日々の戯言


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1月27日(火) デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会 (第48回) [この記事]

いつもの傍聴レポートです。今回は取引市場関連ということで、昨年 11 月 21 日の第46回では時間切れで以下次号ということになってしまったネット権・ネット法側からの継続説明と、昨年 11 月に設立されたネットワーク流通と著作権制度評議会 [参考 URI : 発足のニュースリリース] からの意見発表が主たる議題でした。

議事自体は次の流れで進みました。

いつもは省略している村井主査からの開会の挨拶の部分ですが、今回は異動があったのでそこのところを紹介しておきます。

まず大山主査代理が審議会の委員ではなくなったということで、今後はオブザーバとして議論に参加するということになり、抜けた主査代理を中村委員 (取引市場 WG 主査) が埋めることとなりました。

次に今回から新たに 5 名委員が加わったととのことだったのですが、傍聴者にはこの資料が配布されていないのと個別の紹介が無かったので、詳細は把握していません。閉会の挨拶の際に、今回出席されている新委員の姓のみ、田辺委員、藤沢委員、井上委員、三尾委員と紹介されていました。

残りの挨拶と資料確認部分は飛ばして櫻井オブザーバの発表から追っていきます。発表の内容は次のような形のものでした。

以上で櫻井オブザーバからの発表は終了して、引き続いて松田オブザーバと齋藤オブザーバからの発表に移りました。まず、齋藤オブザーバからのネットワーク流通と著作権制度評議会自体についての説明が行われました。説明内容は次のような形のものでした。

以上で齋藤オブザーバからの説明は終了し、松田オブザーバからの発表に移りました。発表内容は次のような形のものでした。

以上で松田オブザーバからの発表は終了しました。ここから質疑と意見交換に入りました。最初に発言したのは椎名委員で、その内容は次のようなものでした。

以上で椎名委員の発言は終了しました。ここで村井主査から両オブザーバに対して何か回答はと求めて、櫻井オブザーバ、松田オブザーバの順で回答が進みました。櫻井オブザーバからの回答は以下のような内容のものでした。

櫻井オブザーバからの回答は以上で、次の松田オブザーバからの回答は以下のような内容のものでした。言葉が飛んでいると思った部分を、私の判断で括弧にくくって追加していますが、これが松田オブザーバの意図を正しく反映したものかどうかはちょっと自信がありません。

以上で松田オブザーバからの回答は終了しました。以上の二つの回答に対して、村井主査から質問者の椎名委員に「よろしいだろうか」と確認を求め、椎名委員から松田オブザーバの回答について、次の内容のコメントがありました。

以上が椎名委員からのコメントの内容でした。次に発言をしたのは堀委員で、その内容は次のようなものでした。

以上が堀委員からの発言でした。この発言に対しても村井主査から「さっぱり判らないと言われても、全部説明するわけにはいかないでしょうが、何かお答えいただけることがあれば」とコメントを求めましたが、今回は両オブザーバともコメントは希望しなかったので、次の発言者に移りました。

次の発言者は佐藤委員で、その発言内容は次のようなものでした。

以上が佐藤委員からの発言が終了しました。ここまでで、事前に予定されていた発言は終了したようで、村井主査が「そのほかに意見のある方は」と発言を求めたのに対して、櫻井オブザーバが佐藤委員の発言に関して、次の内容のコメントを行いました。

以上が櫻井オブザーバからのコメントでした。次に、松田オブザーバも発言を求めたのですが、すこし発言内容をまとめるのに時間がかかりそうだったため、ほぼ同時に発言を希望していた菊池オブザーバから先に発言してもらうこととなりました。菊池オブザーバの発言は次のような内容のものでした。

以上が菊池オブザーバからのコメントでした。続いての、松田オブザーバからの発言は次のような内容のものでした。

以上で松田オブザーバの発言は終了しました。ここまでで今回の質疑・意見交換は終了です。この後で、村井主査から次の内容のまとめと今後の進め方についての説明がありました。

この後で櫻井オブザーバと松田オブザーバへの本日来ていただけたことに対するお礼があり、村井主査からのまとめは終了しました。

その後、小笠原課長から 2 月のスケジュールについてはまだ調整中で、コンテンツ保護に関するエンフォースメントについて議論していただくことを予定していると発言があり、村井主査からの閉会の挨拶があって今回の会議は終了しました。

◆◇◆

今回の椎名委員の発言を聞いた限りでは、CPRA は既に著作権等管理事業法に依って応諾義務を負っているとのことなので、第46回の感想として書いた内容 [URI] はちと邪推がすぎたかと反省してます。

◆◇◆

で、椎名委員や堀委員が嫌っている映画の場合のワンチャンス主義について。ここの契約の実際がどうなっているのか知らないのだけど、映画の場合には例えば DVD 等で二次利用されたとしても、ネット配信で二次利用されたとしても一切対価は実演家には渡らないのでしょうか?

そうなのだとしたら、放送コンテンツでも同様の状況が実現されようとしていることを嫌うのは良く理解できるのですが、それでもアメリカでは SAG が契約条件という形で戦って二次利用時の料率まで含めた契約を勝ち取っています。

日本ではそうではないとしたらそれは権利者団体が SAG と比較して怠慢だっただけじゃないのかなーとか思ってしまうわけですが、実際のところはどうなのでしょう。

放送コンテンツでは隣接権があることに甘えて、放送局が DVD 程度しか想定しない契約しか作らないことを見過ごし、結果として収益機会を減らしているのではないでしょうか。

まーこういうことを言うと、違法コンテンツが氾濫している収益性が低いネットは収益機会とは言えないという答えが返ってきそうな気もしますが、誰と交渉をすれば良いのかも、相場がどの程度なのかも判らない状態だと、それはいい加減な話しかでてこないんじゃないかなぁと。ここ一年ほど周辺状態を外野から眺めてきた人間の感想としてはそうなります。

◆◇◆

とりあえず櫻井オブザーバの説明内容に関しては、岩倉弁護士と同じ法律事務所の人間とはいえお仕事って大変なんだなぁという感想しか出てきませんでした。

◆◇◆

で松田オブザーバからの提案内容に関して、著作権法に人格権的な規定があるのは知っていますが「規制ではない」と言い切ってしまうのはどうなのかなぁというのが感想です。

例えば公衆が利用可能な自動複製機械の禁止に関する規定とかは規制以外の何物でもないと素人的に考えているわけですが、専門家的にはどう見えているのでしょう。

オンラインストレージサービスは「選撮見録」裁判や「MyUTA」裁判のように、いざとなったらアレで全て潰されてしまうので、日本で法的リスクを背負わずにそうしたサービスをすることはできないのだろうと認識していますが、実は違ったりするのでしょうか。

続いて、自分の作品を外には出したくない、提供する形をコントロールしたいという人には、そうした自由を認めるべきではないかという部分についてです。

そうした自由は当然存在するとは思いますが、それを「文化の発展に寄与すること」と第一条で謳っている著作権法で保護する必要があるのだろうかというのが私の疑問点です。

芝居という形のもの、あるいはライブという形のもの、装丁・挿絵といった部分まで目を光らせた形のもの、そうしたものでしか伝わらない部分こそが重要で、文化の本質であるという意見はありえるでしょうから、提供する形をコントロールしたいという点については理解できます。

でも、一度は公表されたものを外に出したくないという意思を保護することが「文化の発展に寄与する」とは思えません。

外に出したくないのならそもそも公表しなければ良いだろうと考えるわけで、実際著作権法には公表権が認められていますが、一度著作者の意思で公表された著作物には公表権はおよびません。

以上「規制ではない」という部分と「外に出したくないという自由も認めるべき」という部分の 2 点が松田オブザーバの意見で同意できなかった点になります。

それ以外の「自由な時間に、自分の選択で情報に触れることができるという文化を育てるべき」や「新法の成立は必要なく、著作権法をベースに事前に契約で備えておくべき」「マーケットで競争させることで契約の収斂を待つ」という提案の本質部分に関しては賛同しています。

しいてアラを探すとしたら「ホントに放送局が契約モデル構築して、外にメタデータ提供をするという事務コストを負担するだろうか?」という点になります。

中村 取引市場 WG 主査が当初目指していた形をさらに一歩進めたような提案だというのが発表を聞いていての感想なのですが、昨年 1 月、2 月の 第31回 [傍聴レポート] と第33回 [傍聴レポート] を振り返ってみると「既存市場と衝突するからテレビ局は消極的」とか「既存の相対取引で十分と考えるものにとってメリットが無い」とかで放送事業者にやる気がない為にぽしゃったということがよーく判る状況です。なので、実現性はあるのかなと考えてしまう訳です。

最近は BBC の iPlayer の影響と、NHK オンデマンドの影響で多少は風向きが変わりつつあるのかもしれませんが、実際のところがどうなのか外野からは判りづらいのでなんともいえません。


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