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6月2日(月) デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会 (第38回)
今回も傍聴してきました。会合 (5/29) からだいぶ時間がたってしまいましたが恒例のレポートをおいておきます。今回は取引市場ワーキンググループからの、議論の取りまとめに向けての報告と意見交換が主な議題でした。
議事は、事務局 小笠原コンテンツ振興課長からの配布資料説明、中村ワーキンググループ主査および小笠原コンテンツ振興課長からの取引市場ワーキンググループでの議論の内容報告、それを受けての意見交換 (主に映像制作プロダクションからの中間答申に対するお願い) という形で進みました。
取引市場ワーキンググループからの、議論の取りまとめに向けての報告は、これまでの経緯と今後の中間答申へ記載すべき内容の骨子という形でした。発表者は中村ワーキンググループ主査と小笠原コンテンツ振興課長でした。中村ワーキンググループ主査からの報告の要旨は次のような内容でした。
- 取引市場ワーキンググループは昨年に設置されてから 12 回の会合を行って、ようやく取りまとめの方向が見えてきた
- 構成員である、放送事業者・権利者団体・番組制作者・視聴者・広告代理店の方々等、関係者から幅広く意見を伺ってきた
- 議論の経緯と報告の細部の説明は事務局から後ほどしてもらうことにして、主査として留意した大きなポイントについて時間を頂いて申し上げたい
- コンテンツの流通・コンテンツ取引の促進に関して、従来から頻繁にかつ、様々なところで著作権悪者論が指摘されていたが、このワーキングではこういった考えの想起について、はじめて深堀りのある議論ができたと感じている
- 今も知財本部の会合に出席してきたところだが、コンテンツ流通の促進という関係では、ネット権・ネット法という考え方、権利者の許諾件を制限して、それでコンテンツを流通させようという考え方についてどう考えるかということが話題になっている
- 政府だけでなく与党でもこういった考え方が俎上に上っていて、委員の方々にもヒアリングを受けた方がいるというふうに仄聞している
- コンテンツ流通の議論に際して、こうしたアプローチを取るべしという声も強く残っている状況
- 再三この場でも発言したことだが、コンテンツ流通の促進というのは民間ベースの取引条件の問題であって、コンテンツを持つ社と流通をさせたい社の間で合意がスムーズに進むようにするための環境整備が大事なのではないかと、そういう考え方の下で議論を進めた
- 制度で権利を制限をするというアプローチは、日本においてコンテンツの取引を促進させるのか、プラスの作用があるのかについては議論の余地が多いところだと考えている
- このワーキングでは取引に必要な情報のデータベース構築ということを素材として、流通に要するコストそしてリスクの負担者は誰なのかという、ビジネスを考えるうえで基本的な点について、関係者に一堂に集まっていただいて議論をした
- 検討の経緯は、何度かこの場でも紹介していることだが、何が本当にコンテンツ流通を阻害している要因なのかということについて問題点を明らかにすることができたと考えている
- 今ひとつ重要な点は、単に阻害要因というものに対する議論を深めただけではなく、どうしたら取引市場ができるのかということに関して一定の回答も用意できたと考えている
- この委員会の議論と、取引市場ワーキンググループでの議論をあわせると、取引市場を作るための具体的なツールについて、制度・民間ベースの取引その両点から考えれられる論点についてはかなりカバーできたのではないかと考えている
- 中には外部調達規制のような、なかなか正面から取り上げられにくい論点もあったが、そういった点についても関係者の意見・考え方を闘わせて、議論あるいは整理できたのではと考えている
- 途中からではあるが、番組制作者の方にも参加していただいて議論してきた
- このコンテンツ取引の促進の大きな前提は、魅力のある高品質のコンテンツを作る、そういう制作する力が維持されることであるのは言うまでもないこと
- この点、放送事業者・番組制作者・権利者団体などの関係者の間で様々な立場、あるいは意見があるということはこれまでも皆さんにも理解をいただけているのではないかと考えている
- あえてこうした異なる立場の方々が議論に参加していただくことで、議論が複眼的で立体的なものになり、その議論の経緯を記載したら説得力のある取りまとめになるのではないかと期待している
- 以下、内容の説明の際は事務局にお願いするが、各項目毎に簡単に議論した点について申し上げたい
- 検討の背景だが、なぜ、そもそもコンテンツの取引市場の形成について議論しなければならなかったのかを確かめておくと
- 諮問会議や知財本部で放送コンテンツについて様々な指摘が行われているということは、逆に言うとコンテンツ市場全体で放送コンテンツのプレゼンスが高くて、その分期待も強いということの裏返しだと考えている
- 先ほど出席してきた知財本部の会議でも、中心的な課題は放送コンテンツをどう流通させるかだということに議論が集中していた
- 逆に、前向きにとらえることによって、誰かを悪者にするのではなく、民間のビジネスが円滑に進むような環境整備をしようというのが本ワーキングの基本姿勢
- この部分について、コンテンツ流通の背景となる様々な事実関係がピックアップされているが、こういう事実関係、特に海外の制度を語るときは、単に表面に現れたその事象・あるいは制度だけを取り上げるのではなく、その背景事情とか産業構造であるとか社会構造のようなものもあわせて議論することが重要なので、取りまとめにあたってはこういった点についても留意が必要
- 制度によって解決するという考え方について、許諾権を制限するとか、外部調達規制を導入するといったことについて、この委員会およびワーキングの双方で相当の回数を重ねて議論をしてきた
- 再三申し上げたとおり、ワーキングでの基本的なスタンスとしては当面は制度による解決を模索するよりも、その前に民間ベースでの取引促進とそのためのトライアルによって、市場が形成できないかというアプローチ
- しかし、制度論については、これで全て終了というわけではなく、民間ベースの取引市場の進捗状況によっては再びこの議論が戻るということを余儀なくされる可能性がある
- その意味で、ここに記載されている制度の内容や背景事情については今後の議論の為に共通認識として抑えておく必要がある
- 民・民での具体的な解決策について、何度か紹介しているように、民間主導でのアプローチの具体策として、トライアルをトリガーとして取引市場を作る、また、許諾権を前提として権利関連の情報を集約し公開する、そういったことについて当面具体化できること、実証実験を進めるということが基本的な立ち位置として確認できた
- こうしたアプローチによって、コンテンツの二次流通を如何に拡大させていくか、それから利用者の目に見える形で具体的にどのように示せるかが重要なポイント
- 必要によって、また制度論ということになるのかもしれないが、したがって民主導の取引市場創出という試みが、今後の放送事業あるいはコンテンツ産業全体の将来を語る重要度があるので、常に注視・議論を怠らないようにしてくことが重要
この発表の後で、引き続き小笠原コンテンツ振興課長から、次の内容の報告が行われました。
- 中村主査から説明があったように、検討の背景・経緯・取引市場の形成に向けての具体的な方法の 3 点について議論の概要を説明する
- 検討の背景として、「わが国におけるコンテンツ市場の現状と政策目標」に「今後10年間で5兆円のコンテンツ市場の拡大を目指す」ということが平成18年7月7日に閣議決定されている
- コンテンツ市場においては、地上デジタル放送の存在感は、文字コンテンツ等も含めた全コンテンツの約25%、1/4 を占めており、映像コンテンツだけで見れば約6割となっている
- 以上は一次流通、最初の放送で得られる収入での数字だが、二次利用移行のマルチユースということで見ると地上デジタル放送は20%で、映画と比較してまだまだ拡大の余地があるのではないかと考えられる
- このように、地上放送コンテンツに対する期待感は非常に大きなものがあるし、実際市場に占める数字でもある程度裏づけられるものとなっている
- 放送コンテンツの二次流通の状況は、アメリカではダウンロードサービスとして放送翌日から 2 ドル程度で利用可能になっている例もあるし、ストリーミングサービスとしては放送局自身が無料で配信しているという例がある
- アメリカのみならず、韓国でも放送局によっては一定期間ごとに様々なウィンドウに出して収益を上げていくという形がある等、海外では放送コンテンツの二次流通が一般化している例が見られる
- 日本においても、映画コンテンツではネット配信も含めてコンテンツの二次利用が常態化している
- 二次利用としてはネット配信だけでなく海外展開もあり、こちらの状況は全体額で約 100 億、直近 3 年で見れば 80 億、90 億、約 100 億と伸びてきている
- ジャンルとしてはやはりアニメが多く、ドラマ・バラエティがそれに続く形となっていて、輸出先はアジアが過半以上となっている
- ただしこの場で委員の方々から、また他の場でも、日本の放送コンテンツの存在感がもっと高くてもよいのではないかという意見が出ている
- 韓国のドラマが露出しているケースが目立つが、日本のドラマやバラエティも、もっと韓国並みに露出していてもよいのではないか、そういった気概が放送事業者から出ても良いのではないかという指摘がある
- 輸出金額を韓国と比較した場合、日本も韓国も、どちらも約 100 億と、絶対額ではさほど差があるわけではないし、放送事業者も積極的に取り組んで伸びているということなので、さらなる期待感が表明されていることだと思う
- こういった目標と現実のギャップを埋めるために何をするべきかという提言が出ている
- 経済財政諮問会議での「全ての権利者からの事前許諾に代替しうるより簡便な手続き、これを 2 年以内に整備するべきである」と、民間議員説明資料で指摘されたことがある
- デジタル・コンテンツ法有識者フォーラムから「著作権法によっては、インターネット上でコンテンツを流通させるための権利が集中されていないので、この所を改善し、インターネット上に流通させる権利を、ネット権者 (=放送事業者) に集約し、権利者はネット上での利用に対して原則権利行使ができない形として、その代わりネット権者に収益の公正配分の義務を課そう」ということが提案されている
- 諸外国の制度としては、放送番組の調達に際して、放送事業者に対して一定のルールを定めている場合があり、これらについてもこの委員会で議論の対象となった
- 以上が検討の背景で、放送コンテンツの流通についてどのような事が期待されていて、どんな指摘が行われているかという紹介になる
- 検討の経緯としては、制度による解決策というアプローチと、民間での解決策というアプローチの双方が議論された
- まず、制度による許諾権の制限ですが、こちらには権利者団体の方々からの「いわゆる二次流通を止める、二次流通が望ましくない、そういったことを主張したことは一切なく、基本的に二次流通は大歓迎であって、収益の拡大につながるウィンドウの拡大や、マルチユースの促進は歓迎すべきことである」という意見が表明されている
- しかし、許諾権の存在自体と手続きの煩雑さがネックになっているのではないかという指摘に対しては、放送コンテンツの二次流通が盛んなアメリカでは、脚本家協会のストライキの例に見られるように、権利者の立場は強く、権利が非常に弱いということはないという反論がされている
- 次に、制度によるアプローチの二点目として、海外で見られるように番組調達ルールを、放送事業者と番組制作者の間に制度というルールを入れることで放送コンテンツの流通を促進するというアプローチが検討された
- こちらについては、制度が導入されている国は公共・国営放送が大半であるという放送事業者の立場の違い、また放送事業者に対して「あまねく普及」という義務を課しているか、いないかという市場構造の違いがあるアメリカで採用されている制度をそのまま導入するのはどうなのかという指摘があった
- そこで、民間でのアプローチとして、取引に必要な権利情報等のデータベースを構築してはどうかということが議論された
- ここで問題になったのは取引に必要なリスクとコストを誰が負担するかという視点で、放送コンテンツを流通させたいと考えている事業者がリスクとコストを負担するのが原則だろう
- まず、ブロードバンド事業者にも放送事業者にも、リスクとコストを負担しようという方々は現れなかった
- これは、ブロードバンドであれ海外展開であれ、放送事業者が制作著作したコンテンツを今以上に二次流通させていこうという意思がないからだろう
- 一方、番組制作者が制作著作したコンテンツに関しては、自らのリスクでデータベースをつくり、積極的に市場に出していこうという意思が見られた
- である以上、番組制作者が制作著作したコンテンツを中心に、取引市場の形成、取引市場データベースの構築をバックアップしていくべきであろうというのが議論の大筋である
- また、取引市場データベースとは別に、公募トライアルという形で、みずから制作資金を調達してマルチユース前提のコンテンツ制作を行おうという意欲のある制作者に対して、機会を開いて、放送の機会を与えるということを推進しようと検討されている
- また取引情報のやりとりだけでなく、放送コンテンツの現物をもちよっった (カンヌ映画祭やその他のテレビ祭のような) 見本市の開催を促進していくことが必要ではないかという意見がある
- 以上が検討の経緯で、これらを踏まえて今後、取引市場の形成に向けて、何をやっていくべきか、検討の経緯のところで既に紹介しているが3点になる
- 一点目は番組制作者の制作著作したコンテンツの取引市場データベース、これは各製作事業者や権利者団体が構築しているデータベースのゲートウェイやインデックスとなるデータベースの構築というアプローチを行っていくべきであると
- 二点目はリアルな取引市場の形成、見本市をわが国においても積極的に開催していこうと
- 三点目は AMD からの提案があった公募トライアルのように、マルチユースを前提とした番組企画を公募し、優れた企画に対して、スポンサーとなりうる企業、あるいは放送事業者の方々を紹介して、実際の放送の機会を与えていこうという試みを推進していこうと
- 以上が検討の背景、これまでの経緯、今後の取引市場構築の具体例についての報告になる
以上を受けて、意見交換 (質疑応答) に移りました。最初の発言者は寺島オブザーバで、内容は以下の形でした。
- 今日は色々な立場があるので、テレビ連盟 (全日本テレビ製作社連盟 - ATP) の寺島ではなく、テレコムスタッフの寺島という形で発言させていただく
- この 38 回におよぶ長い検討委員会に多くの方々が長く様々な議論を重ねてきたことに、その労に対して謝意を表したい
- ただし、最終的な結論となった、制作事業者が民々のトリガーとなるということで委員会にある種の出口が見えてきたということだが、私達は今年 2 月からしか参加していない
- 今日は中村主査や小笠原課長がおっしゃったような整理したものではないということを委員の方々に認識していただき、私達制作事業者の意見を最終答申に盛り込んでいただきたいと思っている
- もちろん取引市場形成について、我々事業者はその一助となるべく、熱い議論に参加させていただいたが、それだけで市場形成、5 兆円の規模拡大に役立つとは考えていない
- 本当に微弱ながらその一助になるということだと思っているが、我々のインセンティブは、もう一度、作り手とコンテンツにリスペクトを払っていただきたいと、さほど多くない、我々が制作著作を持っているコンテンツを何とか市場に出して、その真価を確かめたい、制作事業者の若い仲間が、次の展望をはかれる場所として、あるいは制作事業者が自立していくきっかけとして、この取引市場形成という大きな流れの中に参加していきたいと考えている
- 特にこの委員会で述べてきたこととして、今本当に必要なことは、コンテンツ流通に必要なことは、適正な取引市場の形成拡大よりも、健全なコンテンツ産業の育成だと、そのことをまず我々現場から訴えていきたい
- コンテンツの調達に関して、民々の取引に任せるべきであって、制度的規制はなじまないという議論に我々は出席していなかった
- 澤田さんもよくおっしゃいますが、5 年たったら誰がテレビを作っているのだろうという、そういう状況をこの場を借りて話してきたが、我々としては、今後のコンテンツ産業育成のために、ある程度制度的見直しが必要ではないかという思いをずっともっている
- もちろん、取引市場形成のためのデータベース構築ということを我々は必死になってやるけれども、日本のコンテンツ産業のある種中核をなす、テレビ放送番組の、制作現場を新たに見直す機会として発言させてもらう
- 制度的見直しをどんな形にしたらよいかということを単純にいうことはできないが、現場から言えることは、発注受注、委託受託の構造が、固定化ということが大きな問題になっている
- そのために様々な公募トライアルとか、試行を重ねているけれども、全体的には構造的な問題が制度疲労をおこしているということを認識していただきたい
- 現状で我々プロダクションにとって、民間放送局の受発注のありかたが垂直統合的になりつつあり、完パケ納品という形がどんどん少なくなってきている
- 制作委託から業務委託にシフトされてしまうと、制作事業者とそのクリエータ、作り手達は、ある種派遣的な、労働者という立場にシフトされているということが、現状では非常に多くなっている
- そうなってしまうと、私達が求めているコンテンツと作り手へのリスペクトということが、現場からどんどん失われていってしまい、基本的にはコンテンツの力をなくしていってしまう
- この制作委託から業務委託へのシフトは景況感の悪化や今後のコンテンツ展開のための権利の抱え込みとかもあると思うが、民間放送局の視聴率至上主義がこの原因ではないかと思う
- テレビの地上波で大人が見るような番組がない、ひとつ番組があたれば同じような番組がずっと横にならぶという、旬の番組を如何に効率よく、早く作るという形に現場が移行しているように思える
- これは局主導で行われているから、その指揮に入った制作事業者は局のプロデューサの下で右往左往する状態で疲弊している
- このことは決して悪いことではなくて、放送局が民間企業とすれば、当然視聴率を上げて各局の媒体価値を上げていくのは否定されることではない
- しかし、それだけを考えて、国民共同の財産である電波をあずかって公共性を担保するはずの放送事業者が、目先の視聴率だけに囚われて、放送の文化的意味とか、番組が消費財ではなくて恒久財たりうるかという、長期的なスパンでものを作る余裕がなくなっているのはどうなのだろう
- そういった状況で本当に豊かで多様な放送を供給できるか、これは勝手な私案なのだが、これを改善するほうへ制度的な見直しをして頂きたいという思いで話をする
- 民間放送の枠に、視聴率を考えない枠を作ったならば如何だろうか、調達規制とか、外部のプロダクションに枠を解放するという話でなくとも、視聴率の呪縛から解放された枠を、各局何時間か取るという制度的な介入はできないものだろうか
- これをしない限りはテレビで大人の視聴に耐えうる、恒久財として商品流通していく番組はなかなか出てこないのではないだろうか
- これは夢のような話かもしれないが、放送の、テレビ界の現状で、視聴率至上主義という呪縛を解放することは、健全なコンテンツ産業育成でひとつの足がかりになるのではないかと考える
- もうひとつは若手人材の確保・育成で、これまで何度も話してきたことだが、テレビ局の首脳に挨拶に行くと「本当に人が来ない」と言われる局が多かった
- これには二つ意味があって「テレビ局には優秀な人が来るのだが、頭が良くて、何かを作りたいという意思を感じる人がいない」これはあるテレビ局の社長が言っていたことで、本当かどうか私には判らないが、そういったことを言われる社長がいた
- もうひとつは現場を見ていると本当に大変で、何か事故が起こるのではないかと心配になるという、若手が本当に走り回っているけれども、人材が払底していて発注している自分達の側が心配になってくるということ
- 作り手が居なくなっているということと、作り手の現場では若手が疲弊しきっているということ
- 私達が参加している ATP で若手の声を聞くと「賃金が安い」「労働時間が過重である」「将来に夢が見えない」「今自分が携わっている番組に誇りがもてない」という声が氾濫している
- 本当に、こんなことは言えないのだけど、労働過重になっていると思う
- もちろん各社裁量労働制をとってみなしでやってはいるのだけど、それでも追いつかない
- また、入って 1・2 年の若手でみなし労働をやらせるわけにはいかない
- 彼らが上のディレクターや局のプロデューサーの足となって動きまわっているのだけれども、この労働が大変な過重状態になっている
- それでも次々と若手が入ってくれば問題はないのだろうけれども、入ってきた人々は、こんなしんどくて夢のないところではやっていけないという形でやめていってしまう
- 私達プロダクションはある種労働集約型の産業で、プレデューサー・ディレクター・AD の三者がある種バランスとコミュニケーションを取って作っていくのだけど、この AD が本当に育たない
- 「5年後に誰がテレビを作っているのか」という澤田さんの言葉は、今現在、中堅のプロデューサやディレクターはいるけれども、その下の AD が、未来のディレクターやプロデューサーが払底しているということを意味してる
- これをどうするかということで、これもまったくの私案なのだけど、各放送局が支払っている電波料、これをある種の公的資金として還流して、その資金を人材育成・確保のプロジェクトにまわせないかと、例えば若手に夢を持たせるための海外留学とか、過重な残業代の補填とか、局の若手との合同セミナーとか、合同セミナーに出席するための休業補償であったり、補填要員の確保資金であったりとかに使うことはできないのだろうか
- 我々は若手の人材を確保できなければテレビの番組を作ることができない立場に追い込まれているので、国民の共有財産である電波を使用しているということで、電波料を交流資金ということで、テレビ界の、あるいはコンテンツ育成の資金として、そういうことを考えられないかと思う
- これも私の夢のようなことなので、あえて具体的なことを、例えばと言われたらこういった言い方をした
- とにかく、番組調達は民々で行うべきであり、制度的見直しは必要ないということで答申案が終わらず、何とか制度的みなおしを今後も課題として残してほしいということを、私達製作者の声として伝えたい
次の発言者は澤田オブザーバで、内容は以下の形でした。
- 寺島さんがほとんど網羅したので、私はもう少し具体的な話をしたい
- デジタルコンテンツの流通促進ということで、ソフトの流通のことをメインにやっている検討会だけれど、コンテンツというのは本当に足りないのだろうか
- 今、十分かどうかは別として、流通はしていない、売るものもない、だけどブロードバンド事業者も買ってまでやる気はない、だから困っているということがあるのだろうけれども、私達の立場からすると、今で十分なんじゃないのかと
- これだけ電波があって、まだこれから増やそうと、これに光ファイバーを加えようと、それでどうなるのか、今でも見るものは十分にあるのではないか、一人で見る限界をこえているのではないか
- こう考えると、我々ビジネスとして、百何十社集まって、制作を主体にしてやろうという依頼があるのかなと非常に不安がある
- かつてはテレビ局が 100% 番組を作っていて、それが色々な状況で、制作プロダクションが 300から400社ないと今の放送の形態が保てないようなシステムが出来上がった
- なので、感覚的にああ幸せな時代になったなと、少ない10社ぐらいのところからこれだけ増えて、それぞれ潰れずにやっていけると思っていたのだけど、そういかない事情がでてきた
- コンプライアンスという新しい問題がでてきて、局の側で番組にプロデューサを三人も貼り付けなければいけない大変な状況になっている
- 「あるある大辞典」の一件は超ワンマンのプロデューサー一人だけだったために、権限をもった人間が全ての問題を隠してしまうという、犯罪状況ができた
- そこで BPO や皆が考えて、コンプライアンスということを言い、三人プロデューサをつけなければいけなくなった
- 局にそんなに人はいないので、派遣ということで人を増やして番組をやるようになった、しかし、派遣の人間を局の人間が指導して番組を作っていくというのならば、それは以前の (100%局が番組を作っていた) テレビ局と同じ
- ならば、私たちは皆やめようかと、そこまで考える、私達が今まで延々と 30 年間やってきて、何とかいいやつをを育てようとしてきたあの努力はなんだったのかと
- 実際、全映協の、地方局のプロダクションの団体では、プロダクションの仕事を止めてしまおうかという相談を皆でしているという話が出ている
- 地方局でも、予算のついたいい番組では東京のプロダクションを使って、地方のプロダクションでは細かい仕事を、ひどい状態でやらされていて、なおかつ景気も悪い
- 受注・発注という関係が変わらない状態で、いい番組を作るためではなく、自分達の会社を維持するために、しわ寄せがプロダクションにきている状況ならば、もう仕事をやめてしまおうかと結論を出してる人たちもいる
- JVIG (日本映像事業者共同組合) はもう少しマシな立場だけれども、今までは制作協力という番組をしていたものが、どんどん派遣に切り替わっている、嫌ならば辞めてもいいよという形で
- 私がやっていたズームイン朝も、最初は制作協力だったのが、今では派遣になっている、そういう状況
- もともとやっていた会社ですが、今ではもう縁がないので、社長に対して、絶対に派遣を入れるなと、そうしたら二重派遣になって介護のコムスンと同じで会社が潰れるから気をつけろと、調べた上で言ったのですけど、何も気づかずに、ハイ派遣にしましょうといっている会社も多い
- 大きな制作プロダクションになると、社員だけではなくどうしても派遣を使わなければいけなくなるのは 20年、30年前のテレビ局と同じなので、どうしても二重派遣になってしまう、そういうシステムを、今、TBS、NHK、日テレ、フジがこのあいだそのようなシステムを作られた
- 残っているのはテレ朝だけで、そこもやがてそうなるのだろうと予想している
- もうひとつの検討会 (放送コンテンツの製作取引の適正化の促進に関する検討会) にも出席しているが、昨日の会議では「あなたは古いことばかいり言うけれど、昔はよかったと、昔にもどりたいのか、現状を認識して欲しい」と言われて黙ってしまった
- だけど、現状ということで言うならば、この不公正な現状をどうしてくれるのかと、どうすれば我々は免れることができるのか
- これは今日の会議で訴えるしかないと考え、今、言っている
- 民々などという話は、絶対にありえない
- このシステムでは、受注発注のありかた・形式が変わらない限り、環境は良くならない
- 例えば、韓国やフランス・アメリカ、これらは多少放送局の立場が異なるけれども、日本はイギリスの構造に似ているのだから、一番近いイギリスの形に近づけるとか、せめて資料にあったような、あの程度の条件をつけてやらせていただけないと、将来性がない
- プロダクションが辞めるということになれば、5 兆円の拡大などという話はなくなり、誰が作るのかという話になる
- テレビ局は、自分達で作れば赤字になるということがわかっているからこそ、制作プロダクションを300社も400社も食わせている
- こういった状況で、寺島さんの ATP では、権利を持って売ることを考えている、しかし JVIG では小さなプロダクションが多く、今はバラエティをやっている会社が多いが、バラエティは肖像権の問題等多く、ソフトとして売るのは難しい、ましてニュース素材はまったく使えない
- 組合のメンバーにはかってみても、著作権を主張するような番組はなかなかないと判っているし、これは売れないだろうと考えている
- それでも一応組合で登録してみようと、どんなものがあるか、登録されたもので、ひょっとしたらリメイクしたり何かするようなものがあるかもしれないと、研究している段階
- そういうことも含めて、このコンテンツの流通、マーケットというものがぜんぜん見えていないし、5 兆円というのは判るけれども、本当にそんなものはあるのだろうか
- せめて、作り手が居なくなるということだけ、本当にせめてそれだけでも、なくなるようにしたい
- 気持ちよく番組を作りたいといって集まっているメンバーなのだから、気持ちよく仕事ができるようなシステムができないだろうかということを、こういう機会なので言わせてもらった
- 参考にしてもらえればと思う
次の発言者は吉川オブザーバで、内容は以下の形でした。
- 中村主査に関しては、複雑な状況のなかで、ここまで取りまとめされたことに経緯を評する
- 澤田さんの発言に色々とあったが、コンテンツ市場拡大がひとつ大きな目的なので、コンテンツ市場拡大に関する全てのステークホルダーが積極的に、かつ前向きに活動・努力することで制度によるエンフォースメントを導入せずとも民による市場の拡大が健全化することを強く期待したいし、希望したい
- 人材の話は、過去にも議論されて、ICT 国際競争力研究会などでも、こちらの委員である行田さんであるとか、高城さんが、やはり人材のことをすごく言っていて、そのときに出た議論としては、鶏と卵の問題
- マーケットがなければいくらいい人材を育てても、活躍する場がない
- 特に高城さんが、優秀な人材は全て海外に出ていってしまうと主張されていた
- だから、鶏と卵、両方をやらなければいけないにしても、市場を拡大する努力は皆でやってみることが重要ではないかと考える
次の発言者は椎名委員で、内容は以下の形でした。
- ネット上での様々なことが道半ばである状況で、その時点、その時点で切り取って犯人探しをして物事を解決していこうという姿勢はすごく非生産的ではないかと思う
- 収益が上がらないネットに直面して、IP 事業者さん、番組調達のために、許諾権を犯人にして、報酬請求権化のキャンペーンを張られた、その流れは止まっていないと思う
- 放送事業者さんもビジネスモデルを守るため、煩瑣に著作権処理の煩雑さを口にされる、この流れも止まっていない
- そうした中、マルチユースを前提にした番組制作に意欲のある番組制作者の方に、機会を与えようという AMD アワードが始まると、権利制限の話では、最前列、かぶりつきで、ノリノリでいた IP 事業者さんがどこかに消えてしまった、そういうことも目の当たりにした
- 今お話をいただいた、番組制作者さんはもう少しプライマリな、労働環境とか、一次的な収入とか、様々な問題をかかえている中で、データベースの取り組みをされているということは貴重なことではないかと思う
- その辺りの事情を明確にしたことが、このワーキンググループの最大の成果ではないかと思う
- このデジコン委員会が掲げている、コンテンツへのリスペクト・対価の還元という価値観はきわめて当たり前の考え方だと思うけれど、最近政府の中でもこの考え方がどんどん希薄になってきていると感じる
- コンテンツへのリスペクトとか、対価の還元を実現するひとつの方法論である、指摘録音録画補償金制度も、なんだかわからない形でスタックしてしまった状態がある
- また、先ほどお話がでた、許諾権の報酬請求権というのが、今のバージョンではネット権という形になっているわけで、どうもそれを検討している会議で、あろうことか、とある放送事業者さんが「ネット権を歓迎する」という向きの発言があったと聞いている
- もし本当であれば、これは困ったことだと考えているので、今日は折角だから、この委員会に出席されている放送事業者の方々から、ネット権に関する考えをぜひ、伺いたいと考えている
- この検討委員会ではこうした動きにひるむことなく、コンテンツへのリスペクト、対価の還元、こうした価値観を今後広く共有されるようにフォローアップして頂きたいと、是非、そう思う
次の発言者は元橋オブザーバで、内容は以下の形でした。
- 椎名さんがお尋ねのその点から、どこの社の、どういう方がどういう発言をされたか私は知りませんが、ネット権云々とは別に、放送番組を作っていく上で、出演者の方と、色々な関わられている方との信頼関係が一番重要だと考えている
- その信頼関係に、契約に基づいて放送に出ていただいたり、その放送コンテンツを二次展開していこうというのがもっともベーシックなところだと思う
- その信頼関係を超えたところで、何か制度で放送番組は自動的にネットに出て行くという話になる場合、それはその信頼関係をないがしろにされて、それならばもう番組にはでないといわれてしまうのが一番困る
- 原則的には、一番ベーシックな信頼関係による契約、要するにビジネス以前の問題も含めて、当事者間の合意と信頼が大事で、それが揺らいではならない
- これが答えになるかわからないが、椎名さんのおっしゃったことは杞憂ではないかと私は思う
- それから、寺島さん、澤田さん、テレビ界の大先輩二人の発言を聞いて、制作の現場の正直な思いを吐露されたのだとは思うが、放送の現場を直接ご存知ではない方が、今の番組は放送曲では作っていなくて、全て制作会社で作っているみたいだねと誤解されるといけない
- もちろん制作会社の方々と一緒につくる番組や、制作をお願いしている番組、また制作会社から提案していただいた番組はある
- やはり放送局である以上、放送の番組を自ら作るというのは一番大事なことで、これは民放各局さん含めて、もちろん私ども NHK も、失ってはいけないし、失っていないところだと是非、ご理解いただきたい、誤解のないようにお願いしたい
- 私自身も記者やディレクター・プロデューサーの経験があるが、新入社員として入ってから、平均では 5 年、私は出来が悪かったので 7〜8 年、下働きのような仕事で、AD と同じ仕事をずっとやってきた、長時間拘束される、そういう中でやってきた
- それは局の人間だろうと、制作会社の人間だろうと誤解を恐れずに言えば、そういう部分があるだろうと思う
- それはいいものを作るという、補填制度ではないけれども、トレーニング期間という部分もあると思う
- 自分が作った番組が、さきほど視聴率の話がされたけれども、1% であれば 100 万人、20% であれば 2000 万人に届くということの責任を考えると、この業界に入って、2 年、3 年の方に、本当の天才級の方は別でしょうけれども、自由勝手に番組を作らせたら、それはやっぱり問題だと思う
- それなりの品質管理とか、事実関係のチェックとか、コンプライアンスの問題とか、先ほど澤田さんがおっしゃいました不幸な事故とかありましたので、色々なお立場の視聴者の方々がいる、色々な年齢層の、色々な地域の方がいるという中で、放送局という公共性のある電波を預かっている立場として、責任のある、きちんとしたものを届けていく以上は、それなりのトレーニング期間を経た、プロ意識をもったジャーナリストが作っていくというのが大事
- それに至る過程で、局のプロデューサーが制作会社のディレクターの方に、これは違うのではないかと、映像を差し替えたり、ロケの追加をお願いしたり、そういうことは当然あると思う
- それを含めてけしからんといわれてしまうと、放送は何なのだろうと考えていかなければいけない部分だと思う
- 品質管理、品質を向上していく、大人の視聴に耐えるものを作っていくということで、立場は違うけれども汗をかいているので、そこの部分を含めて否定されてしまうとやりきれない
- もちろん契約の問題とか、権利の帰属に関する問題で、澤田さんが指摘された問題がなくなっていないということであれば、それはその場で話題にしていただければ、正しく検証する必要はあると思う
- だからといって、制度をいきなり一定のものを設けて、本来、放送や報道は自由闊達なところから新しいクリエイティブなコンテンツが生まれてくるものだと思うから、そこに枠をはめて、流通を活性させるためのいろいろな制度やビジネススキームを作るはずだったものが、一番大事なコンテンツのクリエイティビティを失ってしまうことになるのではないかと、そこを私は恐れる
次の発言者は佐藤委員で、内容は以下の形でした。
- 椎名委員のネット法に対する立場は、私もデジタルコンテンツ有識者フォーラムの提言をちょっと見て、正直驚いたところ
- やはり、コンテンツの制作・利用・配給のあり方というのは、本来であれば、制作・企画の段階で、制作者と、クリエーターと、権利者と配給事業者が係わって、契約で取り決めるべきもの
- 特に、制作者とクリエータ、権利者というのは本来的にイコールパートナーだから、コンテンツがどういう風に利用・配給されるかということに関しても、対等のステークホルダーとして対応や条件についてもそれぞれ納得した形で実施することが当然
- 有識者フォーラムの提言だと、インターネットの流通を特別扱いして、コンテンツの利用とか配給に関して、クリエーターや権利者の発言権を封じるようになっているわけで、非常に直截にクリエーター・権利者の軽視であるし、コンテンツ文化の軽視に根ざした、ちょっといわばファッショ的な発想ではないかなという感想を持った
- コンテンツとか文化とかインターネットというのは本来は親和性がどこかにあるはずで、その親和性を模索する努力すら、否定するような考え方であって、非常に狭量で、短絡的で、近視眼的で、非常に残念な考え方を含んでいると思った
- 少なくともフジテレビはこうした考え方に与するものではないと申し上げたい
- 寺島さんと澤田さんのご指摘にあった制作現場の現状というのは本当に大変なことになっているわけで、澤田さんもおっしゃっていたように、放送事業者、テレビ放送は現状は、制作事業者さんの協力なくして、特に民放は成立していないということ
- 制作会社も放送事業者も、お互い、放送事業を営んでいくわけでは最重要パートナーだと認識せざるを得ない
- その二者間のパートナーシップを如何に公平に・公正な関係に担保していくかは非常に重要なこと
- 放送コンテンツの制作取引の適正化の促進に関する検討会というものが設けられて、これを喧々諤々いいながら、お話をしていただいている
- 改善するべきことがあれば、速やかに改善されていくという建設的な議論が行われてくれることを放送事業者としても祈らざるをえない立場
- コンプライアンスもいろいろな方向からのコンプライアンスがあるので、ひとつのコンプライアンスがイコール他のコンプライアンスにならないようなケースもある
- それぞれの思い違いがあったりとか、いろいろなことがあるかもしれないが、なんとか乗り越えて、制作の検討会の機会を生かして、止揚ができることが望ましいと常々思っている
- 取引市場データベースですけれども、様々なコンテンツがあるということで、澤田さんがドラマは売れるけれども、バラエティだとかドキュメンタリだとか報道のようなものは、これは難しいという意見
- ドラマはたとえば一話一話、タイトルがあったり、知名度があったり、おなじみであったりするようなものがあるので、人が簡単に想起し、見たいとか思うわけだけど、ドキュメンタリではどういうタイトルだったっけと思いつくのすらなかなか難しい
- それは BtoB で考えるビジネス側の当事者だとなかなか難しいということだけれど、そういう意味では、ドキュメンタリであるとか、バラエティであるとか、タイトルだけでは簡単に認識しえないもので、しかし中身を知らされれば、あ、これはひょっとして感動したドキュメンタリだったなあというものが必ずあるはず
- そういったものについてのデータベースを相互に交換して、ビジネスチャンスを構築していくというトライアルは、非常に意味があるかなという風に認識している
- とりわけ今回の構築は、インデックス機能だとか、ゲートウェイ機能とかで、既存のデータベース間の相互参照も意識されているということで、将来に向けての拡張性はあると考えている
以上で意見交換は終了し、村井主査から、以下の内容の意見が出ました。
- 中村ワーキング主査にお伺いしたいのだけど、バーチャルという言葉を使うのは普通だろうか?
- この委員会の議論は世界からもだいぶ参照されるので、英語のニュアンスとしてバーチャルというのは適切かどうか
- 実際にこれビジネスするわけで、例えばオンラインなのか判らないけれども、実取引市場に対してデータベースを作ってというのであれば、それなりの表現を考えていただいたほうが誤解がすくないかと、個人的には思う
これに対する中村ワーキンググループ主査の意見は以下の内容でした。
- 言葉についてはさほど強い思いで整理をしたものではないので、少し検討してみる
その後、技術検討ワーキンググループおよびフォローアップワーキンググループでの検討状況について、各ワーキンググループ主査からの報告が行われました。
村井主査からの技術検討ワーキンググループでの検討状況報告は、以下の内容でした。
- 技術ワーキングの方は、ダビング10のようなコピー制御のルールが守られることを担保するために、どんな仕組みが望ましいのという、いわゆるエンフォースメントの在り方について検討していただいている
- 大きく分けると、ルールを守る人だけが、ライセンスを得られる、受信機を作るためのライセンスを得られるという、技術的な枠組み
- それからルールを守らずに受信機を作ったり、売ったりした人には罰則がかかるような制度的な仕組み
- 二つの方法が考えられるわけで、この二つの仕組みを比較検証しながら議論していただいている
- その結果の一部を前回の委員会で比較対照後の形でご報告いただいたわけなのだけれども、判りにくいというご指摘を頂いた
- 色々な検討していくべき課題が明確になるようにという点で、また前回の後でも技術ワーキンググループで検討を進めていただいているので、かなり材料が、前回のご指摘にあわせて、そろってきたのかなあという印象がある
- 次回以降、技術と制度のエンフォースメントの比較ということも、皆さんがこの委員会で出していただいたご意見に対してその比較がどうなるのかという視点で整理をしていただいている
- それをこの場でご報告をして、議論していただきたいというふうに準備をしている
- というわけで、今日、ちょっとこれ実際に議論をするための素材がない、そういう状況だということを報告させていただく。
中村主査からのフォローアップワーキンググループでの検討状況報告は、以下の内容でした。
- フォローアップワーキンググループは、合意の形成がなされているかどうか確認する、検討するというのがミッションで、調整ではない
- 現在そのフォローアップワーキングのメンバー個別にご意見を伺うという作業を行ってて、合意形成の接点を探ろうという作業をやっている段階
- 本日の時点では、ダビング10実現時期の確定というステップに進むことについての合意形成が確認できていない
- というか、合意形成ができていないことが確認できている
- 引き続き、ご意見のヒアリングおよびワーキンググループの開催等の作業を進めて参りたい
- ただし、少しだけ苦言すると、これはそれだけではなくて、もはや官の問題になっていると私は思っている
- みっつの省庁が控える問題でもあるので、前回も私はこの場で、もはや行政が出てくる問題ではないかということを申し上げた
- 関係省庁間でも調整することが必要ではないかと思うので、その作業もよろしく善処いただきたい
このあと、村井主査から、次の発言がありました。
- コピー制限緩和について可能な限り早期に取り組むようにということで、私ども答申している
- 放送事業者・メーカー等、関係者の方が実現に向けた取り組みをずっと進めていただいていた
- これは昨年 11 月以降、色々な作業状況を報告・確認・議論していただいていたこと
- 新たなコピー制御方式としてダビング10ということが決まって、その後関係者の努力を経て、2 月にこの提案、確認していただくというということで進めていた
- 放送事業者、それからメーカー等の関係者が 6/2 に開始するということで、目標で作業していただいた
- この時期を確定するときに色々なところで、この委員会で、放送のコンテンツという視点の中から進めてきたような議論に関しての、コンテンツのリスペクト等の今までの答申の中で本委員会としてあげてきたこと、これらが、この委員会の守備範囲の中、あるいはそれ以外の場所でも色々な議論の対象となってくるということなので、そのための理解と合意をつめるために、フォローアップワーキンググループをお願いした
- 時期の確定ということで、ステップを進めるということでこの 4 次答申の策定に関わっている方、他の場でも活躍をされている方ということで、それをフォローアップワーキンググループで確認をできたら確定しましょうということ
- 今うかがったのは現時点でフォローアップワーキングでその確認がまだ取れていない、でもこれから進めていくということでご報告いただいた
- 技術面でのご努力があって、具体的な数字が 6/2 ということでご提案いただいていたわけですけれど、確定に関する合意ができていないということなので、私としても、大変残念でありますし、主査としてもこれを進めていきたいという思いはまったく変わっていない
- そういう意味で、この答申を早期実現していくというのは皆さんの、委員の中でのコンセンサスだと思うので、ぜひフォローアップワーキンググループで引き続き続けていただいて、皆様のご協力をぜひぜひお願いして、議論を続けていただきたいと思う
最後に、小笠原コンテンツ振興課長から、6 月の日程は今後調整をするとの発言で閉会しました。
◇◆◇
既にあちこちで報道されているとおり、ダビング 10 に関しては暗礁に乗り上げている状況なのですが、私のような特殊な消費者がどんなスタンスでこの辺の陰険漫才を聞いてるかを書いておきます。
- 無料広告放送へのコピー制御実施は、アナログ放送時代に民間放送局 5 局 + 公共放送 1 局という世界に類を見ない健全なテレビ放送環境の発展を支えてきた、視聴者の利便性を大きく損なう愚策であって、デジタル放送普及の妨げとなる
- 無料広告放送には、アナログ放送時代と同様にいかなるコピー制御もかけるべきではない - ダビング 10 だろうが、EPN だろうが受け入れたくないので、回避方法を探す
- テレビ番組を見るのに必要なコストが、コピー制御による利便性の低下で番組を見て得られる利益を超えた場合、番組を見ないという選択肢を選ぶ
- 放送局の広告費収入が減ってるのは戦後最長の好景気 (を主導した企業のコスト削減努力) が原因で、デジタル技術の発展と録画機器によるタイムシフト視聴の増加が原因ではない
- 無料広告放送のコピー制御が完全に撤廃されるのであれば、録画機器 1 台あたり 500〜1000 円程度の補償金を受け入れてもかまわない (補償金の透明な配分が保障されるのが条件になるけれども)
以上が私のスタンスなのですが、現実はどちらに進んでいるかというと、コピー制御はダビング10という形で残り、録画機器への補償金は導入され、コピー制御の回避には法規制が加わりそうという最低の方向に進んでいるわけですな。どうやらテレビ番組を見なくなる日が近づきつつあるようです。
6月16日(月) デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会 (第39回)
前日になってから開催告知かよと、何かの嫌がらせなのだろうかと疑念を抱きながら、今回も傍聴してきました。会合 (6/13) からやっぱり時間がたってしまいましたが、恒例のレポートを置いておきます。
今回は技術検討ワーキンググループからの検討状況報告がメインで、第37回に引き続き、放送事業者委員から技術的エンフォースメント (TE - テクニカルエンフォースメント) と制度的エンフォースメント (LE - リーガルエンフォースメント) の比較用資料が提供されて、それについての報告と意見交換、そして最後にフォローアップワーキンググループでの状況報告という形でした。
放送事業者からの発表は 37 回とさほど変わらず、技術的エンフォースメントがどのように作用することを意図して作られたものなのかという説明と、それと比較する形での制度的エンフォースメントの作用と効果・課題が表の形でまとめられた資料が提供され、その内容を説明するというもので、発表者は関委員と藤沢オブザーバでした。関委員の発言は以下の内容でした。
- 技術検討ワーキンググループの検討内容を、特にエンフォースメントに関しての検討状況を説明する
- 資料 1 で、最初のページがエンフォースメントに関しての概要で、残りの 4 ページが技術的エンフォースメント、制度的エンフォースメントのイメージと、想定される課題を比較しながらまとめたもの
- 制度的エンフォースメントの検討の重要性は共通認識としてあるけれども、技術的エンフォースメントのイメージも比較の為に必要なので、両方のイメージを出しながらそれに対する課題を話し合っていこうということで、2 枚目以降からまとめている
- 技術検討ワーキンググループでの検討は結論に至っている状態ではないので、この資料はあくまでもこれまでの話し合いを、放送事業者委員としてまとめたものになる
以上の発言の後で、この資料の取りまとめを主に担当したのが藤沢オブザーバとのことで、発表者は藤沢オブザーバに引き継がれ、資料の内容の詳細な説明が行われました。その要点は以下のリストの形でした。
- 最初に資料 1 枚目でエンフォースメントのおさらいをすると、エンフォースメントとは直訳すると「強制」の意味で、その実態は大きく分けると二つあり、受信機に対して、一定の動作をしなさいということを強制することとが 1 点と、放送局に対して、あらかじめ定められた以上のコピー制御を行ってはいけないということが、もう 1 点
- 受信機側で基本的な仕組みを説明すると、コンテンツ保護のルールを守らない受信機を製造・販売するメーカに対して、何らかの制裁を科すことで、コンテンツ保護のルールを守ってもらうという強制的な仕組みになる
- この場合 TE では、メーカーに対してスクランブルを解除するために必要な情報を、コンテンツ保護を守るという契約の下で提供し、もしもコンテンツ保護を守らない受信機が販売された場合は、契約違反ということで、以後その情報が提供されずに受信機が作れないことになり、それは困るので契約を守り、コピー制御に従う受信機が流通するという仕組みになる
- また LE では、法律によってコンテンツ保護に従う受信機を製造・販売することを強制して、法を破れば違法行為ということで処罰されてしまうので、ルールに従う受信機のみが流通するという仕組みになる
- このように、コンテンツ保護は、コピー保護とエンフォースメントが組み合わさってはじめて実効性を持つ
- 資料 2 枚目からより詳細に見ていく
- まず、そもそもエンフォースメントの目的であるコンテンツ保護とは何かということを確認すると、対象は無料の地上デジタル放送で、基幹放送である地上デジタル放送で、高付加価値のコンテンツを公共の電波で消費者に提供し続けるために、違法流通を抑止することが重要で、違法流通の抑止のための手段として、受信機でコンテンツ保護を行うことが求められている
- この目的に対する課題として、目的に照らしてのルールの妥当性、コンテンツ保護の方策とユーザにとっての利便性のバランス、さらに公共の利益の観点からの検討が必要で、また、目的達成の効果と負荷のバランスも検討の課題になる
- この目的を実現する手段として、TE と LE の二つの方法が考えられている
- TE では、民間の契約なので、ルールの内容やその担保方法は契約当事者の合意によって決定され、契約遵守の義務を負う者、ルール違反に対して契約違反で訴える等の措置を行う者も契約当事者に限定される
- 補足すると、保護したい番組を提供・放送する当事者、つまり放送事業者と、ユーザにとって魅力的な受信機を設計・製造・販売したいメーカが契約の当事者となり、この両者が当事者間で最適なスキームを作っていくのが TE の基本的な姿だろうと思う
- 一方 LE では「法律で規制する場合には、目的および、目的に照らしたルールの妥当性について、国民的コンセンサスが必要」で「ルールの遵守義務を負う者やルール違反に対して法的アクションを起こせるものに関して、国民的コンセンサスが得られる限り、妥当な範囲を定め得る」という特徴がある
- LE の達成手段では「法における対象機器に対し、規定外の動作を行う機器が出現した場合、法的措置を行う」ということになる
- 以上の達成手段に対して想定される課題を列挙すると
- TE の場合はスクランブルをかけるため、そのシステムを維持するためのコストが必要になる
- LE の場合、一つスクランブルをかけないので、無反応機器を作るハードルが低くなる
- LE の場合、もう一つ、違反行為を行ったメーカに対する刑罰を抑止手段とする訳で、目的の如何を問わず、規制強化ということになるので不適当ではないか、平成 11 年度の産構審 (産業構造審議会) で無反応機器に対応するよう法的規制を行うことは技術進歩を止める可能性があるので、規制を行わないことが適当との報告がされている、地上デジタル放送はそれでも規制を導入しなければならないほど特殊なものではない、等の意見が出ている
- LE の場合、さらに、たとえ法規制を導入するにしても、規制は最小限にとどめるようにすべき
- TE と LE で共通の課題として、事前抑止効果、実効性、社会的コスト、目的に照らしたルールの妥当性、プロセスの中立性・透明性、技術の進歩に応じた柔軟な対応、市場の製品流通への影響、等の比較・評価項目の議論自体も必要
- 次に資料 3 枚目は対象とする機器についてまとめたもので、TE の対象機器は地上デジタル受信機として一つの製品となっているもの、これが対象となっている
- それに対して LE では、こちらも基本的には受信機としての製品を保護すべきなのだけれども、ノンスクランブルの放送ということで、公開情報を用いて、コピー制御に従わない受信機を作成することが実質的にできてしまうことに注意する必要がある
- 例えば色々と組み合わせたら無反応機ができてしまったというようなことを含めて防止する必要がある
- 一方そうした防止をしようとすると、部品として作っているものまで罰則の対象となると問題なので、これをどのように実現していくかが課題になる
- 以上のように、対象機器の範囲、一般的な店舗で購入可能な製品を対象とすると判断基準をどこに置くか、部品全てを対象に含めてしまうと、受信機が作れなくなるので例外的に規制の対象とする部品の要件を何にするか、さらに、部品になりすました無反応機が出てはいけないので、それをどのように考えていくのかということが課題として考えられる
- 次に資料 4 枚目、これは遵守が求められるルールについてまとめたもの
- 送信側に対するルールとしては、TE/LE 双方で変わらず、あらかじめ定められた以上に厳しいコピー制御をおこなっては駄目、たとえばコピーネバーといったことは駄目だということ
- 受信側に対するルールとしては、出力・蓄積(受信機内蔵のHDD等への保存)・記録(DVD-R/RW 等の外部メディアへの保存) の際に、既定された以外の機能を有していてはいけないということ
- TE では受信機全体だけが規制対象なので、上記のみだけれど、LE では各機能単位に対しての規制も検討されているので、一つ一つの機能ブロック毎にこういうルールが必要だと検討されていると記載されている
- この部分に関しては説明を省くが、そのようなことが検討されている
- この遵守が求められるルールについての課題として、TE/LE 共通に、認定された方式というのは、誰が認定するのか、どういう手続きで認定するのかという点が課題としてあげられている
- TE 独自の問題としては、鍵情報が漏洩した場合にどうするのかとうい点がある
- LE としては、簡単に無反応機に改造されてはいけないということで、構造要件、ロバストネスルールというものがリーガルエンフォースメントでも必要なのではないかと指摘されている
- さらに、当該技術に必須特許があった場合はどうするのか、規制内容が固定化されてしまうのではないか、中立性・透明性の高い仕組みを求める必要があるといった課題も存在する
- 最後に資料 5 枚目、ルールに違反した場合の措置について
- TE では、ライセンスの管理主体がライセンス契約を解除することでその後、デジタル受信機の製造・販売の継続を困難にする、あるいは契約違反で訴えるという措置が考えられ、ルールに従わない受信機登場の把握は、放送事業者が市場調査で行う
- また、ルールに従わない受信機か否かの判断は、契約上、解除権をもつ人がやり、裁判の遂行も、契約解除権を持つ者が行う、つまり、民間で行うことになる
- 一方 LE では、認定された技術を用いていない場合は罰則、ロバストネスルールが規制に含まれている場合、それが行われていなければ、それも罰則
- 罰則対象者は、上記に違反した企業、販売目的で製造・輸入した人、ただし、いずれの場合も故意又は重過失を罰則の要件として、過失の場合は除外という案が出ているが、過失に成りすました場合があるかもしれないとのことで、罰の条件等は今後精査が必要という課題になっている
- LE でのルールに従わない受信機登場の把握は、放送事業者が市場調査で行い、ルールに従わない受信機かどうかの判断は、告発にもとずく警察権によって、裁判遂行は検察が行うという形になる
- 以上のように、受信機に対する措置は TE と LE で大きく異なる
- 送信側に対する、既定よりも厳しいコピー制御での放送を行った場合の罰則は、TE の場合はライセンス契約違反ということで、その後その放送局はデジタル放送の送出ができなくなり、また、契約違反での訴えられるということになる
- LE でも、故意又は重大な過失で既定よりも厳しいコピー制御での放送を行った場合、罰則が加えられるという形になる
- これらの違反に対する措置の課題としては、TE では、最初から契約違反を前提に、売り逃げをはかるケースが考えられる、また鍵情報が漏洩した場合の対応という課題もある
- LE での課題はルール違反の摘発は誰が行うのか、著作権法違反の時と同様に、権利者又は放送事業者の告発にもとづいて、警察がこれを行うという形が考えられる
- また、放送事業者の責務は送信側ルールのみなのか、それだけではなくて、違反機器の監視や告発の努力義務があるのではないか
- さらに、販売事業者や流通事業者が受信機を販売する際に、正規の受信機なのか、それとも違法機器なのか判断できる基準が必要になるのではないか
- 規制の対象になる販売事業者、流通事業者をワーキンググループに迎えて、議論をする必要があるのではないか
- という意見や課題が出されている
- 以上が技術検討ワーキンググループの中で、参加者から出された意見をまとめたものになる
- 一部足りない議論はあるかもしれないけれど、これをベースに各項目について、具体的な議論に入っていける形になったと考えている
- 特に、リーガルエンフォースメントについて、実現性という観点で議論を進めて、その際に、それでは TE ではどうなのだという形で比較をしながら進めていくべきだと考えている
以上が藤沢オブザーバからの発言内容で、再び発表者は関委員に戻りました。発言内容は以下の形でした。
- 最初に発言したように、11 回の WG と長い時間をかけて検討を進めてきた
- 議論の前段階として、イメージの環境がかなり具体的になってきたと思う
- 今後は、この資料に整理された課題を少しずつ議論しながら、制度的エンフォースメントのイメージを深めていくことが必要なのではないかと考えている
- 引き続き、この WG、委員会で議論していきたいと考えている
以上で放送事業者委員からの制度的エンフォースメントに関する発表は終了したのですが、意見交換に入る前に、村井主査からのメーカ側委員の意見をとの指名で、土井委員の発言がありました。内容は次の形です。
- 今説明いただいた内容で、これを叩き台として、藤沢委員の言われたように、具体的に、詳細に議論していくべきと考えている
- 今紹介いただいた中の、想定される課題の内容とダブる部分もあるけれども、技術の進歩にともなって、従来の法制度では追随できなくなることはあるので、適宜見直しを行うことは重要だと思う
- ただし、法規制は技術の進歩を止めないためにも最小限にするべきと考えている
- さらに、決めた後で、それがちゃんと施行されているかという時に、それがあまりにもコストがかかるようだと、せっかく決めても役に立たないということがありうる
- 運用の仕方を、コストまで含めて、今までも 11 回議論してきて、これからもやっていくが、そこを是非考えていただいて、やっていきたいと思っている
この後で、質疑 (意見交換) に入りました。最初の発言者は長田委員で、内容は次の形でした。
- いろいろ説明いただいたが、もともとこの検討を是非していただきたいとお願いしたのは、そもそも地上放送にスクランブルが本当に必要なのかという素朴な疑問から来ている
- エンフォースメントを担保するために必要だとおっしゃることは判るが、地上放送に必要なのかと思っている
- B-CAS カード、スクランブル、コストが非常にかかっていて、家庭に 2 台も 3 台も普及していく、そういったものにそんなコストをかけることが正しいのか
- また、そのようにたくさんカードが配られている状態で、誰もがマンションの鍵を持っているような状態で、技術によるエンフォースメントが無反応機器の製造・販売に対する事実上のハードルとなっているのかどうか、疑問に感じる
- これを解決するために、法律でキチキチに規制をすることがよいと思っているわけではまったく無いが、それは是非解決していただきたいと考えている
- B-CAS カードを使うことによって、テレビ、受信機を買ってきて設置するということがすごく手間がかかっていて、それがハードルになっていると考えている
- 詳しい人や、専門家に頼まないとなかなか繋げない、そんなものになってしまっている
- 私の周りでも、よくよく話を聞いてみると、すでにデジタル対応の受信機なのに、見ているのはアナログ放送だと、そういう人がいる
- B-CAS カードがこの原因ではないのかという疑問に答えていただいて、それを解決するエンフォースメントが無いのかということを、私たちにもよくわかるように説明してほしい
……この発言内容に関してはいろいろと言いたいことがあるのですが、それは後回しにして、残りの発言を追うことを先にします。次の発言者は高橋委員で、内容は次の形でした。
- エンフォースメントを強制と説明されているが、利用者の側から考えて、この目的にあるものをきちんとやるための実効性確保にとって、何が一番なのだろうか
- ルールの妥当性とか、ユーザの利便性とか、公共の利益とか、負荷がどうとか、細かく説明いただいたが、基本的なところで、失礼な言い方かもしれないが、「技術以外のことはやりたくないよ」という前提で説明されたような印象を受けた
- 我々、技術は判らないが説明してほしいと、本日席上に配布された 11/20 の議事概要の消費者側委員 3 人の発言、これに対するお答えとして納得できるかというと、納得できない
- なぜかというと、基本的なところが利用者の視点ではないという気がする
- 今の説明の、放送事業者委員提出資料の、基本的な考え方のところで「民間の契約であり、ルールの内容、担保方法の設定は、契約当事者の合意による」と、つまり民・民でよいのだと言っているけれども、そもそも民・民でやった結果がコピーワンスであり、その後我々が集まったダビング10もなかなか実現しない
- 言い換えれば問題があると明らかになってきているこの状況で、技術のことは任せてくださいと言われても (同意しづらい)
- 制度的エンフォースメントの課題として、国民のコンセンサスが必要とあるけれど、技術的エンフォースメントでも、国民の合意は必要でないかと考えている
- 平成11年の産構審の意見、平成11年ですよ、今は平成20年なんですね、この古いときに出された一部の意見をもってやらない理由を並べたてられてしまったというのが私の正直な感想
- 色々な強制は受けたくない、一番簡単な方法でやりたいということだと思うが、「高付加価値のコンテンツを公共の電波で消費者が提供され続けるためには、これをしなければいけない」と書かれているが、基本的なところで、すべての消費者が、高付加価値のコンテンツを提供されるために、経済的に負担をしなければいけないとか、アナログ放送では制限のなかったコピーを制限されなければいけないということに対して、賛成している訳ではないのは、パブリックコメントを見れば理解できるはず
- 消費者が望んで地デジがはじまった訳ではないので、色々、今理由を説明説明した中でも、技術的エンフォースメントは万全ではないにもかかわらず、それに触れずに、もう 11 回やったのだし、これでいきましょうと言われていることに納得がいかない
- 地デジが非常に特殊な制度移行を消費者に強制するものであって、さらに経済的・制度的もろもろの負担を消費者にかけるということが前提になっての、技術検討ワーキンググループの結論だったのかなと違和感を感じている
次の発言者は椎名委員で、内容は次の形でした。
- TE と LE について整理をして、想定される課題についてすべての論点を書いたといわれるが、産構審の平成11年に、誰がどう集まって、どういう話をしたのか知らないが、そこでメーカーに規制をするべきではないということが決まったといい、なおかつ、地上デジタル受信機にはなんら特殊性が認められないと言われる
- 今、高橋さんが発言されたように、地上デジタル放送は特殊も特殊なもので、5000 万世帯という数が受信機をもって、そこでデジタルコピーがぼんぼんできるわけですよね。これが特殊でなくて、何が特殊かということで、その論点がぜんぜん書いてないことが問題で、特殊でないという意見で産構審の合意を根拠に規制すべきでないという立場に立つのであれば、権利者は明確に反対したい
- 事前抑止効果について、長田委員の発言でみなが持っているマンションの鍵で、鍵穴がどこにでもある状態で、それが事前抑止になることはない
- そのあたりの、TE が崩壊していることについて、十分にかかれていないことが問題だと考えている
- それが問題だから、今制度的エンフォースメントを議論しているのではなかったのか
- たとえば暗号化をはずすなら、事前抑止力がなくなるのだから TE でやっていくべきであると、前回もメーカの方から新しい方式を考えているとそのような提案もあり、だから民・民でやったほうが良いという趣旨が繰り返しあった
- ならば、B-CAS に代わる、新しい方式を、是非この場で、民・民で隠れてやるのではなく、みなが聞いている場所で発表していただきたい
以上の発言の後で、村井主査の釈明が入りました。内容は次の形です。
- 一応技術ワーキンググループの担当として、誤解のないように言っておく
- 今日、藤沢さんと関さんに報告して頂いたのは、技術ワーキングとしての、要するに技術的仕組みと制度的仕組みを比較して、それぞれの検討項目を明確にして報告してほしいとお願いしたのであって、コンセンサスとか、これでいこうとか、そういうことをとりまとめという形ではない
- 今は全部を比較する中で、こういう意見が掛けているのではないかと、高橋さんや椎名さんの発言を受け止めさせていただく
- バイアスがかかった報告をしていただいたのでも、結論がこうだったとか、誘導する目的で報告していただいた訳ではない
- 以上、お願いした立場から確認しておく
次の発言者は植井委員で、内容は次の形でした。
- 消費者側委員の意見、高橋さん、長田さん、また権利者の方で、椎名さん、皆さんの発言はもっともだと思う
- ただし、主査からも説明いただいたように、これから比較し検討する、客観的に検討するためのベースとして、放送事業者の方から出したあくまでもニュートラルな資料で、まだまだ、この部分の踏み込みが足りないとかそういった厳しい言葉はあると思うが、容赦してほしい
- もちろん個人的には色々あり、やはり、産構審でどういった議論が行われようと、地デジというのは非常に特殊なもので、広く国民の皆さんに届けていく、非常に特別なものだということは前提に考えなければいけない
- それも平成11年と非常に古証文に近いものを持ち出されて、いまだにそれがどうこうということが非常に、非常識なことだと個人的に思う
- そもそも地上放送にスクランブルは必要なのか、コスト負担の部分と大量のカードの問題は私たちも危惧している部分なので、ニュートラルにまとめていただいた今回の資料をベースに、これでようやく検討をさらに深めていく議論の足場ができたと考えている
次の発言者は佐藤委員で、内容は次の形でした。
- 今、土井委員や長田委員、高橋委員、椎名委員の話を伺っていて、深くうなづきながら聞いていたところ
- 本委員会では、地上デジタル放送の視聴および利用、権利保護、どうあるべきかという議論をずっと進めてきた
- やはりここで、消費者の代表、メーカー、権利者、そして放送事業者という基本的ステークホルダー 4 者がすべて参加して、なおかつこれだけの時間をかけて行ってきたということもあって、各ステークホルダーが立場と主張をそれぞれ、非常に相互理解しているという段階にいたっている
- そして、色々な議論の整理の中で、コンテンツのリスペクト、すなわち適切なコンテンツ保護が必要であること、視聴者・消費者の利便性向上がなによりも重要であること、権利者とクリエイターに対する利益の還元が何よりも大切であること、この 3 原則が合意・確認されている
- そうした合意・確認がある本委員会で、よりオープンな形でエンフォースメント如何ということを議論しようという話になっていることは非常に重要なこと
- この本委員会以上に本件に関する議論を行う適切な場所はないのではないか、この議論をほかのフォーラムに移して議論しましょうとか、座組みを変えてゼロリセットでやりましょうという動きが、もしあるとしたら、それには特段の理由があるのかといわざるを得ない
- もしその理由と、移すとか、ゼロリセットのための正当性を十分に説明せずに、そのような動きをすることがあると、これは本件に費やされてきた時間と、今後費やされるであろう時間を大幅に無駄遣いするものだと、こういう風に考える
- エンフォースメントのあり方は、椎名意見の発言のように、現行システムとの整合性を担保することが何よりも重要で、すでに地上デジタル受信機の出荷台数は 3500 万台を超えているので、より簡易で社会的コストにもすぐれたエンフォースメントを急いで整備することが緊急課題だと、そう考えていてる
次の発言者は大山主査代理で、内容は次の形でした。
- 非常に多くの時間、苦労をして今日まとめたのだと思うが、今ひとつすっきりしないので意見を申し上げたい
- 何を目的としているのかということが見えない
- 本当にコピー制御をかけるのならば、技術でやるなら完璧な方法はきっとあるだろう
- しかし、そうなっていない現状を認めたうえで、技術的な手をうつことは、改造だから、それは議論がそこで破綻している気がする
- 一方制度だけで足りるはずがないことは判っているのだから、組み合わせしかないのではないだろうか
- なぜ、その方向で実効性をとろうという意見が出てこないのか、そこが判らない
- 比較は良いけれども、この比較で一番抜けているところは、うまく重ね合わせるとか、組み合わせの仕方のような気がする
- それを話さない限り、皆、誰も納得せずに、それこそその方が時間の無駄だと思われているのではないか
- 技術でちゃんと 1 から作れば大丈夫で、かなり大丈夫だろうというものが作れるけれども、それはやらないという選択なのだから、多少改造したところで、すでに数が出ているから無駄だろう
- もう法的な、ほかの手を打つしかないと感じている
次の発言者は中村委員で、内容は次の形でした。
- なお数々の論点があることを理解した
- 私自身に方向性をもった強い意見はないが、各委員の意見、大山委員の意見も含めて聞いていて、技術とか実態といった、状況の変化に伴って、制度や仕組みを含めて、全体を見直すということは、変化の大きさや時間の経過によってあるべきことと思う
次の発言者は浅野委員で、内容は次の形でした。
- 大山委員の発言を聞いていて、同意するところと、同意しかねるところがあった
- 今回の資料が、前回からここまで整理されてきたということは評価するが、現行の TE の仕組みはセキュアなのか、セキュアでないとしたら、それを今後どうやってセキュアにしていくのかという検討が無い
- 私は IT 出身なので、100% セキュアなシステムを作るということは大変で、常にどこかの穴を破られたら、そこをふさぐということをずっとやっていかなければいけない、そういうものと考えている
- 100% セキュアなシステムを放送のところで作ろうとするならば、それは見えないテレビを作るようなものだと以前指摘した
- なので、今の現行に対して、どこがまずいから、今後それを技術的エンフォースメントだけでやるならば、どうやってそれを防ぐのか、それでも将来に渡って絶対 100% 安全だとはいえない
- 破られたら防ぐのだという姿勢が必要に思えるが、そうではないので、テクニカルエンフォースメントの現状が良くわからない
- それから、課題が LE については多く書かれていて、TE はそうではないけれど、これは高橋委員がいうように、TE に誘導しようという意図ではなく、LE を実現しようとすればこれだけの課題があると、整理されたのだから、それを如何に乗り越えていくか、ここを解決すればそれで実現できるんだとそう前向きに捕らえればいいと考える
- 大山主査の話のなかで、もう一度、この二つの対象についてはどちらかだけでいくのかという形での議論をお願いしたい
- それでもできなかったときにはじめて、組み合わせを考え、最初はどちらかだということをある程度議論したほうが良いと思う
以上の発言を受けて、大山主査代理が再度発言しました。内容は次の形です。
- 今の浅野委員の話はもっともで、そう思うが、最初にどちらを選ぶかという議論をするのは大事だけれども、多分答えは「無い」とわかっている、そう思う
- もうひとつ大切なこととして、法律を作って何かをやったとしても、今回の無反応機のような話が出てくるのは、社会的に信用を重んじていない人がやっている話で、それは法律を下手に、単につくったとしてもやる人はやる、もともとそこに動機があるから
- 罰金をかけても、罰金を払ったほうが安いと思う人もいるかもしれない
- その辺を整理する必要があって、たとえば今の日本のメーカ、ここに出ているようなメーカはすべて心配なくて、大丈夫なはず
- なぜならば、彼らは社会的な信用を重んじているから
- そうでない場合について考える必要があって、ここは考えなければいけない
- 特に違法行為をやる人は、下手をすると日本で法律をつくっても、海外から並行輸入、個人輸入でしょうから、これをどこで止めるか、簡単な話ではない
- 技術の話に関しては、浅野さんの意見に同意で、やるならば徹底的にやるべきで、そこを躊躇していると、多分皆が納得する答えは出ないと思う
- 社会的な信用を重んじるか、重んじないかで結果が変わってくるので、制度の話をするときは十分注意する必要があり、まともにやっているひとだけ制度で縛っても意味はないという意見
以上で意見交換は終わって、中村フォローアップワーキンググループ主査からの、フォローアップワーキンググループでの検討状況報告が行われました。内容は次の形です。
- ワーキンググループ構成員個別に意見を伺って、ダビング10の開始時期確定に向けて合意形成の接点を探ることに勤めてきた
- これまで、村井主査と私と、それからフォローアップワーキンググループのメンバーひとりひとりと意見交換を行うべく、今日まで約 3 週間、個別に時間を設けてきた
- その中で、開始期日の確定に関する合意形成が可能かどうか、それから合意形成が可能となるための条件について、どのように考えるかという点について、意見を頂戴してきた
- 今日も先刻会合を開催し、今言った点について、改めて意見交換をしたが、今日の時点ではダビング10の開始期日確定というステップに進むことについて、いまだ合意形成はできていない
- 今日、会合に出席した皆さんが、まだ合意できないということをおっしゃった状況
- しかし、今日の段階でも、委員の皆は合意形成に向けて、真剣に接点を模索しているところで、早期に合意を形成しよう、合意形成に向かおうということは、おそらく意見が一致しているところ
- こうした合意形成に向けて真剣な作業の、微妙な調整の途上なので、今日の段階で皆の個別の意見を紹介することは控えたい
- 時間は残されていない
- ぎりぎりまで努力は続ける
- 今日移行も、私と村井主査と共に、意見のヒアリング、合意形成に向けての調整、ワーキンググループの開催等の作業を進めていく
- 委員の皆様のご協力を、改めて、切にお願い申し上げます
以上の発言の後で、村井主査から、補足のような、まとめのような発言がありました。内容は次の形です。
- 本日さきほどまでやっていたが、ダビング10の開始期日確定という意味での、委員各位の合意は得られていないというのが現状
- しかしながら、私からはっきりと申し上げたいことがあり、それは二点ある
- ひとつは昨年の答申について、この中に記載されていることについて、否定される方はだれもいなかったので、これは完全な合意ができていると思っている
- そして、ダビング10を早期に実現したいというタイミング感、これも共通の認識だということは間違いないと、以上が、私から申し上げること
- 皆さんが色々な議論をしていって、フォローアップワーキンググループで接点を見出すという、貴重な時間を使って議論していただいているということ、そのための努力をそれぞれの立場で精一杯していただいていることを私から確信していると申し伝えたい
- そういうことで、私は絶対に、この場でダビング10の開始期日確定のコンセンサスが得られると確信している
- 明日以降といいたいところだけれども、今日この後ということも含めて、中村主査と共に構成員の皆様と合意形成に向けてのお話をさせて頂きたい思うので、申し訳ないが、皆さんの協力をお願いしたい
- もうひとつ、答申の期日がせまっていて、私が主査をつとめる委員会ということで、これまで何度かやらせて頂いているけれども、プロセスを明らかにするということで、皆さんに議論していただいた、その内容が答申にきちんと書かれるように、事務局の方にものすごく工夫をして頂いているし、私もそれに勤めている、そういう方針で行っているということを理解してほしいと思う
- つまり、今までの答申を見てもらうと判るように、皆様から出たご意見はすべて載るようにしているので、それぞれの立場の方が、かなり難しい議論に参加されていることの意味と、価値と、責任で、それはとても大事だと考えているので、今回の答申もその形にしていきたい
- つまり、プロセスも、発言の内容も、すべて生かして答申を作る、そういったこと
- なので、前回の委員会で浅野委員から、議論の過程があまりオープンではないのではないかと指摘を頂戴して、それは全くその通りだと思うけれども、答申の中ではそのプロセスもきちんと残していくということで、今の段階で、合意形成に向けて努力をした、時間をかけたプロセスの過程なので、すべてを今、プロセスとしての途中経過を今この場で明らかにお話するよりも、答申の中で明確な記録としての形で残すことが重要でないかと考えるので、それを理解頂いて、了承いただきたいと思う
- 取りまとめの段階では、そうした議論のプロセスも可能な限り明らかにしていくという今までの方針を貫いていきたいと考えているので、ご理解頂きたい
- 答申も含めて、タイミング感は皆で共有しているということが、私には判っているので、時間に追われるということだと思うが、中村委員と共に、合意形成に向けた接点を見つけるということに勤めたいと考えているので、忙しいところ、沢山の時間を頂いて、本当に恐縮だけれども、引き続き協力をお願いしたい
- 事務局の方で、本日の議論を踏まえた答申案の作成作業を進めていただきたいけれども、特に技術ワーキングの検討経緯が判るように進めてほしいということで、今日の意見、まとめたことは、技術ワーキングの方でまとめの作業に入っていただきたいと思う
- 皆さんには色々な意見があると思うが、それも引き続き、事務局の方に伝えてほしい
以上の発言の後で、事務局の小笠原コンテンツ振興課長から、急な召集となったお詫びと、今後とも頻度・直前の召集が行われるかもしれないが許してほしいという発言があって、閉会となりました。
◇◆◇
えー、消費者側代表の発言のアレっぷりに非常に落ち込んでるところだったりします。利便性が低いのは、スクランブルが問題なのではなくて、コピー制御が問題なのだと、スクランブルがなくなってもコピー制御が残れば不便なままなのだと、無反応機規制の形での制度的エンフォースメントは、再度見直しが行われる (はずだよね?) ダビング10を固定化する恐れが大きいのだと……理解しててくれよお願いだから。
地上デジタルの視聴環境整備のための最大の問題は、(関東の場合) 新しく UHF アンテナを立てて、東京タワーに向けて、さらに既存のアンテナ線に多重化しなきゃいけない部分で、それは B-CAS カードがなくなってもかわらないし、コピー制御が仮になくなったとしてもかわらないんだってば。
むしろ B-CAS カードのコスト負担を背負っているのは、受信機メーカよりも、B-CAS カードシステム (見れなくなったとか、登録の手続きとか、再発行とかに対応するために維持しておかなければいけないコールセンターが最大のコスト要因のはず) を維持してる放送局であって、だからこそ、制度的エンフォースメントではスクランブルやめようとしてる (制度的エンフォースメントと技術的エンフォースメントの組み合わせ例が放送事業者提出資料に出てこない) んだってば。
どーして途中で、外野から傍聴はじめただけのおいらの方が、委員として最初から参加してるひとよりも詳しくなってるのよ……。高橋委員は多少マシなんだけど、妙に弱腰だからなぁ。つーか以下のような意見が出ないことがホント不思議でならない。
そもそも「コンテンツへのリスペクト、権利者への正当な対価の還元、公共の電波を使った高付加価値な番組を視聴者に提供しつづけるためにコピー制御が必要である」という出発点に疑問を感じている。
それでは、コピー制御が導入されていない諸外国、アメリカ、欧州、イギリス、それらの国々では、高付加価値な番組が、公共の電波を使っては提供されていないと主張されるのだろうか?
私はそんなはずはないだろうと考えているし、常識的に考えればそんなことはありえないと思う。そんなことがあるとすれば、海外ドラマ等が日本の放送局で放送されているはずがない。それは、言語の壁を越えてまで、視聴者に届けたいと放送事業者が考えるほど高付加価値のコンテンツが海外では放送されているということなのだから。
海外では、コピー制御の導入がされていないにも関わらず、特に欧州・イギリスではコピー制御の導入が検討すらされていないにも関わらず、高付加価値なコンテンツが公共の電波で届けられているのは、なぜなのか。それは視聴者の利便性を犠牲にせずに解決するという方法があるからではないのか。
それが日本と海外との制度の違いなのならば、その制度を導入するべきだし、収益構造・産業構造の違いなのであれば、その構造に近づけるべく努力をするべきだし、権利範囲と交渉力の違いなのならば、それらを見直すべきだ。
また、コピー製品の違法流通に関しては、既に著作権法違反、複製権侵害と公衆送信可能化権侵害という非常に強力な、刑事罰をともなう制度的エンフォースメントが存在する。
しかし、これは親告罪なので、権利者の告発がなければ犯罪とならない。告発という権利者のアクションがあればエンフォースメントが可能なのに、権利者の怠慢によってエンフォースメントが機能していない。その状況で、コピー制御が、コンテンツ保護が、そのためのエンフォースメントが本当に必要なのだろうか。
まずは、著作権法違反というエンフォースメントを正常に機能させることが最初にやるべきことで、コピー制御の導入はその後で考えるべきことなのではないか。
実際、最近では著作権法違反というエンフォースメントの活用も始まっている。Winny や Share にコンテンツを放流していた人間が逮捕されているのもそうだし、読売テレビの開発した「とりし丸」による削除要請もその例になる。
例えば B-CAS カードでスクランブルをかけ、コールセンターで何十人、何百人もの人員を維持するのと、読売テレビの開発した「とりし丸」を導入して、キー局が 2・3 人の担当者を置くのと、どちらのコストパフォーマンスが良いのだろうか?
私は B-CAS カードシステムを維持する為にどれだけのコストがかかっているのか知らないので推測になるが、「とりし丸」の方が費用も少なくてすみ、効果もより大きいのではないだろうかと考える。
なぜこういう意見が委員会で出ないのだろう。技術と法が判る消費者代表が必要なのじゃないだろうか。ただただ説明を求めて、専門家のわかりづらい説明に煙に巻かれるだけで、提案も説得もできないのならば、それは消費者代表が審議会に居たというただのアリバイとしてしか機能しない。そんな状況で本当に制度的エンフォースメントへの国民的コンセンサスが得られると思っているのだろうか。
◇◆◇
蛇足。総務省庁舎はクールビズの為か、18:45〜という開始時間の為か、大変暑かったです。一応スーツとネクタイで通ってるので非常に苦痛でした。後は一時入庁者向けの非接触 IC カードが導入されてたのが新しい点でしたね。申請書書くのに多少時間がかかるので、中に入る人は少し早めに行った方がよさそうです。
6月24日(火) デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会 (第40回)
今回も傍聴してきました。やっぱり会合 (6/19) から時間が開いてしまっているのですが、恒例のレポートを置いて置きます。一応今日の会合 (第41回) も聞いてきたのですが、報告はもちっと先になります。許してください。
既にあちこちで報道の通り、この会合でダビング10に関しての合意が成立し、運用開始日時の目標日が設定されたわけなのですが、その辺は置いといて順に審議の内容を追っていくことにします。今回は第五次中間答申の骨子案の説明と、その内容についての意見交換という形で進みました。答申骨子案の説明担当は小笠原コンテンツ振興課長で、その内容は次のような形でした。
- コンテンツの取引市場と、コピー制御およびその担保手段の在り方について、大きくこの二つのテーマについて議論をまとめている
- 現時点でもまだ検討中ということで、骨子案にも空欄で内容が書き込まれていない部分があるが、それは後で説明する
- まず、コンテンツの取引市場ということについての説明をする
- 資料をめくって、2 ページ・3 ページとあるところを見て欲しい
- この目次部分は 5/29 の会合で報告して、骨子および内容について、説明済みで了承を頂いた、その枠組みを崩していない
- 検討の背景・検討の経緯・当面の提案という三点でまとめている
- まず検討の背景として、事実関係を取り上げていく
- 4 ページ目を見て頂いて、放送コンテンツは、日本の映像コンテンツ市場の中で大きな位置を占めている
- 今後、コンテンツ市場を 10 年間で 5 兆円拡大していくという政策目標があるが、この放送コンテンツがどれだけの市場拡大をしていくかということが重要な政策課題となる
- 5 ページ目、放送コンテンツの市場拡大ということを考えた場合、海外展開と二次利用ということが具体的に考えられる
- 海外展開ということで言えば、既に 100 億に到達しており、また、年々伸びてもいる
- 6 ページ目でまとめているが、マルチユースということで見れば、海外ではドラマが放送翌日に配信されるという例もある
- 国内ではそれぞれの事業者が経営計画ということをイメージした上で、マルチユース・ネット配信・海外展開・国内番組販売ということに、計画面として積極的に取り組んでいるという報告がある
- しかし、海外と国内の事情を比較して、いくつか意見が出てきているという状況がある
- 7 ページ目、8 ページ目にあるように、マルチユースや海外展開を促進するということを、制度面でやっていく必要があるのではないかという意見が出ている
- 7 ページ目は許諾権制限と言われる考え方で、「全ての権利者が事前の許諾に代替しうる簡便な手続きというものを約 2 年以内に整備するべきである」と二年前に経済財政諮問会議で提言され、その後も継続的に知財戦略本部で取り上げられている
- 民間のフォーラムからも同様の考え方、いわゆるネット法と言われる考え方が提言されている
- 権利者の事前の許諾がインターネット配信、その他のコンテンツ流通を妨げる要因になっているという問題意識の下に、許諾権を配信事業者に集約して、権利者の許諾権は制限するということが提案されている
- 8 ページ目、許諾権の制限とは別に、番組の調達方法に関して海外の制度を参考にしてはどうかという意見がある
- イギリス・韓国の外部調達規制、アメリカの、既に廃止されているが、フィンシンルールやプライムタイムアクセスルールのような、放送局は一定の割合の番組を外部から調達しなければいけないというルールを検討してみてはという意見
- 以上が事実関係と、コンテンツの流通についての制度上のアプローチ
- これに対する検討の経緯を 9 ページ目で簡単に説明
- 許諾権の制限について、そういったやり方ではネット上の流通は拡大しないということをこの審議会では確認している
- ネット配信で見た場合、コンテンツの調達コストを最小限に抑制したい事業者と、自らの創作活動で、自らの投資効果を最大限に上げたい方々の間でビジネスの条件が折り合わないのが問題で、許諾権の存在はなんら問題になっていないという意見が出ている
- 外部調達規制について、番組制作で市場の流通性を優先するような規定があるとすれば、それは放送番組自体の価値が変動していく恐れがあるのではないかという指摘がある
- また、海外と国内では放送事業者の性格が異なるので、公的な主体が放送事業者にある国と、民間放送が大半である国と同列に論じることはできないのではないか
- さらに、放送について、あまねく普及ということが求められている日本と、そうではない諸外国という相違と、放送事業者がそれぞれ一定の品質の番組を手に入れるということに関するニーズが日本ではさほどないのではないかという指摘があった
- 一方、番組制作者という立場から、クリエイターの才能の育成という考え方からすると、完全に民々に任せるのではなく、ある程度、制度的見直しが必要なのではないか、制作の受発注構造に対する規制がそれにあたるのではないかという意見がある
- 次の 10 ページ目は制度上のアプローチをせずに、民間主導のアプローチを考えるとしたらどのようなことが考えられるかという検討経緯
- 民間主導で、様々なアプローチで行われるトライアルについて、検証が必要だが、どういった考え方のトライアルがあるか、みっつほど書かれている
- まず一点目がコンテンツ取引に必要な、著作権情報ということを中心に、ある程度情報の集約・公開といったデータベースの構築を行おうというもの
- 著作権情報を、取引を希望する人には公開するデータベースが必要なのではないかということ
- コンテンツとしては二種類あり、放送事業者が制作・著作するものと、番組制作者が制作・著作するもの、以上二通りある
- 今回の議論として明らかになったのは、放送事業者が制作・著作したコンテンツについて、流通に載せていきたいというニーズは非常に大きなものがあるものの、データベースの構築に必要なリスクとコストの負担をしても良いというプレイヤーを、今クールのシーンでは見出すことができなかった
- 一方、独立の番組制作者の方が制作・著作されたコンテンツのデータベースに関しては、ご自身がリスクとコストを負担してでも、構築していく用意があるとおっしゃっていただけた
- しかもこれは権利者・放送事業者からも一定の評価が得られた
- それから、情報を集約・公開していこうという考え方に対して、番組国際見本市と言われるような、実際の番組自体を持ち寄って、そこで取引が行われるという、見本市というものも我が国で積極的に開催していくべきではないかということも提案されている
- 韓国やアジアでもこういった見本市は増えているので、日本でも積極的に作っていくべきであるという動きがある
- 最後に、意欲ある番組制作者にもっと機会を提供していくべきではないかということで、自ら制作資金の調達リスクを負担し、また放送しただけで終わりではなく、マルチユースにも積極的に取り組んでいくという意思のあるコンテンツ制作者に対して、制作や放送の機会を提供していくべきではないかと、それをまずトライアルとしてやり、民々ベースの広がりが出て行くのを見守ろうという検討がなされた
- 以上が制度のアプローチという視点から始まって、それに対する検討の経緯、制度ではなく民間でやっていくとすると、どのようなやり方があるかということについて、一連の経緯
- 最後 11 ページ、そういったことを前提とした場合、どういったことをやっていくべきか三つの提言が書いてある
- 一つは番組制作者が制作著作を持つコンテンツについて、取引市場データベースということの構築を積極的に推進していく
- この際、複数の番組制作者さんがデータベースの構築を進めているので、それぞれが進めているデータベースの特徴を尊重し、この連携を図っていくべきではないか
- また、権利者団体も周辺法律のデータベースを作っておられるので、その権利者のデータベースとの相互連絡ということも必要になるのではないか
- そういったことを含めて、番組制作者のデータベースの特徴、権利者団体のデータベースとの連携、そういったことを踏まえて効率的なシステム構築を進めていくべきではないかということ
- ただし、これは提案されている番組制作者の方々からの意見として、番組制作者に著作権が帰属するべきときには帰属するというのが大前提になるので、その著作権帰属ということが公正なルールの下で行われるように、引き続き審議会として検証してほしいとのこと
- 二点目、見本市の形成ということで、これについても積極的に支援するという方向性は取引市場データベースと同様だけれども、支援していくということであれば、コンテンツの海外取引の促進という観点から、効果検証が重要であるとの指摘があった
- 意欲ある番組制作者への機会提供ということでは、既にデジタルメディア協会さん、AMD さんがマルチユースに意欲ある制作者さんの企画募集ということを今年二月に行われた
- 実際それですぐれた企画ということで選定・表彰することがあって、選定・表彰されたものの中には、実際に放送に向けた交渉が具体的に進んでいるものもあるという形となっている
- 以上みっつほど提案しているわけだが、いずれにしてもこうしたトライアルの進捗状況については、十分に把握検証していかなければいけない
- 特に AMD さんの始めている取り組みについて、現状と、その後の進捗等について、もっときめ細かな報告をしていくべきではないかという指摘もあったので、それは行き届くように考えている
- また、番組制作者の方々にも何度か来て頂いて、その時にご指摘いただいたように、民間における放送コンテンツ取引、その現状について、関係者の意見聴取という機会を設けて、放送コンテンツの制作取引の検証を引き続き実施していく
- 検証と把握の過程で、必要に応じて措置が出てくるのであれば、その措置の実施も検討していくということになると考えている
- 以上が取引市場に関する現状で、12 ページから 16 ページにかけては参考資料ということで省略する
- 次に、17 ページ以降、デジタル放送におけるコピー制御ルールとその担保手段の在り方についての説明に移る
- 18 ページを見て、ここもテーマとしては二つある
- 一つは昨年、第4次中間答申で提言されたデジタル放送のコピー制御のありかた、いわゆるコピーワンスの改善が答申で提言されていて、今度、コピー制御のルールをどういう風に改善を実現していくのか、その過程を第一節で書いていて、その中、一部今後の進め方の提言について調整中となっている
- 次にコピー制御のルールとなると、その担保手段の在り方が問題になるが、いわゆるエンフォースメントという形で議論してきた
- このことについて、事実関係の整理はローマ数字の I/II の部分ということだが、それを今後どうしていくかという提言については調整が遅れていて、ここも空白にしている
- 19 ページ以下、デジタル放送のコピー制御のルール自体について骨子案を説明する
- いわゆるコピーワンスを、いわゆるダビング10にするということで、四次答申があった
- 元データが消滅していたのを、元データは基本的に保存されるという形に、それから基本的にムーブが一度しかできなかった状態から、コピー 9 回、ムーブ 1 回という形に改善していく、そういうことを骨子とする考え方
- その実現プロセスを 20 ページにまとめさせてもらった
- ダビング10の実現については、第四次中間答申で、放送事業者や受信機メーカの方々、そういった関係者の方々に対して「当審議会の提言を踏まえた取り組みを、本年中を含め、可能な限り早期に実行に移すよう改めて要請する」という形で、審議会からお願いした格好になっている
- そして、このお願いについては、放送事業者・メーカ、関係者間で非常な努力をされて、その結果、今年の 2 月 19 日に、Dpa から当委員会において、二つの提案と発表ということがあった
- 一つは、Dpa の作業としては 6 月 2 日の午前 4 時ということをダビング10のスタート時ということで準備していきたいという提案
- 二点目はそのプロセスの中で、開始期日を確定するにあたっては、この委員会の皆様の理解と承認を頂いていきたいという提案があった
- この二つの提案について、2 月 19 日の段階では特段ご異論なかったということで前に進んでいったということだと思う
- ここにあるように、期日の確定というプロセスを踏んでいく上でも、構成員の皆さんの理解と承認を前提にしていこうという提案を受けた形で、4 月 11 日に、四次答申の実現、一番わかりやすいのはダビング10の期日確定を実現していくために、四次答申の前提としている考え方の進捗状況、これをフォローアップしていき、コピー制御方針の実現を確定させるためのフォローアップワーキンググループが設置された
- 第四次答申が趣旨の前提としたのではないかと考えられる、いくつかの事項について、それがどのように進捗しているのか、たとえば違法コピー対策ということであればどのぐらい進捗しているのか、そういったことをフォローアップした上で、ダビング10の実現ということで、合意形成できるところを考えていきましょうということだったと思う
- この設置を受けた形で、4 月 25 日に、Dpa から、運用開始日時については、放送事業者とメーカが連携した上で、情通審のコンセンサスを受けて決定していくと、確認して頂いている
- したがって、ダビング10の期日確定と、フォローアップワーキンググループおよびこの委員会の議論が、いま言った形でリンクしているということだけれども、この前提のもとに、合意形成を行うとして、それではダビング10の同意プロセスを今後具体的にどう実現していくべきか、これが 21 ページで「調整中」と空欄にしているのが今回の経緯
- 今のところは前に進ませてもらうことにして、22 ページ以下はルールが決まったとして、それをどのように担保していくかということについての議論の概要を紹介させてもらう
- 22 ページでは、四次答申でどういう指摘がされたか、次にその後この委員会の場でどのような議論が行われてきたかという事実関係をまとめている
- まず第四次中間答申の指摘ということで見て、趣旨はそれほど変わらない議論を三つ
- 現行の B-CAS カードシステムでは、どのようにエンフォースしているのか、そしてその費用はどのように負担しているのか、これはコンテンツ保護の在り方を検討する上で重要な課題なので、継続的な答申の検討課題とするべきではないかということ
- エンフォースメントは消費者にとって非常に大きな影響があるので、その実効性と、利便性のバランスをとっていくという観点から、消費者の参加を得た検討が必要なのではないか
- オープンな形での協議が必要なのではないか
- 以上 3 点の指摘があった
- 指摘を受けて、四次答申ではコピー制御に関わるルールが確実にエンフォースされることが重要という認識のもとに、コピー制御にかかる技術的エンフォースメントについて、引き続き現状把握に努めるとともに、エンフォースに関わる、制度も含めたルールの在り方についても審議を行っていくということが提言されている
- これを前提として、技術ワーキングでも、当委員会でも種々議論を重ねているけれども、いわゆる基幹放送、無料地上放送といったものがそこにあたるけれども、この基幹放送との関係で、技術エンフォースメントをどうしていくのか、制度的エンフォースメントを考えていく必要があるのか、それらについて指摘があった
- それで、そういった指摘に関しての議論を、この委員会でも、技術ワーキングでもやってきた
- 22 ページは、今までこういう議論があったという事実なので、それをもとにした議論の内容が 23 ページ
- ではエンフォースメントというのはどういう前提と目的の下にやっていくことにしていたのだろうかと、この点についてはこの場にいらっしゃる方々と、ワーキングの場でも異論はなかったと認識している
- まず一番目、無料地上放送の一定のコピー制御の在り方について、昨年まで、約 2 年半の時間をかけて、皆さんで議論いただいた
- コピー制御の選択肢として、EPN, COG, COG + 一定のコピー制御、非常に懐かしい選択肢だが、いずれにしても、放送コンテンツの保護のためには一定のコピー制御が必要であると、これが共通の認識だったからこそ、去年の四次答申があったということではないかと思う
- 少なくとも、この場での共通認識で、放送コンテンツ保護の為に一定のコピー制御が必要ということであるので、そのコピー制御の実効性を担保する、送信側と受信側に対する、そういうことが必要だということで、大きな認識に相違はないと思う
- つまり、一定のコピー制御が放送コンテンツ保護に必要で、それをエンフォースするということがないと、コピー制御の実効性は担保されないのではないか、以上に大きな相違はなかったのではないかと思う
- 次に 24 ページ、エンフォースメントが必要だとして、その方法としては、技術的エンフォースメントと制度的エンフォースメントという二つの概念区分があると、一定のコピー制御を実効あらしめるためには、この二つの状態がありうるということ
- 基本的な枠組みは非常に簡単なことで、基本的に技術的エンフォースメントは、民間契約、そして技術ということで実現される
- 具体的には、コピー制御に反応される受信機を製造・販売されるという方に対して、契約によって、スクランブル解除のためのライセンスを発行し、そして、ライセンスされた者の製造・販売する受信器はコピー制御に反応する
- スクランブル解除の為のライセンス付与が誰に対して行われるかはあくまで契約によって決まり、ライセンスされた機器以外では保護対象のコンテンツを視聴不可とすることで、契約の実効性を担保している
- この特徴としては、あくまでも民間の契約なので、契約当事者が合意をすれば、基本的にルールは自由に変更できるし、担保方法も自由に変更できる
- これで契約違反があった場合は、契約による制裁の発動手段は契約の当事者ということになる
- 一方制度的エンフォースメントでは、これは法律ということで、一定のルールを強制し、強制する手段としては刑罰その他の法的措置となる
- こちらの特徴としては、これは国民的コンセンサスの元にルールが決められるということで、ルールの順守義務者、それからルール違反に対して誰がアクションを行えるかということは、一義的に、ルールとして決まるということなので、当事者の合意によってその都度、その都度変えていくということは難しくなる
- 25 ページと 26 ページに詳しい説明があり、25 ページに書いてあるのは、技術・契約エンフォースメントの実例になる
- 現在このように技術的エンフォースメントがされているということで、ライセンスも含めて、受信機を製造・販売する者に対して行われている一例であり、当然、その前提としてスクランブルがかかっているということ
- 26 ページは既に効力が停止されている例だけれども、アメリカで一時ブロードキャストフラグ規制ということが行われていたことがあり、そこで行われていた内容を見ると、これはまさに制度エンフォースメントだったということ
- この目的を見ると、デジタル時代にいわゆる放送のデジタル化を推進するということで、高付加価値コンテンツの公衆への提供の継続、そういった目的で行われていたということだった
- コンテンツ保護ということも結局は高付加価値コンテンツの提供ということになるのかもしれないけれども、放送のデジタル化の円滑な促進、そしてコンテンツ供給の継続、そういう目的の下で行われていたこと
- 以上の事実関係、概念整理を前提として、27 ページに書いたとおり、この委員会と技術ワーキングで検討してきたという事実であって、これは考えが分かれた所があるが、それをなるべく拾っていこうと考えている
- 今の技術エンフォースメントに何も問題が無いのならば、特に今の方法を変えていく必要はない
- しかし、この委員会の場でも、指摘、意見、提案、期待感、そういったものが色々あったからこそこの議論が行われていると、それをきちんと共有していくことが大事だと思う
- つまり、今のエンフォースメントを全く変えなくて良いということでは少なくとも合意形成されていない
- エンフォースメントの手段としては技術と制度、二つの選択肢について、いろいろと考えてみましょう
- コストと実効性という面
- 対象機器の範囲と対象機器の判断基準
- 何を脅威と考えて、どんなルールを求めるのか
- ルールの違反者に対する措置として、そもそも実効性はあるのか
- 技術の進歩に対して、あるいは善意の製造者に対して委縮効果があったら何もならない
- あるいは善意の流通事業者をどう保護していったらよいか
- 以上のような観点から議論をしてきた
- そういったことを踏まえて、28 ページ以下、今後このエンフォースメントの議論に関してどうしていくべきか、色々な事実関係を整理したけれども、今後はその中から、どういった論点を重点的に議論していくべきか
- それを書くべきなのだけれども、事務局の不手際で、関係者の合意を完全に整理しきれていないため、本日は調整中で空白とさせて頂いている
- 大変長くなったが、事務局からの説明は以上
以上の説明があった後で、骨子案で空欄となっている部分 (ダビング10の開始時期と、エンフォースメントの検討方法) について、この部分を埋める議論をして行きたいという村井主査からの意見があり、各委員の意見を聞いていこうということで、村井主査からの指名で、各委員の意見表明が行われました。
最初に指名されたのは、フォローアップワーキンググループの主査を務めていた中村委員で、意見の内容は次の形でした。
- 前回のこの会合、13 日以降も断続的に意見交換をしてきたが、これまでのところ合意には至っていない
- 残るポイントは単純で、地デジのダビング 10 にかかるクリエイターへの対価をどうするかということ
- 録音・録画補償金については、経済産業大臣、文部科学大臣、両大臣の合意を得たということも聞いている
- これは文章などを拝見していないで、報道などで仄聞しているだけ
- それが果して地デジ、ダビング 10 の対価なのかという点について、関係者がそれで決着したという話は聞いていない
- 依然合意が得られていない状況と認識している
次に、総務省の方から、文部科学省と経済産業省の合意の件について、説明をお願いしたいと指名があり、中田政策統括官がその説明を行いました。内容は次の形です。
- 昨年の四次答申で、コピーワンスの緩和と共に、その前提として、私的録音・録画補償金の合意形成ということが表明されていた
- 補償金の件については、文化審議会で議論がずっと進んでいて、5 月の上旬に一定の案が出され、それには大変注目をしていたが、5 末に予定されていた会合が開かれなかったということもあり、状況は難航していると感じていた
- そういった状況があったので、私たちから文化庁ならびに経済産業省の方に対して、三省で連携して意思疎通を図り、コンテンツ問題の早期決着に協力をお願いしたいと申し入れて、その後、局長クラス、あるいは課長クラスで議論してきた
- こうした中で、今週の火曜日に、文化庁および経済産業省の方から、ダビング 10 開始に向けた環境整備として、私的録画補償金に関して、一定の整備が行われたことは、新聞等で報道されているとおり
- 私共としては、両省において、精力的な調整をしていただいたということについて、深く感謝をしている次第
- しかしながら、この両省の合意が発表されたあとも、新聞各紙で報道されているように、まだ決めるべきこと、あるいは明らかにするべきことが多々あると指摘されている
- また、中村委員から説明があったように、ダビング 10 の開始時期を確定するという条件が整備されたというには率直にいって、言えない状況にあると認識している
- ただ一方で、このように精力的な調整がされたのが今週の火曜日ということで、このあと近日中に急展開があるということはなかなか期待できない状況であると認識している
- 他方、北京オリンピックの時間がだんだん近づいてきていて、視聴者・消費者の方々からダビング10の開始の早期確定ということに対する要望が非常に強くなっていることも事実
- 総務大臣からも国会答弁等で、北京オリンピックにダビング10が間に合うように、最善の努力を尽くしていくということは、色々な場で説明されているところなので、そういう状況の中で、いま、非常に厳しいと現実を認識しながらも、時間がなくなりつつあるという状況もここにあり、委員の先生方には本当に恐縮ですけれども、一層の精力的議論をお願い申し上げたい
次に指名されたのは河村委員で、発言内容は以下の形でした。
- 19 ページに書いてあることを考えると、本当に目の前のこととか、自分だけのこととかではなく才能ある若者が、コンテンツを作るインセンティブをどうしたら絶やされないのか、インセンティブはどうしたら高まるのか、私はその答えをちゃんとした答えを聞いたことがない
- どうすればインセンティブが高まるのか、才能ある若者の気持ちが高まるのか、適正な対価とは何か、そういうことをどんどんここで話し合っていくべきだと思うし、適正な対価が得られるということをなんら否定するつもりはない
- どういう対価があれば、まだ芽の出ていない若者が作ろうと思うのか、そういうことをもっとこの場で、消費者も交えて話し合っていけたら考えている
次に指名されたのは高橋委員で、発言内容は以下の形でした。
- 本日中間答申骨子案を示して頂いたわけだが、第四次中間答申以降の歩みが丁寧にトレースされていて、辛抱強く、皆でやってきたなと改めて確認した
- 問題は 21 ページと 28 ページの白紙の部分
- 4 月から、23 日から二か月、水面下の動きを知らないので、まるで蚊帳の外で、事情が判らなかった者としては、今週火曜からの三日間の報道を見る限り、大変不愉快であると、申し上げたい
- 経済産業省の大臣の記者会見は、もうこれで障害がなくなったかのような論調だったが、新聞報道では、ダビング10の解禁とか、北京オリンピック前とか、難航とか、解決になお道といった見出しが躍っている
- 経産省と文科省は合意したと、あとは情報通信審議会で決めてくださいと、決められるように十分に配慮しましたからという形で、こちらにボールが投げられているように感じるけれども、そもそも投げた覚えのないボールが来たという感じがしている
- 今の説明だと、総務省さんがなげたのかなと思われるけれども、審議会委員としては来週、政策部会、総会と重要な会議が目の前にある状況で、外から言われて決めるように追い込まれていることについて憤りを感じる
- 委員会の私たちとしては、辛抱強く議論してきたし、村井座長も中村委員長も、大変努力をしてくださった
- あくまでも私たちは主体的に、ダビング 10 の早期実現の為に駒を進めると、それが審議会委員としての責任であるという風に考える
- 今後、部会、総会と主体的な意思決定で進めたい
次に指名されたのは椎名委員で、発言内容は以下の形でした。
- このデジコン委員会の一つの大きな成果である、ダビング 10 について、今回省庁の枠を超えて、その実現に熱意を示された、文科・経産両大臣ならびに事務方の方々に対して、改めてお礼を申し上げたい
- 特に、私的録音録画補償金について、関係者間の意見が離れたままであるということを改めてご認識頂いた上で、引き続き合意形成に努力していく決意を示されたことについては、大いに期待をしている
- しかしまた一方で、会見の内容については、何らの文書もなく、権利者としてよく理解できない部分が多々ある
- ブルーレイディスクの課金など、補償金制度の具体的内容にも触れておられるようだけれども、そもそも、デジタル放送のコピールールである、ダビング 10 実現への環境整備とは言いつつも、それがデジタル放送に着目した制度指定であるかどうかが不明確である
- 一説によれば、アナログ放送も録画できるからなどということが議論されたという風に聞いているが、これはもう語るに落ちていると思う
- また、今後の対価の還元を実現するための補償金制度について、文化庁が示しているいわゆる文化庁提案に関する今後の取り扱いについても、不明確なままである点も、問題であると思っている
- このブルーレイディスクの指定に関する権利者の考え方については、その詳細について、すでに一昨日公表している通りで、ここでは申し上げないが、この文科・経産両省の合意をもって、権利者への対価の実現が果されたとは思わない
- これによってダビング10の問題が今以上に進展するということにはならないと考えている
- これは以前からも申し上げているとおりなのだが、今後も権利者としては、ユーザの利便性に最大限配慮する立場から、早期の実現に向けて努力していきたいと思っている
次に指名されたのは堀委員で、発言内容は以下の形でした。
- 審議会の、この委員の皆さんと一緒に努力してきたということと、それに関わる消費者の皆さんが色々と努力されているということについては、自らも含めて、ほめてあげてもいいのじゃないかなと考えている
- 私は明日誕生日なのですが、ついに誕生日には何も起こらなかったという、残念な思いがしている
- 先ほどから話題に上がっている、経産大臣、文部科学大臣のコメントというのが手元になくて、経産省のホームページに載っていた経産大臣の会見の抜粋を見ても、これは推敲された後なのだろうけれども、質問している側も、答えている方も、よく判らない
- おめおめしている、どうとでもとれるという風に感じているので非常に不安だなと、ちゃんと判って取材して、ちゃんと判って書いてるのかなと、ちゃんと判って答えているのかなということに、文書がないと確認ができないので、これについて、いいとも悪いとも申し上げようがない
- と同時に、この委員会というのはデジタルコンテンツの流通の検討会だというふうに言われて、ここまで 2 年半 かけてやってきた
- 結局ダビング 10 の話に終始して、その間に、権利者の権利制限を前提としたネット法とかネット権とかいう話が出たり、ブロードバンドの映像配信についてとか、一切、通信事業者から今日の今まで、ビジネスモデルの提案も、相談も我々のところにはなかった
- 一体コンテンツ大国実現に、ブロードバンド配信が本当に必要なのかと、そういうイメージがあるのかと、タダ同然でコンテンツをブロードバンドで見られる、そういう便利なコンテンツ大国ということはあり得ないのだと、そういうことで、もう一度通信事業者の皆さんにビジネスモデルを我々に見せてくださいと、こういうお願いしたいと思う
- なにか有耶無耶なままで、第四次答申の、コンテンツへのリスペクトとかクリエーターへの対価の還元ということが織り込まれて、おそらく、我々は聞き置いたという格好になっておりますけど、すべてのステークホルダーがいったんこうして同意したのだと、その対価の還元というのは、現在あるところでは、我々は私的録画補償金だとばかり思い込んでいる
- JEITA さんがこの間出された声明を読むかぎり、その理解が違っているという風に表明されている。しからば、じゃあ皆さんも指摘録音録画補償金はもう必要ないのだと、でも対価の還元は必要だとおっしゃられるのであれば、ぜひその代案を出してほしい
- 我々が間違っている、あるいは我々の考え方が違うのであれば、この対価の還元についての具体的な代案をぜひ出してほしい
- ただ反対ですということが、この会議と違うところで、廃止だとか反対だとかいうことが別々に議論されていることに関しては、非常に困惑している
- 建設的なビジョンを、コンテンツ大国実現のために出すために、実現するために、この委員会でさらに活発な議論をさらに進めていただければと思う
- 経産大臣のコメントの中にも、対価の還元についてはまったく、このホームページ上で見る限りでは言及されていない
- それでダビング10の早期解決であるとか、コンテンツ大国の実現を目指すということであれば、我々の音楽事業者協会の所轄の官庁は経済産業省だが、その発言にリンクしていないということに関して、非常に、はなはだ疑問である
- それでいて、コンテンツフェスティバルに協力してくれと言われても、何に協力したらいいのか判らない
- はっきりこれは申し上げたい
- 現在、放送局も厳しい状態でスポットの収入が 10% 以上落ち込んでいるし、日本映画も一昨年から徐々に厳しくなってきて、興行収入が下がっている
- 映像大国実現どころか、映像の現場はどんどん厳しくなっている
- そういう中で、皆さんも番組制作会社の方の意見を聞いたと思いますが、もしその対価の還元ということが、私は別に放送事業者に肩入れするつもりではありませんけど、放送局から取ればいいじゃないかという、簡単な、安直な解決方法ではないような、未来にちゃんと残せる、夢がもてるようなビジョンを作れるような議論をさらにして引き続きしていただければと、これがお願い、ただ一つのお願いです
次に指名されたのは元橋オブザーバで、発言内容は以下の形でした。
- なんだか、真ん中にプロレスのリングができそうなただっ広い所があって、ここでバトルでもやったらどうかと、無制限 10 本勝負、何故 10 かというとダビング 10 だからという、わけの判らない、悪い冗談がある
- 村井先生がやっていらっしゃるもう一つの情報通信審議会の委員会は、地デジの送信とか受信とかインフラの整備という側面から、完全デジタル移行を目指していると思う
- 一方こちらの、委員として兼務している方も多いと思うが、こちらの委員会は、どちらかというと、番組とかコンテンツという視点で、完全デジタル以降を促進しようという性格がある
- それだけではなくて、今、堀さんがおっしゃったように、デジタルコンテンツ大国を、放送番組を中核として、二次流通を促進してそういうものを目指していこうと
- 今まで出た話で言うと、知財立国とか、コンテンツ大国ということも言われてきた、そういう役割も担ってきたと思う
- 知財と言った時に、私たちはこれまでどうしても、特許のように工業所有権を中心に考えるきらいがあるのですが、私たちは、私たちが制作している放送番組というのも、知的な財産だと思いますし、文化的な創造物だと、少なくとも私たちはそうした誇りをもって制作してきたし、放送してきたという風に思っている
- そういうより豊かな番組、あるいは知財としてどんどん活用できるような番組を作るためにも、コンテンツ保護が必要なのだと、これまで何度も、我々放送事業者は申し上げてきましたし、それが皆さんの長い時間をかけた議論の成果でダビング 10 という形で実を結んだものという風に理解している
- しかし、コンテンツ保護が大事だということだけれども、それよりも何よりもその大前提として、我々は質の高い番組を作ったり、放送し続けていくためには、一流と呼ばれるクリエーターの方々が、我々放送事業者と一緒に参画していただいて、あるいは一流の出演者の方、タレントの方に出ていただくと、それはやっぱり我々放送局とそういう方々との信頼関係があってこそ成り立つものだと思う
- このコンテンツ取引市場の議論でいえば、番組制作者の方も私たちのパートナーだということは一連の議論で皆さんお判り頂いたと思う
- そういう、放送番組のような、共同的な、共同作業の所産であるということは、ぜひ、このダビング 10 の実施日を確定させるという直近に一番大事な仕事に関してもそうだし、コンテンツ取引市場の議論を活性化させていくという観点の議論をする上でも、一番ベーシックな前提だということはぜひ皆さんの共通理解にして頂きたい
- そういう意味で言うと、いわゆる権利者と言われる皆さんとの信頼関係が大事だということを申し上げましたけど、もちろん権利者の方々だけでなく、テレビ番組というのは視聴者の方の支持があってこそ成り立つわけだし、メーカーの方々が、安定的に受信器を、質の高い受信機を安く供給していただくということでデジタル放送が普及していくということがあるわけだし、有識者の方に、放送というのは社会的に役に立つことをやっているよねと言って頂いてナンボだというところもあるので、そういう意味で言うと、この委員会に集まっていただいている様々な立場の方、まさに皆さんの支持があってはじめて、放送のシステムそのもの、あるいは番組というものが成り立つのだと思う
- 私がとっても残念に思うのは、ダビング 10 の実施の期日を決めるにあたって、対立構造のような、まさにこの場でバトルをしたらというような、状況になってしまっているということは、単にダビング 10 の実施日を決めるとか決めないとかいうことだけではなくて、デジタル放送の発展とか、デジタルコンテンツ流通の活性化というより大きな視点から見ても、非常にマイナスになるのではないかなという風に思っている
- ぜひ皆さんそれぞれの立場で、放送事業者自身もそうだけれども、皆さんそれぞれの立場で今一歩踏み込んで、努力をしていただいて、ダビング 10 の早期実施、あるいはこの委員会が議論してきた様々な課題をさらに前進させていただきたいなと思う
次に指名されたのは福田委員で、発言内容は以下の形でした。
- 二点申し上げたいと思う
- 先ほどの資料の説明の中の 20 ページ、丁度 4 か月前のこの会合で、ダビング 10 の開始条件に向けての前提条件について申し上げている
- 第四次答申に沿いまして、我々は誠実に準備を進めてきた
- 消費者の利便性、適切な対価、コンテンツおよびクリエイターへの対価の問題、デジタル化の推進にどう寄与していくか
- いずれも重要であるがゆえに、関係者の合意という前提に立って議論を進めていくということ
- その上で、2 月 19 日に、6 月 2 には開始できる準備ができるのではないかと Dpa の関委員長が発言されている
- その際前提として、関係者の合意が得られること、山積している諸課題が整理されていることという前提があった
- 全放送事業者は、地上放送事業者はこの実施に向けて、あらゆる作業をやってきたし、準備は整っている
- さらに全放送事業者、堀委員が先ほどおっしゃったように、相当厳しい中、デジタル投資の中ではあるけれども、皆さんの合意ということで、ダビング 10 の方向の中で、設備改修に伴う費用を負担している
- 民間放送事業者は、キー局から売上 30 数億円の末端ローカル事業者まで負担するということ
- 地上放送事業者というのは地域性もあるので、どんなところでも基幹放送であるということに間違いはない
- そういう訳で、我々は誠実に役職を履行してきたつもり
- したがって、6 月 2 日を過ぎているので、いつ条件が整っても、開始に向けての準備はすぐにできると考えている
- これはあくまでも、この委員会において、関係者の皆様の合意を得た上で、さらにはそれをアナウンスする立場にある、Dpa の方から発表があれば、我々はできると考えている
- このコピーワンスからダビング10というのは、今もあったように、目的ではなくて、ある意味では途中のプロセスに過ぎない
- そういう意味では、今問題になっているように、コンテンツへのリスペクトであり対価であるというものが、どう出来て行くのかということは、仮にダビング10が開始されてもこれはずっと議論していかなければいけない問題だろうという風に思う
- 冒頭、河村委員から、19 ページのことがなぜ議論されないのかとあったが、それはその通りだと考える
- そういう意味を含めて、我々の課題というのはコンテンツ大国となるために、適切に対価が還元されて、さらに、次から次へと世代を超えてクリエイターが育つということ、その循環を作っていくことだろうと考えている
- そういう意味では、主査が前回の答申の時にも言っているように、技術的な進歩があれば、これが本当に必要なのかどうかということにおいては、これも改善されることがあるのであろう、あるいは違う方策がとられることもあるのであろうと、すでに指摘の通り
- 何故この一里塚にすぎない、ダビング10をめぐって、2 月の 19 日以降、ああいう形で私たちが出した以降ですね、4 月になっても 5 月になってもこうした膠着状態にあるのか
- というよりは、われわれとは違う局面で、新聞紙上を通じて情報を得なければならないという状況が、どうして続いているのかということは、我々にとっては非常に情けないという風に思っている
- そういう意味で、いま申し上げたように二点
- 一点は、ダビング 10 について、なるべく早くやれというのが先般の答申の方針であったので、それにそって、準備は終わっているということ
- さらに、これを乗り越えた上で、本当のコンテンツ大国、先ほど冒頭にもありましたように、第一部の取引市場の問題も含めて、これから数年間で数兆円も増えていくのかどうか
- 議論されないまま、枝葉末節の議論に終わってしまいかねないところがあるので、そこのところは懸念を示しておきたい
次に指名されたのは田胡委員で、発言内容は以下の形でした。
- 先々日の経済産業省と文部科学省のダビング10の早期実施に向けた環境整備ということで、御発表と言うかか、ステートメントに対して、両省の調整に、あるいはご努力に、大変高く評価している
- 暫定的な措置として、ブルーレイディスクを補償金の対象にするという合意があったわけなのでで、ぜひこの合意に関して、すべての関係者間の理解が深まって、ダビング 10 の一刻も早い開始につながることを、メーカーとしては期待している
- メーカーとしても準備は整っている訳で、あとはゴーサインがいつ出るかというところまで来ていると思っている
- ぜひ皆さんの御理解を、これは再三再四言っているが、早期に実施することを期待している
次に指名されたのは、再度中村委員で、発言内容は以下の形でした。
- フォローアップの担当といたしましては、この時点において、皆さんの意見をきちんとまとめあげることができず、その力不足をお詫びする
- しかしながら、両大臣が調整に乗り出された後も尚整わずということであるならば、またここで新しい提案もなければ、親部会への報告にあたって、関係者一同、皆、早期実施を望んではいるものの、合意には今のところ至っていないと、ひとまずこの場の結論とせざるを得ないのではと考えている
ここまでの意見を受けて、村井主査から次の内容の発言がありました。
- どうしても皆さんの言っていることはコンシステントだと思う
- この中で、適正な対価であるとか、最初に河村委員から言って頂いたように、私自身も、私の学生がどういうコンテンツを作るかということを日常見ていて、そのなかで見本となるのが地上デジタルの内容だと、影響力がすごくあるという前提の中から議論をしてきた気がする
- そして、それが先ほど話して頂いたように、次の世代がどういう力を持ってくるのか、あるいはどういうきっかけをもっていいコンテンツを作っていくのか
- コンテンツというのは、色々な意味で、デジタルコンテンツは世界の中で大きな意味を持ってくるのだと思う
- そういう中で、議論を続けていくということ、議論を続けていくということ自体は非常にコンセンサスがあると思う
- 先ほど堀委員がおっしゃったように、ブロードバンドやインターネット、新しいメディアも含めた環境の中で、それをどのように考えていくか、ということが議論されるのはとても大事なことではないか、そのあたりのコンセンサスは皆さんあるのだろうと思う
- 一方タイミング感ということ、前回私も申し上げましたが、8 月 8 日に北京オリンピックが始まると、それで、これがそういった意味でデジタル放送の一つのステップになると、これは非常に明らかでないかと思う
- そういった意味で、ダビング 10 が技術として永遠に続いていくことなのかどうかということは、先ほど指摘があったように、色々な機会にこれを改善したりということが、技術なのでできるだろうと、これもコンセンサス
- そして、この販売時期、オリンピックをうまく使って、この普及を含めて進めていく、そのためのダビング 10 ということがあり、この、いま申し上げたことが全部繋がっているのではないか
- そういう意味で、この議論を続けていくという点、そして、現在の中で意思はいっぱいあるということ、そしてその技術はどんどん発展していくものだから、今のタイミングではダビング 10 ということで私ども議論をしてきた
- こういった点について、今の発言の中では、どなたもずれていない……じゃなくて、意見が対立しているという意識は私はあまり感じない
- そういうわけで、それぞれの立場と考えがあって、この場でも、ここ以外の場でも、先ほどから説明頂いているように、色々な議論があるということは十分承知しているけれども、そういった中で、私は今、ご報告をするという、つまり親委員会に報告をするということで、この空白のページを埋めていくことになるわけですけれども、今の中村委員のお話だと、色々皆、今私が申し上げたようなことは全部コンセンサスというか、非常に合意しているけれども、期日の確定には至らなかったと、こういう報告を私はするのかという気がするのですけれど、これに関して何か
- どうし……一応明日が堀委員の誕生っていう…… 6 月 2 日は土井委員の誕生日だったということで、一部報道では私の誕生日となっていて、沢山の方から、私は「いつ村井さんの誕生日は変わったのだ」と言われましたけれども、私の誕生日の時に、最初のダビング10の議論はちゃんと私の誕生日といってやったのですけれども、6 月 2 日は土井委員の誕生日という風におっしゃっていただいたので、明日は堀委員の誕生日ということですが、これは間に合いそうもないと、先ほどご発言ありました
- さて、という訳で、期日確定、どうすればいいですかね、何か良いアイデアお持ちの方いらっしゃいませんかね。
とここまで煮詰まった状態で、椎名委員が発言を求めました。内容は以下の形でした。
- いろんな委員のご意見を伺って、元橋さんもおっしゃった、プロレスのリングのように、ホントにメーカの方と権利者がここで決着してもいいのですけれど、田胡さんしか来ていないのでちょっと悪いかなと
- メディアに書かれていることは、権利者とメーカーがユーザそっちのけで言いたいことを言っていて、ユーザの利便性はどこに行ってしまったのだろうと書かれる訳で、それも現実だなという気がしていて、実に残念に思う
- ダビング10というのは、この検討委員会が生み出した最初の成果であって、僕自身、委員会のメンバーとして思い入れもある
- これがなかなか世に出るチャンスを与えられずにいるということは非常に残念に思う
- ここで、改めてもう一回繰り返したいけれども、四次答申に盛り込まれた適正な対価の還元というのは、これは以前も申し上げた通り、極めて当り前の概念であって、何も特別なものではないと
- 給食費を払わない親がざらにいるような、そんな我々の社会ではありますけれど、我々がメーカーに申し上げたいのは、少なくとも、タダ食いや食い逃げはしないで頂きたいと、それだけのことでありまして、そのことは今後も引き続き主張して行きたいと思う
- その対価の還元が実現できていない状況に直面して、我々はスタックしてしまっているわけなのですけれども、そういう状態から脱出する方法はないものかと我々は考える
- 従来からメーカーさんは、ダビング10と補償金の問題は一体化するべきではないと主張されてきた
- 我々権利者は、堀さんからお話あったように、補償金こそが、ダビング10の前提としてあげられていた対価の還元であると考えていた訳で、この点で、メーカの考え方と、我々の考え方は食い違っている
- しかしながら、こうした膠着状態を今後も続けていくことは何の意味もなく、ユーザの利便性という点について何回もメッセージを出されてきた村井主査や、増田大臣の思いを何とか受け止めたいという風にも思う
- よって、この際、こと、このダビング 10 の問題に限っては、補償金の問題と切り離して考えて、本日、この場において、ダビング10の実施期日を確定してはどうかということ村井先生にご提案したいと思う
- このことは別に、村井先生からはじめ、暗がりで凄まれたとか、ブルーレイが嬉しくて、うれし涙にくれたからとか、そういうことではありませんで、やはりこの場にいるメンバーのうち、この問題を解決できる人間が汗をかくべきだからと思ったから
- 第五次答申において、ダビング 10 のところが空白なままではみっともない訳でありまして、ぜひ村井主査には、期日の確定を前提に答申をまとめて頂けたらという風に思う
- 先ほど来の発言で、権利者の思いについては十分にご理解頂けたと思うので、今後のまとめ方は、村井主査と事務局、総務省をご信頼申し上げて、お任せしようと思うが、二つだけ考慮していただきたい
- まず、一点目は、補償金制度の問題の合意形成の努力に向けて、先に文科大臣も示されていた意欲を、情通審としても、是非サポートするべきであるということ、補償金制度の問題の早期合意形成について、明確な期待感を明記して、エールを送って頂けたらと思う
- 次に、二点目として、第四次答申で確認された、クリエイターへの適切な対価の還元という大きな課題について、情通審自身の問題として、構成員全員でその具体化の方法を考えていくことを明確にするということ、対価の還元が補償金に限らないのであれば、他にどのような手段があるか、ぜひ皆さんもお知恵を出して頂きたい
- 最後になるけれども、4 月 11 日から、約 2 か月強の間、対価の還元についてきちんとフォローアップする姿勢を貫いてくださった、村井先生をはじめ、この検討委員会のすべてのメンバーの方々に、改めて敬意を表するとともに、心からお礼を申し上げたい
以上の発言を受けて、村井主査から以下の内容の発言がありました。
- 大変貴重なご意見だと思う
- 時期の確定を進めたらどうかという提案なので、私としては時期の確定は悲願のようなものと考えていた
- そういった意味で、いろいろと意趣はあるけれども、そのことがこの期日を確定するという意味の意趣では必ずしも考える必要がないのではということがあった
- 今の発言がございましたが、私はそういう形で確定できればと思う
ここでどなたか発言はという問いかけがされて、田胡委員が以下の内容の確認をしました。
- 二点目はよく判るけれども、一点目、補償金制度を情通審で議論するということではないと確認させてほしい
椎名委員からの回答は以下の内容でした。
- 補償金制度が早期決着することに対する期待感、これは対価の還元の一つであることは間違いない
- 補償金制度について (情報通信審議会で) 議論してくださいといった覚えはないと思う
以上のやり取りの後で、福田委員が以下の内容の発言をしました。
- 椎名委員のおっしゃる点、四次答申においても、この情報通信審議会以外の場でも、色々な議論が行われている
- そういうところにおいて、それぞれの委員が役割を果たしながら、バランスをとって早期に解決をすべきことを期待すると既に書かれている
- そういうことが既になされていながら、こういう状況になっているということが一点あると思う
- その上で、椎名委員がおっしゃっているのは、これをさらに強めた表現にした方が良いとおっしゃっているのでしょうか
- 私どもも現状について、この書きぶりで、このまま、この一年間、この状況の進展ぶりであればですね、弱いという表現であれば、少し強めて、期待感を表明されるというのは、私どもとしては同意したいと思う
この意見に対しては、村井主査が次の内容の発言をしました。
- 最近の議論がほかの場所で行われているということは、確認されていること
- この場でも、皆さんのご発言があったし、そこでも議論が進展することを期待するということは皆さんのご意見でもあった
- 前回申し上げたように、ここでいろいろご発言頂いたことというのは、できるだけ透明に、答申案の中に記述していくということになる
- その方針で私はやって来たので、そういう意味では、今おしゃったようなそれぞれの点が含まれているということだと思う
次に浅野委員が以下の内容の発言をしました。
- 9 合目まできてから、頂上に至るまでの、最後の 1 合が、スタックしてなかなか進まなかった
- 各利害関係者が多岐に渡る中において、ここの検討委員会の中では、自己の立場を主張するだけでは何も進まないという中で、一歩踏み出して、なんとか合意形成をとろうと
- 今までも、この委員会、もう五年目に入っている訳ですから、そのなかで、そういう文化をもってきている
- 今回の椎名委員の発言は、まさにそういうふうなことを前進するということ
- 私も、この答申案の中に空白で、期日も確定できないという中で出すということは非常に残念でたまらないという風に考えてた
- 是非期日が記入できるという形で進めるという形で
- 今の椎名委員の発言は非常に歓迎したい
- 今後も色々な課題が出てくると思いますけれども、このような形で、自己の立場の主張だけではなくて、一歩先に、それを乗り越えて、この委員会の中でこれからも議論が、習慣ができていけばよいと
- 期待も含めてコメント致します
次に中村委員が以下の内容の発言をしました。
- フォローアップのワーキングでまとめられなかったものを、今椎名さんがまとめてくださったのかなという気がした
- 最終局面での英断だと思う
- 身を切って救ってくださる御提案だとお聞きをした
- これでダビング10がスタートできるのではないかというふうな感じがする
- また、依然残る対価の還元についても、行政に引き続き積極的にご協力いただいて、宿題をはたしていければという風に感じる
以上でおおむね意見は出尽くし、村井主査が Dpa 関委員、メーカ側田胡委員に問い合わせる形で開始期日の確定の手続きが進んでいきました。まず、村井主査の発言内容は次の形でした。
- 先ほど福田委員の方も、準備が整っているという中で、Dpaの開始時期の確定を待っているとお話を伺った
- 田胡委員の方からも、メーカとしても早期の実現ということで伺っておりました
- そうなると、関委員、Dpa としての期日確定というのは、堀委員の誕生日、明日?
関委員からの回答は次の形でした。
- 前回まで御説明してきたように、今日も 20 ページにあるように、Dpa 側としては、準備を整えていくが、最終的には情通審の合意を受けて決定したいということを言ってきた
- で、正直今、急転直下という感じ
- という意味で、今の、主査の私への質問は、ということで、一応合意が得れたので、開始日の確定に行きなさい、こういうことで理解してよいか
村井主査の発言は次の内容でした。
- はい、ぜひ、開始次期を Dpa の方で確定していただくという局面に来たということだと思う
関委員の回答は次の形でした。
- それなら、単純にこれから Dpa 側の作業ということと、全体的な準備状況ということから考えると、多分すみません、堀委員の誕生日には間に合わないと思う
- 福田さんも、田胡さんもおっしゃったように、これまでも準備を進めてきておりますので、ほぼ準備は整っているという風にご理解いただいてよろしいかと
- ただ、いよいよ開始日を確定するとなると、放送事業者側、準備は整っていると私は考えているが、一応その確認が必要
- もともとメーカさんが発売等々に関してある程度の時間的な余裕、余裕というか、時間の都合がいる
- 放送事業者の中でも、ダビング10とコピーワンスの両方をやっていくという観点から見ると、視聴者の方に周知・広報が必要
- 色々なことがありますので、今日こういうことで進めろということになりましたら、実態は明日の朝から急遽進めたい
- じゃあどのくらいかということになりますが、確認しないと何とも言えないところはありますが、前からの関係者との話の中では、二週間ぐらい見ると、明日からやってという感じがする
- ちょっとそこは、その上で確定するということになると思うが、そのぐらいの方が時間的には十分な最後になるのではないかと思う
以上の回答を受けて、村井主査から開始期日の目標設定に向けて委員の誕生日の問い合わせが始まりました。流れは次のような形です。
- 村井主査: 誕生日ですよ、7/3 以降で 7 月生まれの方……
- [椎名委員と河村委員が挙手]
- 村井主査: 椎名委員いつですか、14 日、河村委員は、5 日、それでは 7/5 ということでいいでしょうか?
- 田胡委員: すみません、5 日は土曜なので、ギャップ対応を考えると難しいのじゃないかと、贅沢をいってはいけないのですけど
- 村井主査: あの、これは 7/5 にアナウンス?それとも確定?
- 関委員: いや、確定したら、アナウンスはすぐにします。開始日ということで
- 村井主査: 開始日が土曜だと問題ですかね。14 日までというのは……
- 田胡委員: 前回も土曜ではなかったので、そうであれば河村委員の誕生日が過ぎた後の月曜日、七夕の日になります
- 村井主査: じゃあいずれにせよ、5 日か…… 5 日か 7 日かは決めていただいてということで
- [この辺発言者が入り組んでいて追い切れず]
- 早ければ 4 日 / 早期実施はメーカのかねてからの / ...
- 村井主査: 4 日で大丈夫ですか?
- 田胡委員: たぶん大丈夫だと思います。全権委任されているわけではないので、突然の話なので
- 関委員: 今の話はメーカさんの話で、やっぱり関係者の放送事業者の側の問題、それから周知広告の問題、正直今、何の準備もしていませんので、早速明日確認して、多分、田胡委員がおっしゃったことも Dpa の中で調整がつくと思います
- 関委員: 一応今お話ございました、河村委員の 7/5 をひとつのターゲットにしながら、若干都合で前後することはアナウンス頂いて、検討したいと思います
- 村井主査: つまり、5 日か 4 日ということですね、その方向で調整していただけると
- 村井主査: じゃあ、誕生日というのは色々な都合で前の日にお祝いすることがありますので、それじゃあ、河村委員の誕生日を祝って 7/5 という気持ちで、4 日か 5 日かということは Dpa の作業にかかっていく、かかってくださいということをこの場で決めれば良いですね
以上のやり取りの後で、村井主査から次の内容のまとめのような意見がだされました。
- それでは、ぜひそのように決めていただきたいけれども、ちょっと重要なことなので
- 先ほど椎名委員が御提案して、今の話に来たので椎名委員に感謝したいと思う
- 二つの点を先ほどいっていただいた
- 文科大臣、それから経産省の大臣等が調整をされたということ
- 私的録画補償金の合意形成と、先ほど田胡委員からお話があったと思う
- 椎名委員、補償金の問題とは切り離してご提案をするということで頂いた
- 田胡委員おっしゃってましたように、文化審議会の場ということだと思うが、補償金に関する議論はほかの場で進めるということ
- コンテンツ大国の実現と、先ほど堀委員からもおっしゃっていただいた
- 共通の目的に対する議論ということで、それが進んでいくということは、この委員会として、ぜひ進めていってほしいという発言が何度もあった
- 昨年の答申でクリエイターへの適正な対価の還元ということで、繰り返し、先ほどの意見のように、新しい世代がコンテンツをどう作っていくかということに対して、夢と希望を守っていく環境はとても大事なこと
- これは昨年の答申でも含まれていたことだが、それが補償金ではないということで進めるということだと思うが、そうであるなら、その問題を皆で知恵を出し合っていくことはとても大事だと、議論を進めさせて頂きたいと……
と、ここまで発言が進んだ段階で、椎名委員から「補償金ではないということではなくて、補償金に限らないのであればということ」と補足が入りました、以下は引き続き村井主査の意見です。
- というわけで、いずれにせよ、繰り返しこの問題に関しての、情報と通信がデジタルコンテンツとの関係で、どういう議論をしていけば良いのか
- それぞれのステークホルダー、皆さんに集まっていただいて、その議論を進めていただく
- この委員会がそういった場であるということがとても大事なことではないかと思う
- そういったことを踏まえて、それぞれの立場の方が、その大切な方法を議論していくということは重要と思うので、事務局の方には今申し上げたことを踏まえて骨子、そして答申案文の作成をお願いしたい
以上でダビング 10 に関しては一区切りということで、上の発言の間、記者の方々が電話をかけるためか、バタバタと飛び出していき、もちっと落ち着けないのかなーという感想を持ったりもしました。
そういう訳で次の空欄、エンフォースメントの今後の検討方法を埋めるための意見交換ということで、同様に村井主査の指名で各委員が意見を表明していきました。
最初に指名されたのは関委員で、発言内容は次の形でした。
- 基本的に、前回説明、意見申し上げたことと、今日までの間に変わったことというところはない
- 同じことではあるが、前回までに 11 回の WG を通して事項をまとめてきた
- 前回も説明したように、放送事業者提出資料という形になってはいるが、WG の意見をまとめたつもり
- その中で、LE と TE の並列を、それからそれぞれの課題をということを明確にしたいということで話してきた
- 今後、この課題のひとつづつに対して、引き続き議論をして解決していくことが重要ではないかと考える
次に指名されたのは藤沢オブザーバで、発言内容は次の形でした。
- 今、関の方に言って頂いたとおり
- 23 ページの下段にあるように、一定のコピー制御、私たちはそれがダビング10だと思っているけれども、この順守を担保するための仕組みということでエンフォースメントが必要ということについて、書いてあるとおり、皆さん一致した意見だと考えている
- それをより効果的、あるいはより経済的に実現していく手段ということで、制度的エンフォースメントについても検討しましょうと
- 前回長々と説明したが、あの形で大体評価軸がまとまったと考えているので、各項目について、粛々と検討していくということで、提言をまとめていただければと思う
次に指名されたのは田胡委員で、発言内容は次の形でした。
- 私もワーキンググループに参加していたが、ワーキング内の議論は、私の理解としては、一般論としての TE / LE を議論、整理したもので、比較、評価をした訳ではないということで、あらためて確認させていただきたい
- しからば今後どうするかという具体的な検討にあたっては、解決すべき課題は何かということ、この特定が先決
- これができないと、例えば技術面の検討ができないし、場合によっては制度面でも解決はできないと考えている
- 今までの議論は、一般論としての TE と LE を整理して、民々の話と制度の話を交通整理した段階で、具体的な比較評価はこれからの課題だと
- そのために、はやく、解決するべき課題を整理して、特定するということを最優先にするべきという形でまとめていただきたいと思う
次に指名されたのは高橋委員で、発言内容は次の形でした。
- 制度的エンフォースメントと、技術的エンフォースメント、なるべく明らかにした上でみんなで判断しておこうということが非常に大事だと思っている
- 田胡委員のおっしゃった、解決すべき課題は何か、これがもし共有できていないのであれば、これをきちんと確認して、書き込んでおくことが大事だと思う
- 消費者サイドとしては、厳しい法的ルールがほしいと申し上げているわけではなく、エンフォースメントをきちんとやるためには何が良いかということ
- 選択肢という形で、もっと判り易くしてほしいと、前回も申し上げたので、よく判断できるようになって、皆で判断していければよいと考えている
次に指名されたのは椎名委員で、発言内容は次の形でした。
- 田胡委員のおっしゃった、一般論を議論してきたというのはちょっと違和感がある
- 地上放送について、無反応機、Friio という名前は出なかったにしろ、無反応機がありますよ、B-CAS というシステムが綻びましたよ、制度はどうやっていくのですかと
- 極めて個別の事例について話をしてきたと思う
- 一般論というのは何が言いたいのか、全然わからない
- 制度と技術ということを放送事業者の方、二回ぐらい整理をして出していただいたと思う
- その比較をした上で、色々な意見が出てきたことを踏まえて、制度と技術、特に制度について議論を続けていただくようなとりまとめにしていただけたらと思う
次の発言者は浅野委員で、発言内容は次の形でした。
- 直接ワーキンググループの方に入っていないので、どういう議論が行われたのか判らない
- ここにあげられている委員の方は、要するに合意形成がとれていないのだなと
- そういう観点からみると、ここに関してはもう少し議論をしていく必要があるのかなという感じがします
- これからも引き続き、この問題について、検討を重ねていくと、いう形しかないのじゃないかと
- もともと、何故事務局からではなく、放送業界側から結果報告があるのかということが判らないし、その辺から見ても、まず、まだまだ議論が熟していないのだなと思っている
次の発言者は植井委員で、発言内容は次の形でした。
- 今、浅野委員がおっしゃったようにまだこういった形での対比までしか来ていない
- 前回、この会議の皆様、関係者、構成員の皆様すべて、こちらの方で出した資料をベースにこれから議論を深めていこうと
- 粛々とすすめようという合意まではきていたと思う
- これをベースにして今後さらに議論を深めていくという形で進めていっていただきたい
次の発言者は福田委員で、発言内容は次の形でした。
- 11 回議論して、一般論で終わっているということは通常ありえない
- 相当具体的なテーマで議論がされているはずだと理解している
- 前回の放送委員提出資料という風になっていますけれども、ここにおいて、技術的・制度的の中に適用範囲、無料の地上デジタル放送と書きながら、他の物も含めて、より具体的に書いてある
- この案というものを、前回の審議会での答申にありますように、やはり技術的であれ、制度的であれ議論していくのだということにのっとって議論をしていて
- それでワーキングがでてきて、それで 11 回議論した上で、整理されて出てきたものだろうと思う
- ただ、このワーキングに関わってらっしゃらない方から見ると、まだまだ議論が未成熟であると、いうご指摘ならば、引き続き、議論を深めた上で、目的にそった解決を見出すということを記述していただきたいと思う
次の発言者は高橋委員で、発言内容は次の形でした。
- 関連して、これは骨子だけなので、本体がどういう形になるのかわからないけれども、比較表を作ったりして、その比較表自体が偏っていないかということを前回申し上げた
- その辺の作りこみ方、両論併記になるのはある程度やむ負えないと思いますけれども、その辺は忠実に書いていただきたいと思う
- という点からいえば、この骨子の中では、B-CAS のことが全然触れられていないように私は斜め読みして思っている
- これに関しては、第四次の中間答申で、個人、消費者側からの意見で、B-CAS については複数の意見が出ている
- それをまるで検討してなかったかのように、この答申案ができるのは私はマズイと思っている
- それに関してご意見を申し上げた立場としては、そこに残っている諸々の議事に関してもきちんと書き込んで頂きたいと、事務局にお願いしたい
以上で意見交換は終了し、村井主査から次の内容のまとめのような発言がありました。
- 大変貴重な議論ありがとうございました
- 長い時間をかけて、技術と制度の両面からということで、色々な整理をして頂いたということだと思います
- 先ほどの一般論か、一般論じゃないかということは、ワリアイ言葉の問題で、先ほど、どなたも今後もまだ議論する必要があるということの認識においては、これは共通のものがあると思います
- これは、23 日に、通信政策部会に私の方から報告させていただくということでございますので、それは骨子案をベースにして、今、ご発言があった部分を踏まえてご報告させていただくということでございます
- いま高橋委員おっしゃったように、これを答申としてどうするのかということは、また部会の後で、部会の方からもご意見例年ございますので、それをまたフィードバックを皆さんにさせていただいて、その答申、案文ということの審議をこの委員会で決めていただきたいと思いますので、いまのご発言を全部含めた上で、その答申の案文が出来上がってくるという形で事務局の方から準備をして頂きたいと思います
- そういった意味で、23 日、今日の議論でご発言頂いたことを、この骨子案という形で今日、いずれにせよ空白の部分を二つ埋めるということはできると思いますので、今日ご議論していただいたことに基づきまして、そういう議論を続けていくということ、それから選択肢としての、整理して頂いたという考えで、議論は課題も含めて、これから続けていくということだと思います
- それから先ほどのダビング10に関してはそういった形で、皆さんの大変な長い努力と色々な方の決断により、空白を埋めることができるのではないかと思いますので、そういった形での報告をした後で、また皆さんに中間答申案の案文をご議論いただきたいということで、引き続き、色々なご意見を、事務局の方におよせ頂きたいと思います
- 技術ワーキングに関して、今の最後の空白の埋め方もあると思いますので、私の報告をする前に、技術検討ワーキンググループを開催させていただいて、御報告をフィックスさせて頂きたいと思います
- ここの所は、技術ワーキングを開きますということで、そこのところで調整させていただくということで、まずは部会の報告を私に任せていただいて、案文に関して皆さんのご意見をうかがうということで進めてよろしいでしょうか
- どうもありがとうございました。今日は大変長い時間をとってしまって申し訳ございません
- しかしながら、大変長い間懸案だったことに関しまして、ある一定の進み方ができることができるということで、大変皆様の色々なご意見、それから貴重な決断に深く感謝をしたいと思います
- 明日が誕生日の堀委員、それから 7 月 5 日が誕生日の河村委員、おめでとうございました
審議の内容は以上でした。
◇◆◇
椎名委員の発言について、これ以上ゴネても、HDD で補償金課金して、さらに DVD / BluRay でもう一度補償金課金と、二重課金じゃないのという批判も強まったでしょうし、利害の対立する相手ながらいい引き際の見極め方だなと素直に称賛してます。
それに比較して高橋委員の最初の発言が……いるんですよね、会議の最中に「そんな話聞いてない」といって怒り出す人。私から評価されなかったとしても痛くも痒くもないんでしょうけど、ちょっぴり評価が落ちました。
何か議論にとってプラスになるような意見があればともかく、最初の発言の部分、個人的な感情の主張に終始してたのがなぁ。形式とかタイミングはどうでもいいから中身に対して意見を出してほしかった。
◇◆◇
今日の会合 (第41回) はこれからまとめ始めるので、ちっと時間がかかります。なんだか1週間以内にもう一回ありそうなので、積まれる前に片づけていくことを目標にと。
6月29日(日) デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会 (第41回)
予告どおり 6/24 分の傍聴レポートを置きます。今回の審議内容は、前回 (6/19) の結果等を踏まえた最新版の答申骨子案の、変更点をメインにした説明と、それに対する意見発表という形でした。
その前段階として関委員から、ダビング 10 の開始時期確定にあたっての、前回会合 (6/19) 以降の経緯説明が行われました。発言内容は以下の形でした。
- 19 日の委員会で、開始日時を Dpa の方で確定しろという指示を受けて、早速 20 日に、放送事業者とメーカの準備状況をチェックした
- その結果、基本的に準備は整っているとのことだったので、(受信機ファームウェアの) ダウンロードとか色々なことがあるので、それらも鑑みて、7 月 4 日、午前 4 時に開始でどうかと、Dpa の技術委員会でメール審議した
- たった一日のメール審議だったけれど、基本的には異論がないということで、昨日の正午に Dpa 技術委員会としては運用開始日時を 7 月 4 日、金曜の午前 4 時と確定するということで決定した
- この決定については、昨日の政策部会でも報告したが、あらためて、委員会の方々にも報告する
この後で、小笠原コンテンツ振興課長から、答申骨子案の、前回時点では空欄だった部分についての説明が行われました。内容は次の形でした。
- 中間答申骨子案、前回では二か所、調整中というところがあった
- 昨日、部会の方に主査の案ということで、埋めたものを報告した
- そこについて、指摘等あり、それを反映させたところも含めて、二か所の部分を中心に説明する
- まず一か所目、ダビング 10 の経緯を説明した後の、その後の合意形成に向けた経緯と、それから、今後の進め方をどうしていくかということに関する、今後の努力、6 ページから 8 ページにかけての部分
- 昨日の部会の議論でも、やはり合意形成の過程を丁寧にトレースした上で、合意形成の経緯に照らして、答申として、この後のことをどう考えていくのかと、そういったことをきちんと書くべきだという指摘があって、それで 6 ページ以下の記述になっている
- 6 ページから 7 ページにかけては、フォローアップワーキングの設置からはじまって、その後、フォローアップ会場での議論、それから文科省・経産省さんにおける取組み、それから、そうした動きを受けた後の、6 月 19 日、第 40 回の委員会における、各委員の発言・提案・合意形成と、そういった経緯をトレースしたのちに、8 ページで、今後のどう検討していくのかということを記述している
- 6 ページから 7 ページにかけての部分では、6/19 の発言として事務局の判断で拾っているので、ここについては、後ほど紹介の中で、また委員からの指摘・修正いただいたものを反映させていきたいが、今日のところは流れを追うといことで、事務局が拾ったものを入れている
- 6 ページ (1) では、フォローアップワーキングで確認された、共通の認識が成立していた部分と、共通認識が得られていない部分を、(2) では、経産省と文科省さんでのダビング 10 早期実施に向けての環境整備の内容を、(3) では 6/19 の委員会での各委員の発言をトレースしている
- 消費者の立場からは、クリエイターへの適切な対価の還元について、これを巡って色々な議論があったが、消費者はそれを否定していない
- 才能ある若者がコンテンツ創造という仕事を選択するインセンティブを絶やさないために、そういった観点から審議会の場でも具体策を検討するべきという問題提起があった
- この審議会ではコピーワンスの改善に当初から取り組んでおり、責任を果たすという観点からいえば、外部で色々な動きがあっても、主体的に検討・判断した上で開始期日を決めていくべきだとの意見があった
- 権利者団体の方からは、適切な対価の還元とは補償金であるとの指摘と、経産省・文科省の合意に関する考え方が示されて、それから現状認識と、そして、権利者が消費者の利便性確保に最大限配慮しているといった発言があった
- 受信機メーカの立場からは、ダビング 10 の環境整備に向けた経産省・文科省の調整を評価するという意見と、この合意について、全ての関係者間で理解が深まって、ダビング 10 早期実施につながればという期待が表明された
- 放送事業者の立場からは、四次答申以降、真摯に準備を重ねていて、準備は整っているので、あとは合意が形成されて期日が確定するだけとの意見が出された
- 一連の発言の後で、権利者団体から提案があり、開始期日を早期確定させることについて、合意形成が行われたという経緯である
- 8 ページでは、それを受けての審議会としての考え方を書いている
- まずは、7/5 を目途としてダビング 10 の開始期日を確定し、運用開始に進む
- これは、7/4 午前 4 時を開始期日とするという報告が先ほどあった
- そういった合意の形成過程で、何度か言及された補償金制度については、そういった検討での合意形成を期待するが、審議会の検討対象ではないということに異論は見られなかった
- クリエイターに対する適正な対価の還元については、補償金以外の側面から、対価還元の具体策を継続して検討していく必要がある
- その具体例として、コンテンツ取引市場の形成という議論をこの場でもやっているけれど、そうした中で議論されている、透明で公正なルール、クリエイター方々にふさわしい権利と、適正な報酬、そういった取引市場における議論ということがその一環としてとらえられるのではないか
- そうしたことを種々まとめている
- 以上がダビング 10 について、合意形成までの過程と、それにもとづく、審議会としての今後の進め方についての考え方
- もう一か所、調整中となっていた、エンフォースメントにかかわる議論について、今後の検討課題・提言という部分を 20 ページ以降に記している
- 19 日の委員会後に、翌 20 日に技術ワーキングが召集されて、ここで調整中とされた所について、どのような提言を行っていくべきかについて審議が行われた
- その審議を反映させた案を作り部会報告をしたが、議論されたことを何点か紹介しつつ、この内容を簡単に参照していく
- 一番大きな点は、委員会審議において、エンフォースメントについて、どのような問題があると指摘されたのか、それをきちんと整理して明記するべきであるという点
- それが 20 ページの (1), (2) というところに示されている
- 問題の大前提として、何故エンフォースメントについての議論が必要なのかというところが i) (a)・(b) に書いてある
- ひとつの議論として、地上放送が基幹放送という性格を持っている、「あまねく普及」ということが求められていて、それゆえに視聴者の影響が非常に大きいという特徴を持っている
- それゆえに、基幹放送で影響が非常に大きいということから、コンテンツ保護にかかるルール、その担保措置ということについて、視聴者・消費者の参加を得たオープンな議論が求められているという共通認識があった
- そういった問題意識のもとに、どういった指摘が行われたのかということについて、20 ページの下の部分、1) 〜 3) で三点に整理している
- 一つが視聴者の持つ意識の問題、二番目がエンフォースメントにかかるコストと効果の問題、三点目が「あまねく普及」という点でとらえられる基幹放送の性格にかかる問題、この3点で整理できるのではないか
- 21 ページで、この三点について、これまであった指摘ということを文章化して短くまとめてある
- まず、視聴者の意識に関わる課題ということで、今のエンフォースメントのシステムで B-CAS カードというカードが必要とされ、このカードの取扱いについて、一定の知識と、それから取り扱いに関して注意が必要になるということ
- そして、アナログ放送の時にはなかった、このような事前の知識や注意が求められることについて、ストレスを感じている視聴者が多数に上がっている可能性が非常に高いのではないか、受信機を普及させるという観点からは、こうしたストレスを感じさせるシステムの改善が必要なのではないか、こうした指摘がひとつの塊としてあったかと思う
- 次に、コスト効果論ということで、エンフォースメントはコピー制御の実効性担保を目的としているわけで、その仕組みを維持するためには当然一定のコストを要しているし、それとの関係で見合う効果が確実に得られているのか、その点に関する疑問が何点か指摘されている
- そういった、コスト対効果が確実に得られているのかという観点から、今の技術と契約をベースにしたシステムの見直し、あるいはアメリカで一時導入が検討された制度を参考にした、制度面のエンフォースメントの検討、そういったことの必要性の指摘があったと思う
- 三点目として、基幹放送の性格に関わるもの、すなわち、基幹放送の特徴として「あまねく普及」という努力義務が課されている
- すべての視聴者の方々に見ていただくことを前提としているにも関わらず、一旦放送波は暗号化されて、視聴が不可能な状態になったうえで、改めて、全ての受信機で復号して視聴可能としている、この点についての違和感という指摘があった
- そういう前提の下、暗号化を用いない、制度によるエンフォースメントの検討が行われている
- いま説明した 3 点のさまざまな指摘については、実際の発言を何点か拾わせて頂いている
- ここでは詳細な説明は省くが、15 ページから 16 ページにかけて、エンフォースメントに関わる指摘と意見ということで、15 ページでは視聴者の意識に関すること、そして 16 ページでは、コストと効果に関すること、基幹放送に関すること、実際に指摘された発言を採取させて頂いている
- 以上のように、この委員会の場で、何が問題で、何が課題だという風に指摘されたのか、まず課題の特定を前段でやるべきではないかという技術ワーキングでの指摘にそって、20 ページと 21 ページでかなり詳しい記載をさせて頂いた
- こういった、特定された課題に対して、何を検討していくべきかということは、22 ページを見ていただきたい
- ここでは、検討の範囲と検討の進め方、以上二点を議論を整理している
- まず、検討の範囲としては、エンフォースメント、あるいはコンテンツ保護のルールという関係で、検討の範囲を限定するという作業を行っている
- コンテンツ保護のルールというのは、元はと言えばコンテンツ提供サービス、これは色々な物が、色々なネットワークを介して提供されている訳で、ビジネスモデルの一環という訳なのだから、そのルールを担保するということは、基本的に民間の自助努力が原則となる
- 自助努力である以上は、当然その内容も民間で自由に決められるべきということで、そういった原則から鑑みると、今回審議の対象とするのは「あまねく普及」という特徴をもった地上デジタル放送、基幹放送に限定されるべき
- 次に進め方ということで、技術面・制度面、色々な手段を検討するにあたっても、最終的な決断の段階は言うまでもなく、課題を検討していく各過程においても、民間による自助努力による解決手段が十分に尽くされているかという点に、常に立ち戻って慎重に議論していく必要があるのではないか、ということがスタンスとして挙げられている
- 制度および技術の具体的な検討に着手する前に、まず双方の選択肢で、基本的な考え方、仕組みを明確化した上で、課題解決の方法としてなじむか否かを検討することが必要だろうということ
- こうした検討のスタンスを元に、今の段階で、どの選択肢が良いか、今の仕様を変更する必要があるか、ないか、あるいは変更するとしたら、どのような方法か、これを現時点では結論づけることは出来ない
- ただし、様々な指摘・問題点が視聴者・権利者の立場から行われていることは事実なので、そういった問題を真摯に受け止めて、エンフォースメントに関する検討を行っていくということを記載している
- いずれにしても、今のエンフォースメントの仕組みについて、常に視聴者にとってよりよい手法、これを模索していこうということについて、技術ワーキング、あるいは本委員会の場で認識のズレは見られないということを確認している
- あとは 23 ページ 24 ページで、今のようなスタンスで、どのような課題を検討していくべきかということについて、実効性・ルールの在り方・ルール違反への措置という課題を挙げている
- 一例を挙げれば、制度と技術ということをもし仮に言うのであれば、制度の方はスピードバンプという一時的な減速効果ということしかないのではないかと、そういったことを正面からとらえて議論していく必要もあるのではないか
- それから、24 ページでは、検討は当然継続していくが、検討のスケジュールということも一応念頭におくべきだろうということで、検討の継続と検討体制というところについて、審議会で議論していく立ち位置ということを書いている
- まず、検討対象は基幹放送という性格を持つ、地上デジタル放送、それのコピー制御・エンフォースメントの具体的な在り方で、当審議会の観点は、放送コンテンツの品質維持・向上、そのためのコンテンツ保護、それから見ていただく視聴者の利便性確保、こういった観点から審議会で継続して検討していく必要がある
- 審議の途中で色々と指摘を頂いたように、引き続き関係省庁さん、それから例えば部品メーカさんとか流通事業者さんといった方々にもこれからの議論には参加していただく必要があるのでは、という検討体制についての指摘を踏まえた記載をしている
- 今後のスケジュールについては、今の段階では決めることを出来ないでいるけれど、目途として、2011 年のデジタル全面移行時がひとつの区切りとなるべき時期になるだろう
- 2011 年の全面移行時には、仮に今の方法を変えるのであれば、それが決められて運用開始されていることが望ましいという考え方の下に、あと 3 年弱しかないので、一定の結論を、たとえば 1 年後を目途に得る努力をしてみてはどうかという提案がされている
以上の説明の後で、村井主査から再度、骨子案の経緯および内容についての説明を行い、委員からの承認をとるという手続きが行われました。説明内容は以下の形です。
- まず、一つ目のダビング10に関する今後の進め方という点について
- 昨日の案を部会に諮って、そこでの指摘、政策部会長・委員の指摘を含めて、事務局での修正をお願いして、それが本日の修正版ということで、事務局から説明して頂いた
- 基本的には、昨日指摘して頂いた、期日確定にかかる合意形成のプロセスを正確に書こうということだったので、そこを丁寧に記述した
- 今後の進め方では、色々な立場があるので、その表現を明確にした
- 前回から説明しているように、この委員会からの中間答申での文言は、それぞれの立場の方が、やはりそれぞれの立場があるので、どういった意見があったということを明確に・透明に書いて、それで答申とするということを繰り返しお願いし、皆さんにお話ししているところ
- そうした進め方から言った場合、これだけ丁寧に書いておいた方が良いだろうと言うための資料
- これを今から答申案にしていくプロセスの中で、また皆さんの発言の事実関係とか、そういったことについての必要な注文は追加させていただくが、基本的に、今示して頂いた骨子の流れ、項目は確定させたい
ここまで進んだ時点で、各委員に対して、何か意見はと質問が行われ、特に意見が出なかったため、ダビング 10 に関しての記載内容はこれで確定となりました。引き続きコピー制御とエンフォースメントに関しての説明があり、内容は以下の形でした。
- 二点目、コピー制御のルールに関するエンフォースメントに関して、これも前回調整中ということで、この委員会では空白だった
- その後、技術ワーキングを約束したとおり、前回の次の日に開催して、議論して頂いた
- その結果を踏まえて、私が作成した案を、昨日の情報通信政策部会に諮って、骨子として情報通信政策部会では了解を得た
- その部会に諮った案を、また皆さんに相談して、確認して、それから答申案にどのような内容を書いていくのかということの確認のプロセスに移るということで、前回約束している
- 今日、技術ワーキングを経て作成されて、部会を経て承認されたこの内容について、皆さんの意見を一通り伺おうと思っている
- まず、技術ワーキングでの議論ということなので、技術ワーキングに参加して頂いた放送事業者とメーカの立場から意見を頂いて、それから皆の意見を伺うという順番で進めたい
というわけで、発言者として関委員が指名され、次の内容の意見が出されました。
- 20 ページから後ろの提言部分で、結論が 24 ページという部分だと思うが、実際の文面がどうなるのかということもあるし、若干長いので、今一字一句云々ということは言えないが、基本的に、ここに書いてあるのは、技術ワーキングでの 20 日の検討の結果を受けながら記載されたということで、特に、24 ページに今後の検討スケジュールというところにあるように、そういう意味では、記載されている内容はこれで結構だと思う
- 具体的には、この委員会で放送事業者から二回ほど、今、ワーキングで検討している制度、そして技術の両方を比較いうほどではないかもしれないが、検討のプロセスを御説明してきた
- もっとも、制度・技術両方の面で、何が抜けているかということについて、方向を探っていく議論、そのための課題をを一応まとめているので、それに基づいて検討していくことが重要だと考える
- そういうことで、この提言は、この提言でよろしいのではないかと思う
次に指名されたのは藤沢オブザーバで、発言内容は以下の形でした。
- 関委員の意見と私も同意見
- 技術検討 WG で、様々な意見が出されて、その結果どういう意見が出たかということは、この場でも紹介させて頂いた
- 今後議論を展開していく上での材料はそろっていると思う
- これから、各課題について、粛々と提言にあるようなスケジュールで進めていくのが良いと考える
次に指名されたのは榊原オブザーバ (松下電器) で、発言内容は以下の形でした。
- 20 ページの提言の検討課題のところ、三つの観点からこちらの委員会、色々な方が課題を指摘されているところで、次のページから色々な課題が例として挙がっている
- 技術検討ワーキングに課せられた課題がある程度特定されてないと、解決ということが出来ない
- これは例とのことなので、他にもあるかもしれないし、実際にこの課題自体がよくよく考えてみると大した課題ではないということもあるのかもしれない
- ここにもし付け加えるとしたら、課題の例としてだけに留まらず、課題の特定が、やっぱり課題を解決する前提として必要なのではないか
- 課題が特定されれば、当然、その解決に必要なエンフォースメントの在り方が何か、技術なのか、それとも法律なのかというところに行くのだろうと思う
- それが、検討課題についての意見
- それから、22 ページ以下で、検討の進め方ということで、まとめて頂いて、技術ワーキングで意見を申し上げた点を取り上げて頂いている
- 検討の進め方の i) の所で「民間の自助努力により解決手段にかかる議論が十分に尽くされているかという論点に常に立ち戻り」というところ
- 以前の委員会でも、技術ワーキングでも申し上げた通り、やはり、産構審や、産構審でなくとも、一般常識として、法規制の前には民間の自助努力が十分になされるのが原則だと
- この部分では、その通り記載頂いているが、その下の部分、技術と法律のそもそもの選択肢を見ていきましょうということだけれども、やはり、法律、法規制とか行政の介入は必要最小限でやるというのが世の中の常識だと思うので、その前後関係は明確に確認して頂きたい
- それから、現行の技術の方式があって、それ以外にも色々な技術方式があると、コストを考えなければ課題を解決できる技術方式は無数にあるだろうと、どなたか、大山先生でしたか、おっしゃていたように思うけれど、現時点ではそういう検討は出ていないので、それは今後の検討プロセスとして当然予定されているのだろうということも確認したい
次に指名されたのは河村委員で、発言内容は以下の形でした。
- 今のシステムというのが B-CAS とスクランブルということだと思うけれども、ひとつ気になったのは、23 ページのエンフォースメントの実効性というところ
- 「制度のエンフォースメントは技術・契約のエンフォースメントに比べ、実効性が薄いのでは」と書いてある
- これから出る技術は別にして、今のシステムで言うと、システムは既に破綻していると思うので、実効性という意味では、既に実効性はほとんど無いと思っている
- なので、ここは、技術・契約によれば実効性が高いという言い方で、今破綻しているのにどうしてだろうと思った
- また「課題は本当に課題なのだろうか」という話があった
- 私は、この書き方が弱いのではないかと思うのだけれども、大きな、本当に大きな課題として、現在のエンフォースメントが既に破綻しているということがある
- スクランブルにしても、肌感覚というか皮膚感覚、直感的に、基幹放送でスクランブルをかけている、しかもコンテンツ保護やコピー制御のためにやっているのに、受信できるかどうかがそこにかかってしまっている
- あまねく受信できるかどうかということよりも、権利者さんの権利を守るルールどおりかどうかが優先されている
- それは、山の中で土砂崩れがおきて、取り残された人が、電気がかろうじてあって、テレビを見ようと、そこから情報を得ようとした時に、たまたま B-CAS カードが無いとか、壊れてしまったという時、その時にコンテンツ保護ルールどおりかどうかという所が、情報が得られるかどうかよりも優先しているのだなと
- そういうところが、何か違うと、消費者として制度がいいかどうかは別問題として、スクランブルは絶対にやめるべきと思う
次に指名されたのは長田委員で、発言内容は以下の形でした。
- 制度のエンフォースメントについて困難だと書いてあり、これは、これから検討していく中の一つと、とりあえずは読んでおこうかなと思う
- しかし、私たちが課題だと思っていることへの回答は頂けていない
- なので、これからは、ワーキングで検討して頂いたものを、この委員会に、こういう良い所がある、悪い所がある、こういうことができる、できない、こういうコストがかかる、そういったことを、選択肢というか、情報を出して頂いて、その中で、放送事業者の皆さん、メーカの皆さん、権利者の皆さん、それから消費者団体の私たち、皆で、それから有識者の先生方と一緒に、どういうのが良いのかということを検討させて頂きたい
- 是非、これからも広い視野で検討を進めて頂きたい
- 課題の特定について、何が課題と思っているのかということについては、地上放送をデジタル化ということで、色々な協力をしている国民にとって、まずそれが課題だと感じていれば、それは課題だと思う
- それが地上放送、基幹放送の役割だと思うので、皆が 2011 年に向けて、努力をしなければいけない状態の中、何かネックになるものがあれば、それは解決の方法にもっていこうということは、既に記載されていたように思うけれど、それが原点だと強調しておきたい
- 民間の努力の話、民間の問題だろうという発言があったけれど、そうだとしても、民間の努力でどういうことができるのか云々の話をこの場、こういう場で決めさせていただきたいというのが強い願い
- 何か、もしルールが、新しい技術解でこういうものがありますと、決めて、関係者の方だけで決めてしまったら、国民・消費者がすごく課題だ、使いにくい、厭だと思っても、選ぶことはできない、それを買うしかない
- 私たちは昔買い控えと言って、この業界の皆さんと戦ったことがあったけれど、今回はそれすらできない、これを受け入れなければ見ることができないということになって、それは見ないという選択肢しかなくなる
- そういうことにならないように、皆が「これならば受け入れられる」という解を、皆で見つけていきたいと思う
- 何度も申し上げるが、基幹放送である地上放送に、スクランブルは全く必要ないものだと思っているので、ぜひ外す方向で進めてほしいと思う
次に指名されたのは高橋委員で、発言内容は以下の形でした。
- 私は昨日の政策部会でも色々意見を申し上げて、村井先生・事務局にも御苦労頂いて、かなり意見を盛り込んで頂いたので、特段このペーパーに関する意見というのはない
- ただし、先ほどのメーカーの方からの意見の中で、基本認識として言っておかなければならないことがあるので、そこだけ申し上げたい
- 「課題が必要でないものもある、何が問題化判らない」という発言があった
- そうなると困るので、昨日の席上でそこに関しては丁寧に書きこんでほしいと申し上げ、説明では端折られてしまった 15 ページから、15, 16 とかに、課題・指摘・意見というものが書き込んである
- これは委員会で出た意見であったり、パブリックコメントで頂いた意見だったりする
- それを整理して、視聴者の意識に関するもの、コスト効果に関するもの、基幹放送の性格に関するもの、みっつに整理をしていただいたと考えている
- 民間の自助努力が十分になされたかと、その上で制度や法制度が、それでもできなければ来るものだという議論があったのですが、自由にやってきた結果がコピーワンスで、それを修正するのにこれだけの時間がかかっているという事実がある
- 今申し上げたように、色々な課題がある中で、制度と技術の両面から実効性確保をどうするのかが、この委員会で我々がミッションとして検討していること
- この方向で行ってほしい
- 技術は無数にあるとのことだけれども、無数に示してほしいということは言っていなくて、実効性の確保のあるものだけでも、いくつか示してほしいという、それが実現していない
- 技術は現行のもので、技術で良いのだという説明が多かったと思っている
- 我々はオープンな議論を望んでいて、ここまで技術のことを判らないながらも勉強しながら理解してやってきた
- 一般の国民に判りやすい選択肢を、すべて隠さず提示した上で、こういうプロセスで、今はこれにきまっていますと、今後技術革新があった場合には、こう変わる可能性がありますと
- これをきちんと説明する責任がこの委員会と、情報通信審議会にあると思っているので、この方向性を崩さずにやっていくべきと思っている
次に指名されたのは椎名委員で、発言内容は以下の形でした。
- ほとんど言われてしまい、もう言うことが残っていない気がする
- 繰り返しになるが、やはり論点として大事なこととして、B-CAS が破綻していること、これはどうしようもないこと
- ここで、技術を変えるのか、制度をどうするのかという択一の話になっているということろから言って、そのことを、破綻している事実を、きちんと書くべきで、それがミッションなのだということから話が始まるべきではないか
- メーカさんは産構審を引き合いに出されて、そんなものを引き合いに出すのはおかしいという話になったと思う
- 公共性、放送・地上放送の持っている公共性、そして、これから国民が一人一人持たなければならない、持たされる機械についての仕様を決めていく話で、産構審のことを持ち出されても話が通らないだろう
- 自治、法が介入するべきではない、そういった意見もあるとは思うが、自治にまかせて変なことになることが多々あるので、そこのところはやはり制度エンフォースメントが良いのではないかと思う
- 技術がある、技術がある、技術の検討が先であると、言っているけれども、また、先ほどの話とかぶってしまうけれど、穴倉で技術決められても困るので、技術があるのであれば、堂々とこの場に出して頂いて、検討材料としていく、そういう中で話を進めていくべきではないか
次に発言を求めたのは植井委員で、発言内容は以下の形でした。
- 私も技術検討ワーキングに出ている立場で、今までも、いくつか意見を伺っているが、厳しいご指摘をこの委員会の場で頂いていると認識している
- 必ずしも、まだニュートラルな立場で評価するべきと考えている
- どちらかのシステム、どちらかの制度を優先していこうということではなく、ここは聖域なき検討を加えるべき状況になっていると考える
- 公平に比較したものを皆様の場に出して、見て頂いて、検討していただくという作業が、今後の技術ワーキングでの重要事項だと認識している
- 重ねて、いま色々と伺った、消費者の方々、権利者の方々の意見は重く受けとめるべきと考えている
以上の発言の後で、村井主査がまとめと、骨子案の確認を行いました。発言内容は以下の形でした。
- いまちょっと伺ったご意見を確認していたけれど、先ほど御説明していただいたのは確か 20 ページからで、それで、今いくつかご指摘いただいた点、先ほど榊原さんから始められた課題の特定の重要性、B-CAS、それから 長田委員、河村委員からご指摘のあったような……わりあい緊急通信のことも触れていただきました、そういった、B-CAS のシステムそのものの取り組み、この部分は今日はちょっと御説明しなかったけれども、15 ページから 19 ページにわたるところにいくつか書いてある
- いまちょっとぼんやりして中を見ていたのは、実は緊急通信のことが入っているかということを探していたのだけれども、入っていて、16 ページに書いてある
- 民々からという話というのと、それからその議論、それは先ほど榊原さんからご指摘いただいたと、それからそういった経過を全員のここでの場にきちんと反映させていくと、これも長田委員から指摘された
- この辺の、委員会と技術ワーキングとの連結性、技術ワーキングで専門的に議論されていることが、ここできちんと伝わっているかということは、きちんと気を使っていこうということで話していた
- そのことで、専門家で話してしまうと、そこで判ったような気がしちゃって、こちらでの透明性が失われるような表現にならないようにということで、技術ワーキングの方でもご了解を得て、それを反映させるように努めている
- そういうわけで、大体いま御指摘のことは、素材として大体入っているかなという気でいる
- いくつかの方向からのご指摘はあったと思うけれども、エンフォースメントに関する今後の議論の、今後の進め方をここに記述するのは、先ほど榊原さんから最初に指摘された、民々の解決方法について議論が尽くされているかということを常に意識していくというような点、これも技術ワーキングの方で何度かご指摘して頂いた
- 二つの選択肢というのはここで出てきている訳で、課題を明確にした上で、比較・検証していくということの作業は重要であるということで、ただ、課題を明確にするというプロセス自体も時間がかかるので、この前後関係というのはやはり、いくつか、できること、できないことというのがあるだろうと、これも技術ワーキングの方で議論したこと
- 従って、その二つの選択肢を比較していくということ、この二点が基本的な方向だと思う
- それが大体表現されているのかなということで、これで大体皆さんから意見を頂いたということだと思う
- 昨日の段階では、本日もう一度議論しますという前提に、答申の案文の作成が部会長に一任されているという状態になっている
- つまり部会長の村上さんが案文の作成を最終的に一任されているというのが昨日のステータスで、それの内側の案文はこちらで作るということ
- という訳で、本日の意見を踏まえまして、答申案を作成して、ここではその作業を私に一任していただいて、この骨子にしたがって案文を作って皆さんにご相談する
- それを、今度は村上さんの方にお願いをして、それを高橋さんの方から総会に諮っていただくと、こういうことで行きたいと思う
- 皆さんにはもちろん案文が出来次第、すみやかに紹介をさせて頂く
- そういう時間がどれくらいあるかということをよく考えると、一週間で回さなければいけないということになり……一週間ないので、すぐこの後からかかりたいと思う
- 昨日も私二つ、部会には提案する案件があったけれど、二つ並べると、いろいろこう完全性が高いものと完全性が低いもの……これは私、大学の学位申請ということで学生の二つ出す時にはざらにあることなのでベテランということで切り抜けた
- これから大変短い時間で作業を行うことになると思うけれども、是非、よろしく協力をお願いしたい
- 昨年 8 月から 20 回以上ということで、ようやく答申案の原案をみなさんに諮って、作成していくということ
- これまでのところ、大変忙しいなか、非常に真剣に議論に参加して頂いたということに、改めて私の方からお礼を申し上げるとともに、今後の、最後のプロセスということで答申案に向けて、ぜひ協力を賜りたいということをお願いしたいと思う
という訳で、答申骨子案がこの会合で委員の合意を受けて決定されたことになるわけです。なお、小笠原コンテンツ振興課長から「完成度が低い段階で恐縮だけど、あと数日間協力いただければと思う」との発言がありました。
◆◇◆
えー、今後 1 年間を目途に、新たなエンフォースメントの在り方について議論して結論を出すということになっていますが……外野も含めて納得できる解決は難しいんじゃないかなーというのが正直な感想です。だってどー見ても同床異夢なんですもの。
消費者代表としては、何故か「スクランブルさえなくなればバラ色の未来」という誤解をしているらしく、制度エンフォースメントに向けて暴走している状態で、「何故アナログ放送と比較しての利便性低下を受け入れなければいけないのか」という疑問を放置してますし。
この疑問を解消しようとする場合、利便性低下の最大要因である、コピー制御を止めるか、あるいは、コピー制御を導入した、国民が納得できる理由を提示する必要があるのですが……今のところは「四次答申で消費者代表もいる場で合意されたコンセンサスだから」というよく判らない理由しか出てないのですよね。
権利者団体側はコピー制御ルールが残るのであれば制度だろうが技術だろうが、実効性があればどちらでもかまわないという立場だから、たとえ消費者側が不理解で崖に向かって突進していても止める義理はない立場と。
放送局としては、自分たちが求めて導入した方法でもあり、たとえメディアとしてのパワーを弱めて、パッケージの客だけを客として扱って、放送の客をないがしろにするような愚行であったとしても「止める」とは言いだせないと。
機器メーカ側の立場として何を考えているのかは……発言が少ないので正直よく判らないです。一応制度エンフォースメントに後ろ向きというのは読み取れるのですけど。
ひょっとしてそのせいで、消費者代表は「とにかく機器メーカが反対してる方法だから」と制度エンフォースメントに執心してるのかなーと邪推したりもします。
◆◇◆
金曜に開催された第42回も、一応傍聴してましたので後ほどレポートを置きます。基本的に答申案配って承認してという儀式だけだったので、そんなに書く内容はないのですけど。
6月30日(月) デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会 (第42回)
恒例のレポートです。昨日の段階でちょっとだけ触れたように、今回の会合は答申案配って承認してという儀式のみで、20 分ほどで終了しました。
一応審議の流れを書いておくと、次のリストのような順で進みました。
- 村井主査からの挨拶
- 小笠原コンテンツ振興課長からの答申案について、各委員から修正の指示等があった箇所の説明
- 村井主査からの、内容についての意見がないか問い合わせと、土井委員からの、語句に関する指摘
- それ以外には特段の意見がなかったということで答申案の承認
- 村井主査からの、今後のスケジュールについての説明と挨拶
- 小笠原コンテンツ振興課長からの、挨拶と今後のスケジュールについての説明
- 中田政策統括官からの挨拶
- 村井主査からの閉会の言葉
とりあえず、恒例の最初の挨拶部分は飛ばして、小笠原課長の説明から詳細に追っていくことにします。内容は次の形でした。
- 一応、念の為、手元の資料を確認してほしい
- 資料の 1 が骨子案、概要版ということで、基本的に前回説明したものと変わっていない
- 資料の 2 がこの骨子案を元に、今週の火曜に主査から作成を指示された答申本文
- その後ろに参考資料として、この答申の元になった三つの諮問の諮問書、さらに本委員会の名簿、それと上位機関である政策部会の名簿を参考資料として付けている
- 資料 2 について、事務局から若干説明する
- 今週の 6 月 24 日、当委員会で、資料 1 の骨子案の了承を得たので、これを元に、主査から指示のあった答申本文、資料 2 を作成した
- そして、24 日の非常に遅い夜半から、昨日木曜日、午前中にかけて、皆に照会した
- 皆に照会すると同時に、情報通信政策部会、部会メンバーの方々にも同時に見て頂いた
- 概要版については、今週の水曜日に情報通信審議会、城山会長に説明済みで、基本的に了承いただいた
- 再度ご意見を頂いた後、調整を続けて、最後の意見を頂いたのが本日午前 2 時半
- 短期間かつ、かくも深夜まで付き合って頂いた方々に改めてお詫びとお礼を申し上げる
- そういう手続きを経て、やっと出来上がった資料 2 の答申案
- 結果的には 101 ページということになった
- 主査の方から部会等で説明頂いたように、毎回、村井先生が主査として担当する答申案では、経緯に非常にページを割いている
- 今回も例外ではなく、2 ページから 7 ページにかけての 5 ページでダビング 10 に関する経緯を、それから 28 ページから 37 ページの 10 ページ近くをエンフォースメントに関する検討の経緯として割いている
- さらに、56 ページから 84 ページにかけての 30 ページを、コンテンツ取引市場の形成に関する検討の経緯として割いている
- あわせると、101 ページのうち、約 40 ページ以上、検討の経緯を仔細に記載するということをした
- 極力、検討のプロセスが透明に、正確にわかるようにということで、毎年やっていることを今年も繰り返させてもらった
- この二日間に、皆とやり取りをさせてもらい、骨子を文章化するにあたって、文章の細部に至るまでチェックをしていただいた
- 例えば検討の経緯では皆さんの発言を挙げて、事務局でまとめているので、そこのところ、重複とか、不足とか、細部にいたるチェックを皆から頂いた
- 時間のかかる作業にも関わらず、短期間でありがとう
- 骨子から文章化するにあたっては、皆から、文章のロジックに至る部分までチェックを頂いた箇所が 3 点ある
- 一つ目は 7 ページから 8 ページにかけての、ダビング 10 の部分
- 基本的には対価の還元は、補償金とは別の観点で検討を進めていくという、進め方について、ここは細部に至るまで、皆から意見を頂戴して、修正を重ねたところ
- 次に 38 ページから 45 ページまで、特に 40 ページから 42 ページにかけて、エンフォースメントに関する検討の進め方というところ
- これも骨子案で概ね皆に了解頂いたところを元に文章化しているものの、今後の進め方に関わる、非常に重要なコンセンサスが書かれている箇所
- いわゆる、技術・契約、それから制度、こうした二つの制度について、考慮するべき事項、どのように進めていくか、かなり細部に至るまで意見を頂き、これも 2 時まで修正させて頂いた
- そして 91 ページから 92 ページにかけて、コンテンツ取引市場の形成に関する箇所
- 特に、去年の諮問、コンテンツ競争力の強化と、それに伴う制度の在り方という、制度に関する部分
- 基本的には今回の審議の集約と、それを元に、今後どうしていくかということを記載している
- 特に 3) の部分について、現在別の場で進んでいる、研究会等の研究を含めて、ここも色々調整させて頂いた。
- 以上 3 点について、かなり詳細にわたる所まで見て頂き、調整して頂いた
- 二日間という非常に短期間ではあったけれど、メールのやり取りを含めて、深夜に渡るまで付き合って頂いて本当にありがとう
- そうしたフォローを受けて、主な所は以上三点で、全体としても、細かい大きな修正点があるものの、そういったところまで丁寧に見て頂いた
- 事務局の足らざるところを補って頂き、ようやく、この 101 ページの答申書が出来上がったという次第
以上の説明の後で「答申案について、重ねて何か意見のある方は」と村井主査が問い合わせて、それに対して土井委員が「『技術・契約』に揃えてと依頼したけれど『技術』のママ、修正されていない箇所があるので、変更漏れだろうから修正してほしい」との指摘がありました。
これ以外では特に指摘はなく、「本答申案を承認したいと思うが、誤字や編集上の細かい修正は私に一任していだたくといことで進めてよいだろうか」との問い合わせが村井主査から行われ、一同が「結構」とのことで、答申案が承認されました。
この後で、村井主査からの今後のスケジュール説明や挨拶・お礼があり、その内容は次の形でした。
- 五次答申本文の了承を頂いたので、これで今後に進めていける
- コンテンツ取引促進ということで、適正な対価の還元の在り方について色々な議論があったが、補償金とは別の局面から引き続き検討を進める
- エンフォースメント関連
- 基幹放送に関するエンフォースメントが検討対象である
- 消費者の利便性を向上させるために、現在のエンフォースメントの在り方の改善を模索する
- 技術・制度、考えられる選択肢をオープンに議論していく
- 一年を目途に検討していくこと
- このようなことが内容になっているので、今後の進め方という形で、以降の議論で検討していきたい
- 以上の検討結果を答申案とあわせて、村上部会長に報告して、本日 2 時からの情報通信審議会の総会で、情報通信審議会答申案ということで諮らせてもらうということで進めていく
- 昨年の 8 月以来、21 回の会議、ワーキンググループを加えると数えきれないほど、大変長い時間を皆さん使って頂いて、最後の最後まで、大変時間を使って頂いた
- 本当にありがとう
- 事務局の方々も、ほとんど最後は寝ていないのじゃないかという時間にメールが飛び交っていて、大変お疲れ様
- 今日の会議もこんな時間 (AM 8:00〜) になってしまって、それにも関わらず参加いただいて、変則続きだけれども、皆さん心のこもった議論をしていただいて、ここまでやることが出来た
- 本当に深く感謝したい、どうもありがとう
この次の小笠原コンテンツ振興課長からの挨拶と、今後の予定の説明は次のような内容でした。
- 村井先生から数えきれないという発言があった
- 委員の皆様から、WG は全部で何回開いたのだろうと質問があった
- 事務局に責めがきそうであまり言いたくないが
- 技術ワーキングが 23 回、取引市場ワーキングが 12 回、フォローアップワーキングが 3 回で、WG 合計では 38 回
- 本当に事務局の手際の悪さを深く反省している
- この場の皆さんには、それだけの回数を付き合って頂いて、そのおかげでこういったものをまとめることができた
- 本当にありがとう
- 本日答申案として了承いただいた、この答申案のとりまとめについて若干申し上げる
- 本日、委員会として了承頂いた答申案について、これから情報通信政策部会長である、村上部会長のところに提出し、今後の進め方についての確認事項を報告する
- 情報通信政策部会長に答申案を了承してもらい、政策部会各メンバーに、直前でもよいから届けるようにとのことなので、届ける
- 情報通信政策部会長の了承を頂いたものを本日 2 時からの情報通信審議会そうかに、答申案として提出する
- 本事務局として、ダビング 10 の合意形成、エンフォースメントに向けての、コンテンツ取引市場の監視、今後の検討課題を明確にして頂くと共に、この 100 ページに渡る報告書の形成過程でも、様々な御助力および協力を頂いたことを、改めて事務局としてお礼申し上げる
- スケジュールについて、事務局から、いつも直前になってからの連絡となり、何回もお叱りを頂戴し、私たちとしても忸怩たる思い
- このように非常にあらっぽい、かつ不手際が多いメールにも関わらず、最後まで協力いただいたことに改めて、お礼と共にお詫びを申し上げる
この後、中間答申前の、最後の会合なので中田政策統括官から、以下の挨拶がありました。
- 本当にありがとう
- 今、説明にあったように、数えきれないぐらいの会合に、多大な時間を頂いて、感謝の言葉もない
- 特に、今回の答申は、最終部会にまだ答申案が出ていないとか、今朝の二時半までやったとか、普通の審議会答申では考えられないような手続きを経てきた
- これも 8 割か 9 割は、事務局を担当している課長の強烈な個性ということ (ここで一同大爆笑)
- 審議会答申のほとんどが、これからの議論の方向性を示して頂いたということ
- お礼とともに、今後もこの方向性にそって、引き続き議論をお願いしたい
- あわせて、よろしくお願いします
以上でこの会合の審議は終了しました。
◇◆◇
えー、前日召集が 3 連続。しかも高頻度という、仕事のある人間には付き合うのが厳しいスケジュールでしたが、これで中間答申も出たことだし、また普通の開催頻度に戻るだろうと、ちょっぴり安心してるところだったりします。
来年の中間答申もこんなスケジュールだとしたら厭だなぁ……。
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