大分間が空いてしまったけれども、一応傍聴は続けているので恒例の録音データを。
前回 [URI] に引き続き、スリーストライク・リンク規制・法定賠償の三点が議題だったのだけれども、基本的には前回同様、事務局と各委員の間のメール審議で概ね合意が成立した状況での報告書案を提示して承認という流れ。
それでも比較的議論が行われた方で、最終回の割には 60 分近くの会議となっていた。基本的には「諸外国でそういった制度を導入している国もあるし、権利者側からの要望も出ているけれど、日本へ導入するには色々考えなければいけない問題もあることだし、とりあえず問題点を整理して検討を継続しようね」という内容の報告書になりそうなので、あまり文句を付けるような状況じゃないなーと考えている。
詳細な感想 (もしあれば) は非公式議事録をまとめた後で書く。
今回は会合が短かったので翌日にテープ起こしを終わらせることができた。非公式議事録を公開する。[URI]
これはむしろ前回の感想になるのかもしれないけれど、スリーストライクが「警告と刑事罰の間の中間的な措置」になり得るのだろうかというのが疑問点だったりする。
現時点では P2P に対する警察の取り締まりは比較的慎重に、アップロードフォルダに自らデータを投入した人に限定して立件が行われていると理解していて、そこに関しては一応評価されるべきだと考えている。
他方、スリーストライク導入時に国内での実施母体となるであろう CCIF の現在の警告メールへの取り組み [URI] を見ると、こちらの警告メールは自らアップロードフォルダにデータを投入した人とキャッシュとして持っているだけの人を区別していないように見える。特に Q & A 部分を読み進めていくとその思いが強まる。
また、刑事罰としての処分を見るとこれまで P2P に対して懲役刑で実刑が下った例はなく、全て執行猶予がついた形での処分となっていて、刑罰を受けた人も一応普通の生活ができる形となっている。
それに対して、スリーストライクの場合では一定期間ネットへのアクセスを遮断するという、普通の生活にかなりの制限を課すものになる。
本当にこれが中間的な措置と言えるかというと、私には警察による取り締まりよりも遥かに緩い基準で、より強い処罰を与えるというものに見えるので、中間的な措置とは言いがたく思える。
私が P2P に対する罰則としてアップロードとキャッシュは区別するべきと考えているのは、古い例になるけれども auto60.auo という AviUtl のプラグインの記憶があるためだ。
このソフトウェアは何故か作者が Winny でしか配布していなかったので、これを入手しようと思う人は Winny を利用する必要があった。そうした利用者であっても Winny の仕組み上中継ノードとして機能すれば他のユーザが配布しているデータがキャッシュフォルダに蓄積されていく。
キャッシュとアップロードを区別しない場合、こうしたユーザも取り締まりの対象となる。つまり、Winny を起動すること自体が取り締まり対象であるということになってしまうので、それは何かが違うのではないかと思うのだ。
もちろん不特定多数へのデータ配布に Winny プロトコルなんて使ってるソフトなんて入手しようとせずに、HTTP で配布されてるのだけを使えよという意見はアリだろうと思うが、まあそれは日本語なんていうマイナーな言語使わずに中国語話せよというのと同程度の合理性しかないんじゃないのかなと考えている。