・いぁいぁ風子。(B+)
- AYAKASHI (テレ玉 金深夜)
1 月からの新番組。原作はやってない。そんなに痛くはないのだけど第06話まで付き合ってもストーリーがよ〜ワカランってのがなぁ。もちっと何とかできると思うのだけど。(C+)
- 灼眼のシャナII (TBS 金深夜)
継続視聴中。評価は安定しているものの、能登補正消滅につきちと低下。(A-)
- デルトラクエスト (テレビ東京 土早朝)
継続視聴中。安定。特に問題なし。(B+)
- しゅごキャラ! (テレビ東京 土午前)
継続視聴中。評価は安定。問題なし。(B+)
- 機動戦士ガンダムOO (TBS 土夕方)
継続視聴中。釘宮補正が加わったものの、ちとお話に置いてけぼり感を食らっているので評価は±0。(B+)
- ロザリオとバンパイア (テレ玉 土深夜)
1 月からの新番組。生憎パンツ属性はないんだよなぁ。一応 HD 作成ッポイけど趣味ではないのでそのうち脱落する。(C-)
- PERSONA - trinity soul - (テレ玉 土深夜)
1 月からの新番組。メガテン信者なので評価には大幅なプラス補正が加わってはいる。……のだが……もちっと演出どうにかできない? シーンの切り方が中途半端で付いていくのがつらい。同時感を出したいならもっと細かく切った方がいいんじゃないのかしらん。予算の都合で難しいのだろうけど。比較的よい沢城みゆきなので「紅」にも期待できそうだというあたりが救いかなぁ。(B+)
- ハヤテのごとく (テレビ東京 日午前)
継続視聴中。低空飛行だけれども、切るタイミングを逃してずるずると見続けている。(C)
- Yes! プリキュア5 GoGo! (テレビ朝日 日午前)
2 月からの新番組。前期を見ていなかったのに、新シリーズから付き合い始めるのは無謀かもと思いつつ視聴開始。ストーリーは様式美と予定調和の世界だから何とかなるだろう。(B)
- 俗・さよなら絶望先生 (テレ玉 日深夜)
1 月からの新番組。とても楽しんでいる。作成に余裕があるのかないのかよーわからないあたり目が離せない。(A)
- レンタルマギカ (テレ玉 日深夜)
継続視聴中。評価はわずかに上昇。どうやら耐性ができてきたらしい。(C+)
- みなみけ おかわり (テレビ東京 日深夜)
スタッフが変わっての 1 月から新番組。第 1 期と比較するとちょっぴり落ちるけど、それでもそれなりに楽しめている。マコちゃんぷりちー。藤岡が哀れだ。(A)
- 獣神演武 HERO TALES (テレビ東京 日深夜)
継続視聴中。評価はさらに下落。そろそろ脱落するかもしれない。どーにも楽しみどころがなさそうに思えてきた。(C+)
今年に入ってからの状況はこんな感じ。相不変な日常。週 30 本だと負荷は高くないから、ひょっとしたら脱落候補も生き残るかもしれないなぁ。
2月19日(火) デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会 (第32回)
恒例のレポートです。今回のテーマは以下のとおりでした。
- ダビング10の進捗報告 & 今後のスケジュール報告
- アメリカのブロードキャストフラグに関して詳細報告
- コンテンツ保護方式 (記録形式・出力形式) の Dpa での認定手続きに関して周知報告
まず、ダビング10の進捗に関して、報告のポイント (報告者は関委員) を抜粋すると以下のようになります。
- 2/1 に仕様がフィックスし、2/7 に Dpa のホームページに掲載した
- 改定対象は TR-B14 (地上デジタル) と TR-B15 (BS/CS) の「第4編 PSI/SI 運用規定」と「第8編 コンテンツ保護規定」
- ダビング10の規格上の正式名称は「個数制限コピー可」
- コンテンツ利用記述子に新しくビットを追加して、そちらでダビング10とコピーワンスを振り分ける
- コンテンツ利用記述子が存在しない場合は「個数制限コピー可」として解釈する
- EIT (番組情報) にはコンテンツ利用記述子は記載しない
- 今後は、5 月末までかけて放送事業者側の送出設備改修、並行して 3 月中旬〜 受信機で問題がおきないかテスト、運用開始予定日は 6/2 午前 4:00 というスケジュールになっている
一応技術的には特に問題なく進んでいるという形の報告でした。続いてアメリカのブロードキャストフラグに関しての詳細報告 (報告者は中村オブザーバ) が行われました。ポイントは以下のとおりです。
- 停止した、無くなってしまった規定なので、運用評価とか難しい点があるが、判る範囲での報告
- 制定の経緯としては「(無保護の状態では) HD 化が難しいのではないか」「(コピーおよび再配信が)放送自体に対して打撃となるのではないか」という懸念からスタート
- 目的は「放送を促進し」「良質なコンテンツを届ける」ため
- 受信側に対する規制として「CR : コンプライアンスリクアイメント (こういう機能を実現しろ)」「RR : ロバストネスリクアイメント (ある程度の耐性を確保しろ)」を満たした受信機を「輸入・販売せよ」という製造・輸入業者に対する規制
- 送信側に対する規制として「ブロードキャストフラグを利用してもよいが、これ以外のコンテンツ保護は使うな」で「ケーブル放送等での再送信の際にブロードキャストフラグを変更することは許さない」となっている
- (記録・出力形式の) 申請に関して、申請方法や審査手順が明文化されている (異議申し立ても可能)
- 罰則はブロードキャストフラグ指令には規定されていないが、通信法の罰則 (FCC の指令に従わなかった場合) が適用される (課徴金・機器の没収)
- これに対して、図書館協会が提訴し「そんな指令を出す権限は FCC に無いので、FCC のブロードキャストフラグ指令は無効だ」との判決が下った
- その後、通信法を改正してブロードキャストフラグ指令を出せる権限を FCC に与えようとしたけど、上院の審議中に夏休み入り、休み明けの選挙で民主党大勝利、投票に入れず廃案に (上院で投票の結果否決されて廃案になったわけではない)
- オバマ候補は大統領に当選したら、この法案を再度提出すると主張しているとの報道があった
アメリカも諦めたことなんじゃないの?という批判が多かったのかなぁと思わせる報告でした。「投票で否決されたわけじゃない」とか、「オバマ候補が再提出するとの報道があった」とか。後は罰則の辺りを制度的エンフォースメントの参考にしようとしてるのかなぁという感じですね。
つーか現状アメリカではブロードキャストフラグおよびそれに付随する受信機側での EPN なしで放送が行われてるわけなんだけど「ぶっちゃけ懸念されてた HD 比率はどーなのよ、実際 HD 放送されてるんじゃないの? HD 比率とかの調査結果教えてよ」という辺りを消費者代表に質問して欲しかったりするところなのだけど……あー発言権がないのが悲しい。
それはさておき、Dpa での (出力・記録) 形式の認定手続きに関してです。TR-B14/B15 にはコンテンツ保護方式としてこんな形式を記録・出力に使えば B-CAS カード支給契約を結んであげますよというリストが提供されていて、リストに記載されていない形式は原則使えないことになってます。そのリストに新しい方式 (例えば Windows Media DRM とか) を追加するためにはどーゆー手続きをすればいいかという報告 (報告者は再び関委員) でした。ポイントは以下のとおりです。
- 提案 - 審査 - 認定 (TR に記載) という手順で進む
- 審査は、Dpa の技術委員会内の評価グループ (放送事業者およびメーカが評価委員) が行い、審査内容は公開される
- 審査にかかる時間はケースバイケースだが、一番短いケースでは 3 ヶ月で申請から認定まで進んだ
これが Microsoft が口を極めて罵ってた「不透明な認証手順 (No formal certification process)」かぁと思いながら聞かせていただきました。つーかこんな席で公開するより、ARIB の STD なり TR なりに申請手順とか書いた方がよっぽど有益なんじゃなかろーかと思ってしまうのは間違ってるのかなぁ。
報告内容は以上で、この後質疑応答に入り、トップバッターは長田委員からでした。
- ブロードキャストフラグに関して、スクランブルを掛ける掛けないという点に議論はあったのか、なかったのか?
- FCC の組織の性格と Dpa の性格について教えて欲しい
- B-CAS カード支給契約とあるけれども、だれが支給を決定しているのか
これ受けての中村オブザーバからの回答です。
- 暗号をかけるには (方式の選定等で) 時間がかかる
- また、ライセンスや追加処理の発生で受信機側にコストがかかる
- さらに古い機器、非対応機器を切り捨てることになるのでスクランブルは掛けないという検討結果となった
続いて、関委員からの回答です。
- Dpa は純然たる民間機関で FCC は公的機関ですから、FCC の方が強い権限を持っている
- B-CAS カードは TR-B14/B15 のコンテンツ保護規定を守っている機器に対して発行される
- この審査はがんじがらめの審査というわけではなく、コンテンツ保護規定を守っていますよねという半ば確認のようなものとなっている
- B-CAS 社に対して、B-CAS カードを支給してくださいという申請があったときに B-CAS 社で審査が行われる
次の発言者は椎名委員でした。
- 第4次中間答申のコピーワンス緩和の前提条件の実現が一向に進まない中で 6/2 の開始と聞いても実感がわかない
- 繰り返しになって恐縮ですが、クリエイターに対する適切な対価の還元が無い状態で、コピーワンスの緩和はありえないという権利者の立場は変わっておりません
- B-CAS というちょっとほころびてしまっているエンフォースメントに対して、制度的エンフォースメントが検討されていると理解している
- 中村さんへ二つほど質問したい
- 最初に裁判所が否定したのはなにかというところを確認したいのですが、FCC が規制することがいけないということではなく、規制をするための根拠法がないとか、FCC に権限がないとかという点で判決が出たと理解しているのですが、それで間違いないでしょうか
- 裁判で否定されたブロードキャストフラグですが、送出を暗号化した EPN でしかないという文脈で紹介されることが多いが、ブロードキャストフラグが公募した中に EPN が含まれていただけでありブロードキャストフラグイコール EPN ではないですよね?
中村オブザーバの回答です。
- 最初の視点、明らかに裁判所はコンテンツを保護する許可する方法の必要性を否定していません FCC にその権限がないから無効だという論理です
- EPN イコールというわけではないが、DTLA - DTCP の仕様を管理している団体からの説明で EPN でブロードキャストフラグの要求を満たせるのではないかという提案があったということになります
- DTCP と EPN という関係の中で語られているので、今のブロードキャストフラグの規定の中の方式としては EPN となります
- 一対一で対応するものではないがワンオブゼムと理解すればよろしいと思います
引き続き、椎名委員の発言です。おもしろいのでここは全文紹介してみます。
制度的エンフォースメントを検討する上で参考例としてブロードキャストフラグというのが紹介されている。文脈としていつも出てくる話が、規制が非常にゆるいアメリカにおいて、なにも問題が起きていないではないかと言われるわけですが、アメリカで問題が起きていないというのは、これはいまやきわめて能天気な楽観論にすぎないと思います。
昨今報じられたことでありますけど、脚本家組合のストライキというのがありますよね。ネット上でコンテンツが二次利用される際に十分な対価が得られないということを不服としてストライキがおきたわけですけれども、このことは、コンテンツが野放図に取り扱われるがゆえにコンテンツ流通から十分な対価が得られていないという、まさにわれわれがわが国における取引市場の問題として学習してきたこととまったく同じ問題を根に持っているのではないかと考えています。
最近では YouTube の次の形として stage.6 なるものが既に登場している。DivX という圧縮方式を利用してですね、ハイビジョン品質で、しかもサイズの制限なく投稿された動画をですね、無償で閲覧し、また無償でダウンロードできるサイトがあるんですね。
ここで既にたくさんの映画や放送番組やビデオクリップなんかが 1080p というんですか、ハイビジョン画質でアップロードされて、盛んにダウンロードされている現実が出来上がっている。僕の友達なんかも盛んにダウンロードしています。僕はしてないですが。
それをしかも、ひどいことにダウンロードしたコンテンツをリムーバブルメディア等に保存する手段まで提供されている。そういうソフトウェアまで配布されている。
そういう状況の与える影響はもはや YouTube の非ではないと、これからなっていくのではないかと思います。いうなれば究極の無法状態ということになっていると考えてもいいと思います。こういう状況をしらないで、アメリカでは何も問題がおきてないですからという発言があるとすれば、それはあまりにも物を知らないのではないかと考えています。
デジタル方式でコンテンツのクローンを作りだす手段を提供している以上、こうした状況にメーカーが何らかの責任があるというふうに考えられるし、やっぱり責任がないなどと考えているとすればそれは馬鹿げていると思いますね。
機器メーカはこうした状況下でも着実に売り上げを上げていく一方で、コンテンツサイドはどんどん深手を負っているわけですよね。
こうした点についてクリエータへの対価の還元意識を明確にしたのがまさに第4次中間答申の精神であって、メーカさんがここをきちんと表明されるのかとみな固唾を呑んで見守っているのではないかと思います。
論評は保留します。次の発言者は藤沢オブザーバでした。
- たくさんのメーカーさんが作り上げてきたデファクトスタンダードが積み重なってひとつのコンテンツ保護の仕組みができあがっている
- 審査とか認証というのは、有効な技術をできる限り取り込んで、多様な受信機を提供し、それを視聴者の皆様に享受していただくという形でなりたっている
次の発言者名は記憶しそこねました。(座席表からは田胡委員のような気もするけど、発言内容が立場と合わないので自信がありません)
- ダビング10では仮想的にムーブ可能なコンテンツが10個あると等価であるということだが、リムーバブルメディアでもそれが利用可能だという理解で良いだろうか?
関委員の回答です。
- 現状の規定は受信機内部での話なので、リムーバブルメディアで対応するということはすぐにはない
- 時期がくれば評価はする必要はあるし、その道を閉ざしているわけでもない
次の発言者は福田委員です。
- ダビング10のスケジュールが 6/2 からということでこの委員会で審議されて公になってしまっていいのだろうか
- これまでも放送局が勝手に決めていると言われることが多かったので客観性がもてる日付にしてほしい
村井主査の回答です。
- 今日の報告はターゲットを決めての努力目標
- 日付のオーサライズに関しては検討の必要がある
- 前回 6 月を目標と報告したがよりディテールな報告をしたものと、順調に進捗していると理解している
次は堀委員からの意見です。
- 変な感じでプレスの方に (ダビング10が) はじまると伝わると困る
- 放送事業者としては 6/2 に送出できるように、メーカさんは売りたいよ、そのために解決しなきゃいけない問題があるよと確認できたということでいいんじゃないですか?
- 権利者側としてはダビング10に関しては聞き置いてるという立場で合意したわけでも妥協したわけでもない
華頂委員からの質問です。
- 3 つのデバイスに 3 つずつのコピーで 9 という数字がでてきた
- 現状だと 1 つのデバイスに 9 個という形もできるが、これを 3 つだけにできるように研究していくのか?
村井主査の回答です。
- そういう要望があることは伝わっているはずなので、研究は進められていくだろう
- ただし、それが結果としてどういう形でコントロール可能になるか判らない
質疑応答は以上で終了しました。今日のところはこんな形でした。
2月27日(水) デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会 (第33回)
日が変わってしまいましたが恒例のレポートです。今回はコンテンツ取引市場ワーキンググループの順番というわけで、これまでの経緯の説明 (中村ワーキンググループ主査) と、放送番組制作プロダクション側からの現状説明 (寺島オブザーバ、柏井オブザーバ) 、歴史的事情と今後の努力の説明 (澤田オブザーバ) という形でした。
中村ワーキンググループ主査からの報告には、前回 (1/29) の会合から特に新しい項目は無かったので、寺島オブザーバの発表から紹介していきます。内容の要点は次のような形でした。
- 制作プロダクションは、経営基盤が弱く資産と呼べるのは人的資源のみ・相対取引の中では著作権はプロダクションに残すのが難しい・広告宣伝費が縮小する中でメディアの多様化の中で制作費が薄まってしまうとマイナスの状況にある
- デジタル機器の低廉化によって、編集作業をポストプロダクションに依存せずに、自前である程度までコンテンツの完成度を高めることができるようになった・NHK では、共同著作という形でクレジットにプロダクションを乗せられるようになってきた・フジテレビでは、窓口権 (権利手続きの認可権) をプロダクション側に取り戻すことができたケースもあると、プラスの要素も出てきている
- 自己資金でコンテンツを制作してファーストウィンドウで放送局、その後パッケージという形の、新しい形で資金を準備しコンテンツを作るという形もささやかながら出てきている
- コンテンツが消費されるだけではなくて、コンテンツを再価値化していきたいということを、何とか実現したいと考えて努力している
- なによりも深刻な問題として「人材の不在」があって、人材が集まらないし、残らない
- 受注しても AD が居ないので番組を断らざるを得ない状況も出てきている (賃金格差と将来性が見えないことが原因 - 単価が落ちているので人を当てることができず、若手を教育するだけの余裕を現場に確保できていない - 若手はいつまでたっても AD のまま)
- 放送コンテンツの魅力が落ちているのではないか、若い人はテレビを見ていない - 魅力を感じて放送業界に身を投じようという若手がいないのがその証拠ではないか
- コンテンツの作り手に対する尊敬を取り戻したい、作り手が適正な対価を手にすることこそが、若い作り手に対する目標の提示となる
引き続き、柏井オブザーバーからの発表を紹介します。クリエーターズ・プラス [URI] でのコンテンツ DB 構築の試みについての発表でした。要点は以下のとおりです。
- プロダクションが保有するコンテンツについて自分で権利情報等のメタデータを付与して DB として公開することで、コンテンツの販売・流通を促進させる目的のソフトウェアを研究・開発している
- 製作者が一番メタデータ (権利情報・映像の属性・見所や素材としての価値) に詳しいのだから、制作担当者が、現場でメタデータを管理していくのがもっとも効率的だろう
- 取引市場 DB に関して、コストおよびリスクの問題が常にあがっているが、リスクを全面的に背負って、これを作製している
- 何とかこれを製品化して、制作会社の方々に会員として利用していただこうと考えている
- コンテンツを自分で販売していけるようにすることこそが制作プロダクションを強くしていく道であり、TV 業界を発展させていく道でもあるので応援していただきたいと考えている
次の澤田オブザーバーからの発表は ATP (社団法人全日本テレビ番組製作社連盟) [URI] 設立の歴史的経緯と今後どういった努力が必要だと考えているかという内容でした。要点は以下のとおりです。
- 昔はテレビ番組は局の社員が制作していたが、労働条件の問題や番組作製は外部のプロダクションに任せる形のアメリカ方式でやろうということで制作プロダクションを作ってそちらに出向することになった
- 社員が作っていた時代はどれだけ赤字を垂れ流そうが誰も気にしていなかったが、それを避けるためにあらかじめ予算を決めて、外部のプロダクションに発注してその範囲内で作らせようということが主目的
- 初期は予算の半額程度を着手金として先払いで受け取ることができていたが、ある時期から完全に後払いになり、プロダクションは資金繰りに苦しむようになった (4000 万のドラマを作るためには、先払いで 2000 万程度が必要になるけど、その資金を用立てるのが難しい - 銀行はなかなか貸してくれない)
- なので ATP という互助組合を作り、商工中金から組合が借り入れ、プロダクションに 0.1% の利子を乗せて融資することにした (審査は契約書と納品書に対して行う)
- 現在の融資総額は数十億で、金利収入は 100 万程度。会員企業からの月会費 1.5 万でなんとか運営してる
- 組合員は 150〜170 社程度だけど、ATP よりも小さい企業が多い
- たとえば「あるある大辞典」の件では会員企業が孫受けとして 2 社が関わっていたが、どちらも倒産してしまった
- 元請けも有力な会員だったが、脱退して社名を変える破目になった
- こういった状況で単なる互助組合にとどまっていては、制作プロダクションは 1 社ずつすりつぶされていき、テレビの作り手が無くなってしまうのではないか
- 組合の会員企業の中で著作権関連の権利処理に詳しい担当者に協力してもらい、権利処理が難しい小さなプロダクションを (ATP として) フォローしていこうと考えている
- テレビ局にはがんばって欲しい、プロダクションはテレビ局が持っている枠を埋める時にはじめて番組を作れるのだから、10 年後、定着した若手がエキスパートして番組を作れるようになったときに枠が無くなっているということになって欲しくない
- 「あるある」調査報告書にある「前近代的上下関係」が 1 年経過して少しは良くなっていて欲しいのだが、実感がない、せめて下請法の遵守程度は実現して欲しい
発表は以上で質疑応答に移りました。河村委員が最初の発言者です。
- 流通させる人よりも作り出す人が生きられる社会であるべきだと考えている
- 澤田オブザーバは「テレビ局に頑張ってもらわないと困る」という意見だけれども、何らかの形で作り手の方々が潤っていくのであれば、どんな形であれ、最後にはその方々こそが生き残って欲しい
- こういった状態になっているのにはルールの不備や欠如があるのではないか
- 以前のフジテレビの資料では ATP 契約で「制作会社側に著作権がある」とのことだけれども、これは現状を正しく表しているものなのでしょうか?
佐藤委員からの回答です。
- ATP 契約であれば「制作会社側に著作権がある」
- 権利処理を行う担当者がいないプロダクションであれば、放送局が権利手続きを管理しなければならないし
- 流通が見えていれば制作会社側で処理負担を負うのが妥当だけれども、それがない場合は事業者が処理負担を負わなければいけない (そういう番組が多い) という定量的な説明をした資料
河村委員の再質問です。
- 民放局の「窓口権」開放の動きとあるけれども、この詳細を知りたい
寺島オブザーバからの回答です。
- 窓口権は開放されていなかった
- 当初、窓口権なるものは (事前契約で) 排他的独占的に局に帰属するという形になっていた
- それを契約条件を事後修正して、完パケで実演家が関わらず、制作プロダクションが作ったものは、窓口権や著作権をプロダクションに取り戻そうと交渉している
- その結果、窓口権を取り戻せつつある
- 放送局が上場する前や、コンテンツの流通が声高に叫ばれる以前であれば、一回の放送で終息する場合は局は著作権について寛容だったが、近年シビアになり、現在では (ATP 契約だけではなく) 様々な契約関係ができてきている
- 制作プロダクションのプロデューサーは現場で駆け回っている立場なので放送局側の担当者からそのまま渡された契約書をそのまま持ってきてしまうことがある
- 局の担当者が教育をつんでいただいて、より適切な契約をプロダクションプロデューサーに説得するという形でなければなかなか進展しないだろう
- しばらく契約書を見ていないうちに、今まで ATP 契約だったものが、突然 ATP 契約ではなくなっていることもあるので、双方の問題として今後改善していきたい
澤田オブザーバからの補足回答です。
- ATP 会員で、ドラマを扱うような会社の中では独自に権利処理をして放送局に頼らない会社もある
- フジテレビのあの資料で問題に気がつき、ATP として権利処理のフォローをしようという形ができあがりつつある
- 最近ではさらなる問題として放送局は制作子会社を作り、そちらと契約するようになり、実務を担当するプロダクションの人間は派遣となり著作権は放送局の制作子会社にしか残らないようになっている
- 放送局は植民地の白人で、制作プロダクションの人間は土人なんだ
以上の回答を受けての、河村委員の感想です。
- ATP 契約は基本であって、窓口権を放送局に「依頼」するような強制が無くなれば問題は解決するのではないかと考えていた
- そんな生易しいものではなく、頭の良い方々が、お給料のいい方々が、ものを作らない方々が、考え出すものですね
- なんらかのルールが無ければ「前近代的状況」というのはなくならないというのが考えです
佐藤委員からの意見です。
- フジテレビとしては、できる範囲で制作に対するイニシアチブ・貢献度・リスクテイクがどこにあって、どの程度かということを踏まえて契約を作っている
- 契約に際して、利益が乗っているのかも確認したうえで契約している
- 制作著作はリスクをとった人が持つのが妥当なので、リスクが取れないならばどこかと一緒にやるしかなくて、これは制作会社の自助努力の範囲内だ
- ATP 契約では制作会社に著作権が渡るが、100% のコストと利益を乗せたものを全額局が負担している
- 著作権上の本来では、制作費を全額負担している場合は、著作権は制作費を負担する側にあるのが普通だ
- ドキュメンタリーでは取材対象との信頼関係が重要なので、二次利用に際しての許諾では制作会社に実務を負担していただいた方が望ましいのけれども、他の番組では異なる
- 番組のジャンルによってあるべき契約の形は異なるので、全てをまとめて議論すると誤解を招く
- ドキュメンタリーでは窓口権をとっていただいて、権利処理の手数料も乗せてかまわないけれども、元々の制作コストを負担しているのは局なので、二次収益の局との配分比率に関しては交渉させて欲しい
この意見を受けての澤田オブザーバの意見です。
- 全額を負担しているから著作権を持つという意見には承服しかねる
- 費用はあくまでも放送権の譲渡に対する対価だ
- ファンドから資金を受けて番組を作られたら困るでしょ?
佐藤委員からの意見です。
- 局は製作会社がどのような形で資金を調達してくるかは関わっていない
- ファンドからの出資であっても、またファンド提供で制作した場合にどのような条件があろうとも関知しない
- 全額を負担しているから本来は著作権は局にあると主張するのはおかしいという意見だけれども、著作権法上の本来はコスト負担者に著作権があるのが正しいと思う
- ただし、団体交渉や制作会社の社会的位置づけや制作コミュニティとしての関係を踏まえて、全額を負担しても著作権は制作会社に渡すべきだという議論の中で譲歩して生まれている契約だと理解している
このやり取りを受けて、大山主査代理が折角文化庁から来ているのだから専門家の意見を聞きましょうと川瀬オブザーバに話を振りました。見解は以下のとおりです。
- 著作権法上は映画作成者が著作権を持つ
- 映画制作者とは責任と発意を有する者となって映画では監督に相当する
- 放送局と制作会社の関係は監督と映画会社の関係とは異なるので、それぞれの実体に即して判断するとしか言えない
佐藤委員からの反論です。
- 番組作製も映画制作を分けているところに問題がある
- 番組も著作権法上本来映画制作ですと考えて、その中でどうやってフェアに利益を配分していくことを考えないといけない
- 放送番組と映画を別として扱っている国というのはあるのでしょうか?
川瀬オブザーバからの回答です。
- 日本の著作権法では映画は特別に扱われていて、他の国では職務著作という形で扱われる
- 誰が著作者なのかという問題と、契約としてどちらが権利者になっているかという問題は分けて扱うべき
- 契約で権利者が定まっている場合は、契約自由の原則から、契約に従う形になる
ここで大山主査代理から水入りとなって、次の話題に移ることになりました。発言者は高橋委員です。
- コンテンツ立国とはテレビに対するリスペクトではない
- コンテンツの作り手と出来上がったコンテンツを自由に羽ばたかせることではないか
- 事実確認をしたい
- 二次利用の権利処理は放送局が代行せざるを得ず、得た利益は適切に配分しているとなっているけれども
- 権利処理を行う意思はないのだろうか? 放送局にゆだねてしまいたいのだろうか?
- ゆだねた結果、本当に利益は適切に配分されているのだろうか?
- 権利処理は仕方なくテレビ局がやっているという話だけれどもそれは本当だろうか
- 放送権がある間は他局で放送されたり、DVD を販売されるのは困るという意見があるけど、放送権がなくなった後は自由にコンテンツを二次利用することができるのだろうか?
- 雑誌の仕事では、経費で海外取材をしても素材(取材メモ)を渡したり、他の雑誌に記事を書いてはいけないなどいった制限はない、放送の世界では素材を全て渡さなければいけないという話を聞くがそれは本当だろうか
澤田オブザーバの回答です。
- 力関係で素材は召し上げられる (過去同じ素材を他の局に利用した例があったため)
- テレビはメディアの特性として新しいものを見たがるので、再放送はさほど価値のないものとされている
- 枠を持っているのはテレビ局で、枠に対して予算を決めるのも局、その範囲内で利益がでるように番組を作るしんどさを判っていない
- 全額前払いで支払うならば著作権がテレビ局にあっても異論はないけれども、後払いである以上放送権の対価としてしか認められず、著作権は譲るわけにはいかない
- 枠は国に認められた権利でプロダクションは絶対にもてないものだから、放送と映画は本質的に異なる
高橋委員からのクリエイターズ・ラボへの再質問です。
- 資料の中に「窓口業務代行を制作プロダクションが行う許可をいただき」と書いてありますが「許可をいただき」にはびっくりしてしまったが、そういうことなのでしょうか?
柏井オブザーバの回答です。
- 制作プロダクションがコンテンツを流通させることができるということに気づいていなかったので、素直に感謝として「許可をいただいた」という気持ちで書いたもの
- 放送権の販売について BS デジタルでの状況について報告しておく
- BS デジタルでは地上波と比較して 2〜3 割の予算しかない
- 例えば 1000 万かかる番組であっても BS デジタルでは 200〜300 万しか受け取れず、この場合は放送権の対価としか考えられない
- あくまで BS デジタルの放送権なので、CS へのマルチユースや DVD、ネット配信も可能なのでそちらで回収している
次は長田委員からの意見です。
- プロダクションの方々は非常に弱い立場におかれているという確認ができた
- 10 年後テレビを誰が作っているのかという意見に対してフェアにやっていきたいと局の方も言っていたのでフェアさが目に見えるように変えていって欲しい
- これからはコンテンツ流通のリスクもプロダクション側が負担していくと言っている以上、放送局も今まで全てを負担していたリスクが減ってありがたいだろう
- 将来的に目に見える形で放送局にも変わっていただきたい
次は椎名委員からの意見です。
- 映画の著作物と放送番組では権利処理が異なって、映画の著作物では実演家の権利が制限されている
- ATP 関連の番組制作者の中で意のある方々は実演家の権利処理をされているという現実がある
- 澤田さんの「映画と番組は違う」と明快なお言葉を非常にうれしく思う
- 一方で「映画と番組の権利処理が異なるのがおかしい」とおっしゃるフジテレビの方がいるのには顎がはずれそうになった
- クリエイターズ・プラスのように意思を明確にしたことに敬意を表する
- 流通を促進するために権利を奪うことばかり考えている通信企業と比較するとフェアな立場で評価したい
- 窓口権があれば放送番組の再価値化に貢献できるといっていただいたことは非常に大きい
- 権利者団体として全面的に協力していきたい
- 放送局にも協力していただきたい
次は植井委員の意見です。
- 契約は完パケ (100% の番組作製) から実務担当者の派遣まで様々な契約形態がある
- 全て ATP 契約というわけではないのは当然
- 事前契約をきちんと話し合って優越的地位を乱用して押し付けるのではなく締結するのが重要だと考えている
- 海外番販のようなケースでは放送局が窓口をやることもあるし、その際には適切に利益を配分している
- 放送権消滅後、窓口業務を放送局が請け負っている状況で番組の二次利用の申し込みがあり、配分があれば否定するわけではない
- 窓口業務を仕方が無く引き受けているわけではなく、コンテンツ価値を最大化し、流通を促進するために喜んで引き受けている
次は元橋オブザーバの意見です。
- 放送局 vs 制作会社という構図に見えるかもしれない
- 流通の促進について話あってきているが、それ以上に足元の制作が空洞化している
- 制作力をどうやって向上していくかが大事なのではないか
- 番組を作って、それをできる限り多くの人に見てもらうことがモチベーションだし、DVD 等の形で販売することで収益を次の制作に還元するといういい循環を作るための努力が必要
- ただすべきところはたださなければならないが、攻撃や批判だけを目的にしていては実りのある議論にはならないのではないだろうか
大山主査代理のまとめです。
- 本来の目的である、製作者をどうやってエンカレッジしていくか
- 多くの消費者に喜んで使ってもらうためにはどうすればよいか
- そのために関係者の権利をうまく整理をして、審議会の目的をうまく達成することが必要
最後に高橋委員の意見です。
- 下請法への抵触や優越的地位の乱用が伺えた
- いまのまま制作パワーのエンカレッジと言われても、今までできていなかったことがどうしてできるのだろうと感じる
- 取引適正化のためのサポートが必要なのではないかと思う
- 澤田さんの意見として「地上波は再放送をすべきではない」という意見があったが、まったくそのとおりだと思う
- それだけ製作者の活躍の余地が生まれるので、それこそが本来コンテンツ流通のあるべき姿ではないかと思う
今回の会合で出た意見は以上でした。次回の日付等はまだ未定のようです。
とりあえずプロダクションと放送事業者の間の契約で、局側の意識変化を期待するのはなんか間違ってるんじゃなかろーかと思ったり。澤田オブザーバの放送局に対する愛憎 (テレビと番組に対する愛と経営の都合を押し付けられる立場という憎) が複雑骨折してるなぁとかそれなりに思うところあり。
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