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2月28日(土) デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会 (第49回) [この記事]
いつもの傍聴レポートです。今回は技術検討ワーキンググループからの、コピー制御エンフォースメント(強制手段) に関する検討の中間報告の 2 回目ということで報告と議論が行われました。
議事自体は次の流れで進みました。
- 村井主査からの開会の挨拶 & 本日の検討内容連絡
- 小笠原コンテンツ振興課長の配布資料確認
- 村井主査からの、技術検討 WG での検討状況報告
- 小笠原コンテンツ振興課長からの、配布資料を使った詳細説明
- WG 参加委員からの補足説明 (村井主査からの指名の形で)
- 以上の説明を受けての意見交換
- 以上の意見交換を受けての村井主査からの今後の検討に関しての説明
- 小笠原コンテンツ振興課長からの今後のスケジュール
- 村井主査からの閉会の挨拶
ほぼ定型文の開会の挨拶と配布資料確認部は省略して、村井主査からの技術検討ワーキンググループでの検討状況報告から議事を追っていきます。村井主査からの発表の内容は、次のような形のものでした。
- ディテールは事務局の方から後で説明して頂くが、技術検討ワーキンググループでの検討状況は私から報告することになっているので、まず私から報告する
- 昨年 12 月 22 日の委員会で配布した資料を、参考資料ということで配布しているが、これにある現在の B-CAS の改善案を以前に提示して、委員の皆様から、大変貴重な意見を頂いた
- その委員会以降、技術ワーキングを 4 回開催して、その中で、前回ご指摘頂いた内容を一個一個検討して頂いた
- 特に、前回の資料で、チップ・ソフトウェア方式とある中の「課題」とある部分に関して、この課題をどのように課題と捉えて、それを解決するための道があるかということを議論してきたというのが、ワーキンググループでの議論の概要になる
- その結果が本日配布している方の資料になる
- 基本的な前提として、現在の B-CAS 方式が存続し、追加的な選択肢としてチップとソフトウェアというものが出てくる、それを明確にしていくというのは前回と同様
- それから、前回課題とされた部分について、ここの検討状況を記載している
- ちょうどそこが新しい資料の右から二番目のところになる
- 但し、チップ・ソフトウェアの部分の選択肢の整理ということで、前回の委員会での指摘を踏まえて、若干変更している
- 新しい資料の 2 ページ目の、(2) と書いてあるところの概要部分で、検討結果に従って、どういう責任でどういう状況かというかということが明確になるよう変更している
- ここの内容に関しては、後で、事務局から説明して頂く
- 本日の位置づけは、こうした中間的な検討状況の報告ということで、技術委員会として、前々回に引き続いて、二回目の報告をさせて頂くというところになる
- 今の結論を示しているという訳ではないが、そういう訳なので、それにもとづいて、皆さんの意見・議論を進めて頂きたいというのが、今日皆さんにお願いしている議論の内容になる
- とはいえ、本日もいろいろな意見を頂けると思うが、それを踏まえて、タイミング的にはワーキンググループの議論も取りまとめの方向にもっていきたいと考えている
以上で村井主査からの検討状況報告は終了しました。引き続いて事務局の小笠原課長から配布資料を使った検討状況の詳細説明が行われて、その内容は次のような形のものでした。
- それでは、資料にもとづいて事務局から説明させて頂く
- 冒頭で「利用者に対して選択肢を拡大」と、枠囲みのところを再度強調させて頂いた
- 今説明があったように、これは B-CAS 方式が存続し、それに並ぶ新たな選択肢を追加するということを基本として検討しているということを、念の為、再記している
- 選択肢の拡大という中で、前回の選択肢を性格の違いによって、明確に二つに分けた
- 一つは現行の B-CAS 方式で用いられている技術と同様の方式をとり、かつ、カードの存在も前提とするというやり方で、これを (1) としている
- 二枚目の (2) ということについては、有料放送とは異なる、現行の B-CAS 方式とは異なるという前提で検討をしたと明記した
- まず一枚目のカードということを前提とした現行 B-CAS 方式と技術的には同様の方式について、これは前回様々な指摘を頂いた
- ただし事前実装というところについて言えば、カードに係るストレス、言わばカードが別に同梱されてきて、それの扱いを一応知っておかなければいけないという類のストレスに関して一定の効果が見られるのではないかということから、今のところは選択肢から落とす必要はないだろう
- 技術検討ワーキングでの検討状況というところを見て頂くと、一つにはメーカの商品企画の自由度、それから消費者の選択肢拡大ということで、小型化という選択肢も引き続き選択肢として検討する
- 実際に、ノートパソコンや携帯電話、ポータブルとして持ち歩く機器、それから車に搭載される機器、そういったことに使う場合は、やはり小型であった方が良いという実際のメーカさんのニーズがあるということから、引き続き検討という扱いにしている
- 事前実装についてもこれは同じで、商品企画の自由度・消費者の選択肢拡大、カードのストレスという観点から見ると、一定の効果の可能性がある
- また、小型化とそれは同じだが、ノートパソコンや浴室 TV あるいは車載機のニーズということがメーカから出てくる可能性があるのではないかということで、引き続き検討するということで、今の段階では残している
- なお、事前実装に関してはいくつか検討するべき課題が残っている
- 例えばクリック契約等とか、シュリンクラップとかの言葉が出ているが、利用者の方々に対してカードに関する情報提供をどのように行っていくか
- 現在のシュリンクラップのように、入っている袋を破いた段階で様々な関係が発生するという方法や
- あるいはクリック契約という風に書いてあるとおり、受信機が立ち上がった時に色々な情報が表示されて、それを読んだということを確認頂くという方法のように
- 若干情報提供のやり方が異なる形になるが、その際関係者がどのように役割分担をしていくかということ等々、多少詰めておくべき課題が残っている
- しかし、ワーキンググループで検討すべき課題があれば、適時検討をして結果はまた委員会に報告させて頂くということになっている
- それでは一枚めくって頂いて、チップとソフトウェアというところについて説明をさせて頂く
- 前回からかなり追加した部分が多くなっているのと、少し整理を変えたのがこのページで、先ほど申し上げたとおり、このページに書いてあることは現行の B-CAS 方式と技術的に異なり、従って、有料放送と異なる技術方式になるということを前提としている
- 前回頂いた指摘の中では、技術的透明性の重要性を指摘する声が続いたということを鑑みて、この二つの選択肢については「コンテンツ保護に係るルールを順守する者全てに対して、RMP に係る仕様の開示を制限しない」というコンセプトを明記した
- 今は地上波に係るコンテンツ保護ルールはダビング10ということになっているが、それを順守する者全てに対して、仕様開示を制限しないという基本的なコンセプトをまず明示した
- 開示された仕様を、開示を受けたチップメーカあるいは受信機メーカの方がどういう形にするかということは、チップの場合もあるし、ソフトウェアの形で組み込むこともあるだろうが、それは受け取ったそれぞれのメーカの判断で、手段としては当然違いがあるだろう
- しかし、それは手段の違いであって選択肢として最も大事なことはルールを順守する全ての者に対して仕様が開示されることではないかということで、こうしたまとめ方になっている
- 「コンテンツ保護ルールを守る」と約束し「コンテンツ保護ルールを守る受信機メーカに対してだけチップを供給する」と約束したチップ製造メーカに必要な仕様を開示するということを枠組みとするやり方と
- 同じく「コンテンツ保護ルールを守る」と約束する受信機メーカに対して、直接コンテンツ保護に係る仕様を開示していくと、やり方としては二つあるだろう
- いずれの場合にしても、チップの形であるにせよ、ソフトウェアの形であるにせよ、いずれにせよルールを順守するというふうに約束したものに対しては基本的に仕様を開示するという点では変わらない
- ただ、チップという形にせよソフトという形にせよ、それぞれ真ん中に「部品」という言葉が出てきているが、いずれにせよ受信機の部品として組み込まれるので、ここは今の B-CAS とは扱いが異なってくる
- どちらにしても、チップやソフトウェアという形で受信機に入れば、視聴者の方々としては受信機を購入してアンテナ接続やチャネル設定を行えばそのまま視聴できるという点は同様になる
- いずれにしても、すべての者に、約束を守るという全ての者に仕様が開示されるということなので、前回重要性の指摘を受けた技術的透明性は向上が期待できるのではないか
- 次に、前回は課題として示した点について
- まず、ライセンス管理会社、チップ製造者、受信機メーカ、そうした関係者の間で、どういった技術方式をとるか
- また、それぞれの役割と責任について、それらをどう考えていくか
- そういうことについて議論が行われた
- まず、関係者の役割と役割に応じた責任についてどう考えていくか
- 技術検討ワーキングでの検討状況ということをちょっと見ていただきたい
- まず一般論として、このエンフォースメントは「技術・契約」と何度も申し上げているとおり、ライセンス管理会社とチップメーカ、あるいはライセンス管理会社と受信機メーカ、さらにコンテンツを送信する放送事業者、その間の契約ということで実効性が確保される
- 従って、契約当事者に入ってくる放送事業者、受信機メーカ、チップメーカ、ライセンス管理会社、そうした契約当事者はそれぞれ責任を負っている
- 当然ながら、その契約をエンフォースする、契約の条項を守らせるということに関して、合理的な範囲で一定の契約責任が問われるべきだろう
- これは契約当事者である以上は当然のことと考えるが、契約違反といった時に問われる責任、例えば損害賠償や契約解除、そうしたことが生じる訳だが、そういった sanction の範囲については合理的なものである必要があるだろう
- ここで契約違反云々といっているが、例えばダビング10というルールを守った受信機を作ると申請してきたけれど、後々、実はまったくルールを守らない受信機を作っていたとか
- あるいは、ライセンス管理会社から鍵の配布を受けたチップメーカや受信機メーカが、自己の責任のもとで鍵を漏えいさせてしまった場合、そうした場合、一定の要件を満たせば責任が問われる場合があるだろう
- そういった場合を想定して、契約当事者の責任がある場合、契約のエンフォースメントとして、契約責任が問われるべきではないかと書いてある
- ただし、先ほどから契約当事者という言葉を繰り返しているが、当然このコンテンツ保護方式に関しては、ここに書いてあるライセンス管理会社以下、契約の当事者以外に、そのコンテンツ保護の仕組みを破ろうという第三者の存在を考えておかなければいけない
- そういった悪意の、契約当事者以外の第三者に対してどう対応するかということは当然考えておかなければいけない話で、これは後ほど米印のところで、下に記載したところで説明させて頂く
- それぞれの関係者の基本的な役割と責任については、今申し上げた契約ベースということで考えていくべきだろうということだが、技術方式についてはどのように考えていくかということについて
- これはコンテンツ保護ということで、基本は放送波をスクランブルする、放送波を鍵を用いて暗号化するということを基本にして考えているので、命となる鍵が漏洩した場合にどのような対処をするかということを基本として、どのような技術方式が良いか考えた
- ちょっと口頭になってしまうが、個々の基本的なことを申し上げれば、おそらく技術方式として、ここに書いてある鍵としては三種類の鍵を考えることを想定する
- まずは、放送波を暗号化するので、暗号化に関する鍵が一つ目 (注 B-CAS 方式でのスクランブル鍵 Ks)
- それから、ライセンサーが受信機メーカやチップメーカに配布して、つまり受信機に組み込まれる鍵が二つ目 (注 B-CAS 方式でのマスター鍵 Km / ソフト方式ではデバイス鍵 Kd)
- 最後に、放送波として送信されるその鍵を、つまりスクランブルしている時に使う鍵を送るコンテナ (注 ECM) ということが概念的には考えられるが、その鍵を運ぶコンテナの、その扉を閉じておく鍵、これが三種類目 (注 B-CAS 方式でのワーク鍵 Kw)
- 逆に言うと、三種類目の鍵は放送事業者からある程度変更が可能な鍵として考えておく必要があるだろう
- 今申し上げたスクランブルに用いる鍵、それから受信機に組み込まれる鍵、それからスクランブルの為の鍵を運ぶコンテナに鍵をかけるためのもの、そういった三種類の、言わば三層鍵という方式を基本として考えてはどうかという議論が行われた
- そうした技術方式を前提にするのだが、どんな技術方式を使うにせよ、一番下の○で書いてあるように、善意で受信機を購入して使っている購入者の方々に悪影響を及ぼすことがあることは決してあってはならない、そうした観点で対応を検討していくべきであるということには異論が見られなかった
- 従って、今申し上げた三種類の鍵を前提とした技術方式ということを前提に、それから技術方式をどのように運用していくにしても、決して、善意の利用者に対しては決して悪影響を及ぼさない
- つまり、利用者の責めに帰すべき事由が全くないにも関わらず、悪影響を受けることがないようにと、そういうことを基本として検討していくことが必要と、その点については全く異論がなかった
- 今申し上げたように、技術方式および技術方式の運用によって、善意の利用者に悪影響を及ぼしてはいけないという前提を考えると、先ほど、米印で後ほど申し上げるというふうに言ったところに、また少し説明が必要になってくる
- ここについても、技術ワーキングではかなりつっこんだ検討を頂いた
- すなわち、契約当事者以外で、鍵を何とかして手に入れ、自由に使おうとする方の存在はやはり考えておかなければいけない
- こういった第三者は契約の外にいるので、技術と契約でこうした方に義務を負わせようとしても、エンフォースしようとしても、これは極めて難しいということになる
- しかしながら、コンテンツ保護を議論している以上、そうした技術と契約ではカバーできない第三者がとる行動に対して、何らかの対応を考える必要があるのではないか
- これは契約外の第三者に対する対応なので、現行制度も含めて、何らかの制度的対応を検討する必要があるのではないかということ
- その点について、どんな議論があったかということを、簡単に二つ紹介させて頂く
- 契約当事者ではない、今のような第三者に対して、技術・契約によるエンフォースメントが全く効果がないかというと、そんなことはない
- 今言ったように、送信側からコントロールできる鍵ということを想定して技術方式を考える以上、漏れてしまった鍵を送信側から使えなくするということが技術的には可能で、その意味では一定の効果が期待できる
- ただし、今議論している対象である、地上デジタル放送のような基幹放送で、基本的にはあまねく視聴者、すべてが受信できることを想定すると、つまり 5000 万世帯、一億台、そういった台数の受信機を前提として考えるのであれば、今申し上げたような鍵をコントロールして対処するやり方が必ずしも適した方法か、向いている方法かというと、必ずしもそうしたことは無いだろう
- そういったことを考えると、技術的には可能であっても、地上デジタル放送のように、非常に対象としている世帯数が多く、しかも受信機をつかっている方々に絶対に悪影響を及ぼさないような運用は非常に難しいのではないか
- そうすると、適正な手続きを踏まないで、先ほど紹介したように鍵を不正に取得して、それを使って受信機を作り、それを販売するという契約当事者以外の者に対しては制度的な対応を、現行制度による対応も含めて検討しておくべきではないかという議論が行われた
- 善意の受信者・利用者に悪影響を及ぼさず、しかしながらコンテンツ保護の実効性を担保するために、これらの関係者がどういう役割や、役割に応じた責任を果たしていくのかということについて、今申し上げたような議論が行われた
- 従って、今説明したような問題の所在と、それぞれ基本的な線としてどういうふうに考えていくかということについて、大筋今のような議論が行われて、整理が可能というふうに考えてはいるが、引き続き、今申し上げた抽象的な所については、さらに具体化をしていく必要があるのではないか
- 概ね、議論の経過ということは以上のとおりで、いずれにせよ、先ほど先生が言ったとおり、今日の報告は 12 月 22 日に提示させて頂いた選択肢でそれぞれ課題として提示されたことについて、技術ワーキングでの議論を紹介して、それについて委員からの指摘を頂くという二回目の段階
- 中間整理・中間報告といことは二度目だが、以上のようなことにたいして意見を頂ければ幸いである
以上で事務局からの説明は終了しました。続いて、村井主査から次のような内容の補足説明が行われました。
- 今説明頂いたように、かなり議論の内容として具体的なイメージを持ちながら、どういう時に何が起こったらということを多角的にイメージして、技術的に議論をして、その成果、議論の結果をここに示したということになる
- まだまだ判り難いところはあると思うが、例えば小型化・事前実装というイメージとして、ここで具体的な例が少し出てきた
- 携帯電話や浴室TV、これは耳慣れない言葉かもしれないが、ユニットバスに初めから入っているもの、そうしたものが商品として出てきたとき、シュリンクラップでカードを刺すのが非常に難しいケースがある
- 例えば自動車の中で、車載機の中にデジタルテレビが入っているという時に、これは車がディーラーから納品されて、エンジンのスイッチを入れた時に動いているというようなことになるとすると、それは事前実装とか、小型化、そうしたことが必要になってくるケースが有り得る
- そうした時、どういう形にスタートアップをするか、この時に比較になったのは、携帯電話を携帯電話ショップで買った時、SIM のチップを店で入れてくれるという話で、これはディーラー実装という話になる
- そういう具体的なバリエーションを議論して、以上は前半の部分だが、後半の部分についても、最後に数が出てきたけれど、そういう広く普及する無料デジタル放送受信機で鍵が盗まれて何かがおこった時に、それを放送電波で止める際、盗まれた側の、善意の普通のユーザに被害がおよぶようなことがないように事前に手を打ってから、その手を、そのプロセスを踏まなければいけないということになる
- このことの、具体的な feasivility や時間とか、そういったことがどのくらい検討できるかという議論を詰めた結果として、この資料が出来上がっているということ
- そういう訳で、私からの説明と、事務局に説明頂いたことも含めて、技術ワーキングからの説明・報告は以上になる
以上で村井主査からの補足説明は終了しました。引き続き、村井主査からの指名で技術検討ワーキンググループに参加している委員からの補足説明が行われました。
最初に指名されたのは関委員で、その発言内容は次のようなものでした。
- 今回の 2 枚で、大きく分けると現在のカードの小型化と事前実装、それからチップ・ソフトウェアということに関してずっと検討をしてきた
- とにかく今の、この課題の大本はやはり地上デジタルの普及という観点で、やはり視聴者への選択肢の拡大や、利便性という観点が一番大きな課題である
- 同時に当然の事として、放送事業者としては権利者の皆さんの意見も大きな基盤として考えていかなければいけないということで、いろいろな方法をこれまで考えてきたのだろうと思う
- その第一歩というか、やはりこの前の中間答申にあるように、技術・契約によるエンフォースメントのあり方について改善策をとことん考えろということで検討してきて、ここまで絞られたのではないかと思う
- 全体として色々な意見は二枚目に力が入っているので、そちらの方が望ましいというニュアンスになっている気がするが、かといって、どれを選んでどうしていくかということは一定の時間がかかる
- 一枚目の、現行 B-CAS の改善ということに関しては今手をつけられる
- 全部が決まるまで待てないという状況で、利便性が上がるという利点があるのならば手をつけようということ
- 特に小型化に関して、技術的な規格と運用に関して検討している
- 事前実装に関しても、すでに事務局の方からも説明があったが、ノートPCや携帯電話、浴室TV、車載等、ニーズの可能性はこれまでもメーカさんとの話の中で、ニーズがあるということだった
- この場合は利便性という観点からみると、課題としてシュリンクラップの問題があるが、逆に、設置さえすればそのまま視聴することが可能という観点からも、これも引き続き検討していく必要があるだろうと理解している
- 先ほど言ったように、力が二番目に来ている気がするが、チップ化・ソフト化に関しても検討を WG でしていく
- その要点に関しては、もう事務局から説明されたとおり
- 当然のこととして、一枚目の B-CAS カードの改善ということに関しては、放送事業者として、送出側として、基本的に今の B-CAS カードのままなので、送出側の装置の改修は必要ないが、二枚目のようなことを選ぶとすると、かなりの装置の改修が必要になると思う
- しかしながら、それで二枚目のこれからの議論を拒否しようというつもりはない
- まだ具体的な技術論には至っていないが、この委員会での方向付けがそういうことであれば、具体的な技術論を含めて、どう実現するかということに関して、検討を進めていきたいと考えている
- ただし、二枚目の方を選択すると、技術方式において、鍵の漏洩ということがどうしても出てくる
- この為、一番下に書かれているように、いわゆる契約当事者以外が不正な受信機を作った時に、どう対処するかということで、まったく技術的にできない訳ではないが、実効的には不可能に近いと考えている
- これは今の B-CAS 方式でもそうなのだが、やはり 5000 万世帯という数になった時には、不可能に近い
- そういう観点からは、ここに書かれているように、何らかの制度的対応がどうしても必要になってくるのだろうと思う
- 技術で完璧ということはありえないので、制度的な補完や対応を検討する必要があるのだろうと思っている
- それがなければ、技術的エンフォースメントだけで完璧にするのは不可能だろうと思っている
以上で関委員からの補足説明は終了しました。次に指名されたのは藤沢委員で、その発言内容は次のようなものでした。
- ほとんど関さんに言われてしまったので、繰り返しになる
- 私も視聴者の理解を得ることがもっとも重要だと考えている
- そういった意味で、これまでもこの委員会では各委員の方が意見を出されてきた
- そうした意見を踏まえて、私も技術検討 WG に参加するにあたって、エンフォースメントとはそもそも何のために、どういうことで必要だったかに立ち戻り、あるべき姿をおさらいしながら、できるだけニュートラルなスタンスで検討に参加させて頂いた
- そういう意味では、この、今日の資料の 2 ページ目のような (2) に記載されているソフトウェア方式が、今、関さんの発言にあったように、この新方式の議論が大半を占めてきたということからしても、村井主査を始めとして、ニュートラルなスタンスということで言うと、同じような気持ちで取り組んできたのではないかと思う
- 前回、メーカの委員の方からも意見としてあったと思うが、放送事業者としては、多様な受信機を実現するために、本日の資料にあるような選択肢の拡大というのは、デジタル受信機普及を促進するという私たちの立場からも必要不可欠であると考えている
- それがユーザの皆様にとっても、選択肢の拡大とか、市場における競争原理につながるはずであると考えている
- 今後、こうした検討を踏まえて、民々で実際の運用の検討を行われる段階があろうかと思う
- この委員会で指摘された意見や要件を踏まえて、具体的な方式とか運用ルールというものが策定されるべきで、私たちもそうしていく必要があると考えている
以上で藤沢委員からの補足説明は終了しました。次に指名されたのは田胡委員で、その発言内容は次のようなものでした。
- 三番目なのでほとんど言い尽くされて、重なるところがあると思う
- やはり受信機メーカとしては、地上デジタルの関連機器の普及の観点から、選択肢が増えるのは大変良いことで、歓迎すべきものと考えている
- 後は時間軸の話であって、これは関委員の発言にあるように、カード方式、現行 B-CAS をベースにするので、小型化は既に ARIB で取り組まれていて、これでも一歩進んだものになる
- さらに事前実装方式ということは、時間軸的にもスピード感をもってやれるのではないか
- 一方、B-CAS 方式は物理的に小さくしていってもやはりカードの存在があるので、薄い・小さいといった商品企画を考えると、やはり B-CAS とは異なる新しい方式、チップ・ソフトウェアという方式になるのではないか
- 特にソフトウェアは物理的にゼロになるので、こうしたものを前向きに、引き続き検討する
- 最終的には、ここにも書いてあるように、善意の受信者、お客様に迷惑をかけないような仕組みを実現するのが最後の大きな課題になると思う
- 技術は完璧ではないというのが事実なので、できる範囲で技術を優先しながら、どうやってやるかという議論が必要ではないかと思う
- いずれにしても、やれるところから早めにスタートしながら、最終的には B-CAS とは異なる方式を、早々に方式を決めて始めたい
以上で田胡委員からの補足説明は終了しました。これで技術検討ワーキンググループ参加者からの説明は終了して、これ以降は意見交換という形になります。
意見交換も、最初は村井主査からの指名という形で始まりました。最初に指名されたのは河村委員で、その発言内容は次のようなものでした。
- 最初にちょっと質問したい
- この 2 ページ目の、現行 B-CAS 方式と異なる方式、有料放送と異なる方式と書いてある、チップ・ソフトウェア方式の全体に関するものなのだが
- これは地上デジタル放送とか、地デジ専用機に関してのものだという考え方で正しいだろうか?
この質問に対しては、関委員から次のような回答が行われました。
- 有料放送と異なるということは、なぜそういう風に書いているか
- 二枚目の方は、やっぱりどこかで、さっき言った技術の完璧性という観点から、何らかの形で漏れてしまうということが危険だと思っている
- そちらの方から漏れた時に、有料放送とまったく同じ方式を使っていると、有料放送まで完全にそれでやられてしまう
- そういう意味で、スタートは地上専用、地上の RMP 専用で考えている
ここまで関委員からの回答が行われた時点で、村井主査から「YESです」という翻訳が行われて、河村委員の発言に戻りました。
- 地デジ専用機の話をしても、まったくもって不十分だと思う
- 技術と契約によるエンフォースメントの話で言うのであれば、消費者にとって一番良いと思うのは、B-CAS と並ぶ新たな選択肢を三波共用の世界にも用意することが望ましい
- 今おっしゃったように有料放送は洩れると大変ということであれば、やはり無料放送に関しては B-CAS を使わない新たな選択肢、使わないことができる選択肢が用意されることが必要と思う
- 私自身、まだデジタル化していないが、BS を見ているしパラボラを持っている
- しかし、有料放送を見るような時間もつもりも全く無い
- 無料放送に関しての商品企画に関する自由度が向上して、色々選択肢が広がれば、私も喜んで、無料放送だけのチューナを仕込んだものが買いたいと思っている一人
- 私のような考えを持っている人が沢山いらっしゃると思う
- 元々、有料放送のチューナまで買わなければいけない選択肢が殆どだということが問題だと思う
- 考え方をそこまで広げていただきたいと強く思う
- そのうえで、より自由度の高い、透明性の高い方向で、選択肢を増やして頂きたい
- また、さらに枠外に書いてあることまで話を進めると、技術・契約ではない、基幹放送という面から見た制度的な、技術・契約というのを使わない考え方、方式というものを選択肢に残して頂きたい
- 考えて、検討を続けて頂きたいと是非思う
- これは、おそらく、制度的エンフォースメントというのは、アメリカがオバマ大統領に代わって、もしかしたらこの方式を取るかもしれないと言われているものだと思う
- しかし、アメリカの場合は、保護技術の内容が全然違う
- おそらく制度的になったとしても EPN だと思う
- その場合、商品の仕様、機器の仕様も、ダビング 10 のようなものよりもずっとシンプルな縛りになるのではないかと思う
- 制度でやるという場合は、そうしたものがとても都合が良いのではないか
- さらに、もっと夢のようなことを、消費者として言わせてもらえば、エンフォースメントが無い世界というのも、十分に可能だと私は思っている
- そもそも、日本以外の、ほとんど全ての国について、無料放送ではエンフォースメントが無い訳だから、それが一番消費者にとって選択肢が広く、一番消費者の権利が守られている
- この間も申し上げたが、2011 年に向かって、混迷が増すばかりの地デジの停波に向けて、国民の生活はどんどん苦しくなっている
- Blu-Ray ディスクとかが買える方々は多分良いが、本当にテレビだけ見たい方たちのことを考えたら、こんなことが全テレビに強制されているということが、本当に消費者の権利の侵害だと思っている
- エンフォースメントの無い世界が、エンフォースメントなくしてダビング10をまもる方法があるのか
- それとも、さっき言ったように、もっとシンプル化した保護技術を、今、どのような被害がおこっているかという調査をした上で考える可能性もある
- もっと自由な世界を設定することも、他の世界がそうであるようにできるのではないかと思う
以上で河村委員からの発言は終了しました。ここで、関委員が再度発言を求め、次の内容の補足説明を行いました。
- 先ほど回りくどい言い方をした
- もともとこの検討は地上デジタル放送におけるという結論から始まっているので、先ほどのような言い方をした
- 三波受信機で、その技術がどれになろうとも使えないということはないと考えている
- 地上だけにしか使えないということはなく、そういう意味では RMP に RMP に使える方式という観点
- まずは地上でということで考えて、RMP としては使えるので、共通に使えると考えている
- また基本的というと、技術屋のくせにはっきりしないと言われて怒られるかもしれないが、そういうものと考えている
以上の補足説明を受けて、河村委員から「基本的に使えるけれど、言葉の中に何か混乱性があると聞こえる」との指摘が行われましたが、関委員からは「それはありません」との回答が行われました。
また、村井主査から次の補足説明も行われました。
- 地上デジタル専用、専用の機械ができたときに、こういう方式が使えて、じゃあその方式が有料放送に使えるか、使えないかということではない
- 今の段階で B-CAS が現存してあって、それからそれを使っている有料放送がある
- そのことが影響を受ける、あるいはそれが使えなくなる、そういうことが無いようにという配慮の中で技術検討が行われてきたと私は理解している
以上で河村委員の発言と、それに伴うやりとりは終了しました。次に指名されたのは長田委員で、こちらも最初は質問から始まり、質問内容は次のようなものでした。
- 始めに質問したい
- 今の皆さんの説明の中で、技術契約によるエンフォースメントの選択肢が増えるということが良いという御趣旨だったと思う
- 元々は、技術契約によるエンフォースメントそれから制度等によるエンフォースメントの色々な選択肢を並べて、どういう物が 2011 年に向けて良いのかということを検討するのがミッションではなかったか
- 技術契約によるエンフォースメントの選択肢だけの検討が前回と今回ということで、それ以外のことについての検討は技術ワーキングではやって頂けないのだろうか
この質問に対しては、村井主査から次のような回答が行われました。
- 前々回報告した時にあるように、まず、技術での可能性ということを検討して、そういうことの中で、制度としての検討が必要ではないかということに今なっている
- 前にちょっと御説明したと思うが、まずは、技術的な検討の中でどういうふうに対応できるかということを検討するという順番で検討させて頂きたいといということで進められていると私は理解している
以上の回答を受けて、長田委員は次の質問を行いました。
- 技術においても、2 枚目のワーキングでの検討状況で、色々なことがあり、制度による対処も考えなければいけないとある
- 地上波のデジタル放送に関して、何かこうした制度的な対応、つまり悪いことをした人をきちんと捕捉できる制度があるならば、技術・契約によるエンフォースメントは不要なように私には読める
- 二枚目の紙の検討状況に、鍵が盗まれる、漏洩される可能性があると書いてあるが、B-CAS の場合には、その可能性が無いということだろうか
- 一枚目にそのことが書いていないので、それは、そういうふうに分けて書いてあるのか、それともこれは並べて読んでいくべきもので、皆に共通するものとして読むのか、私には判らない
- ニ枚目の方にだけ非常に、鍵の漏洩の心配があるということなのかということも聞かせて頂きたい
この質問に対しては、藤沢委員が次の内容の回答を行いました。
- 一枚目についても、二枚目についても、純技術的に言えば、どちらでも鍵の漏洩はあり得るのだと思う
- ただし、どれぐらいの難易度で漏れるかということを考えると、(1) よりも、(2) の方が漏れやすい方式になってしまう
- なので、二枚目の方式ではさらに、米印で書いてあるような要求が出てくるということになる
以上の回答を受けて、長田委員から次のような内容の発言が行われました。
- 追加して申し上げるが、いずれにしても 2011 年に向けて、残っている 50% の世帯の方々に地デジ対応をしてもらう必要がある
- 河村委員の発言にあるように、経済的理由とか、知らないとか判らないという理由と共に、そういう気持ちにならないという人も多い
- そうした人たちに、地デジ対応をしても良いと思わせるメニューが出てこない限り、2011 年は迎えられないのではないか
- 是非、ここの、本当に一人一人のユーザの気持ちに立った検討をしていただきたいと思う
以上で長田委員からの発言と、それに伴うやりとりは終了しました。次に指名されたのは高橋委員で、その発言内容は次のようなものでした。
- 沢山の議論を重ねて頂いたということで、前回よりは、選択肢という点で前進していると感じる
- ワーキングで早期に、迅速な結論ということをお願いしてきた
- ダビング 10 のことを思い出しても、3 月ぐらいに新しい流れができて、4 月初めには結論を得て 6 月の報告書に盛り込まないと、2011 年の 7 月にはどう考えても間に合わないだろう
- 選択肢の拡大というのをどういうふうに皆が受け取るかというところが私は非常に重要だというふうに思っている
- 放送事業者さんの方からは、例えば関さんから「二枚目が好ましい」「二枚目を拒否する理由はない」というちょっと奥歯に物が挟まったような表現が伺えた
- 藤沢委員からは「ニュートラルなスタンスで」という形で、これは結構消費者のことを考えて頂いているのかなと思った
- 一方、メーカの田胡委員のお話では「選択肢の拡大は、増えるのは歓迎すべき」というようなコメントだったというふうに思う
- 増やす側の人が「歓迎すべき」というのはどういうことなのかなと、私はちょっと考えこんでしまった
- また、一枚目の現行方式での小型化とか事前実装とかという前進に対する評価の方が強く受け止められた
- しかし、今まで河村委員・長田委員が発言したように、消費者が期待しているのは、新たな選択肢というのは、ストレスなく、利便性の問題もあるが、やはり低価格な受信機が普及するというところに非常に強くあるのだというふうに思う
- ところが、以前の会議で、終わった後にメーカの方達がわざわざ捕まえて「現在はほとんど三波共用で、新たな選択肢の検討そのものが意味がないのだ」というような御意見があった
- もしも、三波共用が当然であるというようなことがもしも、メーカの方々の考え方であれば、3 月 4 月に山が動くということはないのか
- もうこうなると、アナログ停波は非常に難しいのかなと、私は現実的に今感じている
- 三波共用があることは結構だが、これしかないということは消費者にとって非常にアンハッピーな状況
- それがいくら小型化されようが、事前実装されようが、押し付け販売、抱き合わせ販売に近いようなものを買わなければいけないことになってしまう
- ライフラインとしての地デジで、無料の基幹放送、それを聴くために厭だけど買い替えなければいけないその国民の気持ちというものに、この会議はきちんと、応えなければいけない
- なので、選択肢、現行方式と、それから (2) の方の B-CAS とはことなる方式ということを示して頂いたことには非常に意味があると思う
- この選択肢の、「コンテンツ保護のルールを順守するものの全てに対して、RMP にかかる仕様の開示を制限しない」ということを、きちんとこれを早くやって頂きたい
- 新しい、その優れた商品を、製造・販売する事業者が市場に参入できるような環境作りというのをいち早く進めて頂く必要があると思っている
- 選択肢というのは、事業者も選ぶ訳だが、消費者も選ぶということ
- もしも事業者の方々、ここには JEITA の会員の方々が、名だたるメーカの方々が出席されているが、皆で、まさか「B-CAS がいいから、もう他の方式はやらない」ということがあるのだとしたら、大変に問題だと思う
- もうここまで進んでいるのであれば、そうしたメーカの中から、消費者の方を向いて、良い意味での抜け駆けの競争をして、B-CAS以外の選択肢を作っていただくということを、私は期待をしている
- これをやらない限りは、厳しい言い方になるかもしれないが、以前も言ったように、独占禁止法に抵触するというふうに思う
- 私は独占禁止懇話会のメンバーで、どう考えても、現在の B-CAS をそのまま進めて、地デジへの移行の時に、このままいくということはありえないと思っている
- 折角検討して頂いて良い結論を得た訳だから、(2) のものがきちんと進んで、消費者が喜んで選べるような形にして頂きたい
- これが 2011 年 7 月に円滑に移行できる最低の条件だと思う
以上で高橋委員の発言は終了しました。この発言に対して、田胡委員が発言を求めて、次のような内容の発言を行いました。
- 私の発言で誤解があるようで、表現が下手で申し訳ない
- 私は三波共用の話は一つもしていない
- ここに出ている B-CAS方式の B-CAS という意味は、いわゆる地上専用機の話だと理解している
以上の田胡委員のコメントに対して、高橋委員からは次の内容の補足発言が行われました。
- 私は田胡委員の御意見に対して三波共用と言ったのではない
- メーカの中でこういう検討をしていることに対して、もうそもそも三波共用機しかないような状況だからやっても無駄だとという発言がある
- 商売上いろいろ聞こえてくるので、そういうものが沢山聞こえてくるということを言った
以上の補足発言を受けて、田胡委員からさらに次の内容の発言が行われました。
- そうでしたか
- 誤解がないようにということで、B-CAS を含めて、地上デジタル専用機の話
- 従って、物理的な B-CAS カードから、ソフトウェアのようなまったく物がない、いわゆる実装上非常に楽なものへ
- 全てやれば、大変地上の普及に対して前向きなことができるのではないかということを、私は言ったつもり
- 三波共用機云々ということは、くどいようだが、一言も言った覚えはないので、よろしくお願いする
また、村井主査からも次の内容の発言が行われました。
- 私の方からも少し付け加える
- 今言われたストーリでこのペーパーが出来ている
- 前提は地上波の受信ということの中でこれだけの選択肢
- それから前回高橋委員も含めて指摘頂いて、今もいって頂いた、仕様の開示ということで議論が進められたと私も理解している
以上で高橋委員の発言と、それに伴うやり取りは終了しました。次に指名されたのは椎名委員で、その発言内容は次のようなものでした。
- まず、この検討委員会での権利者の基本的なスタンスということを改めて確認的にちょっと申し上げておきたい
- こういう問題を考えていく場合に、やはり消費者の利便性がいかに重要であるかということを、我々も理解している
- だからこそ、我々もこの場所に座って、ダビング10等についても、真剣な議論を行ってきた
- こういう議論の中で、今日も出ているが、日本だけが無料地上放送に特殊なコンテンツ保護方式を採用していると、世界標準ではないということがよく言われている
- しかし一方で、諸外国と比較した場合に、視聴者全体の 68% に上る人たちが無料の地上放送を直接視聴しているというのは極めて稀な状態である
- これは取引市場ワーキンググループで出てきた資料を見ながら話しているが、ほとんどの先進国においては、有料のケーブルテレビによる視聴が 5 割から 8 割以上を占めている
- その部分を、仕合せなことに、我が国では広告モデルによる無料放送が支えている
- 外国では有料で見られているようなクオリティの番組が、日本では地上波で流れている
- 地上放送、無料の地上放送でありながら諸外国の有料放送に匹敵するコンテンツ保護が施されていることも不思議はないのではないか
- ここで大きな誤解が生まれてしまうのだが、広告モデルによって、無料で視聴できるということと、その番組自体が価値がない、価値が安いものであるというのは別の話になる
- コンテンツというのはタダでは制作できないし、そこにはやっぱり対価とインセンティブが必ず必要になってくる
- 当然ながらコンテンツ保護も必要になってくるという話なのではないかと思う
- この会議の名前もデジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会ということで、コンテンツの流通促進ということが言われている
- 放送番組のオンデマンド配信も始まろうとしている訳だが、一体何人がお金を払ってまで見ようと思うだろうか
- 元々無料で放送されているものを、そしてまた下手をすれば、違法に複製されてアップロードされたコンテンツをダウンロードできるかもしれないという状況の中で
- ただもう一度見るために 300 円を支払う人がどれだけ出てくるのかということを、やはり注意深く見ていく必要があるのではないかと思う
- ダビング10以降ということになるが、コンテンツ流通を巡る昨今の議論を見ていると、怒るということを通り越して、呆れ果てる
- これはどこかで聞いたような言葉だが、そういう実感を持っている
- ネット権・ネット法の議論については、放送番組の流通ということに焦点を絞ってきているように思える
- 今言った、地上放送の無料モデルの特殊性の問題や、非正規複製物の横行の問題とか、そういう二次利用のビジネスを阻害し、そこで収益を上げることを阻害する要因には一切目をつぶっている
- 著作権・許諾権が利用を阻害しているという議論を繰り返している
- 当然ながら、こういう提案の行きつく先には、コンテツの創造サイクルの完全破壊が待っている
- こんな提案は、視聴者からも到底支持されることはないと考えている
- 補償金問題もしかり
- 合法・非合法を問わず、パソコンというものをハブにして自由自在に複製されたコンテンツが家庭内にもあり、またネットを通じて、全世界に蔓延している状況がある
- そういうある種の飽和状態の中で、さらなるコンテンツ流通促進を言うことの矛盾について、もっと検証されるべきであろうと思う
- またそうした飽和している状態と、一体どうやって付き合っていくのかという根本的な議論について、もはや避けて通れないところまで来ているのではないかと考える
- そういう意味では、極めて中途半端な妥協の産物であった、補償金制度に関する文化庁提案が基本的には不調に終わったことは、むしろ歓迎するべきことかもしれない
- しかし、ダビング10の実施にあたって述べられた対価の還元について、7 月 4 日のダビング10の実施の後、半年間が経過した今も、まったく約束が果たされていない状況にある
- ダビング10の早期実現の為の環境整備として鳴り物入りで報じられた Blu-Ray Disc の指定について、アナログ放送を録画する Blu-Ray Disc 以外は認めないというおかしな主張が、あるメーカさんによってされた
- それが半年も議論が進まなかった理由であるということも明らかになっている
- 仮にそういう主張がメーカの主張としてあるにせよ、中立的であるべき経済産業省がそれを鵜呑みにした、鵜呑みにして何やら怪しげな文章を文化庁からとっていた
- その文章を暴いてやるということで、今度はメーカがそれを WEB に公開して、ということをしている
- 一体いつまで、そういう不毛な蹴り合いのようなことを続けていくのだろう
- 補償金の問題を根本的に解決するべきではないだろうか
- 補償金制度というのは、デジタル方式での複製が権利者に与える影響が無視できないという点と、利用者の利便性を守るという、その二つの点を調整するために設けられた制度で、そこに議論の余地はないと思う
- それに対して、アナログ放送からの複製に限定するべきであるという主張を繰り広げることのおかしさが、この際もっと世間に、世間に良く知れ渡る必要があると思う
- 経済産業省、今日も出席されているが、経済産業省というのはメーカだけではなくメディアやコンテンツを所管する役所でもある
- そうした立場にあるからこそ、誰よりも、この問題を解決すべき責任と、また、その当事者性をお持ちであるというふうに思う
- しかし、一向にその気配は無くて、ただメーカの言いなりになって、権利者に幅寄せをしているばかり
- その担当課長がこういう発言をしている
- コンテンツ産業が儲かりたいから政府も支援しろと言うだけでは、その辺のあんちゃんが、僕が大事だから支援してよと言うのと同じである
- ソフトパワーを支えるクリエイティブの現場はどこも皆、下請けである
- 資金調達も販促活動も自分でやらずに、発注だけを待ち、当たるかどうかのリスクは取る
- これは普通のビジネスセンスで言えば、研究開発はやるけれど、事業化に向けて販促活動はしません、資金調達もしません、でも僕に開発費をください、なんで君たちはこんなに冷たいのですかと言っているのと同じだ
- ビジネスリスクを取って、努力をするということをコンテンツ産業はしていない制作側は投資を集める努力をしてきたか、資金調達はしない、販促活動はしない当たる当たらないのリスクは取るけれど、そこまで全部おんぶにだっこの状態
- なのに、一方で権利を取られるとか、ガチャガチャ文句を言ってどっちもどっちである
- こういうことをメディアコンテンツの課長が言っている
- また、あろうことか、コンテンツ産業を興行師になぞらえて、黒い奴も灰色の奴もいるということを言っている
- これは経産省のメディコンの課長が、この 2 月 2 日の慶応大学で開かれたシンポジウムで実際に発言した内容で、ネットにも載っている
- コンテンツに対してこういう見識を持った経産省によって、Blu-Ray Disc の制度指定に関する文化庁の政令案が、今後どのように蹂躙されていくのだろうか
- これが広く、世の中に明らかになれば良いというふうに思っている
- そのうえで、この国のコンテンツに関わるルール作りや、流通や、産業振興ということについて、きちんと当事者能力を持っている関係者だけで話し合いができる場所がきちんと形成されていくことを心から期待したいと思う
- その点で、この検討委員会には今後も大きな期待をしているということを、言っておきたい
- 補償金制度によらない対価の還元ということについても、これまで事務局から案にもならない、愚にもつかない案をいくつか見せて頂いた訳だが、まあ、話にならない
- 事務局には今後も期待をしたいが、あまりあてにならないということから、もっと中身のある提案を、是非この検討委員会の委員の方々にも、して頂きたいというふうに思う
- ちょっと脱線が長くなって申し訳ない
- 最後に技術検討ワーキンググループでの検討について申し上げておきたい
- 新聞報道等でも B-CAS 社による一元化が競争を制限しているとかという問題提起もされている
- 先ほど来、視聴者の方々からも色々な指摘がされている以上、早期に、真摯に改善案をまとめるべきだなという点では、我々権利者も同じ
- ここで纏められている、チップにせよ、ソフトウェアにせよですね、あくまでもこれはスクランブルということを前提にした選択肢ということなのだと思う
- そこで制度も含めて検討をしているということなのだろうが、これも繰り返しになるが、スクランブルを外すということについて権利者が同意をする訳がないということが、再三言われている
- そういう発言をされるメーカさんがいるようだが、我々はスクランブルが無い選択肢も見てみたい
- スクランブルも取っ払った、先ほど来、エンフォースメントも無い世界という表現もあったが、そのスクランブルの無い世界で、制度だけでどこまでいけるのかというふうな選択肢も含めて、見せて頂きたいと思う
- 権利者がスクランブルを外すことは同意しないという思い込みだけは是非止めて頂きたいと思う
以上で椎名委員からの発言は終了しました。次に指名されたのは堀委員で、その発言内容は次のようなものでした。
- 経産省は私共の団体の所轄の役所なので、黒だか灰色だかの代表が私になるのだろう
- 先ほど、日本と諸外国ではビジネスモデルが違うという話をもう一度確認させて頂きたい
- オバマ政権になると、地デジ、一旦延期をして EPN になるのだという話がある
- これはエンフォースメントが無いわけではなくて、もし仮に、三大ネットワークの番組を売ったということになると、多分売った人間には何十億という損害賠償が請求される、そういうエンフォースメントがある
- それが今までのアメリカのエンターティメントの世界を支えてきた
- それを考えた時に、日本の地上波の無料放送というのは、ほとんどが日本語で見ている、国境を接しないで、電波があちこちの国から飛んでこない国で、ひとつの言語でほとんど作ればよかった、55 年間、民放ができてから
- アメリカの場合には、この 30 年 40 年、ほとんど同じ編制でやっていて、だから地上波の放送は面白くない
- もう朝はクイズ番組、昼はメロドラマ、プライムタイムはドラマとかスポーツ、それで飽き足らない人がケーブルを見ていて、有料のケーブル放送が伸びてきたという現実がある
- NBC も CBS も CNN もそうだが、ニュースのチャネルは別にケーブルでやっている
- だから、日本の地上波の無料放送とマーケットを同じにしてやるというのは、ちょっと、議論としてこの場で出すべきではないのではないか
- それに替わる権利保護のシステム、まあ、ここにいる皆は権利者・あるいはクリエイターに対して、対価の還元をしましょう、リスペクトをしましょうということの合意があって、ダビング10ということを暫定的に聞き置いた形になっている
- もし、EPN という、まさか今頃 EPN という言葉が出てくるとは夢にも思わなかったが、そういう方式をお望みならば、どうかリスペクトの対案も同時に出してほしい
- 2011 年に、経済的に地デジが見れない世帯が出る、それも良く判る
- ただ現状では、見せるものを作れない状態
- 何度もここに制作会社の皆さんいらしたが、とても新しいものを作っていく余裕がない
- 流通させるにも、これから先、流通に足るソフトが本当にできるのか、そこまでも、こういう技術的なこと以外でも、もうちょっと真剣に皆さんに考えて頂きたい
- こと B-CAS だけに限ったことではなくて、この先のコンテンツのありようまで考えて欲しい
- でないと、とても夢のある状況ではなくなってしまう
- どうかそれは、消費者の皆さんも一緒に、我々も考えているけれどどうにも対案が出ない、放送局の皆さんともどうやったら良いか考えているが、まったくよい案が出てこない
- メーカさんにお願いするにしても、今、補償金 Blu-Ray が止まっているのでここはもうなしで考えてこれまで半年やってた
- 対価の還元とリスペクトという中にこの B-CAS も入っているのだということをもう一度再認識して頂きたいと思う
以上で堀委員の発言は終了しました。次に指名されたのは浅野委員で、その発言内容は次のようなものでした。
- 前回から見れば、今回、技術・契約によるエンフォースメントのあり方ということについての課題整理がされ、この四つのオプションについてより検討が深まった
- これに対して、技術検討ワーキンググループの検討に、努力に感謝している
- 私は IT 産業にいるので、スマートという観点からみれば、確かにソフトウェア方式が一番スマートかもしれないなと思う
- そうすると、利便性が向上するということに対しても格段に上がるかもしれない
- ただし、逆に今度は、不正なコピーに対して、どうやって防いでいくかということに対するリスクも高まっていく
- だからそこに対して、どのように対応していくかということは非常に重要だと思う
- その中で、まず、悪いことをする奴は必ずいる
- IT 産業においては、セキュリティホールに対して、それを潰していく中でもそういうことをする人は必ず出てきている
- だからそれに対して、ワーキンググループの方々でも、さらに検討を進めて頂きたい
- ここにもそのことが書いてあって、そういう人に対しての対応としては制度的エンフォースメントで対応するというふうに書いてあって、それはそれで判る
- しかし、どういうオプションを取ろうとも、全部スクランブルをかけたやり方の方法であるということにおいてはみな同じ
- もともと、技術検討ワーキンググループというのが何で作られて、何を検討するか
- 私の理解では、こうした技術的な方式を検討するということもひとつだけど、もう一つ、制度的なエンフォースメントというものを検討するミッションがあったはず
- いま、ずっと、技術的な、契約によるエンフォースメントというのは多分、非常に複雑な問題だから、これに集中して議論しているかもしれない
- もう一つ、制度的なエンフォースメントというものも、是非検討して頂きたい
- その制度的エンフォースメントというのは、このような技術的なエンフォースメントをある程度補完するような、制度的なエンフォースメントという形だけでなく
- スクランブルをかけない形での、制度的エンフォースメントということも、その検討課題の中には当然あるはずだ
- それをやれば、先ほど堀委員も言ったけれど、ものすごいその罰金と、ただその罰金相手に対して、違法者、不正コピーをする人達に対して、それを見つけ出してきてやるためのコストもメチャクチャかかるはず
- ハリウッドがそれにどれだけのお金をつかっているか
- そういう別の課題が沢山でてくるはず
- ここの委員会というのは、ワーキンググループの両者の検討を深めた事に対して、課題とかをそういうものが出てきた時に、その二つをどうしようかと議論するために、私たちは待っているのだと理解している
- そういう観点からも、その、技術・契約によるエンフォースメントに対してさらに検討を深めてもらうのと同時に
- 制度的なエンフォースメントに対してもどうすべきかということも是非検討して頂き、是非この場で報告して頂きたいと思う
以上で浅野委員の発言は終了しました。ここで村井主査からの指名は一旦終了したのですが、その後発言を希望する人が出なかったため、村井主査は技術ワーキンググループに参加している委員の方を指名して、コメントを求めていきました。
この段階で最初に指名されたのは、藤沢委員で、その発言内容は次のようなものでした。
- 今の浅野委員の発言が非常に示唆に富んでいると私も思った
- 技術 WG の検討結果が、とても、皆さんに御理解いただいたなという感じがする
- この二ページ目の下に書いてある、但し書きのところに、技術的なエンフォースメントは基幹放送である地デジには不向きであると書いてある
- 先ほど少し言ったことだが、これは要するに、この (2) の方式による場合、つまり、ルールを順守する人に仕様を開示するというやり方の場合、とりわけ、こういう心配がある
- それを補完するための、制度的措置が必要であるというようなことを言っている
- これはあくまでもスクランブルをかけたものとしてのやりかたで、その下での制度的な措置ということなので、先ほど発言されたように、さらにスクランブルをかけることなくできるやり方
- これは当初この、当委員会の議論のなかで、この後議論をするべきだという宿題を頂いているように私は認識している
- なので、もちろん、それはやらなければいけない
- しかしその時に、ちょっとこれは難しい話かもしれないが、エンフォースメントという概念と悪い人が出てきたときに叩くというのは、少なくとも技術の場合は別のものとして考えられる
- エンフォースメントは技術・契約でやっているが、それ以外の悪いことをした人を叩くというのは、なにか他の制度的な役割が必要だろうというという、そういう整理ができる
- それを、制度的なエンフォースメント一つで、スクランブルなしでやるといったときに、今までエンフォースメントとして整理していたものと、悪いことをした人を叩くということ
- この両方をどういう形で整理して、実現していくのかということが、けっこう、これからの議論の味噌というか、重要なことなのではないかというふうに思っている
- そういう観点で、技術検討 WG の中でも私も検討に参画していきたいなと思っている
以上で藤沢委員からの発言は終了しました。次に指名されたのは関委員でしたが、その内容は「まったく藤沢さんと同じ」とのことで、特段の発言はありませんでした。
以上の意見交換を受けて、村井主査からまとめと、今後の検討方針の説明が行われ、その内容は、次のようなものでした。
- 色々な方に言って頂いたように、本日の報告そのものはあくまでも技術検討ワーキンググループで検討している中間的報告
- いま指摘されたところ、それから議論して頂いたこと踏まえて、技術検討ワーキンググループに持ち帰って、引き続き検討を深めるということが使命
- その中には、今日あらためて御指摘頂いた色々な宿題が後ろにある
- 一方その、時間ということも、高橋委員から御指摘頂いた
- 取りまとめに向けた検討ということで進めるということが必要だと思う
- 委員の方、あるいはワーキンググループの方にも色々な努力を頂いて、時間も割いて頂いているという中で、この検討を続けて頂くということで進めさせて頂きたい
- 是非、よろしくお願いする
- その結果については、また委員会の方に御報告させて頂きたい
以上で村井主査からのまとめは終了しました。ここで、多少時間が余っていたので「これだけは言っておきたいという方は」との誘いが行われ、これに対して元橋オブザーバが発言を求めました。
元橋オブザーバの発言の中身は、次のような内容のものでした。
- 皆さんの意見を伺っていて、それぞれの立場からもっともな意見だなと感じた
- 特に高橋委員から指摘のことは、全く、ほぼ全く同感
- (1) だけでなく、(2) もちゃんと、もっと真摯に検討しなければいけない
- あるいは (2) 以上の制度のこともちゃんとこれからやっていかなければいけない
- これはそのとおりだと思う
- その中で一点だけ
- メーカの方が (1) に拘っているのじゃないかという御指摘があった
- メーカの委員の方は奥ゆかしいのであえてコメントされなかったのかもしれない
- 私は一緒にワーキングで検討していて、個々の意見では相当激しく対立をしたり、見解が異なったりする部分はある
- しかし、多分心あるメーカの方々は、けして (1) に拘っているわけではなくて、(2) の選択肢も真摯に検討されていると思う
- ましてこういう不況の中で、できるだけ魅力的な商品を作って、消費者の方に支持されていこうと考えているはず
- そういう意味で言うと、良い意味で抜け駆けをしてというのは多分それぞれのメーカの方が皆考えているのじゃないか
- 私は高橋委員の言われたことは、心配というか、意見としては全く同感だけれど、私はそこは杞憂であろうと信じている
- 杞憂であってほしいと思っている
以上で、元橋オブザーバの発言は終了しました。これで意見交換も完全に終了し、最後に村井主査からの閉会の挨拶と、事務局の小笠原課長からの、次回の技術検討 WG は 3/5 で調整中という連絡と、WG の進捗次第ではあるが、3 月末か 4 月の頭にエンフォースメントに関する委員会を開催したいという連絡と、時間調整次第ではあるが、三月中に一度、取引市場に関しての委員会開催を持ちたいとの連絡があり、今回の会合は終了しました。
◆◇◆
えー感想に入る前に一点、会議終了後に事務局の方に「公式議事録の公開が第30回から行われてないけれど、いつごろになれば出てくるのだろうか」と聞いてみたところ、「今一度にやっていて、三月中には全部出そろう」との回答が貰えました。以上報告です。
◆◇◆
とりあえず感想として、まず河村委員・長田委員の発言について、よーやく普通の消費者の意見の代弁を始めたかと、この傍聴を始めて以来初めて「よくぞいった」と褒めたい気分になりました。
高橋委員の発言からは、そうした傾向はうかがえませんでしたが、あの方の今までの発言を見る限りでは、どうも「ネット配信推進の為に地上デジタルの利便性はある程度低い方が望ましい」と考えてるフシが、私の邪推かもしれませんが感じられるので、それはそれで立場と価値観の違いだから仕方がないかと考えています。
河村委員の意見で一点だけ気になったのは、三波共用機でも、新 RMP 対応のものをリリースするべきという意見で、そんなものを買いたがる人が本当にいるのかなぁという感想を持ちました。
実際、110CS は基本的にすべて有料放送なので、三波共用機の CS 受信機能は無駄なコストアップにしかなりません。また、新 RMP では B-CAS メッセージに対応できないので、NHK の BS 契約促進メッセージをどうするかという問題が出てくるはずです。
まあ、NHK BS が見られない、無料 BS / 地上デジタルのみ対応のデジタル受信機というものが発売されるなら、喜ぶ人の方も多いような気もしますが、それはさすがに NHK が全力をあげて妨害してきそうな気がします。実際フジテレビ所属の関委員は BS でも採用可能と発言していますが、NHK 所属の藤沢委員はだんまりを貫いてましたし。
◆◇◆
で、椎名委員の演説についてです。
日本では、他国の有料放送に匹敵する番組が無料放送で楽しめる以上、他国での有料放送並みのコンテンツ保護があっても当然という意見に関して、「24」「Bones」「Prison Break」「Terminator: The Sarah Coner Chronicle」は FOX が無料広告放送として HD 放送しているコンテンツで、アメリカ国内であれば、放送直後からネット上で無料視聴も可能という例をあげるだけで反証として十分だろうと考えています。
FOX の HD 放送は、HD とはいっても、1080i じゃなくて 720p じゃないかという斜め上の反応が飛び出すかもしれませんが、SMPTE Jurnal April 2008 号で、1080i よりも 720p 放送の方が画質上有利という実験結果が公表され「放送やプロダクション内では、1080i はもはや使われなくなっていくだろう」という結論が示されていることを指摘しておきます。実際 1080i 放送ではなく 720p 放送にすることでコピー制御が外せるならば、そちらの方が嬉しいと考えます。
つーか、そういう妄言 (他国の有料放送に匹敵する番組が無料放送で楽しめる云々) は JVA 調査で、国内ドラマのセールスが海外ドラマを抜いてから言いやがれ、2007 年段階で海外ドラマにダブルスコアで負けてるくせに何を抜かすかと、正直そういう感想しか出てきません。
次に、補償金の問題に関して、以前から書いているように「コピー制御が完全になくなるのであれば、録画機器に対する 500〜1000 円程度の補償金を受け入れることになっても構わない」というのが私のスタンスなのですが、これは別の言い方をすると「コピー制御/DRMがある環境での補償金はありえない」という、今回の Blu-Ray 騒動での JEITA 側の主張と、ほぼイコールになります。
椎名さんの発言と同じロジックを使うとすると「補償金問題というのは権利者の損害を補償するものであるという制度ではなかったか、コピー制御がある環境で、権利者の損害がないにも関わらず補償金を求めるということのおかしさが、もっと世間に良くに知れ渡るべきだと思う」という形になるでしょうか。
最後に村上 敬亮さんの発言 (ネット上での反応は「コンテンツへの愛が感じられない経産省 - 岸博幸の「メディア業界」改造計画」[URI]) に関して。
たぶんこれを聞いて、その経産省とはなんとひどいところだろうとという同情がわくことを期待しているのだろうとは思うのですが、聞いていながら、じつに妥当なことを言ってるなぁとか思ってしまったのは……私だけでしょうか。
テレコムスタッフの寺島さんや、クリエーターズプラスの柏井さんのように、自分たちの作品をネットに出して収益を得るために闘っている人たちが「これが必要だ」というのであれば応援する気にもなりますが、「ネット配信への試みが道半ばである中で、犯人探しをするのは不毛」といいつつ「ネットの収益性が悪いのが原因」と、まさに犯人探しそのものの主張をされる方を見ていると、冷めた視線を向ける以外の反応はできそうにありません。
◆◇◆
で、堀委員の発言についてです。
「アメリカには違法配布をした人間に何十億という損害賠償請求を行うエンフォースメントがある」という主張に関して、日本には違法配布をした人間に刑事罰を科すエンフォースメントがあるというのを知らないのかなと、この人は一体何を言ってるのだろうと疑問を感じました。
まあ毎回言ってることが変わる方なので、そういう芸風なのだと言ってしまえばそれまでなのかもしれませんが、将来的に議事録の形で公開されると知っているでしょうに、後から参照されて恥ずかしくない発言をしようとか、そういった意識というのは……出てこないものなのでしょうか。
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