日々の戯言
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5月1日(木) tsmerge ver. 0.1.1
更新。ダウンロードは [URI] から。更新内容は以下のとおり。
- パケット欠落時の復帰処理にバグが存在したので修正
- NULL パケットの (PID 化けによる) 混入を検出できないことがあった問題を修正
昨晩 23:30-24:15 の BS103 を食わせてみたら正常に処理できなかったので問題点を修正。通した後でもドロップが 16 個残っているのだけど、タイミングが 24:15 ちょうどの辺りで番組の切り替わり近辺なので、多分これは送出側の問題なのだろう。
5月2日(金) tsselect ver. 0.1.6
更新。ダウンロードは [URI] から。ファイル名は同一で上書きしている。更新内容は以下のとおり。
- TS 情報表示の際、ビットエラー発生 (チューナモジュール内でのエラー訂正に失敗した) パケット数を表示する機能を追加
- ユニットサイズの判定方法を変更
とりあえず今回から古いバージョンを [tsselect-0.1.5.lzh] の形で残すようにしてみた。
5月14日(水) デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会 (第37回)
今回も傍聴してきました。日付が変わってしまいましたが恒例のレポートをおいておきます。今回はしばらくぶりに技術検討ワーキンググループからの検討状況報告とのことだったので期待しながら聞きに行ってきました。結果、なかなかに面白い話が聞けたと楽しんでいるところだったりします。
まず、本日の議題は以下の2点でした。
- フォローアップワーキンググループからの、検討状況報告 (ダビング10とか)
- 技術検討ワーキンググループからの、制度的エンフォースメント関連の検討状況報告
議事は、事務局 小笠原コンテンツ振興課長からの配布資料説明、中村ワーキンググループ主査および小笠原コンテンツ振興課長からの前回のフォローアップワーキンググループでの検討状況説明、この内容についての質疑応答、関委員および藤沢オブザーバからの放送事業者の立場から考えた技術的エンフォースメントと制度的エンフォースメントの比較発表、この発表に関する質疑応答という形で進みました。今回の配布資料は放送事業者側からのエンフォースメントに関する視点に関する資料のみでした。
フォローアップワーキンググループからの検討状況報告では、最初に中村ワーキンググループ主査から本日のワーキンググループ会合を欠席するにあたって、事務局側への依頼した内容についての説明が行われました。内容は次のようなものでした。
- 第4次中間答申の趣旨は、この会合に出席している各立場の皆さんの間でコンセンサスを形成しながら議論や取り組みを前に進めていこうということだったと認識している
- フォローアップワーキンググループの目的はコンセンサスの確認を行うことだと理解している
- 今回のフォローアップワーキンググループ会合に関して、どうしても出席できない事情があったので、事務局に対して以下の三点の説明を依頼し、その後に委員の方々に議論していただくという依頼をした
- 一つ目は制度に関して、コンテンツに関する制度について、知財本部・文化庁・与党・経団連等で検討されている状況についての報告
- 二つ目は周知広報に関して、権利者の許諾を得ない不正なコピーや海賊版が流通することを事前に防止するといったことのための周知・広報に関する状況について、また関係者の取組状況について報告
- 三つ目はその他、コンテンツの利用実態の把握や、技術動向の調査といった項目についての進捗状況の報告
以上の説明が行われた後で、実際の審議の状況について、小笠原コンテンツ振興課長に説明が依頼されました。小笠原コンテンツ振興課長からの審議状況報告の内容は次のような形でした。
- コンテンツに関する制度について、現在検討が動いているものについて報告した
- 政府の知財戦略本部のデジタルネット時代における知財制度専門調査会、文部科学省・文化庁の私的録音録画小委員会、与党自民党の知的財産調査会、経団連の映像コンテンツ大国検討委員会、以上について判っている範囲で報告した
- 権利者の許諾を得ないコピーが違法であることや最近導入されたステーションロゴ (局ロゴウォーターマーク) に関する周知についてどのような取り組みが、行政・放送事業者・メーカー・消費者それぞれの関係者で行われているか報告した
- 技術の進歩や視聴者の利用形態の変化について、適時調査・報告していく必要があるが、委員の方々にそれぞれの立場での調査を依頼し、また、行政として把握している範囲の情報について報告した
- 以上3点の報告の後で、参加している委員の方々から意見交換を頂いた。
- 意見交換の際に、委員の方々から何点か宿題を受けたが、特にフォローアップワーキンググループの進め方について、意見をいただいたので村井主査および中村ワーキンググループ主査と諮って検討していきたい
以上の内容を受けての質疑応答に入りました。最初の発言者は田胡委員で、内容は次の形でした。
- ダビング10の運用開始日について、6/2 予定がなかなか確定しないが、はやく確定してほしい
- 残念ながら今日現在でも決まっていないが、6/2 まで残り 3 週間を切っている
- 是非、本日中に合意をとって、確定してほしい
- もはや時間切れ寸前となっているので、本日中に皆様の合意形成を頂いたうえで、Dpa で運用開始日を確定してほしいと改めてお願いする
次の発言者は高橋委員で、内容は次の形でした。
- ダビング10の運用開始日、6/2 の期日確定に関して消費者側は関与していないので、賛否を表明することができる材料をもっていないために、それは出来ないと明確にしておく
- まだ機器の普及率が半分に届いておらず、ダビング10に関しても周知率は30%程度という状況です
- 私たちにも知る権利はあると考えているので、民々といっても、消費者を抜いた形でなく、皆で、ここで、私たちの知りたいことを明らかにしていっていただきたい
次の発言者は長田委員で、内容は次の形でした。
- フォローアップワーキンググループに参加していない状態では何を言うべきか判らない
- 一般消費者としては運用開始日は早いほうが嬉しいし、確定したならばそれを知りたいとは思うが、運用開始日として何日が適当かということは判らない
- 6/2 が良いのかどうか判断基準がない状態では、意見を申し上げにくい
- 広報については、できる範囲で協力しているので、それは続けていきます
次の発言者は椎名委員で、内容は次の形でした。
- 権利者として、ダビング10の提言策定に参加した一員として、ダビング10の早期実現に向けて、コンセンサス作りにいろんな場面で努力していきたいと考えています
次の発言者は関委員で、内容は次の形でした。
- Dpa としてもダビング10の早期実現に向けて、合意形成を頂いた上で、なるべく早く実現したいと思っている
次の発言者は元橋オブザーバで、内容は次の形でした。
- 放送事業者としても各社、早期実施という気持ちは同じ
- 評判の悪いコピーワンスはメーカと放送事業者で勝手に決めたというのがそもそもこの議論の始まりだったのだから、6/2 の実施についてもこの場の関係者の皆さんが共通理解をして、信頼関係をたもった上で円滑に実施できることが大事だと考えている
- フォローアップワーキングでの活動に引き続き努力していきたい
次の発言者は浅野委員で、内容は次の形でした。
- 事務局からのフォローアップワーキンググループの検討状況について説明を聞いたがさっぱり判らない
- 何が議論されたのかもよく判らない
- 皆さん口をそろえて、コンセンサス・合意形成を目指しているとお話になっている
- それ自体には私も賛成していて、今までダビング10を決めるまでの経緯を見ても、長い期間時間をかけて、当初は自分の立場から出てきたものを共通認識とするために、自分の立場から一歩離れてここまで来たと、そういう意味ではこの委員の中では、コンセンサスを重視して一つの落とし所を決めていこうということに対する文化ができた
- そういう延長線として9合目まで来ていて、残りの1合は「何時」かということと、それに平行してやっておかなればいけないことに対して、合意を形成を目指して、それでこの委員会の中で決めるということではなかったのか
- ところが皆さん合意形成を目指して協力していく基本的な立場は賛成ですと言うが、フォローアップワーキンググループでどういう話があって、合意形成ができていないから、ここで今のように合意形成を目指しているという話になっているのではないか
- 関係者の努力をお願いしたい。私としてはそうとしか言いようがない
次の発言者は中村ワーキンググループ主査で、内容は次の形でした。
- 皆さん早期の合意に向けて努力をするとおっしゃっている
- しかし、何故か合意に至らないとまったくワケが判らない
- 私は当初から総務省の意向とは異なって、この案件をこの審議会で扱うことに違和感を覚えているし、限界も感じている
- 本来はこれは民間の契約の問題で、この委員会に出席している権利者・消費者・放送事業者の意向にかかわりなく、メーカー側がダビング10を強行するというのであれば、それは制度上制約はなく、民間の判断で行えると考えている
- これが行政の許可や法令上の技術基準であれば、もはやすでに結論が出ていて総務大臣の処分が出ているのだから
- もちろん訴訟リスクは伴うが、それは民々の話じゃないかと思ってこの議論を聞いていた
- しかし、この委員会で2年半の時間を費やして行った議論した大前提は、こういった検討の場を設けて、そこで参加している関係者でコンセンサスを作って進めていこうということ
- 本来は民の話だけれども、官が場を用意したと認識していて、フォローアップワーキンググループは関係者のコンセンサスに関する決着を確認するという単純なものだと考えている
- それらに関わらず、強行することは可能だが、それをしないのであればこの検討の場で、コンセンサスを得るための努力を見せるしかないのではないかと考えている
- コンセンサスというのは互いに何か自分のものを譲って決着をはかるというものだと思うが、これほど譲っているのに合意を邪魔する何かがあるのであれば、それを立証してあらたな決着に持ち込むということではないかと思う
- こういった問題に議論に2年3年費やして解決しないのであればそろそろ行政が出てきて、制度や法令で解決をはかることにしても仕方がない
- それを避けたいのならば、合意を得るための努力を互いに払うしかないのではないか
えー非常にぶっちゃけた意見で利害関係がない人は強いなぁと関心してしまいます。が、とりあえず議事を追うことを優先して後でまとめて感想を書くことにします。
次の発言者は福田委員で、内容は次の形でした。
- 本日中に合意形成をして Dpa で決着してほしいという要望だったが、それは無理ということなのだろうか?
- 皆さんの理解をということなんだけども、ワーキンググループ出席者に当事者では無いと言われる方がいるのは、誰が当事者なのか分からない
- ワーキンググループには参加していないので、何が焦点で、何が話し合われて、何がポイントになっているのか、ワーキンググループ出席者がそのようなことをおっしゃる件について、理解に苦しむ点があったので、適切な発言をお願いしたい
こちらに対して村井主査が次の内容の回答しました。
- この件の判りにくい点は、他 (私的録音小委員会) に場があって、そこでの関係をこの委員会で議論する必要はないという状況
- ただし、それらの背景がこの場の合意形成に影響を及ぼしている
- そういうことであれば、それらに詳しい方にお話をしていただくのが良いということで、フォローアップワーキンググループをお願いしたという背景だと思う
- ベンダーの方、テレビ事業者の方、権利者の方、消費者の方でそれぞれの場面に詳しい方に関わっていただいて、第3次答申にはコンテンツへのリスペクトということから前提議論がされているので、そういった事々がどこまで進んでいるか、この委員会の時間には限りがあるので、フォローアップワーキンググループとしてプロセスを進められるための議論を含めてやっていただきたいということでお願いした
- フルコンセンサスとラフコンセンサスがあり、フルコンセンサスでなくとも、ラフコンセンサスであっても前に進めることができるのであれば、この場では進めると決めることができる
- それぞれの立場の中で決まった技術の話から始まって、利便性やデジタル放送の健全な普及に対して、どういう役割があるか、障害があるとすれば、どう対応するかということを議論してきた利害関係者が全ている場がこの委員会なので、フォローアップワーキンググループで最後の1合目をきちんと上るということをやっていただきたいと考えている
- 6/2 という日付の背景は、テレビが普及するのに弾みとなるイベント (北京オリンピック) が近付いているので、そのチャンスを利用しようということで決定されていて、これに関しても皆さんのコンセンサスもある程度あったと考えている
- 是非、終息に向けての議論をワーキンググループで中村委員の方で引き続き深めてほしい
再び福田委員が発言し、内容は次の形でした。
- ダビング10のリーディングタイムについて、メーカさんは一致したリーディングタイムを持っているのでしょうか?
田胡委員がこれに回答し、内容は次の形でした。
- 6/2 を前提に話をしているが、デッドラインは本日
- 本日 JEITA から Dpa の高嶋専務理事に対して、運用開始日確定のお願いを改めて文書でだしている
- 元々は 6/2 に関しては 4/11 に確定とのことで準備していたが、その時点で確定できなかったので、ぎりぎりまで待ったが、本日がデッドラインとなっている
再度村井主査が発言して、内容は次の形でした。
- そういった事情は伺っているが、フォローアップワーキンググループでの議論が収束に行くということを前提に進めたい
質疑応答はとりあえずここで一度閉じて、技術検討ワーキンググループでの検討状況についての発表に移りました。
いまだに技術検討ワーキンググループでのコンセンサスは得られていないけれども、叩き台としてとのことで放送事業者からの検討内容報告が行われました。
関委員および藤沢オブザーバからの検討内容報告の要点は以下の内容でした
- 基幹放送としての地上波無料広告放送を維持発展させるため、コンテンツに対するリスペクトを維持するために一定のコピー制御が必要である
- すべての受信機にコピー制御を順守させるために、エンフォースメントが存在する
- エンフォースメントの実際としては、権利保護情報に従い認定方式での出力・保存のみを許可するという機能要件 (CR) と、ある程度の保護が無効とならないことを担保するための耐性要件 (RR) を守ること
- 技術的エンフォースメント (現行の B-CAS 方式に限らず、スクランブルを伴う方式全般) では契約をベースに未契約状態では暗号解除を行うために必要な情報が入手できない形とし、契約後に情報が悪用された場合は、契約違反に伴う民事での損害賠償請求等を抑止力とする
- 制度的エンフォースメント (法規制) では、無反応機の製造・販売を規制する何らかの手段を採用し、製造・販売に対して刑事罰と罰金を科す方式で、こちらでは暗号化を行わない
- 技術的エンフォースメントの利点は無反応機作成のハードルが高く、欠点は暗号システムの維持のための社会コストが必要となること
- 制度的エンフォースメントの利点は暗号システムを維持するための社会コストが不要なことで、欠点は無反応機作成のハードルが低くなること
以上の発表を受けての意見交換では最初の発言者は田胡委員で、内容は次の形でした。
- 制度的エンフォースメントでは機器製造に関する技術的ハードルが低いという問題があり、実効性が低いのではないか
- 制度的エンフォースメントではアメリカのブロードキャストフラグでの規制案の例を見ても、販売側に対する規制となり、ステークホルダもこの委員会のメンバーとはちょっと変わってくるのではないか
- 制度的エンフォースメント・技術的エンフォースメント双方をさらに深く検討した上で、判断していきたい
次の発言者は榊原オブザーバで、内容は次の形でした。
- 今回は放送事業者さんからの提案とのことで、抽象的な一般論での意見となっている
- 現行方式には無反応機が存在するとか、社会的コストがかかっているとか、複数の問題が出ているのでその解決が技術検討ワーキンググループにゆだねられていると理解している
- 以前、産業構造審議会で無反応機について検討されていて、バランス論や技術の進展等の複数の理由から、法規制を行うべきではないという結論が出ているので、法律ありきではないということを確認しておきたい
- 制度的エンフォースメントでは機器の規制という形になり、様々な会社に影響が及ぼすので慎重な検討をお願いしたい
次の発言者は土井委員で、内容は次の形でした。
- 日本は資源がない国であって、いままで発展してきたのは技術資源が大きかったと考えている
- ガラパゴス説も出ているが、そういう形にならないようにするためにも、技術的発展の道を閉ざさないようにする必要があると考えている
- 法で規制することの必然性と、すでに出ている答申を否定する必然性を広く踏まえて検討していってほしいと考えている
次の発言者は高橋委員で、内容は次の形でした。
- 技術的エンフォースメントと制度的エンフォースメントの比較表を見せていただいて説明をいただいた
- 無反応機器・社会コスト、すでに課題として指摘したが、産業構造審議会を引いて、制度規制は行わない・慎重に検討とのことだったが、情報通信審議会の委員としては「状況の把握に努め、必要に応じて関係者に説明を求めるとともに、エンフォースメントにかかる制度も含めたルールの在り方について審議を行う」とあるのに、状況の把握が今回の資料では難しい
- B-CAS の問題についてはあれ以来検討されていないと理解しているがどうだろうか
- 地デジに伴うもろもろの変更に対して消費者としては選択の余地がない
- コピーワンスの件もあり、メーカから信頼してくださいと言われても信頼しがたい点がある
- だから、制度的エンフォースメントも含めて、行政も関与してこの場で決めていく必要があるのではないかと考えているので、もう少し深掘りした議論が行われることを望んでいる
次の発言者は長田委員で、内容は次の形でした。
- 個人的な問題意識では B-CAS カードを使って技術的エンフォースメントを行うための負担感 - 時間や難しさ - が解決できればよいというのが出発点
- これから買い換える人は、ますますその負担感が大きくなるので、それがないほうが良いと考えている
- かといって、すべてをスルーすることはできないので、制度的エンフォースメントでなんとかできないかというのが自分の中での出発点
- 技術的エンフォースメントに関して、技術的ハードルが高いということだが、無反応機が出現しているように、ハードルがさほど違うようには思えない
- とにかく、ひとりひとりが地デジを見るためのハードルが低くなれば良いなと考えている
次の発言者は椎名委員で、内容は次の形でした。
- 広報の話をしていた時に、地デジを HDD に録って DVD に残す時に、-R/+R/RAM, VR モード Video モードとたくさんあるが、これはなぜなのだろうと疑問を出したらメーカーさんも「何故でしょう」と言う
- 地デジに限った話ではないが、物事はもう少し簡単にする必要があると思う
- いま 50 歳以上の人がテレビを買ったとしても、自分でつなごうとは思わず、電気屋さんにお願いする形になると思う
- システムといったら大仰だけど、ルールというのはできるだけ複雑怪奇でないほうがよい、その極致に B-CAS カードがあるような気がする
- テレビを見るための仕掛けだと言われつつ、有料放送が見られための情報が書かれたり、他に持っていけばそれが見られたりと、すごく複雑で、良いことと悪いことの区別もできないという複雑さがあるのは、改善される必要がある
- 産業構造審議会の話が引き合いに出ているが、全体的な話と部分的な話は異なると考えている
- 地上波のコンテンツはこれから政府が国民に買ってもらい、一家に一台状態になるものが与える影響力は、その他の一般のレベルとは明らかに異なると考えている
- 一般のものについて定めた産構審の結論に、地デジ受信機もしたがわなければいけないといのは権利者として明確に反対したい
- 不正流通を取り締まるのは当たり前だけど、やはり、デジタルの特製として瞬時に複製ができ、瞬時に頒布ができ、捕まえることができないという特性があるものについては、ダビング10が提案されているということもあって制度的な手当てをする必要があるのではないかと考えている
- 無反応機を作るハードルが下がるという意見があるが、ひとつ確認したい点があって、たとえば B-CAS カードが刺さる機械を作りたいメーカが B-CAS 社に対して B-CAS カードの支給を申請した時に、そこでは審査があるのだろうか?
これを受けて、関委員から以下の回答がありました。
- 事前審査はなく、ARIB TR-B14/15 の第5編と第8編を守っているという制約の元で、支給契約を結ぶことになる
- 結果、守っていないということになれば、それは先ほどふれたように、以後 B-CAS カードの支給は行わないという形になる
この回答を受けて、椎名委員が次の内容の発言をしました。
- サインさえすればカードがもらえるのなら、それはハードルとは言わないのではないか?
- また、技術仕様が公開されている以上、それはハードルではない
- B-CAS カードが流出した時にこれを除外できるような仕組みにもなっていない
- ザルに近くなっている B-CAS を外すことには反対しない
- むしろ、ハードルが下がるからという理由で、制度エンフォースメントの有効性を否定する理由にはならない
- 刑罰は最も優れた抑止力をもっていると思うので、ぜひ積極的に制度エンフォースメントを検討してほしい
これに対して田胡委員が次の補足説明を行いました。
- 椎名さんが個人として B-CAS カードを入手することはできなくて、メーカとしてたとえば椎名電気のようなメーカであれば B-CAS 社と契約できる
次の発言者は中村委員で、内容は次の形でした。
- この件も本来は民間の契約と技術の問題だと考えている
- 特段の問題がなければ、政府の必要性はないと考えていて、できるだけ制度は入れたくないというのが原則
- しかし、コピーワンスの問題が顕在化してから、2 年間が過ぎているし、解決策具体化という段階でも民間ベースでコンセンサス形成は困難
- 地上デジタル放送は官民あげて買い替えを推奨しているし、消費者の選択の余地も少ない
- こういう状況を考えると、民々ベースでの解決するというのが最善だと言い切るのは多くの問題が出てきている
- とても残念なことだが、行政や制度といったものによる解決を選択肢の一つとして検討するのがやむをえないと考えている
次の発言者は堀委員で、内容は次の形でした。
- 権利者が制度的エンフォースメントに反対だとか技術的にどうだとか、wikipedia で friio について検索すると、私の名前が出てきて、「権利者がスクランブルで権利保護をしてくださいとお願いしたことは1回もない」「問題なのは機器よりも出回っているコピー商品である」などと公式の議事録が出る前に非常に詳しく書き込まれている
- それをもって堀がエンフォースメントに反対だとかコピーが出回っているとの話を聞きましたので、私は自分でこの wikipedia を括弧つきで訂正したから、新しいほうを見てほしい
- 第4次答申でも権利者として主張しているのは、デジタルになると高精度のデジタル画像が瞬時に大量にということに懸念を表明した
- 瞬時に大量に作る、作る機械を作る、頒布する、それを意識的にやるか意識的やらないか、そういうことに懸念を表明しているだけ
- そんなに難しいことをお願いしたつもりはなくて、根本的にコピーが大量に出回ることにたいしてどう思うのかと懸念しただけ
- 技術的にはコピーワンスがダビング10になることについても同時に懸念がある
- これを技術的なエンフォースメントをするのであればそれはやって当り前
- その次に流通があって、無反応機器が出ましたと、Friio の場合は瞬時にブロードバンドに流れる、一番懸念していたことが現在できる、これはブロックしていただけないのか
- 当初のダビング10の聞き置いた前提となっている三方一両損とか四方一両損と同じ
- 技術のブロックがあって、流通のブロックがあって、ユーザにもブロックしてもらうこれは啓蒙運動になるのですが、全部をお願いしているつもり
- 技術的エンフォースメントと制度的エンフォースメント比較は理解できるが、とにかくコピーが大量に出回らないことをもう一度確認したいとそれにつきる
次の発言者は浅野委員で、内容は次の形でした。
- このワーキンググループからの途中経過にはどのようなものが出てくるか期待していた
- 最初放送事業者からの資料ということでおかしいなと思って、端末メーカの方や権利者団体の方の意見を聞いてコンセンサスができていないのだなということが理解できた
- コンセンサスを求めて、立場立場の意見を主張するだけではなくて、どういった形で合意を形成するか、一歩踏み込んだ意見を出してほしい
- その前に、技術的エンフォースメントと制度的エンフォースメントで並列させるのではなく、技術的に解決するのであれば、ここを変えることでここまではできます、制度的に解決するのであれば、このような罰則規制の導入でこういうことが防げます、そういった効果を比較してどちらか単独でいくか、あるいは組み合わせでいくか、堀さんがいったように違法なコピーがたくさん出回ることをこういった形で防ぐことができる、立場は異なるにしてもそれぞれが納得できるような形でなければ意味がない
- 今回の発表はまだ浅い、もっと深みのある議論がされているはずなのだから、それが出てこないのは合意形成ができてないということではないか、これをよりもっと深めてほしい
次の発言者は中島委員で、内容は次の形でした。
- B-CAS で問題が出てきているが、これをどうやって技術的に乗り越えていくか、まだ議論されていない
- 時間が足りないので早急にやる必要があるが、本気になって技術の面から限界はここまでといった情報をださなければいけない
- 技術面で可能な対応をまだ検討が不足している部分がある
以上で意見交換は終了し、最後に事務局側 (小笠原コンテンツ振興課長) から次回の日程について、5/27 か 5/29 で調整中との報告がありました。
◆◇◆
フォローアップワーキンググループでの意見交換について、やはり中村ワーキンググループ主査の正直な意見が白眉ですね。ただ事実誤認があるというか……メーカだけでダビング10を強行した場合、おそらく B-CAS カード支給契約違反という形になって、以降テレビを作れなくなる立場に追い込まれるはずです。
だからこそ、メーカ側は Dpa に対して運用開始日時を決定してくれとあれほど強く要求してるわけです。Dpa が認めさえすれば B-CAS カード支給契約に違反せずに、権利者団体や消費者側の意見は無視してダビング10を強行することができますから。
で、権利者が補償金問題でゴネてるのを口実に、Dpa はのらりくらりと避している状態と。中村ワーキンググループ主査としては官の関与を避けたいなら補償金を飲め(譲歩しろ)と……暗に言ってることになるのかなぁ。
個人的にはメーカ側に無料広告放送ではコピー保護は不要という論陣を張ってもらいたかったりする立場なのだけど。古のソニーの気概はどこにいってしまったのやら。まーそれを主張したら補償金を拒む根拠がなくなっちゃうからやってくれないだろうなぁ。
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