日々の戯言
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5月9日(土) 視聴リスト (2008年 4月〜5月) [この記事]
定額給付金は全額 wikimedia foundation に送ってしまうという、国内景気に一切寄与しない使い道を選んだひとでなしです。しばらくやっていなかった視聴リストの報告を再開してみます。
- クッキンアイドル アイ!マイ!まいん! (NHK教育 月〜金 夕方)
企画を考えた人間の正気を疑ってしまう。いいぞもっとやれ。コンテント記述子は 3 つまで入れられるのだから「趣味・教養|幼児・小学生」「情報・ワイドショー|グルメ・料理」だけでなく「アニメ・特撮|その他」とかも加えてくれれば別に予約を入れなくて済んで助かるのだけどなぁ。(A)
- 戦場のヴァルキュリア (テレ玉 月 深夜)
ガンダム/マクロスではファンタジーとして許容できるのに、なぜこれだと許せないのだろう。絵は十分な品質なんだけどなぁ。(B)
- 宇宙をかける少女 (テレ東 月 深夜)
脚本と構成が個人的な好みから外れてるのであまり楽しめてない。特にマイナス要素はないのだけど。(C+)
- ツバサ・クロニクル (NHK BS2 火 夕方)
本放送時は見ていなかった。それなりに楽しんでいるけれど SD なのが悲しい。(B)
- 蒼天航路 (日テレ 火 深夜)
原作は読んでない。あまり趣味ではないので微妙。(B-)
- はじめの一歩 (日テレ 火 深夜)
一応視聴は継続しているものの、可もなく不可もなく。(C)
- 07-GHOST (テレ玉 火 深夜)
原作は当然ながら読んでない。あまり好みにあう作りではないので、そのうち脱落しそう。(C-)
- 無人惑星サヴァイヴ (NHK BS-hi 水 夕方)
本放送時は見ていなかった。そこそこ好みなので楽しんでいる。(B+)
- 亡念のザムド (東京MX 水 深夜)
非常に楽しんでいる。Blu-Ray を買うかどうか悩み中。(A+)
- ティアーズ トゥ ティアラ (テレ玉 水 深夜)
原作はやっていない。シナリオが微妙に好みから外れているけれど、ゴトゥーザ補正で生き残れるかどうか。(C+)
- リストランテ・パラディーゾ (フジテレビ 水 深夜)
原作は読んでいない。原作を買いたくなるほどではないけれどそこそこ好み。私にジジ萌え属性があったとは気づいていなかった。(B+)
- カードキャプターさくら (NHK BS-hi 木 夕方)
非常に楽しんでいる。地上波での再放送時にある程度見てるのだけど、それでも良いものは良いということで。(A+)
- 東のエデン (フジテレビ 木 深夜)
非常に楽しんでいる。Blu-Ray は Amazon で予約済み。(S)
- 無限の住人 (テレ玉 木 深夜)
原作は雑誌連載を途中まで読んでいた。OP クラスの殺陣を毎回期待してしまう私が多分間違っているのだろう。(B)
- 涼宮ハルヒの憂鬱 (テレ玉 木 深夜)
本放送時も見ていた。今回は時系列順ということで、それなりに楽しんでいる。まあメディアを買いたくなるほどではないのだけど。(A)
- 鋼殻のレギオス (テレ玉 木 深夜)
原作は読んでいない。設定が痛いのは多分原作由来なのだろうけれど、構成もそんなに好みじゃないのがなぁ。(C+)
- PandoraHearts (TBS 木 深夜)
原作は読んでいない。あまり好みではないので、なにかきっかけがあれば脱落しそう。(C)
- けいおん (TBS 木 深夜)
原作は読んでいない。ケラケラと笑いながら楽しんで見ている。(A)
- 黒神 (テレビ朝日 木 深夜)
原作は読んでいない。絵はそれなりに好みなので、多分最後まで脱落がなさそう。(B)
- Phantom (テレ東 木 深夜)
原作はやっていない。ある意味適切なスタッフを得た例と言えるのかも。ブラスレイターも最後まで付き合えたので、多分最後まで脱落せずに済むと思う。(B+)
- 今日からマ王 (NHK BS-hi 金 夕方)
原作は読んでいない。本放送時も見ていなかった。それなりに楽しんでいる。(B+)
- 彩雲国物語 (NHK BS-hi 金 夕方)
原作は読んでいない。本放送時も見ていなかった。かなり楽しんでいる。(A-)
- クイーンズブレイド (東京MX 金 深夜)
原作は読んでいない。コスト配分が間違ってるなぁと思いつつ、下品が過ぎるのでそのうち脱落しそう。声優補正が加わってもかなりきつい。(C-)
- タユタマ (テレ玉 金 深夜)
原作はやっていない。最近この手の作品に耐性がついてきたせいかそこそこ耐えられそう。(B-)
- ハヤテのごとく (テレ東 金 深夜)
一期から見ていたので普通に継続。今回も釘宮補正で最後まで継続できることだろう。(B)
- アラド戦記 (テレ東 金 深夜)
第4話まで視聴していたものの、どうにも見どころがなくて脱落。(D)
- バスカッシュ (TBS 金 深夜)
非常に楽しんでいる。Blu-Ray を買うかどうかは悩み中。(A)
- 戦国 BASARA (TBS 金 深夜)
何という頭の悪い作品。ここまで突き抜けていると称賛の思いしか浮かばない。(B+)
- 極上めちゃモテ委員長 (テレ東 土 早朝)
最初は絵の違和感に耐えがたいものを感じていたが、最近慣れてきたせいか、これはこれでアリかもと思い始めた。人は何にでも慣れることができるのだなぁ。(C)
- しゅごキャラ (テレ東 土 早朝)
まったりと継続視聴中。77 話近辺の展開は修羅場スキーには堪らんものがあるなぁ。(B+)
- 獣の奏者エリン (NHK教育 土 夕方)
原作は読んでいない。今後に期待しつつ視聴中。(B)
- マクロスFrontier (BS11 土 深夜)
TBSでの本放送時に視聴済みで、Blu-Ray も購入済みだけど、何となく視聴中。(A+)
- 初恋限定 (BS11 土 深夜)
それなりに楽しんでいる。こういう小っ恥ずかしいお話は比較的好きなので。(B+)
- 奏光のストレイン (BS11 土 深夜)
本放送時は見ていなかった。あまり趣味ではないのでそのうち脱落しそう。(C-)
- 神曲奏界ポリフォニカ (テレ玉 土 深夜)
一期は途中で脱落。それほど趣味ではないので今回も何かきっかけがあれば脱落しそう。(C-)
- フレッシュプリキュア (テレ朝 日 早朝)
まったりと視聴中。趣味から外れてはいないので何かない限り継続できそう。(C+)
- ジュエルペット (テレ東 日 早朝)
最初は趣味ではないと感じていたのだけど、これはこれでアリなのではと思いつつある。ただの沢城補正の結果かもしれないが。(B-)
- クロスゲーム (テレ東 日 早朝)
あまり期待していなかったのだけど、かなり楽しんでいる。(B+)
- 鋼の錬金術師 (TBS 日 夕方)
前のアニメ化は見ていない。現時点では、可もなく不可もなくというところ。(B)
- こんにちはアン (BSフジ 日 夕方)
原作は読んでいない。かなり楽しんでいる。(A-)
- 赤毛のアン (MXTV 日 夕方)
当然のように本放送時点では見ていなかった。最近の作品に毒された人間としては、テンポの遅さが気になったりもするものの、これはこれでアリと思いつつ継続中。(B+)
- グイン・サーガ (NHK BS2 日 深夜)
原作は80巻辺りまで読んでいた。全26話だと、双子の帰還とモンゴール滅亡あたりまでかなぁ。それなりに期待してた作品なので暫くは辛抱するようにしよう。(B+)
- 花咲ける青少年 (NHK BS2 日 深夜)
原作は雑誌連載を飛び飛びに見ていた。そこそこ楽しんでいる。(B)
- 夏のあらし (テレ東 日 深夜)
原作は読んでいない。あまり趣味ではないので、何かきっかけがあれば脱落しそう。(C-)
- シャングリ・ラ (テレ玉 日 深夜)
原作は読んでいない。あー、OP は (曲も含めて) 素晴らしいのだがなぁ。惜しいなぁ。(C+)
- アスラクライン (テレ玉 日 深夜)
原作は読んでいない。設定が痛いのはアレだけど、演出は見るべきものがあるので継続してもよさそう。(C+)
- 咲 -saki- (テレ東 日 深夜)
原作は読んでいない。頭が悪い作品だなぁと思いつつ、魅せ方がさほど下品ではないのでそこそこ楽しんでいる。(B)
というわけで、現在視聴中の作品は週46本です。数えてみると結構多いですね。PT1 導入に伴って、BS の録画の手間が大きく減った影響が大きいなと感じています。
無理なく見れるのはせいぜい週30個前後なので、もちっと絞り込まなきゃならんなと痛感しますね。
5月10日(日) B-CAS 関連検討状況 [この記事]
B-CAS カードの小型化版関連の報道に対するネット上での反応を見ると、どうも現在のデジコン委での検討状況を正しく理解している人が少ないように思えます。この辺は私の手抜き (なるべく生に近い発言録+意識誘導のための感想だけ) な傍聴レポートの所為という面もあると反省はしているのですが、一応、前回 (第51回) までの検討内容を踏まえて、状況を整理した説明を試みてみます。
まず「B-CAS を廃止する」などということは欠片も議題に上がっていません。また「コピー制御を無くす」という方向への意見も、第49回・第51回の消費者団体代表委員からの匂わせるような形での発言以外は出ておらず、正面から主張されたことはありません。(私が傍聴を始めた第30回以降では)
今回報道された小型化 B-CAS カードは、前回 (第51回) の中で小笠原課長から「B-CAS カード小型化・事前実装化についても引き続き選択肢として検討していくが、これに関しては民間で検討すればよいのではないかという議論になっている」と発言された内容が、実際に実現されたものです。B-CAS カードの端子以外の部分を、携帯の SIM カード同様に切り離せるようにして小型化しようというもので、今年の3月の ARIB での規格化 (STD-B25 ver. 5.1 [URI]) を経て、B-CAS 社から小型版カードの提供スケジュールが提示されたというのが今回の報道になります。
B-CAS カード小型化によって、B-CAS カードの為に物理的にカードスロットのスペースを確保できない受信機が実現できないという批判は解消できるのですが、独占禁止法違反・放送法違反との批判に関しては解消できないまま残ります。これを解決する為にデジコン委およびその下部組織である技術検討ワーキンググループで話し合われているのが「仕様を開示する方式」と呼ばれている、ソフトウェア方式です。
現在の B-CAS カードでは、ECM/EMM の復号方法に関して B-CAS 社と放送局以外には仕様の開示が行われていませんが、その仕様を (コピー制御ルールを守るという契約を結んだ) メーカにも公開しようというのがソフトウェア (仕様を開示する) 方式になります。
ECM/EMM の仕様を開示する場合については、その仕様が外部の人に漏れてしまった場合に有料放送がタダ見されてしまうという事態が懸念されています。このため、ソフトウェア方式では既存の B-CAS カード方式とはアルゴリズム等を変更して、無料放送専用とすることで有料放送への影響がなくなるようにと考えられています。
また、B-CAS 社以外に選択肢がないことで独占禁止法違反と批判されることを回避するためにも、ソフトウェア方式に関しては B-CAS 社とは別の法人をライセンス管理主体とすることがほぼ既定の方針として検討されています。こうすることで、表向きは別々の法人が競争しているという状況になるため独禁法違反との批判に関しても、また放送法違反との批判に関しても問題が解消されます。
ここまで固まっていながら、まだ「合意に達していない」というのは何かというと、実際の技術方式を STD-B25 の第三部のまま使うのか、第三部のまま使うとしても、ECM/EMM の暗号アルゴリズムをどれに決めるのか、ライセンス管理法人をどういった形にするのか、B-CAS 社は「一私企業が」と批判されていたけれど株式会社という形にしないのだとすると誰がその運営費用を負担するのか、その辺の話が放送局と受信機メーカの間で固まっていません。なので「合意に達していない」となっている訳です。
さて、ソフトウェア方式として既存の B-CAS 方式とは異なるアルゴリズムを採用した場合にこれまでに発売されてきた受信機がどうなるかですが、一応、既存の受信機が使えなくなることは避ける形で検討されており、TR-B14/15 に従っている受信機には問題がおきないはずです。TR-B14/15 では、異なる技術方式の ECM を同時に送ることを想定した規格になっているので、それに従って作られている受信機では問題はおきません。ただし、仕様に完全に適合できていない問題の出る受信機がある程度の数既に出荷されてしまっていた場合は、ソフトウェア方式の導入は断念されるだろうと予想しています。
以上が前回 (第51回) までのデジコン委での議論の要約になります。まあなんと言いますか、B-CAS は無くならないし、天下り先も増えそうだし、コピー制御は残るし、B-CAS への不満は (消費者団体代表が主張した内容だけとは言え) 解消に向かうしと、もう素ン晴ラしく理想的な解決方法に向けて爆走してる訳です。なのになぜデジコン委の参加者の方々はあんなに不満そうなのでしょうね。ふっしっぎ、ふっしっぎ。
5月12日(火) どこで道を間違ったのか [この記事]
さて、B-CAS に代表されるデジタル放送のコピー制御に関係した検討は、前回 [URI] 書いたような状況となっている訳なのですが、なぜこのような議論になっているかということを説明するために、昨年の 10 月 [URI] に書いた内容を再掲してみます。
一応、この辺りの議論の流れを確認しておくと、次のような形になります。
- クリエイターがリスペクトされ、適切な対価の還元を受ける為に、無料地上デジタル放送で高付加価値な放送コンテンツを提供し続ける為に、一定のコピー制御が必要である
- コピー制御を守らせるためには、何らかの強制手段 (エンフォースメント) が必要である
- 現在、この強制手段としては、B-CAS カードシステムという、技術と契約のエンフォースメントが採用されている
- これに批判があるので、見直して、改善方法を検討しよう
これがデジコン委員会のコンセンサスであり、第五次答申であり、第六次答申に向けての議論の出発点であるわけです。
この状態で、B-CAS カードおよび B-CAS システムを批判することは B-CAS 以外の強制手段を検討しようという (「(北朝鮮のように)受信機規制しよう」とか「(批判部分を変更した)新 B-CAS を作ろう」とかの) 方向へ後押しする効果しかありません。実際、デジコン委員会での議論の流れも、その方向に向かっています。
ある程度の洞察力と前提知識があれば現在の状況は容易に予想できることではあったのですが、残念なことに消費者の批判は B-CAS という目につきやすいシンボルに対してのものに終始して、B-CAS という存在が必要とされている前提部分、問題の本質を穿つ批判はそれに埋もれてしまいました。それが現在の状態をもたらしたのではないかと考えています。
今回の教訓は「コピー制御が必要である」という部分を否定することができない限り、コピー制御はなくならないし、コピー制御の実現手段を批判した所で別の実現方法を作ろうという努力がされるだけということが確認できたということになります。
このような状況ではありますが、私は別に落胆をしたり悲憤慷慨する必要はないと考えています。人々が守る価値を認めてない規制が実効性を持つわけなどないのですから、今回の教訓を踏まえて「無料広告放送には (アナログ放送時代と同様に) コピー制御は必要ない」ということを訴え続けていけば良いだけだと考えています。
◇◆◇
さて、今度の中間答申では「(批判部分を変更した) 新 B-CAS を作ろう」の方向での意見取りまとめがなされそうな様子なのですが、おそらくそれと並行して、ソフトウェア方式の実効性を高めるために制度面での検討を、受信機規制の検討を第七次答申に向けて進めていくという方針が示されるだろうと予想しています。
昨年二月の、第32回のデジコン委では三菱総研の中村オブザーバからアメリカでのブロードキャストフラグに関して、「『FCC にはブロードキャストフラグ指令を出す権限がない』という判決があって実現できていないが、オバマ大統領 (当時候補) は『FCC にその権限を与えるための改訂通信法を成立させる』と発言したと報道されている」との説明がなされています。[公式議事録]
実際にはオバマ政権が成立しても世界情勢が斯様な状況なので通信法どころではないというのが現状なのだろうと、また、アメリカのコンテンツ産業全体として DRM に対する過剰な期待を失いつつあるようなので、アメリカでブロードキャストフラグが復活する可能性は低いだろうと考えています。
しかし、日本は無料広告放送に対してコピー制御を実施している世界で唯一の国です。たとえアメリカでのブロードキャストフラグと言う先例がなくとも、すぐそばの北朝鮮という国での受信機規制 (海外の放送が選局できないように部品が取り付けられていて、それを外して海外放送を受信すると逮捕される) という例があるのですから、それを先例として受信機規制を導入することも十分にあり得ます。
なにしろ北朝鮮は地上の楽園と讃えられている国ですから真理省としてはそれに近づけたくてたまらないでしょう。"Big Brother is Watching YOU." という訳ですね。
◇◆◇
既に書いたように、日本は無料広告放送に対してコピー制御を実施している世界で唯一の国な訳ですが、コピー制御が導入されたそもそものきっかけを振り返ってみると、それは音楽番組が録画された D-VHS テープがネットオークションに出品されていたという件でした。
さて、ネットオークションと聞いて思い浮かぶのは CIPP (インターネット知的財産権侵害品流通防止協議会 [URI]) が先ごろまとめた「平成20年度インターネット知的財産権侵害品流通防止協議会報告書」[URI] です。この報告書の中では、次のような総括がなされています。
本年度の特徴は、オークション事業者の自主パトロールによる削除数が激減した一方、効果検証による侵害品出品率が低く抑えられたままであり、これが権利者の体感とも一致する点にある。この間、オークションサイトの総出品数が伸びていることを勘案すれば、「侵害品出品行為自体を減らすことに成功した」ということができる。これまでも様々な施策により、出品はされても落札前に削除することにより、取引・流通を止めてきたが、これら施策によって侵害品出品者との根競べに勝ち、出品行為そのものを減少させた意義は大きい。
ポイントは、コピー制御が導入されてもオークション事業者のパトロールや、権利者の監視は必要になっているという点と、権利者の監視が厳しい物ほど、侵害品出品を減らすことができているという点だと考えています。
さて、不正流通を試みる人に対して直接エンフォースメントを行うのと、不正流通など考えもしていないごく一般の人を全て犯罪者予備軍と捉えて広くコピー制御を課し不便さを強制するのと、果たしてどちらがより効果的な施策だったのでしょうか。コピー制御導入を主導し現在もなおその維持に汲々としている放送事業者は、そしてコピー制御導入を許容しその後始末に今も苦しめられている総務省はどこで道を間違えてしまったのでしょう。
5月20日(水) デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会 (第52回) [この記事]
13 日に開催された第 52 回の傍聴レポートです。今回の議題は取引市場 WG 関連で、平成21年度補正予算案で認められたコンテンツ関連の出費の内容についての説明がメインでした。18 日の時点で資料等はデジコン委ページ [URI] に上がっているので、必要に応じて参照してください。
今回の議事は次の流れで進みました。
- 村井主査からの開会の挨拶
- 小笠原課長 (総務省 コンテンツ振興課) からの配布資料確認 & 補正予算案説明
- 堀委員からの、映像コンテンツ権利処理機構 (仮) 設立に関しての説明
- 以上を受けての意見交換
- 村井主査からのまとめ
- 小笠原課長からの次回以降のスケジュールに関しての連絡
- 村井主査からの閉会の挨拶
定型文部分の開会の挨拶と資料確認部分は飛ばして、いつものように説明部分から追っていきます。小笠原課長からの補正予算案関連の説明は次のような内容でした。
- この4月に閣議決定した補正予算案に盛り込まれたコンテンツ関連の施策に関して紹介する
- 中身に関しては、今までこの検討委員会でコンテンツ取引市場の形成というタイトルで様々な議論を頂いた中身が含まれている
- 資料1を見て頂いて「地域発ソフトパワー発信・活用の強化」と題されたものについて説明する
- 柱としては3点ある
- 一つは放送コンテンツを中心とするコンテンツの流通・制作を後押しする形
- 第二は放送コンテンツの権利処理円滑化、これも再三再四当委員会で議論になったことだが、それに関する後押し
- そして三点目は不正流通の抑止ということで、何度か話題になっている不正流通に関する、監視・通知のシステムをどう作っていくかということの検証
- これら三点を柱とした予算を「地域発ソフトパワー発信・活用の強化」ということで括っている
- この「地域発ソフトパワー発信・活用の強化」ということになった背景に関して少し説明をする
- 参考資料の方を、その一番最後のページを見てほしい
- 海外展開や制作・流通ということに関しての現状を若干紹介している
- ここでは海外展開ということに絞っているが、やはりコンテンツの流通を二次利用の様々な場面で促進していくということがテーマになっている
- 例えば海外展開ということに着目すると、放送コンテンツについて見ても色々な経営努力によって 2004 年以降着実に増えている状況がある
- ただし、それを上回って輸出額が伸びている韓国をはじめとした状況がある
- 日本から海外展開ということで言えば、やはりアニメやドラマ・バラエティといった様々なジャンルで引き合いが多く、ポテンシャルとしては各国から非常に評価の高いものがあるという状況かと思う
- 問題は、こうした海外展開をはじめとする二次利用を促進していくという観点から見た時に、制作や流通の現状がどうなっているかということで
- 特に制作の場面で、放送事業者が番組制作ということで大きな役割を果たしているのと同時に、外部の番組制作者の方々、この方々の力と努力がなければ放送コンテンツの継続・安定的な供給は到底見込めない
- これはこの場で何度も紹介された通りだが、特に番組制作者の状況が 2004 年からの直近の 3〜4 年を取っても会社の数自体が減少傾向にあることで見えるように経営状態として全般的に非常に苦しい状況となっている
- 元々、真ん中の円グラフにある通り制作会社の全体的な規模自体がそう大きくないことにあわせて、さらにその下にあるように、アニメの例でテレビ番組からの制作費が全体的に減少傾向にあるように、昨今の経済状況ということを受けてどうしても番組制作費は減少傾向にあり、それを受けて番組制作者の制作環境は非常に悪化している
- 制作会社というのは全国あわせて最盛期では 1000 を超える会社があったが、特に都市部は言うに及ばず地域ローカルにおいてこの制作会社の状況は一層厳しいものになっている
- それこそ番組制作から撤退したり、コンテンツ制作から撤退したり、あるいは廃業したりと、そうした傾向が都市部のみならず地域において特に強い傾向になっている
- そういった状況が制作の場で見られる
- こうした状況が進むとコンテンツ制作するという一番根本の力が弱まってしまい、結局は流通されるべきコンテンツのモノも質も落ちていくという危機的状況に近づいている
- その結果として何がおこっているのか、今、一番最後のページを見て頂いているがその前のページを
- ここで、特定の会社名で恐縮だが、北海道テレビ放送の例をあげて、今までの地域発のコンテンツ作りということがどのように行われてきたのか、一つ例を挙げさせて頂く
- ここでは「北海道アワー」という番組名を二行目に書いてあるが、北海道テレビ放送が作られた北海道の自然や文化、そういったことをコンテンツとして長さは40〜50分で作られていると
- それを地元の北海道のみならず、台湾をはじめとするアジアの衛星放送の時間枠を取って放送をされている
- その結果、そうした番組を見た台湾あるいはアジア各国の方が北海道の自然を見てみたいということで観光客の増加に繋がっている、そうした事例がある
- 実際「北海道アワー」を見たというそうした方々が諸外国から増えてきているということで、右の棒グラフにあるように、1997 年度から絶対数で見てもこれだけの伸びが大体 10 年間である
- ただ、こういうローカルの自然や文化をコンテンツ化してそれを国内のみならず海外にも発信しているという、こうした着実な取り組みが制作環境の悪化で放送局自身も制作費を削減せざるを得ない状況にあって
- そこで一緒に仕事をしている制作会社も受ける対価が少なくなっている
- 仕事の量のみならず、質も落として行かなければいけないし、最終的には仕事自体を撤退しなければいけない状況になっていく
- こうした地元にとっても、日本全体にとっても意味のあるコンテンツ作りが残念なことに非常に弱まり疲弊している、そうした状態にある
- これを放置していると、今まで行われていたこうした地域発信の着実な取り組みを続けることが難しくなってしまう
- そうすると、結果的には流通の基盤であるコンテンツ自体の質も量も非常に低下していく、そういった事態を招きかねない
- そういった背景で放送コンテンツの制作、あるいは流通ということに取り組む放送局・制作会社、そうした方々を支援していくことが必要なのではないか、そういったことが背景理由としてある
- それでは、個別に最初に説明したみっつの柱について説明をする
- 資料1の二枚目をめくってほしい
- 最初の箱に書いてある通り、今、北海道の事例で紹介したように、放送局あるいは番組制作会社の方々が各地の自然・文化・観光資源、そうしたコンテンツとして制作して
- それを国内の地上・衛星放送のみならず、国際放送・海外の放送局、そうした海外放送局のチャネルを使って発信していく
- あるいはそうした海外の放送局以外に IPTV やインターネット、あるいは最近モバイルとかサイネージといったメディアも紹介されることがあるが、そういった放送以外のメディアに積極的に配信し、国内外への流通を促進する
- そういった積極的な取り組みということがこれまで行われてきて、実際今説明したように効果をあげてきたが、これが全般的な経済状況があり、非常に難しくなっている
- そして、コンテンツの制作・流通の取り組みが非常に疲弊をしている
- 従ってそうした時期だからこそ、全国各地あるいは海外に発信するコンテンツのモデルを構築して、新たなメディアの開拓とあわせて国の内外におけるコンテンツの流通促進を図る
- そういった目的で施策を展開できないかということである
- 具体的には色々な形で、制作・流通に取り組む放送事業者・番組制作会社・コンテンツ制作会社の方々、そうした取り組みを何らかの形で予算的に支援できないかということ
- 若干細かなスキームを説明すると、一番左にいくつか段となったものがあるが、あくまでも今回の予算は補正予算
- 海外展開あるいは新たなメディアそういった新たな流通経路、新たな市場開拓ということを念頭に置いてコンテンツの制作・流通に取り組む事業者の方々を支援するというところに目的がある
- 予算の直接の目的は、今までそうしたノウハウを直接持っていなかった放送事業者や制作会社であっても、海外・新たなメディアへの流通、そうしたことに取り組むことができるようなノウハウ・マニュアルこういったことを資産として残すことにある
- また、海外展開であれば実際にどういったコンテンツであれば海外の視聴者の方々から実際に評価されるか
- あるいは海外の市場から見たときに、アニメ・ドキュメンタリ・ドラマ、そうしたエンタティメント系コンテンツ以外に、どのようなコンテンツが海外、アジア・ヨーロッパ・中東、そうした市場から望まれているのか
- そういった海外市場の状況を整理して状況共有に供する
- これからのコンテンツの制作・流通・発信に取り組んで行く方々に共有できるノウハウを資産として残す
- そういうことを行うのが今回の予算の目的になる
- ただ、そういった資産を残すにあたって、今まで実績のある放送事業者・制作会社を始めとして、そうした海外展開あるいは新たなメディアを前提とした放送番組を作って頂いて、実際にそうした海外や新たなメディアに出して頂く
- 出して頂く過程で、今言ったような生のデータを、生のノウハウを頂いて、それをこれからコンテンツ制作・流通に取り組む方々に共有して頂く
- そういった形での予算ということにできればと考えている
- 実際にそういった方々を広く募るというところで基本的にはオープンに要件を示して公募するという形で
- 実際にそういったモデル構築や調査研究をやって頂く方々、あるいは実際に素材として番組の制作に取り組んで頂く放送事業者や番組制作者の方々、どういった方々にお願いをしたいかという要件はオープンにすると共に
- その要件に合致するということで応募して頂く方々に関しても広く公募とい形でオープンな執行ということをしていきたい
- 結果としてそうしたモデルが確立され、そのモデルに則ってコンテンツの制作・流通を行う方々がこれから増加していけば、結果としては観光客の誘致や物産の販売や、あるいは地域の番組制作力の再生という形で結果的に地域経済および日本のコンテンツ産業に帰ってくる
- そうなるように、執行していきたいと考えている
- これが今の大きな枠組みの中の一つ目「放送コンテンツの制作・流通の推進」という内容になる
- 次に大きな三つの柱の二番目ということで、資料1の3ページ目を見て頂きたい
- これは放送コンテンツの権利処理ということで、これは既に放送事業者や複数の権利者団体がそれぞれの立場で業務の円滑化・効率化に努力していることはこの場で報告を頂いている
- この予算の目的はそういった取り組みをさらに促進する、つまり、今でも権利処理コストや権利処理に要する時間を効率化して削減しようという取り組みはそれぞれの放送事業者や複数の権利者団体で行われている訳だが、そうしたことをいくばくかでも後押ししようと、そういう目的の予算ということだ
- 音楽のメディアや映像の実演家団体の方々の間で、今は複数の団体で行われている権利処理の業務を効率化しようということで、新たな団体を設立するという動きが見られる
- そうした動きについて、国としても可能な限り支援していきたいということで今回の予算となっている
- 直接には今回の予算で、右の方に書いてあるように、国として効率的な権利処理を行うのに必要なシステム、実際著作権処理を行い、例えば二次利用窓口の一本化・収益配分・不明権利者の探索、そうした諸々の業務をもっとも効率的に行うにはどうしたら良いか
- システムあるいは仕事のやり方ということで、一つのモデルを実証実験として構築できないか
- 当然その際には、民間でそうした効率化に向けて取り組んでいる方々の協力と知恵を頂いて、まずは国として実証実験をやってみる
- その成果としてどういったシステムにすることが効率的か、そのシステムをどういった運用でやることが効率的かノウハウが蓄積される
- その蓄積されたノウハウを今実際にコンテンツ権利処理ということで取り組んで頂いている組織の方に継承して、それぞれ努力頂いている権利処理の効率化あるいはその為の組織作りにできるだけ活かして頂ければという趣旨の予算である
- そして柱の三番目、最後の4ページ目
- 放送コンテンツの不正流通について監視して通知するシステムについて実証実験ができないかということ
- この点については、地財計画を始めとして毎年政府全体として取り組んでいくことが言われている
- 例えば今の箱の (2) の 2 を見て頂くと「違法コンテンツ配信の根絶に向けた取り組みの推進」とある
- 例えばコンテンツ提供事業者に対して適法配信の識別マークの付与とか、あるいは違法コンテンツ排除の為に技術的手段の活用を促すということで、毎年、関係省庁が連携して取り組むということで政府全体の課題として掲げられている事項である
- ここで言っている不正流通ということに関して、具体的なイメージを言うと、その青い箱に「監視・発見・通知」の手順と書いてある
- ここで不正流通として念頭に置いているのは、その下の黄色い箱の中でいくつか投稿サイトの名称が上がっている
- これは案内の通りだが、こうした投稿サイトの上に、権利者の許諾を全く受けずに投稿されている放送番組が多数、海外を含めて出回っている
- そのことで、場合によっては海外の放送局にコンテンツの番販に行っても「それは投稿サイト上でタダで見れるということが確立しているから、今更買う必要がない」ということで事実上市場が消滅しているという現象も起きるに至っている
- そうしたことを、どうやって自衛し、根絶していくか、一つのやり方としてそうした投稿サイトを巡回して無許諾コンテンツを見つけ出していく、そうした技術的手段というものがようやく実用化されつつある
- 実際の手順としては投稿サイトに載っているかどうか監視したい番組を巡回ソフトに登録し、登録されたコンテンツをソフトウェアで巡回して実際に載っているかどうか識別する
- それで実際にどのサイトに登録されているコンテンツがどの程度載っていたかということを利用者の方にレポートする
- そのレポートを見て実際コンテンツの監視を依頼した方々がこういったサイトに対して「これは違法で無許諾に載っているから直ちに削除するように」というメールを送付して頂く
- それで、実際に削除されたかどうかという結果をそうした登録を依頼されたコンテンツオーナーの方々に返していく
- そういった一連の作業過程ということがある訳だが、ここ最近、特にここ一年ぐらいの間、こういった一連の手順を自動的に行い、かなりの精度をもって登録されたコンテンツを見つけ出してくるという技術的な手段が確立しつつある
- そういった技術手段を複数、実際に使ってその制度やコストメリット、実際にどの程度の効果を上げられるのかということについて検証をする
- こういった不正流通の監視・警告を行う時に、どういうシステムを使えばどの程度のコストが、どのような運用であればより効率的に行えるか、そうしたことを検証していくことを目的とした予算である
- これは成果としては実際にここである程度効率的であると認められたシステムを使い、これは民間の方で、そのシステムを使ってどういった運用をやっていくか、そういったことを考える為にその成果を使って頂ければと考えている
- 以上がソフトパワーの発信・活用の強化ということで、柱立てされている三つの施策になる
- 今のソフトパワーの発信強化という柱建てとは別に、資料の最後の 5 ページを見て頂きたいが、教育分野におけるデジタルコンテンツの充実・活用の強化という項目がある
- これは昨今の技術的な動向や実際の市場への普及状況ということで見て、今般の補正予算において学校の現場でもデジタルテレビの設置を進めていこうということで文部科学省の方で盛り込んでいる
- そういった環境変化を踏まえてということだが、こういったデジタルテレビ、最近のテレビでは IPTV の受発信機能を備えたものが増えている
- こうしたデジタルテレビによってハイビジョンでコンテンツが配信できる環境がこれから急速に整っていくということを踏まえて、まさにこの高速なインターネットを活用して高品質な放送コンテンツが教育現場に配信されていく
- それをどういうふうに教育に活用していくのが効果的なのか、また教育現場から見たときにどういったコンテンツをどういった形で配信することがより効率的な教育に資するか、これは文部科学省と共同で実証実験という形で行えればと考えている
- 具体的にはこれから配備されていくであろうデジタルテレビを使い、コンテンツを配信していく環境を高速インターネット、IPTV 等を使って構築して、実際にその教育現場からあがってくる声を反映して、可能な範囲で放送コンテンツを配信できる環境を整える
- それで、実際に教育現場から見た時に、そうしたシステムの使い勝手、あるいは、どのような放送コンテンツを付け加えていくことが望ましいか、そうしたことをフィードバックしていく
- そういった実証実験を文部科学省と共同で行っていきたいと考えている
- 今般の補正予算で盛り込んだ、柱としては大きく以上の二つ「ソフトパワーの発信・活用」それと「教育現場等におけるコンテンツの活用・充実」ということになる
- これは閣議決定後、現在国会で審議中である
- そこで色々と審議頂いた後に、国会の了承を得られたら、速やかに予算執行に入るということにしたいと思っている
- これについては先ほどからの説明で明らかとは思うが、コンテンツの流通や制作の強化、また流通にかかる権利処理の円滑化と、当委員会で再三にわたって課題となってきた事項が多く含まれている
- 従って、こういった施策について、今後どのように進めていくとこの委員会で議論されてきた課題解決に活きていくかということに関して皆からの忌憚のない意見を頂戴したい
以上が事務局からの説明内容でした。次に行われたのは、堀委員(ホリプロ / 音事協)からの資料2として配布されていた「映像コンテンツ権利処理機構」に設立に関しての説明で、その説明内容は次のようなものでした。
- 権利処理の円滑化ということに関して、実演家の三団体はこれまでもニーズに応えようと努力を継続してきた
- この審議会でネット権・ネット法の話が出た時にも「プロの実演家の権利処理は既に個々でやってきている」と説明をさせて頂いてきた
- また、ネット権の話の際に反論の中で、我々の考え方というのも発言してきている
- ただし、それでも権利者団体として何がしか、もう一歩進んだ努力をするべきではないかという指摘を、以前にこの委員会で頂いている
- その延長で、どうしたら少しでもスムーズになるだろうかということを考えてきた
- この資料2は、連休前に三団体で合意した、一般社団法人を設立して、映像コンテンツの権利処理窓口を一本化しようということと、不明権利者の探索についても協力をしようということで報道機関に配ったプレスリリースをそのまま資料として提出させて頂いている
- この法人の概要としては「一般社団法人・映像コンテンツ権利処理機構」として、一般社団法人の形態をとり、設立時の構成員は、音楽事業者協会 (音事協) と日本芸能実演家団体協議会 (芸団協) 、音楽制作者連盟 (音制連)
- 実演家団体と言っても、細かく見れば似ているような似ていないような三団体だが、大同小異ということで団結をしようと、窓口を一本化しようということ
- 法人の所在地は現在都内で検討中だが、私共音事協が旗を振っている以上、まず法人の登記としては、音事協の中に事務局の準備室を構えるということで検討を進めている
- この審議会の取引市場 WG でも何度か意見の交換をして、民々の取り組みを重視しよう、官の規制や制限ではなく、民々の取り組みでやろうという流れの中で
- また、色々な提案がある中で、実演家・権利者団体としてカウンターとしての提案を出さなければいけない
- そういう中で、ブロードバンド・モバイルという利用ニーズが高まっている中、まだ現状ではビジネスモデルに関して「このようなビジネスがある」という提案も企画も無い状態ではあるが、ネットでの配信を円滑化する為に、ニーズに応える準備をしようということで、効率化の為の団体である
- 放送番組の配信と言うことに関して、まだ色々なテーマがあると思うが、一方では、モバイルでエイベックスと NTT ドコモが始めた BeeTV のような映像コンテンツ配信の試みがスタートしている
- これも一つの企画案として考えながら、この団体についてはまず放送番組のネット配信の窓口業務をしていこうと考えている
- 資料の最後のページに、概要として事業内容を5つ載せている
- まず、映像コンテンツの二次利用に関して、実演家の権利処理・許諾申請の受付の窓口業務をやる
- それと不明権利者、実演家の不明権利者の探索をする
- 放送事業者・利用者の方々、まだモデルが出来ていない中で、定義として上げるのは甚だ恥ずかしいが、一応、ビジネスモデルがあったとした場合の、収益配分のガイドラインの在り方を話し合いもする
- それと、映像コンテンツの許諾権というものの理解をもう少し促進しようと、どういう流れで著作権というものが存在して、これがビジネスとして成立するかと、我が国の経済に資するものなのかきちんと話をしていく
- また、以上四つに関わるもの、法人の目的を達成するために必要な事業をやっていくということを内容にしている
- 今月中に一般社団法人としての法人の登記の作業を進めて、来月 2009 年の 6 月には事務所を開き、来年の 4 月 1 日までには業務を開始できるよう
- 放送事業者との交渉や、我々三団体の中での考え方のすり合わせ、並行してやる必要があることを、同時に、今実作業として進めている
- 最後になるが、資料三ページ目の (5) にあるように、権利者の権利を尊重・担保しながらも効率的な権利処理とコンテンツの流通促進が可能であって、この団体について日本がコンテンツ大国を目指すという大きなテーマに沿ったものであると考えている
- だから、安易な制限はビジネスとして重要ではないのだと、それぞれの権利を尊重しあいながらコンテンツ大国という目的の為に努力を続けていこうという宣言でもあると考えている
- 今回この資料1で出された、コンテンツ大国実現の為の、権利処理円滑化に向けて、権利者団体としてまず第一ステップをスタートするということを理解頂きたい
堀委員からの説明は以上でした。以上二つの説明を受けて、以後は村井主査から各委員を指名して順次発言が行われていきました。
最初に指名されたのは椎名委員 (CPRA) で、その発言内容は次のようなものでした。
- 新機構に関しては、今の堀委員からの説明のとおり
- 流通促進にあたっての課題・問題として挙がっていた権利処理の煩雑さということについては、こうした取り組みや NHK オンデマンド等の流れであるとか、そういう色々な民々での取り組みで動き初めていると言ってよいと思う
- 権利処理を最重要課題として上げてきた姿勢をそろそろ転換して
- むしろ、問題の本質である、デジタルコンテンツの流通のビジネスモデルが育たないという所の話について、今後政府がどのように後押しをしていくのか、そこへシフトするべき段階に来ているのではないかと思う
- ビジネスモデルが見えてこない原因の一つとして、これまでも再三指摘させて頂いているが、通信事業者の方々の、コンテンツ投資に関する考え方が、ちょっとずれているということが依然としてあるのではないか
- コンテンツの制作というのは、それなりの時間とコストを投入しなければ、それなりのものを生み出すことができないということをいい加減認識されるべき
- もしそういう立場を自身で担う気が無いのだとすれば、少なくとも他人が時間とリスクを注いで制作したコンテンツを安易に横取りして、懐を肥やそうという姿勢は、これを改めて頂きたい
- それから事務局からの説明で、今回の新機構設立に向けて、国からも支援を頂けるという話も出た訳であるが
- 当然のことながらこの新機構と言うのは、あくまでも権利者の自発的な意思と裁量によって進められるべきものと考えている
- 国とどのように関わっていくかについては、権利者の方で良く検討し、改めて相談したい
- 申し上げるまでもないが、そのことと、当検討委員会の宿題となっている対価の還元の話は、全くフェーズの異なる話である
- 一方で、ネットでビジネスモデルが成立しない点について、相変わらず対価の還元の本質に迫るような解決策が、今回の予算の中でもどの省庁からも示されていないのは、非常に残念だと思う
- 繰り返しになるが、新機構はあくまでも権利者の意思と考えで進めていくべきものである
- ただし、対価の還元について、そういった新機構が何らかのヒントになる可能性も秘めていると思うので、この会議のメンバーの宿題として、コンテンツ大国にふさわしい対価の還元方法については、引き続き検討を進めて頂きたい
椎名委員からの意見は以上でした。次に指名されたのは石井委員 (NHK) で、その発言内容は次のようなものでした。
- 椎名委員から、権利処理が問題ではなくビジネスモデルだという発言があった
- 確かに NHK オンデマンドで五カ月経って、権利処理あるいは許諾を得ると言うことに関しては多数の権利者の理解もあって概ね進んできているが
- それでもやはり、当初予想よりも遥かに及ばないぐらい、正直言いって利用される人が少ない
- これは何故かということを、真剣に考える必要があるのではないかと思っている
- また今、概ね理解頂けたとあるが、やはりまだ一部には個別には許諾を頂けない場合がある
- それでも権利者不明の、実演家の権利者不明に場合については、これはオンデマンドだけではなく、DVD も含めて CPRA の協力を頂いている
- これも三年間という暫定的なもので、いずれ著作権法も改正されると思うが、そうしたものにも適合的かつある程度永続的なものにしていく必要があるかと考えている
- 一方諸外国を見ると、ヨーロッパは比較的、私から見る限り、権利者の権利を尊重しようと、例えば私的録音・録画補償金も問題でも実演家を巡る条約に関しても割に尊重をしようという雰囲気のあるところなのだが
- それだけにどうやって集中管理を推進していくのかが重要なキーワードになっている状況にあるのではないかと思う
- そういう意味で、今回、実演家が権利処理の為に新しい団体が設立されるということは、コンテンツの流通は勿論として、その背後・根底にあるコンテンツの制作にもプラスに響くのではないかという点で、興味があると思っている
- これによって、実効性のある集中管理が推進されることを事業者として強く期待している
- 一方、不正利用の問題について、先ほど、NHK オンデマンドの利用者がなかなか伸びないということを申し上げた
- 一つの原因として「別のサイトに行けば画質が低いとは言えタダで見られるものがあるのに、なぜ有料で見に来る必要があるのか」ということが良く言われる
- ここは皮肉な結果なのだが、4月から色々とテコ入れ策として、一部無料配信サービスを行っている
- これは勿論、権利者の方に規定の権利料を支払った上で無料ということをやっている
- そうしたところだと、かなりの、かなりと言ってもまあ100倍・200倍という訳ではなく、何倍・十倍、そうした数のお客さんがついてくれる
- それがなかなか有料の方に、まだ今のところはどこまで移行してくれるか、ちょっと見えていない状況にある
- そうしたこともあり、権利処理もせずに無料で出す不正利用の問題は非常に大きいと私共は思っている
- この対策として、例えば google youtube とか、例えば韓国・中国、色々なところと協議をしてきた
- 実際、例えば中国のサイトとは何回もやり取りをしたし、中国の政府関係者の所にも行ってきた
- そうして削除スキームを徐々に構築してきているし、また一方で、いわゆるフィンガープリント技術や、そういう色々な技術的な新しい仕組み、それもトライアルしているところである
- 最大の問題は、相手、特に外国の場合、サイトとどうやって削除のルーチンを作っていくか、スキームを作っていくか、そこが一番の問題ではないかなと感じている
- 今日は幸いにも総務省の事務局から削除スキーム・共同監視に関する検証の提案を頂いた
- これは一つの提案ではないかと思う
- ただし、この中には、既に実質的に今まで私共やってきたことがあるし、単なる検証に留まっていては意味がないと思う
- もしもやるのであれば、来年以降どのように実際に運用していくのか、例えば、組織とか経済的な裏付けがあるのか
- あるいは実際に削除する時に、相手サイトや相手国とどのようにやり取りをしていくのか、そういう所を是非併せて検討・実証・検証していく
- そういう所も積極的にやっていく必要があるのではないかなと思っている
石井委員からの意見は以上でした。次に指名されたのは元橋オブザーバ (NHK) で、その発言内容は次のようなものでした。
- 丁度一年ぐらい前、ダビング10に移行する動きが大詰めだったころ、コンテンツのリスペクトと適切な対価、椎名さんから今日も出たが、それがキーワードになっていた
- もう少し俯瞰して言うと、この委員会でずっと数年間議論して来たデジタル放送の番組の録画の問題もそうだし
- ブロードバンドでのデジタルコンテンツの流通の促進・活性化、あるいは、ここ一年ぐらい議論になっている制作力の強化
- これはどれを取っても、コンテンツへのリスペクトと、適正な対価の還元ということが皆共通している
- やはり、質の高いコンテンツ、あるいは見応えのある番組の制作とか流通ということに対してそれを継続的に行っていける仕組み、誰が、どういう風に、その為のコストを賄っていくのかということが多分問われていると思うのだと思う
- コンテンツ立国・コンテンツ大国ということはずっと言われて来ているが、どこか一つの業界であるとか企業であるとか、そのエンティティが片務的に努力をしたり、あるいは犠牲になったりということでは多分長続きしない
- やはりこの場に集まっている色々な業界の、消費者の方・視聴者の方を含めて、色々な立場の方それぞれが、どれだけコンテンツと言われる無形の文化、あるいはクリエイティブな才能とか作業に対して、それを尊重して知恵を出したり、お金を出してそれを育て、産業として回るようにしていくということができるのか
- それはビジネスモデルというふうにさきほど堀さんや椎名さんが言っていたことになる
- まさにそのビジネスモデルを作っていくというのは、多分誰かが、自分たちだけはお金をできるだけ出さないようにしたいとか、あるいは自分たちだけが儲かりたいとか、多分そういうことではないのだろう
- 皆が応分のコストを出す仕組みというのをどうやって構築するか
- それはメディアということで言うと、新聞にしろ放送番組にしろ、広告だったり購読料だったり受信料だったり有料コンテンツだったりということでビジネスとして成立してきたということがある
- デジタルコンテンツにおいて、どういうふうに制作の質の高いものを制作し、それを流通として回して付加価値を高めていくか、豊かな暮らしにつなげていくかということが、多分まだ解決策として見えていない
- それこそ多分色々な立場の方が集まっているこういう場で議論して頂くことなのではないかと思う
- 補正予算について、先ほどの事務局の説明では制作環境の整備や地方から海外発信に予算を付けたいということだったかと思う
- 今まで流通の整備に向けての色々な施策をやってきたということから、制作環境という風に大きく舵を切ったのだと、ある意味画期的なタイミングだと思っている
- 補正予算なので一回だけということではなく、国の予算としては一回だけなのかもしれないが、それを呼び水にして、ちゃんとビジネスとして回るしくみ作っていくかということが、我々に求められている
- この我々というのは、もちろん放送事業者だけではなくて、皆さんも含めてだと思う
- 報道機関でもある放送局に直接的な制作費を国の予算で入れるということについては、報道の自由という観点から色々な議論があると思う
- しかし、今回の話は必ずしもそうではなくて、制作会社や制作の人材育成とか、海外発信も含めた流通・展開の所で支援・サポートをということなので、それは非常に良いことだし、色々な可能性が広がっていくのだろうと思っている
- そういうスキームの中から、一本でも二本でも良い番組、質の高いコンテンツというのが出来上がってくることを望みたい
- そういうものが出来てくれば、従来から言っているように、例えば放送権購入のような形で放送で送出する、あるいは私共も一緒になって海外展開や海外発信のお手伝いで、一緒に汗をかくということをやらせて頂く
- 何よりも質の高い番組・コンテンツが作られる環境づくりというのが大事だと思う
- また、質の高い番組ができないと、いくら流通促進とか海外発信とか言っても「え?日本のコンテンツってそんな物なの?」と言われてしまうと本末転倒だと思う
- やはり日本の文化とか産業とか科学技術とか、そういうものを紹介するにふさわしい、非常に良いコンテンツが作られることが第一なのだろうと思っている
元橋オブザーバからの意見は以上でした。次に指名されたのは福田委員 (テレビ朝日 / 民放連 地上デジタル放送特別委デジタルテレビ放送専門部会長) で、その発言内容は次のようなものでした。
- 私の方からは三つあった内の、放送コンテンツの制作・流通促進の観点から、補正予算について発言させて頂く
- 先ほど例を示して頂き、具体的に縷々説明をして頂いたので大勢については判って頂けたと思う
- 国際発信力をどう強化するか、コンテンツの流通をどうするかという時に、必ず、特にここ一・二年、制作会社が疲弊しているという言葉ををあちこちで聞いて来た
- 特に地方は制作会社と、放送局自身も今説明があったように弱ってきているという所にある
- なので、こうした所で私益を与えたうえで、さらにこれからどうやって飛躍をするかということになればよいと思っている
- そういう意味では今回の措置について歓迎したい
- 先ほど例をあげて頂いたが、北海道の例をとってみても、台湾との間でこの 8 年間に 5 倍観光客が増えているということは、自治体・その他の関係者・観光会社・放送局・制作会社が一体となって取り組んで来たということに加えて、継続をしてきたということが一番大きいのだろうと思う
- そういう意味では、相当疲弊してきて継続そのものが非常に危ないという時なので、タイミングとしても非常に良かったのではないかと思っている
- もう一つ、流通の側面から見ると、先ほど図を使って説明して頂いたが、海外に発信するという部分で言うと NHK の国際放送の会社や、あるいは海外においてケーブルテレビ・放送局を独自に開拓しなければいけないという問題がある
- なので、今言った関係者以外にも、相当皆に協力を得ないと短期間では実施できないのではないか
- 先ほどの例は台湾やアジアといった特定の地域だったが、発信をしたらどこが一番当たるのか、どこが一番効果があるのか見定めたうえで、次年度以降も引き続き継続できるような形にもっていければ良いのではないかと思っている
- そういう意味では、予算の成立とあるけれども、早めにサウンドして頂いたうえで、全放送事業者・および地域の制作会社皆が情報収集した上で、これに加わることができるスキームを早く示して頂ければありがたい
- 実際に地域が弱っている、東京もそうだが、特に地域が弱っているとすると、放送会社あるいは制作会社問わず、良質なコンテンツを作る為の制作力の総力戦をどうやっていくかということだろうと思う
- これが先ほど示された予算の 52 億のうち、どれぐらいになるのか判らないが、配分はできれば合記した方が良いのかなということが一点
- また、先ほどの例は一地域だったが、それを日本国内においてどこまで地域が広げられるか
- 例えば観光とあるけれど、観光資源を持っていない地域はあるのか
- そのために先駆的にやってきた地域がどんな形でリードしていけるかということも含めて、これまでの成功事例を我々としても速やかに伝えていきたいと思っている
- これについては明らかになり次第、放送事業者において我々の責任で、民放放送事業者へ徹底していきたいと思っている
福田委員からの意見は以上でした。次に指名されたのは佐藤委員 (フジテレビ) で、その発言内容は次のようなものでした。
- 実証実験に関連した三つの柱に関しては今福田委員が言われたとおりで、実情と一致した適した実験で、色々な整備ができれば良いなと色々と考えている
- とりわけ「不正流通監視システム」の検証に関しては、石井委員が言われたように、既に民々で色々な取り組みがされているが、今回の検証を機にできれば様々な問題点の整理が行われ、また将来に向けての一歩進んで議論ができないか
- いわゆるノーティス・アンド・テイクダウンの現状が今のままであれば不毛なモグラたたきに終わっているという現状があるので、こういうことが起こらないようなルール作りに繋がる議論が、検証を機にスタートできると本当に良いことになると期待をしている
- 先ほどの堀委員・椎名委員からの映像コンテンツ権利処理機構に関連することだが、放送事業者としては番組の二次利用に関して実演家の三団体に既に大変世話になっている
- しかし、今回の映像コンテンツ権利処理機構のようなものが出来上がることによって、実演家に対する権利処理の窓口が一本化されて、これまで以上に権利処理業務が効率化されることは非常に歓迎すべきことだと考えている
- プレスリリースの中にあり、また堀委員も発言されたことだが、権利者の権利を制限するような立法が行われた場合には、やはりコンテンツ創造のインセンティブが低下し、コンテンツ力が弱まり、結果としてコンテンツの流通促進にもコンテンツ大国の形成にも繋がらないと考えている
- 従って、そうした間違った立法が万が一にも行われないようにという意味も込めて、コンテンツのクリエイションに対して主体性を持つ者が、その流通に関わる許諾ならびに流通の促進にイニシアチブを発揮することを、毅然とした態度で決定した権利者団体の姿勢に敬意を表したい
- 機構が実務をどのように行っていくのかというのはこれから詰めた議論がされると理解しているが、本来の意図である、コンテンツ産業の全体的な活性化という観点から、様々な権利者に対するバランス等も配慮して頂くとか
- 制作者や放送事業者と、これまで以上に緊密なコミニュケーションを維持して頂いて、コンテンツ流通の促進にできる限り貢献できる体制を整備頂ければ本当にありがたいと考えている
佐藤委員からの意見は以上でした。次に指名されたのは寺島オブザーバ (テレコムスタッフ / ATP) で、その発言内容は次のようなものでした。
- 丁度会議に遅れて、前段の話を逐一把握していないので、筋違いな話になったら許して頂きたい
- 今回の補正予算の中身を見せて頂いて、二つある
- 今までここで様々な論議が行われてきて、コンテンツ立国という言葉に対して、流通ということよりはまず制作、コンテンツを制作することを見直すという流れになってきたのだと思う
- それに対して、今回の補正予算に関して言わせてもらうと「地域発のソフトパワーの発信・活用の強化」となっている所が、ある種この文脈だけで見ると「ふるさと再生」とかのような、地域に経済のカンフル剤を打つとかいうふうに、どうしても読めてしまう
- このままでは単に地域経済の活性化というところで終わってしまい、もう少しブレークダウンしないと、今までやってきた話と変わってしまうのではないか
- コンテンツ立国を目指すその所から、コンテンツに対するリスペクト、コンテンツに対する正当な対価の還元、制作力の強化
- この三つに対して、今回の補正予算でその基盤を作り、有限の一時的なものに終わらせずに、我々が目指すコンテンツ立国の基盤強化に繋げるには「地域」という言葉があまりにも多く見られ過ぎていないか
- もちろん今、日本全体で地域の疲弊化ということは大問題なのだと思うが、ソフトコンテンツに関して見れば、地域も中央も含めてひとしなみであると思っている
- なので、これをどういうふうにブレークダウンしていくかということを、今日は是非話を伺いしたいと思って来た
- もう一つ、先だってから制作現場の疲弊ということを、こうした機会をとらえて随分アピールして来たが、もう一度皆に我々制作事業者の疲弊ぶりをもう一度披露したいと思う
- 去年度、8・9・10月の三か月において、我々 ATP に加盟する制作事業会社を中心に、約 120 社近くの経営状態のアンケートを取った
- この時は偶々、売り上げ高だけでアンケートを取ったのだが、この時点で前年度比約 11% 減となっていた
- このアンケートをなぜ取ったかと言うと、テレビ番組制作事業者がいわゆる不況指定業者に入っていなかった
- なので、それをクリアして参加会社に金融等の形で便宜を図るために取ったアンケートで、これは完全に不況業種なのだという形でクリアできてしまった
- ただし、売り上げだけではなかなか経営の実態が判らないということで、引き続き、11・12・1月と売り上げ高と経常利益の調査をした
- 10月までの調査では、いわゆるリーマンショックというものが無い状況で、ただ、色々な状況の中でテレビ放送事業が相対的にパワーダウンしてきている
- 国内の広告主から他のメディアに CM が流れるとかそういう形で、景気が悪いというよりは、テレビ事業・放送事業がなかなか難しいという状況だった
- しかし10月のあの事件があり、それで調査結果は、アンケート対象会社の約 44% にあたる 50 社が経常赤字を受けていた
- なので、前年度比云々というよりも、もう数字が出ないという状況にある
- 11月から1月というのは本来であれば我々制作プロダクションにとって、12月に大きな番組があり、これで今まで辛かったものが大きく挽回できたり、年末年始の大きな番組で取り戻すといこともあったのだが、それができずに約半数の会社が経常赤字という形になっている
- 引き続きこの三月期、新しい年度を迎えた4月に日本の様々な不況の中でスポットが取れないとかいう形で制作費削減が叫ばれている
- 確かに、制作費は落とさないけれども本数を削減していくという流れがある等、制作費の削減に関して色々と工夫がこらされているが、4月以降の数字を取ると非常な不況に落ちるのではないか、アンケートを取るのが恐ろしい思いで今用意をしている
- そういった意味でも、非常に今、経済的にプロダクションが疲弊してきている
- このプロダクションの疲弊は何故かというと、これも再三再四話しているように、我々の所に若い働き手が来ない
- これには二つ理由があって、給与水準が非常に低い、いずれにしても川下の産業なので、中間……搾取というより、マージンが取られて、一番末端の若年労働者に渡る金が低いという状況がある
- それ以外にも、経営環境が本当に劣化しているので、若い人達に対する労働力のプレッシャーが大きく、残業代も払えない状況の中で非常な過剰労働となっている
- これも含めて、給料が低い・労働がきついというだけならばまだ若い子たち、期待や情熱に燃えて入ってきた若い人たちはまだ耐えられるが、我々経営者やプロデューサといった先輩諸氏がその子たちの面倒を見てあげられない
- 面倒をみる余裕がなくなっている
- ここが一番の問題で、テレビの放送を支えてきた我々のある種の思いや伝統・技術の伝承、気持ちの繋がりということが切れているものだから、若い子達は本当に孤立していて、自分たちの将来が見えずにいる
- こういう状況が我々制作事業者を覆っていて、私達の、これも緊急な課題なので、ATP で、労働者の実態というのはなかなか会社として出しづらいので、心親しい会社を回って、調査をした
- 若年層の人材の定着率を調べたら、大体5社合わせて十年間で 498 人の新人を正社員として採用しているのだが、離職者が 264 人で、在籍者が 234 人と、53% が辞めていることになり、平均在籍期間は 1 年 8 カ月で、2 年に満たない
- 入ってすぐに、職場に希望が持てずに離脱していく
- こういう状況の中で、コンテンツ立国と叫ばれている、コンテンツ制作の大きな部分を担っているテレビ放送、それを支えているプロダクションの若手労働者が育たない
- なので、今回の補正予算を含めて言うと、様々な意味でのカンフル剤という意味もあるかと思うが、どうやってこの制作基盤を強化していくか、どういう形で一年間の有限な予算を先に繋げるスキームを作ることが大事なのではないかと思っている
- 地域の発信力を高める、地域の制作会社の方々も我々以上に疲弊しているとは思うが、地域と言われると東京に在籍している我々はどうなるのかという思いがある
- 我々が地域に行って、地域の本当に特殊な観光資源を掘り起こし、今あるテレビ番組とは違う目線で地域発の情報発信ができるかと言えば、これは地域の方に新しい独自の番組を作って頂きたい
- 果たして地域だけで良いのか、日本の社会・産業・技術・文化、それが、そのコンテンツを持って海外で勝負する、そういったコンテンツを我々に作る機会が今回の予算の枠組みの中で、在京在阪の私達に与えられるのだろうか
- 私達が地域に行って、地域の縄張りを荒らすのではなく、我々は我々で、日本の文化、日本の産業、日本の技術、エコであるとか有機であるとか、様々な食文化であるとか、そうしたもので海外に打って出る機会を作って頂きたい
- これを、どういうスキームでできるのかということを是非我々も一緒に検討していきたいと思っている
- もう一つこの海外展開に関して、やはりコンテンツを誰が買ってくれるのか、買ってくれる人をどういうふうに見つけるのかということで、今私ども ATP では総務大臣賞という賞を、一年間の優秀な番組について海外に展開できるという前提の番組を総務大臣賞として懸賞している
- これを作ったときに、英語版を作り見本市に持って行ってブースを作り、見本市を運用していく人員を確保し、売れるであろうコンテンツに相見合う見本市にどう持っていくかということも大事なのだろうと思う
- こうしたことを、今までは放送局や大きな広告会社に任せていた部分があるが、放送局ではどうしても視聴率でフィルタがかかるので、是非、我々自体が ATP という形で懸賞した番組を海外に持って行って販売していくということにも予算を使わせては頂けないか
- もう一つ、一番大きいのは今回の予算で色々な流れがあって、最終的には制作費に張り付いてくるのだと思うが、国はおそらく知的所有権を多分要求しないだろうから著作権が制作者に残ると思う
- ここのルール、この作った者にコンテンツの著作権が残るというルールが、今はなかなか残らないと縷々ずっと説明してきているが、今回はまずコンテンツありきで、それが売れたらどういう風に配当するかということもあると思う
- 著作権を声高に主張しない金の出し手があって、良いコンテンツができて、このコンテンツをどう展開していくかということが今度は大きなスキームになると思う
- それともう一つは、NHK は別にして、民放の場合はやはり編成局発注というものがあり、編成事情、その局の編成によって番組が企画・発注されてくる
- そうではなく、局の発注以前に番組ができるかもしれない、そういうスキームで
- クライアントがあって、お金が流れてきて、編成局の発注があって番組ができるということではなく
- 金があって番組が出来て、それが放送権購入という形の正当なコンテンツに対するリスペクトということで認められるとするならば、今までの民放のビジネススキームが少し変わってくるかもしれない
- コンテンツ主義である種放送がかかるかもしれないということも大きな試みになるのではないかと期待している
- 今後の様々な話し合いの中で、一緒にコンテンツ立国の為の整備基盤強化ということで、様々に協力していきたいと思っている
寺島オブザーバからの意見は以上でした。次に指名されたのは浅野委員 (IBM / 情報通信審議会委員) で、その発言内容は次のようなものでした。
- 権利団体の三団体から、今回の新機構設立の話が出てきて、大いに歓迎したいと思っている
- 特にネット法に対して一番厳しく批判されてきた団体の方達から、それに対する一つの対案としてこのような構想が出てきたことに対して、敬意を表したいと思う
- この団体自体に関しては、実際に構想を行動に移していくことまで進んでいるから、そういう意味でも一歩進んでいる
- これ自体が今後のコンテンツ流通の促進になるトリガーとして、機能すれば良いと期待している
- 特にこれに関連して、政府の方からも権利処理の円滑化促進ということで補正予算を付けている
- そういう構想と、そういう動きとも巧く連携はとっていけるのじゃないか
- 特に政府の方からのこの補正予算と言うのは一回こっきりだが、政府の役割としても色々あり、一つとしては、政策を介した新規産業の創出のような役割があると思う
- 今回、コンテンツ市場で正規に流通していくような市場をどうやって大きくしていくかというような形の時に、シードマネーみたいな形でひとつは政府がそれに対して援助し
- また権利団体の方から出てきたような構想に対して、それがちゃんと機能するのかということを検証していくことも必要だと思う
- だから、そのような形で、政府の補正予算と、権利団体側からの新機構の構想とうまくドッキングして、今後進んで行けばよいのではないかと私は思っている
- そしてもう一つは、先ほど寺島さんが指摘していたが、この補正予算でついているコンテンツ制作・流通の促進に対する補助について
- よく新聞の報道等でも、今回の補正に関して色々と報道されている内容を見ている中で、やっぱりバラマキじゃないかという批判も結構出てきている
- こういう批判に対してバラマキではないのだという形で、この補正予算の使い方について、証明していくことが重要だと思う
- 特にこれは一回こっきりのもので、使ってしまえばそれでおしまいで、後は何も残ったものが無いというのであれば、まさにそれはバラマキの結果だったという形になると思う
- これを一つの契機にしてですね、今後継続的に何かやっていけるような、この補正予算をうまく使って、継続的な活動ができてくるように、一つのトリガーにできるように、そういう仕組みなり基準なりを作っていくことが非常に大事なのではないか
- バラマキとして批判されないような形を今後、どういう仕掛けで作っていくかが重要なのではないかと考えている
浅野委員からの意見は以上でした。次に指名されたのは河村委員 (主婦連) で、その発言内容は次のようなものでした。
- 「地域発ソフトパワー発信・活用の強化」という資料1に対してだと、「地域の放送局および番組制作会社支援」とある
- 寺島さんの話を聞いても、これまでのデジコンでの色々な話を聞いていても、制作会社に対する支援というのはとても良い話ではないかなというふうに聞いている
- 色々な方が仰ったことの中から、色々感じることはある
- その中で、椎名さんが仰った対価の還元の本質、その本質は何を指しているのか
- 私と、もしかしたら、ぴったり合っていないのかもしれないが、私が思う対価の還元の本質というのは、まずは制作した時に、制作した人や出演した人に払われる対価と言うのが本質中の本質ではないかなと思う
- そこに消費者が何か関わっているかというと、放送に関して言えば無料広告放送な訳でスポンサーの会社の商品を買うことの中に入っている訳で、そこに消費者は直接関わっていないのかと感じている
- なるべく、制作した方に正当な対価がいって、質が高い番組が出ることが望ましいと思う
- それで不正流通のところに話が行くと、ちょっと頭がまとまっていないかもしれないが、対価の還元という話が出る時に、例えば二次利用が豊かに行われているにも関わらず対価が行かないのであればそれは大問題だと思う
- しかし、まずビジネスが産まれていないことが問題だと言われているように、対価が発生しているのに払われていないような問題ではないのだと認識している
- そこで、豊かな二次利用となると、無料の違法にアップロードされたものがネット上にあるから、被害妄想かもしれないが、お金を払ってまで見ないとまるで私に向かって言われているように感じる
- そこに関しては完全に違法行為の範疇の話で、違法コピーの話などになるとダビング10の時の応酬が頭に浮かぶ
- これは私が間違っていたら指摘して頂きたいのだが、おそらくこの不正にアップロードされているものというのは、コピーワンスによって録られたものや、ダビング10になって録られたデジタル放送のデジタルコピーではないのだろうと私は理解している
- それなのに散々、私的に行う行為がどれだけ悪影響を与えているかということが言われ続け、大変な思いをしながら話し合いを続けてダビング10になって
- かといってダビング10の中から不正アップロードされている訳ではない
- それなのに、その機械、仕組みを買う為の金を消費者が払い、エンフォースメントするための仕組みを丸ごとコストとして入ったものを払い、それを押し付けられている
- 制作会社にお金がいかないことや、不正に流通しているということ、それらがグルグルと回ってだからビジネスができないという話をずっと聞かされているが
- 普通の人々にそういったツケが押し付けられている
- 暗に椎名さんが主張されたかったと思われる、他省庁で話し合われているような、消費者が私的にやる行為に対して何か対価のようなものが入っているというのかと思うと、すごく複雑な思いがする
- まずは、対価が生まれるべきビジネスを作って頂きたい
- それは消費者の役目ではないが、制作会社の方が言うように、制作会社に金が正当に渡り、権利も残り、どんどん活用できる市場のようなものを作って頂きたい
- 消費者は対価に値する質の高いものがあり、それがリーズナブルな、納得できる価格であれば、ごく普通の大多数の善良な国民は、必ず対価を支払って利用すると思う
- それが無い状態で、グルグルと違法なもので作れないと回りまわって、そのツケが一番ものを言えない人の所に皺寄せが行くことが納得できないと思いつつ聞いていた
河村委員からの意見は以上でした。次に指名されたのは中村主査代理 (慶応大学 / 取引市場 WG 主査) で、その発言内容は次のようなものでした。
- こうした経済状況の中で、だからこそ、放送あるいはコンテンツの民間サイドでの動きが様々に出てきている
- 民間の発意が重要だと一貫して主張してきた訳だが、今日の資料2にあるような機構の動きというのもその典型かと思う
- これはこの場での議論が一つの形になってきたと私は認識していて、関係者の皆の努力を妥とするところで、こうした動きを後押ししていくのが、今求められている政策であり、政策のモデルであろうと考える
- また同時に、ここに来てコンテンツだけではなくて、例えばデジタルサイネージであるとか、マルチメディア放送のような、新しいメディアを作っていこうという動きも目立つ
- ソフト・ハード両面での民間サイドでの動きが高まってきているという所だろう
- そうして今回の経済対策ということで、こうした動きを後押しするものだということになるのだろう
- 今回の経済対策の措置にはこうしたコンテンツへの手当て以外にも、メディアを開発したり整備したりするところにも措置がされているので、それを十分に活用して行きたいと考えている
- 今回の、15兆円規模の経済対策だが、バラマキ批判はあるけれど、私はちゃんとバラマクのであればバラマケば良いと思っている
- そうではなくて、効果が判らない基金に死蔵されたり、貯蓄に回ってしまうということがあれば困る
- そうではなくきちんと有望な産業、有望な文化のところに今回集中的に投下するという姿勢が大事だろうと思う
- これは言葉を変えれば、本来構造不況業種を救うということでは無くて、成長産業に集中的に投下していくということが求められる措置だろう
- そういう面での実効ある効果を産んでいくように引き続き知恵を絞りたいと思う
- あの時の資金でこうした成果が産まれたと言えるような、知恵・努力を続けていきたいと思う
中村主査代理からの意見は以上でした。以上で村井主査からの指名は一巡し、当初予定の終了時間もせまりつつあったのですが、椎名委員が発言を求め、次のような内容の意見を述べました。
- 対価の還元について、河村委員から指名があったので
- あくまでも、第四次答申で言われている対価の還元というのは、コピーワンスからダビング10への緩和というものをどう考えるか、そこでの私的複製の対価の還元を言っていたと思う
- 河村委員の主張の通り、本質的な対価の還元ということになると非常に広義の意味を持つと思うが、ここで宿題になっている、あくまでも私的なエリアで複製が行われることの対価の還元、それにからめて補償金制度の話とか多々話があった
- 承知のとおり、ダビング10の環境下での複製については補償金の徴収に協力する意思がないと表明されているメーカも出てきたということで、そこの対価の還元に関して言うと、いっそう厳しい状況を迎えている
- その中で、そうした対価の還元をどう考えていくのかというのが、この検討委員会の宿題になっているのではないか
- その点だけ、一言申し上げておく
以上が椎名委員からの補足意見でした。ここで追加発言を求める人もなくなり、村井主査から次のような内容のまとめが行われました。
- 今タイミングとしては答申のとりまとめという時期なので、この取引市場というテーマに関しても、そうした所にいく必要があるということで、今日議論して頂いた
- 大きな議論の流れの中で、ここの検討委員会で権利者団体の方に、そういった、解決に向けた具体的な動きということをお願いしたということになっているかもしれないが
- その成果が見える形になったということで、報告された、意見を頂いたのだと思う
- 従って、そうしたことを大変良いことだと思うし、それも取りまとめの中に含ませていくということで進める必要があるかなと思っている
- その他に、色々な補正予算に関しての具体的な、しっかりとした活かし方という意見を頂いたと思う
- 大変重要な、この時期に特に重要なことだと思うので、今、中村委員からの話があったようなことで進めていくということを期待するものだということだと思う
- そうした中で事務局には、今の、今日の意見を踏まえて答申に向けた骨子案を策定する作業に取り掛かって頂きたいとお願いしたい
- 今日は議論をしている時間があまりとれなかったが、意見があれば、事務局の方に寄せて頂きたい
以上が村井主査からのまとめでした。最後に、事務局の小笠原課長から次回以降のスケジュールについて、コンテンツ保護とエンフォースメントに関しての議論を予定して、5 月の最終週で日程調整中との、また取引市場の骨子については6月に入ってから日程調整をしたいとの連絡があり、今回の会合は終了しました。
◆◇◆
今回はあまりアレな発言が多くなかったので、さほど感想はありません。強いて言えば寺島オブザーバの意見が少し自己利益誘導で露骨が過ぎるかなと感じたぐらいでしょうか。基本的には制作会社に同情しているのですが、それも程度問題であまり繰り返されるとちと違うような気がしてきてしまいます。
5月21日(木) tsselect ver. 0.1.7 [この記事]
tsselect を ver. 0.1.7 に更新しました。ダウンロードは [URI] から可能です。更新内容はバグ修正のみで、その内容は以下のものです。
- TS 再構成時に、pid として範囲外の値を指定した場合に例外を発生させるバグを修正
バグレポートを送ってくれた方に感謝します。また、今回から readme.txt に再配布やソースコードの利用に関しての条件を追加しました。
尚、旧バージョンが必要な場合は [0.1.6] や [0.1.5] から取得してください。バージョン番号を付与していないアーカイブはその時点での最新版となっています。
5月22日(金) swf.vfp ver. 0.1.3 [この記事]
swf.vfp を ver. 0.1.3 に更新しました。ダウンロードは [URI] から可能です。更新内容はバグ修正のみで、その内容は以下のものです。
- マルチバイト文字列がファイルパスで使われているものが開けなかったバグを修正
あまり更新するつもりはなかったのですが、直せる範囲の不具合報告があったので、修正してみました。
5月24日(日) NHK 技研公開 2009 [この記事]
最終日に眺めてきました。とりあえず、UHDTV (7680x4320) でのリアルタイム伝送実験は [URI] は解像度こそ素晴らしいものの、現状ではリアルタイムエンコーダの制約と思われる動きの制限が大きそう (一応ズームイン/アウトを見せていたものの、非常に遅かった) なのが、どうなのかなと思うところ。オフラインエンコードされたデータ (他の 2ch) はそこそこ動きのあるデータだったので、ビットレート的には 100 Mbps あれば何とかなるのかもしれないけれど。
後はストリームのエンコード形式がもうちっとどうにかならんかなと。フレームインタリーブでストリームを 2 つに分けて、さらに画面内を分割というのは受信機アプリケーションの実装負荷が高いんじゃないのかなと。まー CABAC 復号を間に合わすために仕方なくという面が大きいのだろうけれども。
地下でやっていた 103 インチ PDP (3840x2160) [URI] を見る限りでは本当に 8K4K が必要なのかな (4K2K で十分なのじゃないのか) と思ったりもする訳だけれども、金の余ってる所が物量に物を言わせた研究を進めるのは正義という訳で実用性など無視して是非突っ走っていただきたい。
103 インチの展示の説明をしていた方に聞いたかぎりでは、200 インチクラスでは流石に住宅に入らないだろうという認識ではいるらしいのだけど、UHDTV で目標としてる水平視角 100〜120 度を実現するには 100 インチクラスだと 1.3〜0.9m 前後の距離で見る想定になるわけで。うーん、パナソニック電工が壁面部材として 200 インチ級 PDP パネルを作ったりしない限り 8K4K が必要になる日は遠いような。
後は見逃す訳にはいかない「ネットワークを利用した放送サービスのための暗号・認証技術」の展示 [URI] も説明を聴いてきました。基本的には現行デジタル放送への適用は考えていなくて、あくまでもネットワークサービスを想定とのこと。MULTI2 のような共通鍵方式ではなく公開鍵 (非対称鍵) 方式をストリーム暗号に採用して、署名等を行うことで正規の放送局かの認証をおこなったり、視聴者側で一時鍵を作成できるようにして他の受信機でも購入サービスを視聴できるようにしようといったことを検討しているとのこと。
「現在の放送では B-CAS に CAS だけではなくて、コピー制御のエンフォースメントの役割まで負わされてるけれど、このシステムでもエンフォースメントを視野に入れてたりするのだろうか」と質問してみたところ「今のところエンフォースメントまでは考えていないけれど、実際に使われるまでにはそういったことも考えておく必要があるだろう」とのこと。
他に面白いなと思った展示は風カメラ [URI] とか 音声自動認識 [URI] とか。インテグラル立体テレビ [URI] は去年よりも解像度が上がっているものの、実用化するにはまだまだ道のりが通そうだなと。
5月29日(金) デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会 (第53回) [この記事]
26 日に開催された第53回の傍聴レポートです。できれば一日遅れぐらいで出したかったのですが、なかなか難しいものですね。
今回の議題は前回の予告どおりコンテンツ保護のエンフォースメント関連で、ソフトウェア方式の検討状況の進捗についての報告と、それを受けての意見交換 (大幅な脱線を含みつつ) という内容でした。議事自体は次の形で進みました。
- 村井主査からの開会の挨拶
- 小笠原課長 (総務省 コンテンツ振興課) からの配布資料確認
- 村井主査と小笠原課長からの、地デジ利活用中間答申に関しての説明
- 引き続き村井主査から技術検討 WG での検討経緯説明
- 小笠原課長から、資料を用いた詳細説明
- 以上を受けての意見交換
- 村井主査からのまとめ
- 小笠原課長からの次回以降のスケジュールに関しての連絡
- 村井主査からの閉会の挨拶
定型文部分の開会挨拶と資料確認は飛ばしますが、最初の「地上デジタル放送の利活用の在り方と普及に向けて行政の果たすべき役割 第六次中間答申」[URI] に関する説明については少し紹介しておきます。
この答申は昨年 (第五次中間答申) まではこのデジコン委の答申とセットで提出されていたのですが、そろそろアナログ停波も二年後に迫ってきたということで、地上デジタルの利活用の答申は前倒しして出すようにしたとの説明がなされました。なぜこのような説明が行われたかですが、情報通信審議会席上で、高橋委員から「片方だけ出てくるってどういうこと」という質問が出たらしく、他の委員の方の混乱を避ける意味で「デジコン委の答申は例年通り 7 月の提出を予定している」との説明がこの席上でなされました。
さて、村井主査の技術検討 WG での検討経緯説明から詳細に追いかけていくことにします。村井主査からの説明は次のような内容のものでした。
- 前々回の第51回で、技術検討ワーキンググループの議論をして頂いた際に、委員の方から色々な発言・意見を頂いた
- 新方式に関して、早期取り纏めに向けて強い期待があり、そういうことで議論して頂いたのだと思う
- その後、技術ワーキングを二回開催し、きめ細かに皆の意見を考えるということで検討を進めている
- そういう意味では、前回、新方式の早期取りまとめへの期待感が示されている以上、それに対してどう応えられるかということを中心に検討した
- やはり地デジの円滑な移行ということを大きな目的としているということは、大変重要なところだろう
- つまり、これは地デジに移行する時、この新方式というのがどう貢献できるかということだと思う
- 以上が前提としている点になる
- 新方式の早期導入に向けて、必要性とか基本的な考え方、これはもう大体関係者の間で確認が取れている
- 前回、委員会でも指摘頂いた訳だが、地上デジタル放送というのは、大変多くの消費者に大きな影響が出る
- 従って、このスケジュール感やプロセスの透明性、こうしたものが重要だと、委員会でも繰り返し指摘を頂いていると思っている
- そこが大事だということで、基本的にこのスケジュール感と検討のプロセスを明確にしていくのが大変重要だということで、検討を進めてきた
- 新方式がどういうものであるのかは前回報告した通りで、そうした大きな技術的方向性がある
- それに対しての実現するまでのプロセスということで、二つの点を本日説明させて頂きたいと思う
- 一つは、導入までに関係者が実施しておくべきことが何かということで、言わば TODO リストを、何を解決すれば実現できるのか、こういうことを明確にした
- そのプロセスとやらなければいけないこと、これは二つ重要なことがあると思うが、その相互関係
- つまり TODO リストの相互関係と、どういう課題があるか、具体的にどの程度の時間がかかり、どのくらいのコストがかかるのか
- これが判らないとこのプロセスが定義できず、これに対しての具体的な検討にとりかかる為にも TODO リストが明確にならなければならない
- その前提となる TODO リストを明確にしたということで、技術ワーキングで整理された結果を報告して、皆の議論をお願いしたい
- 本日の位置づけは技術ワーキンググループの検討状況報告の四回目となる
- ワーキンググループとして、時間・コストの具体的な数字が出るという形で終了した訳ではないが
- 今後の答申に向けて項目・TODO リスト・誰が何をする必要があるか・その前後関係や相互関係として何があるか、こういったことの理解が検討グループの中で一致してきたので、それを報告するのが本日の趣旨
- 本日は、その報告を聞いて頂いて、検討・指摘を頂いた状況を踏まえて、ワーキンググループでの議論を最終的な取りまとめに入れ込んでいくという作業に入りたいと計画している
以上が村井主査からの経緯説明の内容でした。続いて、小笠原課長から配布資料を参照しながらの、詳細説明が行われました。説明の内容は次のようなものでした。
- 前回出した資料と比べてそれほど情報が追加されてる訳ではないが、追加された所を中心に説明する
- まず、1 ページの最初の二行は、村井先生が言われた皆さんのコンセンサスを明記したものになっている
- 地上デジタル放送の円滑な移行に向けてという目的の下では、利用者に対して B-CAS と並ぶ新たな選択肢の具体化、その導入を図る必要がある
- これは概ね皆さんの間での、少なくとも技術ワーキングのメンバーの方々の間ではコンセンサスである
- ワーキングで、再三、先生から確認を頂いたところ、皆さん基本的に相違はないということだったので、そこの所を明記させて頂いた
- そして、早期の具体化・導入ということに向けて基本的な考え方は前回と変わっていない
- まずこの並ぶ新たな選択肢とは何かということだが
- いわゆるソフトウェア方式等によって、コンテンツ保護に係るルールを順守する者全てに対して「コンテンツ保護に係る技術使用の開示を制限しない」と、これをいわゆるソフトウェア方式と呼んできた訳だが、それを検討する、それが新たに追加される選択肢の概要となっている
- そして、基幹放送という性質を鑑みて善意の視聴者に影響を与えるといった、そういった運用上のオペレーションは行わない
- 当然ながらこれはコンテンツ保護の方式なので、鍵の発行を含むライセンスの発行管理機関、これは当然必要になってくる
- この組織運営上の透明性ということは非常に重要である
- また技術と契約ということでエンフォースメントしようとした場合、契約の外に居る人、エンフォースメントで対応できない場合にどう対処するか、これが問題になる
- その契約に入らない人たちに対して制度的な対応をどう検討していくかということは、まずは技術と契約の範囲内でどう対処するか早期明確化を図り、その後に、新方式の運用開始までには、現行制度の実効性の検証も含めて補完的制度の要否を含めて検討を進める
- 以上の基本的な考え方については以前と変わっていない
- 二枚目だが、これも大きくは変わっていない
- ただし、課題という所と技術ワーキングでの検討状況というところで、後の資料との相関関係を明らかにしている
- まず課題というところについて、これまで技術ワーキングで何を検討してきたか
- その課題の所にあるとおり、関係者間で目的やスキームに応じた技術方式の在り方、それから関係者の役割や役割に応じた責任について、技術方式とそれぞれの責任・役割分担といったことについて検討してきた
- 右側に (1) (2) で分けて書いてあるが、技術ワーキングでの基本的な考え方は前ページで説明したとおり
- さらに、技術方式が前提としておくべき事項、あるいは、関係者で契約を具体的に考える時にその在り方の前提として考える事項
- それを次の三ページに、技術方式の前提や契約の前提について、どう考えるべきかということについて、別途整理した
- さらに、今まで整理してきた三ページの事項に加えて、具体的に新方式を導入していくと考えた場合
- まさに村井先生の説明した TODO リストを、今後さらに検討・整理すべき事項として別添4ページの所に整理をさせて頂いている
- 3ページ・4ページが前回出していなかった資料で、前回口頭で説明したところを改めて確認している
- 先生から TODO リストとリストの相互関係、そのリスト上で課題となっていることの説明を中心にと話があったので、4ページから説明をさせて頂く
- ちなみに4ページに掲げられている導入に向けて必要と考えられる事項ということの前後関係・相互関係を念頭に置いて記載したのが5ページになる
- まずは4ページの所について説明をさせて頂く
- 先ほど説明したように、技術ワーキングで検討していることのひとつとしてコンテンツ保護の技術方式の在り方として検討してきた訳だが
- まず、既に整理された事項として
- ここでは仕様開示方式、いわゆるソフトウェア方式について、最低限必要な要件はなんであるか
- これは概ね、この委員会で整理できる範囲においては、ほぼ整理をし尽くしたということかと思う
- その結果は3ページに記載しているが、これは後ほど説明する
- この要件が整理できたとして、4ページの右肩を見て頂くと、まずそういった要件を踏まえて、具体的な技術方式とその技術をどう運用していくかに関して、これは関係者間でやって頂く必要がある
- その方式の議論をしていく際に、縷々透明性というキーワードが出てきた
- こういった具体的な技術方式と運用規定を策定していくにあたって、そのプロセスにどうやって透明性を確保していくか
- この技術方式および運用規定を策定していくにあたって、関係者間で念頭に置いて頂ければと思う事項である
- 次にコンテンツ保護の技術方式と並んで、何度も話題に出てきたライセンスの発行機関、具体的には暗号の鍵を管理して発行する機関ということが必要とされる訳だが
- 前回、この発行管理機関がどんな機能と役割を担うべきであるかについて、前回も出した資料ではあるが、次の六ページで概ね整理済みと言って良いかと思う
- ただし具体的な導入に向けて、技術方式・運用規定、そういったことを踏まえて、具体的にその機関がどういう設備を作っていくべきか
- 当然ながらその仕様書を策定して、設備を発注していくという必要がある
- それから技術・運用規定が策定されることが必要と説明したが、技術がどう運用されていくかも踏まえて、ライセンス発行・管理機関がどういう契約を結んでいくのか
- これも発行機関を設立する方々の間で、当然ながら整理して頂く必要がある
- したがって、今説明したように技術方式と契約条件について、委員会で可能な範囲では概ね整理された
- さらにこれから先に進んでいくにあたっては
- 具体的な技術方式・運用規定を作り
- さらにライセンス発行機関ということが設立され
- その設立されたところが設備を発注し
- 自ら結ぶ契約条件を策定・整備していく
- そういう作業がさらにその先に必要になる
- ちなみに、技術方式とか発行管理機関ということが整えば、放送局の送信側の設備を変えていく、あるいは受信機を新たに開発していくということが見えてくる
- そうなると、その設備改修を行うにはどういう条件が整う必要があり
- さらに放送局での送信機設備改修をおこなう際にどれぐらいの時間・コストが必要で
- また受信機の開発をする場合に、それが開発・製造され、さらに市場に流通されていくまでにはどれぐらいの時間がかかるか
- そういったことが具体的に課題として見えてくるということである
- これらの前後関係を書いたのが5ページになる
- まずは技術ワーキングで整理した技術・運用・契約前提条件を念頭においたうえで関係者が技術方式・運用規定の策定ということを行って頂く必要がある
- その後、技術方式・運用規定ということを踏まえて、ライセンス管理・発行機関の設立に向けた準備ということが当然行われ
- その準備を経て、ライセンス管理・発行機関が関係者の方々によって設立をされる
- この管理機関が設立をされるて、鍵管理の設備ということが整い、この管理機関が結ぶ契約ということも具体化されると、前提条件を念頭においたうえで関係者が技術方式・運用規定の策定ということを行って頂く必要がある
- その後、技術方式・運用規定ということを踏まえて、ライセンス管理・発行機関の設立に向けた準備ということが当然行われ
- その準備を経て、ライセンス管理・発行機関が関係者の方々によって設立をされる
- この管理機関が設立をされて
- 鍵管理の設備ということが整い
- この管理機関が結ぶ契約ということも具体化され
- 放送局の送信設備の改修や、具体的な受信機の開発製造ということが可能になり
- 両者が整うと、運用開始というところに辿りつける
- 先ほど先生が言われたこととの関係で言えば、技術方式・運用規定の作成作業ということについて、当然ながら一定の作業を要する
- しかしながら、その時間・コストの圧縮のやり方というのは技術ワーキングでも検討の余地が残っている
- 一からまったく新しいものを作るのか、あるいはある程度既存の資産があるならば、多少はこの技術方式・運用規定の策定作業にかかる時間・コストは圧縮できるのではないか
- それからライセンスの発行管理機関が仮に設立出来たとして、放送局設備を改修するにせよ、受信機を開発・製造にするにせよ、これは時間が一定期間かかるし、当然コストも伴う
- それを如何に圧縮するかの工夫と議論の余地はある
- そういった作業が間に挟まり初めて運用開始に至る、これは間違いないところかと思う
- そこの所は最初のページに書いてあった文章の繰り返しになるが
- 今後の進め方として、先生が言われたように
- 新方式の早期運用開始は、2011年7月24日という期日が定められた地上デジタル放送への移行の円滑化ということに可能な限り貢献するということで、どなたも異論が無いと理解をしている
- まずは、技術と契約によるエンフォースメントによって対処できる範囲の検討を進め、新方式の内容の早期明確化を図る
- まずはこの技術方式・運用規定ということを具体化かつ確定するということが最初に来るということかと思う
- その後、運用開始までに様々なステップがある訳だが、適切な場で、技術と契約のエンフォースメント、そこに入らない人・設備・物、そういったモノへの対応のあり方について、補完的制度の要否を含めて検討を開始し進める
- そうしたプロセスが並行して動くというイメージかと思う
- 今の、4ページに示したことについて、前後関係を説明すると大体こういった TODO リストということになる
- ただし、このリストの項目それぞれに、必ず時間とコストが伴うので、そこを如何にして効率的にやっていくかについて技術ワーキングで若干検討の余地があると考えられている
- 先ほどから何回か出ている、この技術方式・運用規定でどういったことを最低限念頭に置いておくべきかということについて、3ページに整理させて頂いた
- 前の委員会の場で、口頭で申し上げた所ではあるが、簡単に整理頂いたことについて紹介する
- まず、新方式の技術的な前提条件というところからいくつかピックアップする
- 目的としているのは地上デジタル放送のコンテンツ保護の為のエンフォースメントである
- 当然ながら受信機ユーザの利便性が確保される
- また4番にある通り、既に市場に出回っている受信機との互換性が確保される
- それから5番目にあるとおり、今の B-CAS とは独立した選択肢として追加される方式である
- また6番目にあるとおり、なるべく早期に仕様の策定・送信機の改修・受信機の市場投入、そうしたことを可能にする簡便な運用ができる
- セキュリティレベルについては、専門知識がある技術者でも相当な労力を使わないと、迂回・改竄はできない
- まあ技術条件としては大体そのように整理がされている
- それから契約ということに関して
- まずライセンサが透明性・公平性を確保することが必要であろう
- それに加えて留意すべき事項として、視聴者に悪影響を与える技術的な対処は難しいという前提で契約の内容は考えるべきであろう
- あるいは、メーカにとって、色々な義務が過大とならないという配慮が必要である
- 例えば、過失によって、何らかの契約に定められた義務の違反状態が現出したとしても、何らかの改善を行うような努力目標ということに留めるべき
- わざと違反行為を行うような場合とは、分けて考えるべきではないか
- 大体、そういった大枠ではあるが、委員会で関係者が集まってコンセンサスを得ておくレベルとしては、このへんの所なのではないかと整理がされている
- 技術ワーキングにおいて、新方式の早期運用開始ということを目指して、何を TODO としてやっていかなければならないか、その前後関係はどのようなものかということについてが5ページの所になる
- 運用開始の所は、2011年7月24日の地上デジタル放送の移行に貢献するということを前提として検討していくべきということについて概ねコンセンサスが得られている
- 個々の項目毎に時間とコストはある程度要するということが見えているので、さらにそれをどのように工夫して効率化していくかについて議論が残っている
小笠原課長からの説明は以上でした。以上の説明を受けて、村井主査から次のような内容の補足説明と意見の要請が行われました。
- 技術検討ワーキンググループの中での議論というのは、かなり技術的にリアリティのある議論をしている
- その検討の結果をできるだけ判り易い形・表現にするということで、今説明して頂いた資料ができているという背景がある
- しかしながら、そういう意味でも、まだまだ判りにくいところはあると思う
- 今説明して頂いたように TODO や5ページの前後関係、つまり、ライセンス発行・管理機関の機能が決まれば、送信と受信側の技術開発にかかれて、その両方揃ったところで運用ができるという相互関係がある
- 目標の日付があれば、そこからの逆算とこう言うことで、考えていかなければいけない
- そのためのコスト見積もりと時間の推定、これも独立事象ではないので、時間とコストをどうバランスするかということを含めて検討を続けていけるというところまで来ている
- そういう意味で、前回頂いた課題の整理ということで、進捗があったと私は理解している
- しかしながら、詰めをしていくという作業が必要であって、もちろんその検討には入って頂いているという状況に前回からすでにあるが、それも含めて報告させて頂いた
- 中間答申という視点で言うと、残された時間の中で、できる限り技術ワーキングの中で話をしていくということだと思う
- そういう意味で、今日頂く意見は大変貴重になってくると思う
- 是非、活発な意見を伺いたい
- ということで、私からの検討状況の報告は以上だが、皆様の意見を伺いたい
- よろしくお願いする
村井主査からの解説は以上でした。この後、村井主査から指名する形での意見交換が行われていきました。最初に指名されたのは河村委員 (主婦連) で、その発言内容は次のようなものでした。
- 辛口で行くべきか、素晴らしいと言うべきか
- 言葉だけ聞いていると、何も問題がないというような感じがする
- その通りであるならば、もう「B-CAS と並ぶ新たな選択肢を拡大することが望ましく、可能な限り、早期に選択肢の具体化と、その導入を図る必要がある」ということがワーキングでコンセンサスがあって一致しているということであれば、後は前に進むしかない
- 私から見るとなんだかとても遅々としているが、そうではないと
- 前々回の時に、とても大変なことをやっていると説明を受けたし
- 皆やる気満々であるという表現を頂いて、私はその言葉が耳に残っている
- 後は、4ページ5ページのあたりの、TODO リストが出てきたけれど、スケジュール・時間が埋め込まれていないので、それをやってほしいということぐらいしか言い様がない
- しかしよく読むと4ページで、一番上のブルーの所に「技術方式と運用規定の策定」と書いてあり「透明性を確保した方式決定プロセスの検討」とあって、この辺が判りづらく感じた
- 率直に意見を言えば、皆コンセンサスが得られていると言っても、非常に喜ばしいと受け止めている方と、そうではない方がいるのかもしれない
- しつこいようだが、この問題と言うのは 2011年に停波されると予定されている訳で国民全員が買い替えなければいけない
- しかも生活困窮者には税金を投入してまで普及を図る、そういう事柄である
- どう考えても、税金を投入してまで普及させるものということは、通常の単なるマーケットの論理だけで進める事柄ではないと明らかなのだと思う
- そもそも全員が 2011 年までに買い替えなければならないものが全て B-CAS 方式でなければならないということがとても、問題だと私は思っている
- 是非、そのスケジュール感を早く、時間を入れて、いつまでに何ができるということを早く示して頂いて
- チューナが配られる条件になっている生活保護の世帯や障碍者のいる市町村民税非課税の世帯、それと同じ生活レベルを、保護を受けずに全額免除の条件にもならずに、同等かそれ以下の生活レベルで生活している方が沢山日本に居る
- 是非そうした方達の為にも、透明な決定プロセスを経て透明な機関が管理し、安価で、沢山の選択肢、つまりごくシンプルなものから高機能なものまでが出せるようになる
- それが早く世の中に出てくることを望んでいる
- しつこく付け加えさせて頂くと、そもそも録画機を買うこともできない人が、コンテンツ保護というものの為に、たとえ僅かであったとしてもコストを負担すること自体が、本当に間違っているとずっと思い続けている
- それは次の段階で言い続けたいと思うが、とりあえずは B-CAS 一社が管理しているとか、これ以外の方式が作れないという現状を乗り越えて、次の段階に行くことを強く、強く望んでいる
河村委員からの意見は以上でした。次に指名されたのは椎名委員 (CPRA) で、その発言内容は次のようなものでした。
- いつも同じような話を聞いているような気がする
- 今回は枚数も増えたし、きっと中身は変わっているのだろう
- 前回の資料は覚えていないので、正確なところは判らない
- 権利者としては、前々から再三主張している通り、どういうやり方を採用するのだとしても、コンテンツ保護に関しては、きちんとやって頂きたい
- とりわけ、コンテンツの不法な利用に対する、事前の抑止策、それに加えて、事後の不法利用に対する規制の厳格化、そういうものも含めて、システム全体として堅牢で実効性のあるものでなければならないと思っている
- 一方で、これも繰り返し言っていることだが、ユーザの利便性を少しでも向上させるべきということについて、その立場も変わっていない
- 今日説明頂いたプロセスについては、結論としては賛成である
- ただし、一言だけ付け加える
- ワーキンググループの報告というのは、いつも村井先生から報告頂いていて、生でどのような議論が行われているかというのはよく判らない
- 少なくとも、B-CAS の改善と言う、皆の利益になることである
- 少なくともシステム的にもやや、ヤレて来てしまっていて、そのコンテンツ保護上も問題があって、B-CAS の負担という面でも消費者的に問題がある
- そういったものを改善するという、皆の利益になることが、なぜこうもすっきり決まらないのかなという素朴な疑問を持たざるを得ない
- それは、我々親会の委員のみならず、世間からもこの問題にいつまでかかっているのだと、指弾されるようなことがないように、さくさくと進めて頂くべき潮時に来ているのではないかなと思う
椎名委員からの意見は以上でした。次に指名されたのは堀委員 (音事協 / ホリプロ) で、その発言内容は次のようなものでした。
- 技術のことは門外漢なので、どうしても文系の理論になってしまう
- 今、椎名さんが発言されたことと、僕が今まで言い続けてきたこと
- 技術的に何とか権利の保護ができるのならばやってもらうのが当たり前なのだと
- そのあと事後の罰則も、違法ではないにしろ脱法が許されているような現状がある以上、法律上もそういう抑止と、罰則の強化をやってほしいという
- これはパラでやってほしいと一貫して言い続けてきている
- 便利になって選択肢が増えて、安くなってということに元より反対する理由も思い浮かばない
- 私どもとしては、コンテンツのデジタル化以降のその権利の保護というのは国益に資することなのだとかねがね言い続けている
- 何とか技術でカバーできるものであれば、どんな方式でも特段意見をというような立場にはないので、お願いする
- ネット時代・デジタル時代なので、技術が 100% だとは思ってはいない
- 例えば、さっきここ (総務省) の地下の本屋で買ってきた、「DVDコピー2009 -簡単無料でDVDビデオバックアップ-」これがここの地下で売っている
- これには「複製禁止と書いてあるもの、コピー禁止と書いてあるものは、それは絶対にコピーしてはいけない」と言いながら、コピープロテクトの方式を全部解説して「市販の DVD 一層型のビデオはお笑いのビデオが多い」と、ちゃんと「人志松本のすべらない話」のパッケージを入れて「この場合にはこのやり方が良いよ」と解説している本が 10 冊ぐらい下で売っているので、是非、興味がある方は
- 技術的なバックアップなどというのは、所詮こんなものなのだ
- 決してこれは海賊業者が買う本ではなくて、どこの本屋にも売っている本
- ダビング10のプロテクトを除去するやり方も、もう既に解説している本も出ている
- でこれで、実は海賊業者さんも困っている状態で、海賊版パッケージを出しても売れなくなっている
- タダで見せてしまう情報漏洩家という人が居るらしく、情報漏洩収集家という人がいる
- これは利益を度外視して、次々とネット上にアップしていく、次々とそれを収集する人が居る
- だから何か利益があるのかというと(そんなものはなくて)、海賊業者さんもこれは困っている
- 海賊業者さんはそれで泣き寝入りするほどやさしく無いので、海外サーバに無料でコンテンツを見れるというサイトをオープンし、そこをクリックすると法外な請求書がメールで送られてくるというシステムに変わりつつある
- 全ての人がこれにさらされている
- コンピュータの中にある Winny のソフトでスクリーニングの調査をやると、2万件ぐらいやると2千人ぐらいがWinnyを使っていて、そのうちの 5% が映像をアップしている
- で、罰則がなく、技術的に問題が無く、誰かから言われない限りは使い続けるという人が 1 割居ると
- そういう時に良く、コピーができて何がいけないのだと、何故コピー保護技術を使うのだという話が出た時に
- じゃあコンテンツサイドの逸失利益を出してくれとか、よく言われるのだけれども、これはナンセンスで
- 逸失利益を出すと言うことは文化・芸術・エンターティメントでは無理だ
- ゴッホの絵を潰してしまったとしても、絵具代と紙代だけでいいですという人は居ない
- できることは、じゃあ事前でできることを最大限努力して少しでも面倒くさくさせてやると
- 面倒くさくなった後でも、それでもまだやるという人には、それなりのお灸が据えられるようにする
- これを広く一般の人たちにも理解して貰わなければ、このいたちごっこはもう世界的な規模で延々と繋がっていく
- 情報漏洩家の人が次々と YouTube に上げれば、当然 YouTube が儲かるだけで、逸失利益があるわけでも、損害があるわけでもなくて、ただ外国が儲かる
- そうすると本当に空洞化してしまいますよということの為にも、こういう保護技術とか、必ず罰則というのはパラレルで必要なのだと
- これは最初の時から言い続けていることで、改めて、偶々今日、下で買ってきてしまったものだから、こういうものを例に出すことで、是非身近感じて頂きたいと思う
堀委員からの発言は以上でした。次に指名されたのは藤沢委員 (NHK) で、その発言内容は次のようなものでした。
- 前々回は非常に厳しいご意見が多くて、泣き言ばかり言ってしまった
- 今日は比較的皆優しい
- 今、出されていた意見に対して少し補足的なことを言わせて頂きたい
- この資料の1ページ目、あるいは3ページ目の整理事項に書かれてあるが
- 将に、今発言されたような、コンテンツ保護をしっかりやるということと
- ユーザの利便性・低コスト化ということを実現していくかということは、技術・契約のエンフォースメントで行おうとすると、どうしても相反条件になる
- 今回の取りまとめの特徴としては、出来る限りユーザの利便性を損なわないようにする
- 或いは、メーカさん等が受け入れやすくすると、そういう考え方で技術契約のエンフォースメントを考えるという前提に立ったうえで
- この親会の場でも、委員の方々の意見としてあったように
- 必ずしも技術・契約だけにとらわれることなく、制度的なことも、合わせ技で考えたらどうかという意見があったが
- 将に、その資料1ページにあるように、合わせ技で考えていくことで、より良いものにしていこうという考え方に立脚したものだと考えている
- そういう考え方の中で5ページにあるような基準で具体的に検討を進めると
- 私としては、本当に良いものができるのではないかなというふうに、高い期待をもって今後取り組んでいきたいと思う
藤沢委員からの発言は以上でした。次に指名されたのは関委員 (Dpa / フジテレビ) でその発言内容は次のようなものでした。
- 前回、藤沢さんの後で「全く同じ通り」と言いったら「それだけか」と言われてしまった
- でも今回も同じようなことになるかと思う
- 事細かに、資料に関しては説明して頂いた
- この五ページ目のプロセスに向かって、特に下の点線の中にある、今藤沢さんからもあった、制度との合わせ技、補完的とある、その合わせ技で
- 何と言っても、利便性とか技術でどうしても一生懸命に考えてしまうと相反するという側面が、技術方式をずっと作ってきた立場として、まったくその通りだなと思う所がある
- 合わせ技で、バランスの取れた方式を検討しなければいけないということを考えている
以上が関委員からの発言でした。次に指名されたのは田胡委員 (JEITA / 日立製作所) で、その発言内容は次のようなものでした。
- 私の感覚では、技術検討ワーキングでの検討はもうほぼ終わったのではないかという感覚でいる
- 河村委員が発言されたように、後はもう具体的な、民間での行動あるのみで
- 可及的速やかに、移せる段階に来たのではないかと思っている
- 受信機メーカの立場からすると、これはスクランブルに関しての新しい方式なので、運用が開始しないと、いわゆる受信機の販売ができない
- 5ページを見て頂くと、運用開始とあるが、受信機の開発と製造は当然その前にある
- 開発はできるのだが、この段階では販売はできない
- 発売したところで映らないテレビになってしまう
- 従って、運用開始日が何時になるかということが決まらないと受信機の発売ができない
- そういう観点で、スケジュール感が大切で、ここをどういう風に今後進めて、早期運用開始につなげていくか
- メーカの立場から言いえば、商品企画の自由度が向上し、いわゆる地デジの円滑な普及、選択肢の拡大が図れる方式の実現に向けて作業をしていきたいと思う
田胡委員からの発言は以上でした。ここで村井主査からの指名は一巡して、以降は希望者の発言になりました。最初に発言を希望したのは岩浪オブザーバ (インフォシティ) で、その発言内容は次のようなものでした。
- 偶にしか出席していないので、前回の技術検討から何回目なのか判らないが
- ここに書いてある結果の話は良いにしても、やはり何か具体的に出てきていないということを感じる
- 技術検討の方というのはこれは大変な作業で、今、田胡さんが大体完了したと言っていたが
- おそらく大変な苦労があったとは思うのだが、こうも何も出てこないと、何か、いらぬ腹をさぐられるといことがあるのではないかと思う
- 前回「選択肢を並べて」とひょうひょうとした事を言ってしまったが、そこまでは行かないにしても
- 100 全部出すという話ではなくても、できるところは出した方が良いのではないか
- 皆、やさしい言葉だったかもしれないが、段々じれてきているように感じる
- もう一つ、個人的には、決めることを決めて民間の商品マターの部分が多い方が、多様な製品が出てくるので良いと思っている
- しかし、後は民々の話でということで引き取ってしまうと、コンテンツの話を長年ここでずっと議論してきた以上、ここから先は民々でという訳にはいかないのではないか
- そんな感想もあるので、できるところから(情報を)出していくということが大事なのではないか
岩浪オブザーバからの発言は以上でした。次に発言を希望したのは浅野委員 (IBM) で、その発言内容は次のようなものでした。
- 私が今日聞いた印象からすると、随分進んだと感じる
- 河村委員とは少し違う印象になるかもしれないが、特に5ページの所、先生が TODO リストと呼んでいるもので
- 新方式の導入に向けて何をすべきかと、どういうステップを踏んでいくかということを、簡潔・明瞭にまとめてもらっている
- 私は随分進んだように感じるので、ワーキンググループの皆さんの努力にまずは敬意を表したい
- で、二つコメントしたいと思う
- 一つは、この5ページの資料を見ていても、新方式の導入には放送局側と端末メーカ側、各々関与しなければいけないとある
- この新しい技術方式を決めるうえにおいては、両者にとってあまり過大な負担にならないような方式というものを、コストという面からもそこは詰めてほしい
- コストがあまりにも過大になると、これは周りまわって結局は消費者に転嫁されてしまう
- 消費者が結局負担しなければいけないという観点から、やっぱりコストと言う観点は非常に重要
- やはりその辺の所もこの検討をしていくうえにおいて、配慮するべきだということを
- そこの点を強調しておきたいというところが一点
- それからもう一つ、先生は TODO リストといっている
- 確かにまあそうなのけれども、いつまでにという期限が入っていない TODO リストというのは無いのではないか
- だからこれはまだ TODO リストの半分だけだ
- ここに運用開始という目標時期を、これは少なくとも何時かということを設定しなければいけない
- その目標に向かって、ワーキンググループで関係者の間において、運用開始日をどうするかということを、是非詰めて頂きたい
- 先程の事務局の方の説明では、地デジの円滑な導入ということになると、遅くとも 2011 年の 7 月 24 日以降ではないだろうと判る
- しかしそれは遅くともということだから、ここの時期を何時にするかというところに関して、それを決めてもらわなければ TODO リストにならない
- さらに、こうしたことを進めていく上での一番最初のステップ、技術方式・運用規定の策定という一番左側の所
- これを踏まなければ次のステップに行かないということであれば、この7月の中間答申では、最低限この第一ステップぐらいの所までは、何時までにという関係者の間での合意を取ってほしい
- そうすれば、その次のステップはと言う形で進めていけるのではないか
- だから、最終目標時期は何時にして、それからさかのぼって、最初のステップは最低限、何時までにというような時期を明記した形であれば
- 先生が言うような TODO リストになると思う
- そこのところ関係者のさらなる精力的なディスカッションというのをお願いしたい
浅野委員からの発言は以上でした。次に発言を希望したのは三尾委員 (弁護士) で、その発言内容は次のようなものでした。
- 私は前々回が初めてこの委員会に出させて頂いて、これが二回目なのだが、前回は正直に言って何が問題なのか良く判らなかった
- 委員の方々の発言を聞いていていても、どこか、奥歯にものが挟まったような印象を受けた
- 私個人としては、目標としても、B-CAS と並ぶ新たな方式を導入するということで、選択肢を増やすと、
- 地デジの開始に向けてやるということで、目的としても問題ない
- 発表して頂いた内容についても、もっともだということしか思わなかった
- まあ、クエスチョンだらけの前々回だった
- 今回、何回か技術ワーキンググループの方で検討して頂いて、さらにステップアップしたものとして資料を提示して頂いたとのことなので、前々回の資料と今回どこが違うのかということを、ちょっと比較をして見た
- 私なりの印象なのだが、最初の文章、資料1の最初の文章に「可能な限り早期に」という点が入ったところが違っていると
- それから別添の 1 と 2-1、2-2 が付いたところが違うのかなと思った
- それで、別添 1 を見ても、さほど大きな変更結果は、私としてはあまりよく判らなかったというのが正直な感想
- で、別添 2-2 についても同じような印象
- 私が前々回一番関心を持ったのは、B-CAS というのが一社で今までやってきたと
- それは法律家的な考えとすると、非常に独占禁止法違反の疑いが濃い
- B-CAS 自身がきちんと運用してきたということなので、端的に独占禁止法違反ということではないと思う
- 今度 B-CAS と並ぶ、ソフトウェア方式の会社が設立された場合も、全体の中で一社、ソフトウェア方式では一社ということを考えると同じ問題があるのではないか
- そうすると、一番何を検討しなければいけないかというと、契約の内容だと思う
- RAND 条件と一般に言われているが、適正な契約関係で市場を独占しないような形態を持つことが求められる
- で、それが非常に重要であるということが、まず1点
- さらに、もっと重要なのが、資料の 2-2 にある、技術方式と運用規定の中身になる
- 今日話を伺っていると、中身はこれから策定されるということなので、契約内容と中身を策定するのを早くしないと間に合わないのではないかという、素朴な感想がある
- 一方で、もう一つの関心事としては、何のためにコンテンツ保護をするのかというところ、そもそもの検討の目的の部分になる
- 椎名さんや堀委員が発言されたように、海賊版・無法品というのが非常にはびこっている
- これが、コンテンツ市場の流通促進を阻害していて、市場全体の収益を蝕んでいる
- これは国際的にもそういう状態にある
- それいついて、色々な検討を他の委員会でもしてきている
- しかし、例えばユーザに対して意識調査をして、啓発活動をしようとしても、なかなか効果がでない
- 若い人は YouTube を利用することに抵抗感を持たないし、利用は当然だと思っているところがある
- なので、技術でプロテクトするというのは非常に有効な手段だ
- ある程度そこを高めていかないと、海賊版や無法品は絶対に排除されないのではないかと思う
- なので、ここの委員会で検討されているように、コピープロテクトの技術というのは非常に重要だと思う
- そこは絶対に軽視できないし、(軽視すれば) 業界全体の不利益にもなると思う
- なので、そこの所をきちんと、コンテンツを保護するために技術でプロテクトをかける、それはもう非常に重視して頂きたいと思う
- 地デジが始まる前の段階で設備・制度が整っていないと、コンテンツホルダーだけでなく放送事業者も色々な著作権者も含めて、不安がいっぱいだと思う
- そこのところをやっぱり絶対に忘れないで頂きたい
- もしも事前にリスクが感じられるのであれば、絶対に、そこの所はきちんと回っていくようにしてほしい
- 制度としては、現状不正競争防止法やたとえば著作権法で保護するということになるのかと思うのだけれども、これを法制度で全部保護しようとしてもなかなか難しい
- 新法を作るのはすごい時間がかかる、この委員会と同じくらい時間がかかる
- そうすると、どんどん違法なコンテンツが流れていってしまうのを止められなくなってしまう可能性がある
- その危険性は非常に高いと思う
- アナログ放送がなくなり地デジになってしまう訳なので、その辺りのリスクはさらに今よりも増える
- そうすると、業界全体がマイナスになる可能性があるので、そこは十分に配慮して頂きたい
- 技術である程度、コピープロテクトをかけるという方向を推進していく必要があると思う
- なのでまあ、推進して頂きたいなというのが私の正直な感想になる
三尾委員からの発言は以上でした。次に、岩浪オブザーバが再び発言を求め、次のような内容の補足をしました。
- ちょっと追加になってしまう
- 先ほど堀さんから面白く語って頂いたのだが、そこの追加情報になる
- 堀さんの話はまったくそのとおりなのだが
- これは違っていたら浅野さんでもだれでも言って頂きたいのだけれど
- DVD は確かに、おそらく 10 人ぐらいいれば、4・5 人ぐらいはコピーできる人がいるだろう
- 音楽 CD はコピープロテクトが無いので、言うまでもない
- ただし、いまデジタル放送でやっている CPRM とか DTCP が、破られていないとは言えないが、100 人いて、1 人いるかどうかだと思う
- そういう話だと思っているのだが、どうだろうか
- この後がどうなるか判らないが、少なくとも今はカジュアルにコピーできる状況では無い
- そこは少し間違っていると良くないかなと思って言わせて頂いた
- 結構難しいが、如何だろうか
岩浪オブザーバからの追加発言は以上でした。これに対して、田胡委員が次のような内容の回答をしました。
- 大変難しい質問で
- 田辺さんと今話をして、正確なことは言えないけれども
- CPRM や DTCP が破られたという話は聞いていない
- もしそうだったら、代替的な技術保護手段を当然メーカとしても考える
田胡委員からの回答は以上で、岩浪オブザーバは何かまだ言いたそうにしていたのですが、ここで村井主査から次のような内容の補足説明が行われました。
- 今の技術的なセキュリティに関するレベルというのは、検討委員会の中でも色々と話をしている
- 資料の三ページの別添1の所を見て頂くと、7番の所で、これは少し難しい言い回しで、遠回しのように見えるかもしれないが触れている
- 今岩浪委員が言ったような、何パーセントなのかということは多分誰も答えられないと思う
- また三尾委員から言われたような意味での、技術をしっかりしようということのレベルで言えば、基本的にしっかりとした技術を作ろうとしている
- しかし、それに対して何が起こる可能性があって、どのような対応が可能かということは、きちんと把握しておく必要がある
- 対応の中には他の方法も当然あるだろう
- 技術検討委員会の中では、相当に議論がされている
- もちろん、技術なので 100% ということは無いが、新しい方式をスタートするということの重要性も、この委員会で何度も指摘されている
- 今、岩浪委員が指摘されたような、バランス感と言ったことも、技術検討委員会の中で議論されていると思う
- それを全て、現状や、あるいはどういった方法があるかとか、そうしたことをここで報告していくのは難しい
- 指摘された議論と言うのは、踏まえた上で検討していると報告させて頂きたい
村井主査からの補足説明は以上でした。次に発言を希望したのは福田委員 (民放連 / テレビ朝日) で、その発言内容は次のようなものでした。
- 若干繰り返しになるかもしれない
- 放送事業者というのは、実は以前に選択肢を広げる為に新しい方式を、団体として放送事業者の方で募集をしたことがあった
- 応募したメーカさんには残念ながら、独り相撲に終わってしまって挫折を味わった
- この間、おそらく五年ぐらいになるかと思うが、藤沢委員を中心に、メーカさんとも議論してきた
- そこの部分が小笠原課長が言われたような「資産がある」ということに触れられているのかなという気がする
- そういう意味で、我々は選択肢を増やすことについては、極めて賛成の立場であるので、そこの確認をさせて頂きたい
- 独り相撲に終わったというのは、募集をして、自分たちで運用しようとしたというところにあるのだと思う
- 今出ているように、誰がどういう形で、技術的な要件を募集するのか、あるいは、誰がライセンス機関等を運用していくか
- 非常に透明に、公平性を持っていなければいけないということがある
- 過去の経験を踏まえると、放送事業者単独で諸々をやるというのは、おそらく、色々な意味で二の舞になる可能性が高いだろうと思っている
- ただし、その当時に比べるとメーカさんの発言で、どうもメーカさんの中に需要がありそうだということが少しずつ見えてはいる
- そこの所は協力して頂けるのではないかとというふうに思っている
- それからもう一つ、今出ているように、ここに要件定義をして頂いた中にもあるように
- 契約の中では情報漏洩のリスクがあるとか、あるいは技術的な対処は限定的であるといったことが既に書かれている
- その一方で、こうしたものが決まった中で、現行の法制度を検証し、その際に必要な法制度をやっていこうということでは
- どうも、今ご出席の委員の皆さんからすると、それでは不十分ではないかという指摘があろうかと思う
- そこはやはり、スタート時にはセットになっているというのが皆の納得感を得られるのではないか
- それからもう一つ、メーカさんの開発と同時に、民放としても 127 の社がそれぞれ設備改修をしなければいけない
- それがどれぐらいの費用になるのか、あるいは今出ているように、どれぐらいの期限がかかるのか
- そういったこともあるので、総合的に勘案した上で、コストと効果と、期限と言うことを
- 私共の方でもなるべく早くということなので、これを超えてしまって効果が薄れてしまうということが無いように
- 検討を進めていきたいと思っている
- しかし、ここに踏みこんでいくということについて、団体として踏みこんで行こうということにはなっていない (民放連として方針を決定した訳ではない)
- ただしワーキングを中心に議論に参加している以上は、そこは前向きに検討していかざるを得ないと考えている
福田委員からの発言は以上でした。ここで、今まで出た意見を踏まえて、村井主査からの回答と言うか、次のような形で、技術検討 WG での議論の紹介がされました。
- 一応私の方で、今、質問・意見があったところについて、少し検討委員会で話された事を触れておいた方が良いかと思った
- 今、WG に参加されている委員の方からもフォローをして頂いたが、質問を頂いたことに関して、ラフにではあるがカバーしていく努力をしてみる
- まず河村委員から、今時検討プロセスの検討をしているのかという指摘があった
- 技術というところの内容については、今、福田委員からフォローがあったように、既に検討した過去があるので、ある程度の蓄積がある
- そういう中で、この方式であるとか大体の技術的な検討は、田胡委員から「大体終わっている」との発言があったように
- どういう技術がどのように利用できるかということについての検討はかなり実体があるところまで到達していると考えて頂いてよい
- じゃあそれで何故できないのかという話になるのだと思う
- 先ほど浅野委員から、時間もきまっていないのに TODO リストと呼ぶべきではないというお叱りを受けた
- その「時間をフィックスできる状況まで到達した」という報告をしたのだと考えている
- 先ほど三尾委員から契約の話を言って頂いた
- 最後のディテール、技術の方式が決まった時に、このライセンスの機能というのは、ライセンスや鍵がどういう風に、受信機やメーカと、送信側との間でやり取りされるのかというスペックが決まらなければ設計に入れない
- 先ほど福田委員から指摘して頂いた、このスペックというのは、誰がどのような運営をしていくのかという契約の話になるのだろう
- つまり、大きな約束として、それがどういうふうに決まるのかという話だと思う
- そこが決まっていくと、運用面の問題に進める
- どういう技術を使うかということについてはある程度実体があるが、これをどういう風に運用していくかということが、先ほどの福田委員の発言にあったようにきちんと決まっていない
- これは大枠で言えば、三尾委員から指摘頂いた契約の、約束事の話になるのだと思う
- しかしながら、一方では運用の技術なので、割合技術的なスペックでもある
- 河村委員の話に戻ると、時間とコストを勘案しながら、この所、ディテールの意思決定をしていく必要がある
- その際に、先ほど福田委員から指摘して頂いたように、決定プロセスが透明である必要がある
- 技術ワーキングでは、親委員会が貴重であると繰り返し議論しているのはそういう意味で
- その意思決定、つまり「こういう約束である」という大枠を決めることに、ライセンス発行機関を軸に決めるということに、皆の意見を聞くことができて、透明性が担保できるということの比較的大きな根拠だと思う
- 走れるところはかなり走れると思うが、そうした要所では、それぞれのバランスを取った意思決定について、きちんと報告できて議論して頂く
- そういった意味で進めることができるだろう
- 方式決定プロセスには、コアの技術がどうした方式かということだけではなく
- 運用の時にどういった役割をするかということが、コストや時間との中で、パラメータとして決まっていくということも含む
- 従って、今の浅野委員、それから三尾委員、それから河村委員の指摘はその通りだと思うし、まだ進んでいる感じがしないという意見もあるが、今説明したような所まで詰まってきたという辺りが、今日の報告の趣旨である
- そんな感じだと思う
- 検討ワーキンググループとして、補足として、今、質問の中でメモしていたことに関して、ラフに答えてみた
村井主査からの補足説明は以上でした。次に発言を希望したのは華頂委員 (日本映画製作者連盟) で、その発言内容は次のようなものでした。
- 三尾委員と岩浪委員の話で、先ほどの海賊版の話ではあるがちょっと不安になったので
- ダビング10というのはコピーコントロールで、アクセスコントロールではなくコピーコントロールで
- ということは、ダビング10を回避した場合は明確な著作権法違反なのだと、これで間違えていないだろうか
この質問に対しては、三尾委員から次のような回答がありました。
- 回避する方法によっては、コピーコントロールの条項に反するかどうか、具体的な事例によって違ってくる
- 巧く違法にならないように回避する可能性があると思う
以上の回答の後で、引き続き華頂委員から次のような内容の発言がありました。
- 先ほどの堀社長の DVD の回避の案内本なのだが
- あんなものが出版されるのは DVD はアクセスコントロールの回避なので著作権法違反にはあたらないと、堂々と出版されている
- それがコピーコントロールであれば、そうした本自体が発行できないので、それは明確な著作権法違反になるので、ダビング10はコピーコントロールなのだと確認したかった
華頂委員からの発言は以上でした。次に発言を希望したのは河村委員で、その発言の内容は次のようなものでした。
- 多分こういうところに反応しない方がいいと判ってはいる
- しかし、今日は消費者代表ただ一人
- 高橋委員も今日は居ないし、長田委員も居ない
- 消費者代表として出ていて、今日の議事録のままで終わるのはちょっと問題なので、一言言わせて頂く
- 堀委員の言われた事は、パッケージのメディアと基幹放送・公共放送も含む無料広告放送を、堀委員らしく巧妙に、一緒くたにしていたのが、私はとても気になった
- ここは、基幹放送の著作権保護技術について話す場であると考えている
- 隣に三尾委員も居られるが、テレビの放送をプライベートに録画することは、何ら悪いことではない
- 私は、今ここで話し合われている新たな選択肢を導入することも、著作権保護技術を導入して縛ることが大切だからやっている訳ではないと、いつも心に忸怩たる思いを感じなが発言している
- 大多数の国民全員に買わせるもので、録画機を持っていない方も全部テレビを買い替えなければならず
- その方達が巻き込まれることであるからこそ、選択肢を増やし、シンプルなものを出せるようにし
- 安価なものを出せるようにしようということで発言している
- そこを言っておかないと
- 今日は著作権保護技術絶対必要論と
- パッケージメディアを複製して、悪いことをしている人と
- 全く家庭内で許された行為をして録画をしている人と
- それらが、何か巧妙に交じった話になったのが大変気になった
- それだけ言わせて欲しい
- 本題の方に戻って、最後に一言だけ言わせてもらう
- 田胡委員の言った「運用を決めて頂かないと云々」とか、何か、ダビング10を始める時の何かを思い出すかのような物言いだった
- 多分そこに何かキーがあるのだろうと、私の直感に触れた
- そこの所で田胡委員に「そこがどうだから出来ない」とか「あれがこうだから出来ない」と言われることが無いような進め方を
- 他の当事者を交えて進めて頂ければきっと皆が望むような早い解決となるのではないか
河村委員からの発言は以上でした。次に発言を希望したのは堀委員・田胡委員・椎名委員・元橋委員で、最初に発言順が回ってきたのは田胡委員でした。田胡委員の発言内容は次のようなものでした。
- 運用といったのは、運用規定ではなく、技術方式の運用の開始の意味であって
- 実際に運用されて放送が始まらないと物が出せないというのは
- 今は B-CAS 方式しか放送されていないので、スクランブルが解けないので出す意味がない
- 決まらないと困るというのは、運用規定ではなく、技術方式の話をしている
- 舌足らずで申し訳ないが、そういう意味
田胡委員からの発言は以上でした。次に発言順が回ってきたのは堀委員で、その発言内容は次のようなものでした。
- 私も舌足らずで申し訳ない
- 個人で楽しむ私的録画について、これは現行の法律で保護されているので、私はこれに反対している訳ではない
- 但し、現行の法律では、ダビング10で録画したものに対して言えば、頒布権は与えられていない
- この Winny のソフトというのは違法だとは言っていない
- 脱法的な、海賊的行為だと
- ファイル交換ソフトにアップロードして、ダウンロードができるというのは現行の法律ががどうなっているのは判らないが、脱法的であると
- これも複製にあたらないかということが言いたかっただけなのだ
- こちらの DVD に関しては、完全に複製の話で
- 違法行為と、脱法的行為がネット上では存在するのだと
- そこに逸失利益を求められても困ると、そういうことだけ申し上げたい
- なので、私的録画についてはまったく触るつもりはないので、そこは舌足らずで申し訳ない
堀委員からの発言は以上でした。次に発言順が回って来たのは椎名委員で、その発言内容は次のようなものでした。
- 岩浪さんの発言されたことがちょっと引っかかった
- いわゆる DVD デクリプトという行為と、その地上デジタル放送のコピーというのは普及度が違うと
- 1% 以下なのではないかと、パーセンテージを言ってくださいということだった
- 地上放送に関しては、Friio という物が出てきている
- Friio という言葉を出して良いか判らないが、B-CAS が穴になっている
- なので、1% なのかどうか知らないけれど、セキュリティ的に穴になってしまった物について、そういうことも加味して話し合うということではなかったか
- そこはもう全然問題ないかというような印象を受ける、1% という言葉が、そういう印象で議事録に残ってしまうとまずいと思ったので一言言わせて頂く
椎名委員の発言は以上でした。次に発言順が回ってきたのは元橋オブザーバ (NHK) で、その発言内容は次のようなものでした。
- 今日は技術の話なので、あまり発言しないでおこうかなと思っていた
- ちょっと皆さんのいろんな応酬を聞いていて、特に河村さんの意見でちょっと違うかなと思ったので、あえて一言申し上げる
- 「巧妙な」という言い方をされたが、まさに河村さん自身が巧妙に論理をすりかえていると思う
- 地デジの円滑な普及と言うのは大前提・大目的であると思っている
- しかし、その地デジの円滑な普及の為に、コピーワンスからダビング10へという議論をずっとやってきた
- そのダビング10というのは色々な意見があるだろう
- そもそも10回では少なすぎる、もっと多くしろという意見もあれば、そんなのは多すぎるという意見もある
- 堀さんの聞き置くという明言があったが、皆、色々な思いの中で 10 という合意ができた
- ある意味、その合意したルールをしっかりしたものにする為のエンフォースメントという議論をしているのだから
- 巧妙にすり替えている訳では全然無くて、まっとうな議論をしていると私は思っている
- それからもう一つ、地デジのコンテンツを守るということについて
- これも何度も、コピーワンスからダビング10への議論の中で、繰り返し繰り返し指摘してきたことだが
- 放送局の番組というのは、その先に繋がる、コンテンツ立国とかずっと言われてきたコンテンツ産業の振興とか、視聴者の皆さん方、消費者の方の利便性の向上とかに繋がる
- 言わば映像コンテンツのオリジナルの部分なのだ
- そのオリジナルの部分で違法コンテンツを抑止するというのが、そもそもの議論のとっかかりだった
- その、私的録画を制限しようという意図とは全く違って、私的録画の利便性をキープしつつ
- そこから違法にコンテンツが流出していくことを抑止するための議論をしている訳で、そこは是非、はき違えないで頂きたいと思う
元橋オブザーバからの発言は以上でした。次に発言順が回ってきたのは岩浪オブザーバで、その発言内容は次のようなものでした。
- 椎名委員から指摘頂いたので
- 堀さんの話を受けて、三尾委員からあたかも現在の地上デジタルの番組がカジュアルコピーできる状況であるかのような話があった
- 僕も、DVD がカジュアルコピーできる状況が良いとは言わないが
- いずれにしても、現在のデジタル放送はそうした状況にないということを、堀さんの情報に付け加えさせて頂かないと
- 議論が違った方向へ行きそうだったので付け加えさせて頂いた
岩浪オブザーバからの発言は以上でした。ここまでの発言を受けて、村井主査から次のような内容の補足が行われました。
- 河村委員から先ほど指摘して頂いたのは、議論のすり替えとかそういうことでは無くて
- この場はやはり、メーカも放送事業者も権利者の方も居て、そこで議論をしていくので重要だと
- これから方式を決めていく時もそこで御意見を伺えると思っている
- ダビング10の時も、それぞれの意見を、この委員会では出して頂いて、率直で良い場所だったと思う
- それで、先ほどの河村委員の話は、色々な言葉や色々な所から、検討委員会の中では技術の話を、そういうことも含めて議論をしている
- 色々な対立や議論の中では色々難しい問題も匂うということを多分指摘されたのだと思う
- それはある意味では、直感的には正しい
- そのためにこれをやって頂いているし
- あるいは、技術検討ワーキンググループの中でそういったプロセスを作り、報告をしているので
- そういう意味で、多分そうした意味で仰って頂いたのだと思う
- しっかりとそれを議論して、報告ができて、それでさらに皆の意見を伺えるという為に技術検討ワーキンググループでは議論をしている
- それからその報告の内容をまとめるということで、今日のような形で表現を頂いたのだと
- 表現をさせて頂いて、意見を伺えたということだと思う
- それから華頂委員からの先ほどの意見について
- 法律的な解釈をどうするという結論を出すのは、この場ではないと思う
- 議事録とかその辺で少し気をつけて頂きたい
- 色々な専門家の方が居るので、そういう意見は頂けると思うが
- 法律的な答えを出すのはこの場ではないと思うので、その点は理解頂ければと思う
以上が村井主査からの補足でした。この発言の後、終了の時間が近づいているがどうしても発言しておきたい内容のある方はいるだろうかという問いかけがされて、それを押してまで発言を求める人がいなかったので、意見交換はここまでとなりました。
引き続いて村井主査から、次のような内容のまとめが行われました。
- 今、議論して頂いたコンテンツ保護に関する新方式ということで
- 冒頭で説明したように、地上デジタルへの円滑な移行を実現する意味から可能な限り早期に実現するべきであると
- 委員の皆さんの間でもコンセンサスが得られたということだと思う
- 本日も導入に向けた期待感ということも言って頂いた
- その中での、検討グループの中での進め方ということでも意見を頂いた
- そういう意味では今日は作成途上のロードマップを紹介したということ
- 浅野委員から指摘して頂いたように、色々な意味で、今日委員の方から指摘頂いたような
- 具体的なコストと時間を鑑みて、時期を決めて、そうしたことを可能な限り埋めていくということで
- 検討ワーキンググループの中で組み立てができたので、そこに向けての具体的な進捗の期待感を指摘頂いたのだなと理解している
- そういう皆さんの意見を受けて、技術ワーキングの方でさらに具体的な作業を進めていく
- 引き続き、技術ワーキンググループのメンバーの方には是非、検討協力を頂きたいと思う
- 特に、本日の委員会で期待感と言うのが、再び、非常に指摘されたと
- それから今の、具体化ができるということを御報告できたと思うし、理解も頂いたと
- その具体化そのもの、作業に取り掛かっていくということで、ワーキンググループの委員の方に
- 特に協力をお願いするということで進めさせて頂きたいと思う
- 皆さんお気づきの点、それから周辺といいますか、関連する重要な点も本日議論頂いた
- そういうことも含めまて、意見を事務局の方まで伝えて頂ければと思う
以上で村井主査からのまとめは終了しました。この後、事務局の小笠原課長から次回以降のスケジュールについて、6月に取引市場とエンフォースメントについてそれぞれ一回ずつ開催したいと考えているとの案内があって、今回の会合は終了しました。
◆◇◆
今回は感想を言いたくなる発言が多かったのですが、とりあえず今日の所は一番指摘しておきたい堀委員の発言についてだけ感想を書くことにします。
脱法行為と指摘されている Winny および YouTube 等へのアップロード行為に関してですが、それは現在の法制度でも、一つのアクションさえあれば明確な違法行為になり、実行者が逮捕・起訴されることがあります。
まず Winny/Share 等の P2P ファイル交換ソフトウェアに関して言えば 2003 年 11 月 の逮捕 [URI] を皮切りに、2008 年 3 月 [URI] 2008 年 4 月 [URI] と着実に起訴例が積み上げられています。
また、YouTube/ニコニコ動画等の動画サイトに関しても今月に送検例が出ています。[URI]
現在の法制度では、著作権法にて公衆送信権というものが著作権者に認められており、告訴・逮捕・送検・起訴・裁判という手順を踏めば最長 10 年の懲役刑か最大一千万の罰金刑を科すことが (懲役刑と罰金刑の併科も) 可能です。(著作権法 第23条/第119条)
ただし、著作権法侵害は親告罪なので、権利者の告訴がなければこれらのエンフォースメントは行われません。(著作権法 第123条)
上にあげた例は全て、権利者が (順番の前後はあるにせよ) 告訴しているからこそ、逮捕等が行われている訳です。
脱法状態が問題であるならば、新たな制度の導入を求める必要も技術的保護を求める必要もなく、ただ、告訴さえすればその脱法状態を違法状態にすることができます。また、犯人を知ってから6か月以上が経過した場合は、告訴自体ができなくなってしまう (刑事訴訟法 第235条) ので、その場合は脱法行為は完全な合法行為になります。
こうした状況でなすべきことは、まず、告訴なり被害届なりの提出 (欲を言えば、その前に警告の送信等の手順が踏まれることが望ましいですが、相手が判らない以上は仕方がないので) なのではないかと考えます。それをしているにも関わらず捜査が行われないとか、警察に無視されるとか、そうしたことがあるならば議論は次の段階に進むのでしょうが、今の段階で新たな制度の導入や技術保護の強化を訴えたところで、広範な支持を得ることはできないのではないかと他人事ながら心配しています。
◆◇◆
えー文系の理論いうなら、せめて自分たちの商売の基盤である著作権法ぐらい理解しておこうよと、そうしたことを期待するのは間違っているのしょうか。
5月30日(土) コピー制御に関しての争点 [この記事]
デジコン委で発言を聞いていると、つくづく彼らが何も判っていないような気がしてきて堪らなくなります。個別意見への感想ももう少し書いておきたいところではあるのですが、デジタル放送のコピー制御に関して少し状況を整理しておいた方がよいのかもという気になったので、まずはそちらからやっておきます。
上の図は、現在の放送番組の取り扱いに関して、放送事業者や権利者と視聴者がそれぞれどのように考えているかをまとめてみたものです。
まず、放送中の番組をそのまま視聴することが違法だとは、流石に放送事業者も主張しないだろうと考えています。また、放送事業者や権利者側が違法であり、取り締まられるべきだと考えているネットへの無許諾アップロードに関しても、多くの視聴者は利便性が犠牲になったり、コスト負担を求められたりしない限り、違法だということに同意するはずです。
双方の見解に相違があるのは、家庭内での録画であったり、遠隔録画とネット経由での視聴に関してです。
まず、家庭内での録画に関しては、完全に禁止されるべきだと考えているのは映画制作者連盟の華頂委員ぐらいで、放送事業者や他の権利者代表委員は一定の制御下であれば問題ないと考えているようです。そして、遠隔録画とネット経由視聴に関しては「まねきTV」「録画ネット」「親子TV」に対して放送事業者が訴訟を起こしたことに見られるように、放送事業者は違法であると考えていたようですが、これに関しては知財高裁において「まねきTV」「親子TV」のような行為の主体がユーザであるものは合法との、「録画ネット」のような集中管理があり、行為の主体が事業者であると解されたものは違法との判決が下されています。
さて、デジタル放送のコピー制御は合法であり、アナログ放送時代では自由に可能だった家庭内での録画に対して制限を行うものな訳ですが、これが必要だとされている理由に関して、次のような説明がされています。
- ネットには、違法なアップロードが蔓延している
- これを、啓蒙活動等で止めることはできない
- ネットへの入り口である、家庭での録画時点で制限下に置き、違法なアップロードができないようにする必要がある
- そうしなければ、正規のネット上での二次流通が行えない
しかし、私はこの説明に同意できません。それは次の点が納得できないからです。
- 何故、違法行為をしている人の存在で、違法行為をしていない人の行動が制限されなければいけないのか
- 何故、違法行為をしている人に対して、直接警告なり処罰なりを下そうとしないのか
先ほど私は、無許諾アップロードが違法であることは、利便性の低下やコスト負担を求められない限り視聴者も同意すると書きました。広く薄くコピー制御をかけて、すべてのユーザを巻き添えにするという対策は、違法行為をしていない視聴者に対してコストと利便性の低下を押し付けることですから、そもそも不満が出るのが当然なのです。
デジコン委の第53回で堀委員から発表された数字をそのまま使わせてもらうと、日本国内の世帯数が約5000万、PC 普及率が今年三月末で約86%、そのうちのWinnyインストール率が10%で、さらにアップロードまで行っているのが5%。全て掛け合わせると約22万。その22万の為に、残りの1億2593万人に不便さとコストを押し付けようというのが地デジのコピー制御なのです。
ネットへのアップロードがいけないということは理解するが、家庭内での複製まで制限されることには納得できないというのが、Friio のような無反応機を視聴者が受け入れる下地になっている訳です。
ダビング10で制限が緩和されたのだから、10枚もコピーできるのだからそれで十分ではないかと、家庭内で10枚以上コピーする必要があるのか、それは強弁が過ぎるのではないかと放送事業者は考えているようです。
それでは、sony の X Video Station を使っている人や NEC の AX300 を使っている人が、同じような使い方のできる録画機が、コピー制御対応の市販品の中に存在するのでしょうか。また PC に詳しいユーザは、一度 DVD レコーダ等で録画したデータを PC に移動してそこでポータブルデバイス向けに変換を行ってフォーマットの違いを吸収するという運用で、メーカ側で不足しているサポートを補っていました。しかしコピー制御によってそうした運用もできなくなってしまいました。
ユーザが最終的に移したい先にデータを移すことができないならば、それは複製回数が 0 のまま、なにも状況が改善されていないのと同じなのです。ユーザにとっては、メディアやデバイスが大事なのではなくて、データにアクセスできることが大事で、メディアやデバイスにデータが縛り付けられることが耐えられないのです。そうした自然な要求に対して応えられない制限を強制しようとするならば、膨大なコストを投じる覚悟を決めて、また実際に膨大なコストを投じ続けない限り、それを維持することはできないでしょう。
違法行為を行っている人を特定して、その人対して警告を送るなり処罰を下すなりする、そういった形で有れば、他のユーザに不利益はなかった訳ですから、これほどの反発を招くこともなかったでしょう。実際22万を制御することと、残りの1億2593万を制御することのどちらが楽か、普通に考えれば容易に判断ができるはずなのですが、数十社程度の受信機メーカを制御して DRM を導入すれば全てを制御下に置けると考えたのが彼らの間違いだったのだと思います。
こういうことを書くと、違法行為を行っている人を特定するのにどれだけの金がかかると思っているのだと、ネットを監視する人を張り付けておく余裕などないという意見が出るかもしれません。しかし、日経エレクトロニクス 2009年 6月 1日号の「迷走する B-CAS 見直し」によれば、民放各社が B-CAS システムを維持する為に支払っている額は、トータルで年間 60 億に達するとのことです。その 1/10 の 6 億もあれば、ネット監視の為に専任者を 50 人張り付けることもできて、そちらの方が実効性も高かったのではないでしょうか。
実際、一罰百戒という言葉があるように、違法行為を行っている人が処罰を受ける以上に教育効果や抑止効果の高いものは無いと思っているのですが、そちらへ十分な力が注がれることがなく、斜め上の方向への努力が続けられていることが残念でなりません。
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