日々の戯言
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9月5日(金) デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会 (第43回)
開催から一週間経ってしまいましたが、執念深く傍聴を続けているので、いつものレポートを載せておきます。
第五次中間答申後、最初の委員会開催ということで、今回の議題は中間答申に対するパブリックコメントの紹介と、パブリックコメントの内容についての各委員からのコメントという内容でした。配布された資料は既に委員会ページ (URI) に置かれているので、興味のある人は参照してみてください。
パブリックコメントの紹介を担当したのは委員会事務局の小笠原コンテンツ振興課長で、要点は以下の形でした。
- パブリックコメントの概要について説明する前提として、中間答申の概要版 (配布資料のうちの参考資料側) で提言の概要を振り返っておく
- コピー制御のルールとして、ダビング10を提言させて頂いたのとあわせて、いわゆる対価の還元について、補償金制度という以外の側面から、その具体策を今後継続的に検討していくというのが一点
- エンフォースメントとして、ダビング 10 というコピー制御のルールを担保する手段のあり方について、今の技術・契約ということをより利便性の高い形にしていく、あるいは制度、あるいはそれ以外との併用等を検討していくというのがもう一点
- 取引市場として、民民の取り組みの促進を基本に置き、権利情報データベースの構築、国際的な番組見本市の推進、番組製作者へのマルチユースを前提とした機会の提供というのが最後の一点
- 大雑把に概要をまとめると、提言の内容は以上となる
- これらの提言に対するパブリックコメントとして「資料」として配ったものに記載しているものが寄せられた
- 意見の総数は 129 件で、提出した組織の数は 38 件で、資料には提出者の「個人」「団体」当の属性で分類して載せている
- この資料は委員の皆様には昨日メールで送ったので、目を通している方も多いと思うけれど、どんな意見だったのか概要を簡単に、ざっと紹介する
- 個人からの意見としては、コピー制御のルール自体に異を唱えている、問題を指摘している意見がある
- また、対価の還元について「より具体策を求める」とか「そもそも対価の還元が行われるか疑わしい」あるいは「対価の還元を問題にするのは如何なものか」という意見もある
- 以上のように、コピー制御および対価の還元については、様々な観点からの意見があった
- エンフォースメントについては「何を行うにしてもコンセンサスは必要」という意見や「エンフォースメントについて、ストレスやコスト効果論について、より分析し、掘り下げた議論が必要」という意見があった
- 特に 11〜13 番の意見で、提言に書かれているエンフォースメントの課題について、それぞれ幾つかに分解できて、その分解した課題ごとに何ができて、何ができないのかきちんと考えるべきだと具体例を挙げておっしゃっている
- また制度的エンフォースメントについては、18 番 19 番のように批判的な意見があった
- 取引市場について、二次利用を促進するという観点では取り組みが足りないのではないかという意見が 20〜24 番のようにあり、特に 23 番ではフェアユースという観点からもっとできることがあるではないかという意見が出ている
- 逆に 27 番移行では、許諾権の制限や剥奪について、絶対に反対であるという意見が個人から寄せられている
- 個人の次の、有識者団体からの意見は 14 ページからになる
- 有識者団体というのは、学者さんのグループ、弁護士さんのグループ、そういった方々全てを一律に有識者団体としてくくらせてもらっている
- まず 44〜48 番ではコピー制御のルールについて、もっと緩和、あるいは廃止すべきではないかという意見をいただいている
- エンフォースメントは多面的な観点から議論すべきではないか、例えば無反応機器という話題が出ていたけれど、それは公的な制限ではなくて、コピー制御のルールを見なおすことで考えていくべきではないかという意見があった
- 52 番以降では、許諾権の制限、ネット権と呼ばれる議論について、意見を頂戴している
- 審議会の答申では、許諾権がコンテンツ流通の妨げになっているのではないかという指摘に対して、慎重な検討が必要であり、まずは民民の取り組みを推進すべきという提言を行ったが、これに種々疑問を呈している意見が続いている
- 特に、他の場では放送事業者や権利者団体からも許諾がネックとなって流通が進まないという指摘があったのにも関わらず、当審議会ではその議論がきちんと踏まえられていないのは、議論が十分に尽くされていないのではないかという意見がある
- 有識者団体の次の、権利者団体からの意見は 21 ページ以降に載せている
- 権利者団体からの意見は対価の還元に関する意見が圧倒的に多い
- 特に、対価の還元については、具体策の提示にあわせて、何時までという期限を目標値として設定するべきだという意見があった
- エンフォースメントに関しては、制度エンフォースメントの速やかな検討が必要ではないかという意見が続いている
- 取引市場については、許諾権の存在を前提として議論・検証が進められることを望むと同時に、インターネットを特別視して、権利者の権利を制約したとしても流通は拡大しないという意見が続いている
- 権利者団体の次の、放送事業社からの意見は 27 ページ以降に載せている
- ダビング10については、基本的に支持するという意見が続いているものの、技術の進歩、市場のニーズ、視聴者の行動にあわせて、フォローアップを行っていくべきという指摘を頂いている
- 対価の還元についても、具体的なところを引き続き、情報通信審議会として真剣な検討を行っていくという基本的な姿勢について、賛同されている
- エンフォースということについては、基本的に答申に書かれている選択肢、「技術・契約」と「制度」あるいは双方の併用、それらの選択肢について比較検証を行いながら議論していくという意見を頂戴している
- 放送事業者の次のメーカさんの意見は 37 ページ以降に載せている
- メーカからの意見は取引市場に関するものはなく、ダビング10とエンフォースメントに関わる意見が多かった
- ダビング10の運用自体は評価するけれども、その範囲に不明確なところがあるので、その範囲の確認を求めるという意見が 125 番辺りにあった
- ダビング10は日本のローカルルールなので、国際的な観点から改めて検討する必要があるという意見があった
- エンフォースメントに関して、制度エンフォースメントの導入が適切であるという 127 番の意見がある一方で、第五次答申の検討経緯が不適切であるという意見が出ている
- その内容は、現行のエンフォースメントの課題の掘り下げが不十分であるとか、民間の自助努力が原則であって、仮に課題が存在するにしても、民民の原則を基本として、規制は最後の選択肢として、最小限にとどめるべきという意見
- 以上のように、一ヶ月前後の短い時間ではあったが、大変貴重かつ多数の意見を頂いた
- このパブリックコメントの取り扱いは、現時点ではそれぞれどのような属性の方々からどのような意見があったかという紹介に留める
- 最終的には、パブリックコメントのご意見と理由に対して、審議会としてどのように応えていくかということを記載したうえで、公開していく
- これらのご意見・理由の隣に、審議会としてどう考えていくか、委員の皆に諮った上で、結果について相談し、了承を頂いた上で公表という手続きをとる
- あらためて、この場を借りて、わずかな期間で、貴重な意見を頂いた皆様にお礼を申し上げる
以上の要点のパブリックコメント紹介が終わった後で、村井主査が委員を順に指名して、発言を求めていきました。最初に指名されたのは河村委員で、その発言内容は次のような要点のものでした。
- これは質問になるのだけど、個人の 14 番の意見で B-CAS カードの支給条件として「有料放送受信機能」がないと B-CAS カードが支給されないとあるけれど、これは本当だろうか?
この質問には関委員が次のように回答しました。
- これはいわゆる 5000 円チューナと呼ばれる安価な受信機に対して Dpa が作成したガイドラインに対する意見
- 現状では、このガイドラインに従ったチューナを製造販売するためには B-CAS カードが必要
- B-CAS カードの配布条件はこの意見に書かれているようなものが付いている
- まさに今この配布条件を見直しているところ
- 現状はこの指摘のとおりだが、今、改定をしている
この回答を受けて、河村委員は次の要点の再質問をしました。
- 改定というのは簡易チューナ向けに別の条件を作る (簡易チューナ向け B-CAS カード支給契約書の形で) のか
- それとも、そういうルールを取ってしまう (B-CAS カード支給契約から「有料放送に対応しろ」という条件を外す) のか
この追加質問に対して、関委員は次のように回答しました。
- 規格上、地上の受信機であっても有料放送は入っている
- しかし、これは実際には使われていない
- これを将来に渡っても使わないということを明確にした上で、地上の受信機については「有料」を必須条件から外す形 (簡易チューナ向け B-CAS カード支給契約ではなく、地上波専用受信機向けの B-CAS カード支給契約全体から有料放送対応を条件から外す) 形でまとまるのではないかと思う
- 簡易チューナの問題は大きいので、なるべく早く決めたいと思う
以上の回答を受けて、河村委員は次の内容の発言をしました。
- 簡易チューナの問題で、今店頭に並んでいるテレビが三波共用のものしかないのがずっと疑問だった
- このようなルールがあるのならば、大きな理由があったのだなと判った
- メーカ団体さんの出されたパブコメの 38 ページ辺りについて、消費者として申し上げたい
- 「B-CAS カードについて、それほど問題があるのか、それほどストレスがあるのか、消費者向け実態調査を行うなどにより明確化すべき」という記述がある
- 私にとって、B-CAS カードが消費者にもたらす一番の不利益は、安くてシンプルなテレビが市場に出ないことによる不利益が一番大きいと思っている
- 記述では「市場の大半を占めると言われる三波共用」とあるが、それを作っているところにしか B-CAS カードを出さなければ、テレビは三波共用にほとんどなる
- その不利益は非常に大きいと思う
- B-CAS カードによってストレスがあるのか市場調査をとあるが、ストレスの問題は大きいのではないと感じているのと同時に、市場調査にはあまり意味がないと思っている
- 消費者が問題のありかや不利益をこうむっていることが判りにくい構造になっているのが問題だ
- パブコメのどこかにもあったが、総務省の情報通信関連の施策には消費者目線が欠けている
- 消費者の選択が市場原理というのであれば、問題点のありかも不利益も、全て消費者に判りやすい形になった時に、よりよいものを選ぶことで買われなくなったメーカさんが変わらざるを得なくなる
- 同じものしかなかったり、選びようがなかったり、高いものしかなければ、そういうことは起きない
- 今、テレビについて何が問題ですかと聞かれても、問題が浮かび上がってこないに決まっている
- それが問題なのだから、この書き方は非常に詭弁だと感じる
- この問題になっているのは地上デジタル放送の受信機で、ほとんど 100% の人が持っている家電で、しかも 2011 までに必ず買い替えなければいけないものに関しての問題
- 14 番の意見に書かれている、便乗エンフォースメントということが全く無いような、それが制度によるのが良いのか、何もかもを含めて、安くてシンプルなテレビが市場に出てきて、選択可能となる仕組みを作っていただきたい
以上で河村委員の発言は終了し、次に村井主査から指名されたのは長田委員で、次の内容の発言がおこなわれました。
- やはり B-CAS カード自体には問題だと思っている方の声が出ていると思った
- メーカ団体が「メーカ各社は出ているが、メーカ団体の代表が出ていないことが問題だ」と指摘してこの会議の構成に疑問を呈している
- 私が無知なだけなのかもしれないが、今まで各社からいらしている方々はメーカ団体を代表する大きなメーカさんたちがいらしていて、団体として意見を調整しながら発言していたと思っていたので、率直に言って驚いた
- 三波共用機を前提として議論をするのは、地デジの受信機の対応をしてもらうことは非常に難しくなるだろう
- 現時点で有料放送を必要とせず、今後も必要ないと決めてもデジタル受信機を選べないのであれば、それは問題
- 三波共用ではなく、地上デジタル放送だけの、シンプルで使いやすく、買ってきたらすぐに見られるようなものを提供していくべき
- それでも B-CAS カードでコストが減らないというのは、その問題を解決して頂ければよいと思う
- いずれにしてもエンフォースメントの問題は、いま現在の問題を一つ一つ精査しながら、他の方法がないか議論していこうというのが第五次中間答申のまとめだったと思う
- 法律でガチガチにやるのか、技術の現行方式かの選択だけということはなかったと思っている
- 他に方法がないか、検討しながら皆で合意をとっていけば良いのではないかと思う
以上で長田委員の発言は終了し、次に村井主査から指名されたのは椎名委員で、次の内容の発言がおこなわれました。
- まずネット法と言われる部分について、色々な有識者さん、コンテンツにかかるクリエイターの許諾権を制限して流通を拡大させる法整備を主張される方々が、当検討委員会の取引市場ワーキンググループにおける時間をかけた検証の結果導き出された答申を正面から否定する主張を展開している
- 有識者フォーラムから、一切事情を、意見聴取をしなかったことについて非難をされている
- われわれのワーキンググループでの議論の過程から、こうした法的な権利制限によって問題の解決をしようという主張は、流通の拡大に最善とはいえないことがすでに解明されている
- まして、旧来のコンテンツホルダーに権利を集中させれば流通が促進するというネット法の提案自体が、ワーキンググループでの我々の検証経緯からすればもはや噴飯もの
- この検討委員会がわざわざヒアリングするまでもないレベルの主張と言わざるをえない
- この主張によれば、権利制限の必要性について、放送事業者からもその必要性に関する指摘があったという風にされている
- しかし、当検討委員会においては、放送事業者の、著作権を担当されている著名な委員の方々からそのような発言をされたことは一度もなかったと記憶している
- コンテンツの権利者からも「この先二年で勝負が決まるので、契約では間に合わないから云々」という主張があったとされている
- もし仮にそれが事実であり、その主張をされた方がコンテンツにかかる権利者であったとしても、コンテンツを生み出しているクリエイターと、それをサポートする立場の様々な産業を代表する立場ではありえないと断言できる
- 何度も申し上げたことだが、許諾権の存在がコンテンツ流通の阻害要因となったことはない
- コンテンツ以外のすべての取引と同様に、取引されるアイテムに見合う対価が提示されない限り、商取引は成立しない
- 成立しない取引を、権利者の権利を制限することで無理やり成立させようとするのは重大な侵害行為であって、如何なる理屈を立てようが、その正当性が立証されることは無い
- 対価の金額以外に、権利処理に伴う事務料の多さを指摘する声もあるように聞いている
- これも実演家を例に取れば、CPRA や音事協の集中管理の推進に始まって、アウトサイダーに対する暫定処理であるとか、権利者情報の一元化等、権利処理の円滑化に様々な努力を、自らのコストで進めていて、その成果も徐々に上がっている
- こういう状況を知らずに、権利処理の煩雑さを口にするのであれば、それは無知なだけなので誤解を解けば良い
- もしも、このように実演家側の負担を求めておきながら、裏でこのような発言をされる放送事業者さんがいるのであれば、それは言語道断と言わざるを得ない
- 当検討委員会で検証されてきたように、流通の拡大に最大の影響力と責任を持つのはまぎれもなく放送事業者それ自身であって、もしも放送事業者がそのような態度を取っているのならば、ここでの議論も少し前に戻って検討する必要がある
- 権利者に対価を還元するための有益なツールである補償金制度がいまや瀕死の状態にあることを含めて、このような理不尽な提案に加担する議論が、政府与党で公然と行われている現状は、我が国の将来に深刻な禍根を残しかねない、極めて重大な岐路に立っていることを示していると考える
- コンテンツ大国の実現を標榜する一方で、こうした主張をサポートしている知財本部の調査会や会議には、権利者が全く参加させて頂けない状況にある
- そうした中で物事が進められていくのは極めて遺憾と言わざるを得ない
- メーカの方々の主張、最後のアレにもちょっとコメントしたい
- 先ほどから話に出ている「デジコンに参加しているのは個別メーカであって JEITA の総意ではないから知りませんよ」ということを、かねてからちょこちょことおっしゃっていたことだけれども、この主張を今の時点でされるということが、どんな利益を JEITA さんにもたらすのかよく判らない
- 当検討委員会の結論は、それぞれの立場からそれぞれの思いはあるものの、長い時間をかけて真摯に議論をかさねてきたことに、どの立場の委員にとっても同じ思いがあるはずで、それに JEITA が泥を塗ってみせるということが、一体どのように JEITA の利益につながるのか、とても大きな疑問を持った
- 個々のメーカの発言であって、JEITA のあずかり知らぬところであると、第六次答申、第七次答申が出てきても、永遠にそういうことを言い続けるのだろうかと、本当におかしなことだと思う
- 話は変わるが、先に開かれた文化庁の「過去の著作物の保護と利用に関する小委員会」の席上で、ドワンゴの川上会長から、現状のパソコンをハブとするコンテンツの私的複製の現状というものがコンテンツの、コンテンツに与える影響についてプレゼンテーションがあり、「この状況を放置すれば数年のうちにコンテンツは死滅する」という発言があった
- こういう発言を権利者がするのは判るが、ネットを中心とする流通の最前線にいる方からの指摘として行われたことは非常に画期的なことだったと思う
- 我々権利者の認識ともそう大きくかけ離れていないものであった
- ことココにおよんでも、JEITA さんはその無反応機について、具体的な権利者の被害に関する検証が不十分であると主張されている
- 補償金をめぐる議論での、権利者の不利益が発生していないのじゃないかとか、立証不十分であるのではないかという、そういうような主張と同じ根を持つと思う
- その被害が検証された時点で、おそらく我が国のコンテンツサイドは回復不能な深手を負っているということを申し上げておきたい
- そうした道を JEITA が選んでいくことの意味というものを、もう少し冷静に考えていただく必要があるのではないか
- きちんとコンテンツが保護される仕組みが作られることについては、当委員会のミッションとして極めて重要なことである
- その為には今のエンフォースメントの仕組みをきちんと見直していくこと、それと同時に当検討委員会の場において、対価の還元の仕組みについて、真摯に、真剣に議論していくことを改めてお願いしたい
以上で椎名委員の発言は終了しました。次に村井主査から指名されたのは堀委員で、次の内容の発言が行われました。
- 相変わらず超ドメスティックな意見ばかりで「私の利益にならない」とか「あいつが悪い」とか、そういう意見が並んでいることに愕然とする
- どうやったら国益になるか、どうやったら豊かになるかという意見が残念ながら我々の団体も含めて一つもなかった
- コンテンツ大国になろうとして、色々な省庁で、色々な会議をやっているはずなのに、いつまでこれをやっているのか
- 私は先々週中国、北京オリンピックに行ってきたが、今のような感じでいったら、必ず中国にコンテンツ産業は負ける
- 現状でもテレビ局は非常に苦しんでいるし、映画も苦しんでいる
- 現実的なことを話せば、世界の映画産業、コマーシャルフィルムの生産基地のはタイとかオーストラリアに移りつつある
- 日本の、我々制作会社もタイで撮影をやっている
- それぐらい危機的な状況にあるということがここの意見のなかで誰も気がついていない
- ましてや、有識者団体というのが、よほど識があるのだと思うが、これだけ自民党自民党と言われると、この人たちは自民党とどういう関係があるのか
- 他の意見では自民党なんて一言も出ていないで、政治家の、政党に何かお願いをしてとかということは、多分、放送事業者さんも我々も公にはまずしないと思う
- それをこれだけ「自民党の政調の知財調査会では」「たとえば自民党では」「たとえば自民党のぉ……政府の知財本部では」この人たちは、コンテンツを作る気があるのだろうか、政治家を使って自分たちの利益なろうとしているのではないかということがありありと判る
- この態度は、我々は政治家側には一つも出したことがない
- コンテンツ大国になるためにはどうしたらよいかということで、自腹を切ってでもダビング10を成立させている
- 私も AD から初めて、今は社長をやっているが、こんな状況でコンテンツ大国、コンテンツを作りたいと思うような国には多分ならない
- もっと大きな話をここではしてほしい、大きな話のところに障害があるのだったらそれは直そう
- このドメスティックなコンテンツの国は、世界の競争力なんか今でもない
- あいつが悪いとかこいつが悪いとかというようなことを、いつまでも犯人を探していても、今後も多分競争力をもたずに、本年をもって座して死ぬ
- そのぐらいの危機を持って、ここにいらっしゃる委員の方は、こういう有識者まがいの人たちの意見に翻弄されることなく、大局を見据えて、国家の国益のことを考えてほしい
以上で堀委員の発言は終了しました。次に村井主査から指名されたのは福田委員で、次の内容の発言が行われました。
- どうも放送事業者は誤解される立場に置かれているようだ
- 今椎名さんから指摘があった「表ではこう言って裏ではこう言っているのか」ということについては、まず、まったくそんなことは無いので、誤解を解いてほしい
- それからネット法についての、最後についてもですね、我々は骨子に賛成しているということはない
- あらゆることについて検討する際に、色々な枠組みを作ろうとも、許諾の扱いをどうするか、それから権利をどうするかについて、やはり時間がないからといって、拙速をしてはいけない
- それから検討するにあたっては、権利の切り下げがあってはならない、そこを前提にしていかないと、やはり取引の活性化・促進につながっていかないと思う
- これに関する考え方は先程来あるように、この一・二年にこの場で話されていたことが全てという風にとって頂いてよい
- それ以上でも、それ以下でもない
- したがって、先ほどのパブリックコメントにあるように、どういうことをとらえてこの方たちが書いているのか判らないが、我々としては裏で色々なことに通じているということはないので、誤解を解いていただきたい
- また、JEITA さんからも誤解を受けているようで、放送事業者の団体はこの場には参加していない
- 私どもメンバーはそれぞれ個々の放送事業者
- 例えば JEITA は団体だけれども、民放では民間放送連盟が団体である
- 民間放送連盟の代表はここには来ていない
- ただし、たとえば Dpa というデジタル放送を推進する所で役割を担っている方とか、民放連で役職をやっている方はいる
- 私たちが話しているとき「放送事業者は」という表現をするけれども、概ね 127 社の民放を背負っているつもりではいるが、団体を代表して、機関決定した上で発言しているわけではない
- そういう意味では個々の事業者としてリスクをはらみながら発言しているところがあるので、誤解を解いて頂きたい
- 昨年来、例えばダビング10の問題も含めて、議論してきている訳で、例えば田胡委員が代表されているか判らないが、メーカの立場でお話になっている。
- それを補強する際、オブザーバとして JEITA の役職をされている方が参加されたり、あるいは、JEITA 作成の資料というものが使われている
- 私どもはメーカから出席されている 4 人の方は団体を代表されているものと思っていたけれど、そうでないことが明白になった
- 団体が入ることが必要ということであれば、主査は民主的な方法をとっているので、新たなメンバーを加えて議論をしていただければよいのではないかと思う
- 先ほどのフォーラムの件で、椎名委員は「あらためて聞くまでもない」という意見だった
- しかし、色々なことを公平にということであれば、私は、お招きした上でどんな意見を持っているのか聞くことについて反対しない
- エンフォースメントについて、2004 年 4 月にコンテンツの保護をやらなければいけないということに至った時には B-CAS カードを使った仕組みしか無かったので、これを使わざるをえないということでスタートした
- その当初から負担は非常に大きいものがあったので、これに代わる新しい方式を早急に検討しなければならないということを当座から考えていた
- そういう意味で、未来永劫負担をする、デジタル放送を 2011 年に移行してその後もずっと B-CAS カードに拘って、放送事業者のみが負担をしていくと申し上げたつもりはない
- そういう意味で、これも誤解だろうと思う
- 契約、技術、制度というものを含めて、今回の五次答申で色々なことが書き込まれているけれど、例えば B-CAS カードについて色々な疑問点が出されている折なので、技術契約についても幅広く検討しよう
- あるいは制度がどうなのかということについて、プラスマイナス比較しながら、その上で、先ほど長田委員がおっしゃったように、それしかないのかということも含めて検討していった上で、皆さんが納得いく方式がなんなのかということを見出していかなければならないだろう
- そういう意味で、現行の技術契約のものから制度というものについての議論を行われていて、平行しながら議論していこうという提案がされているので、私どもはそこに賛成する立場でこれまで来ているので、従来通りの考え方でやっていただければいいのではないかと思う
- エンフォースメントについての課題としては、視聴者の関与に関するストレスの問題、コストと効果の問題、スクランブルの問題ということが挙げられている
- スクランブルについても JEITA さんでは本質の問題ではないと言う風に切り捨てているが、その後段の方ではしかるべく意見を述べているので、どちらが正しいか判らない
- いずれにせよ課題が整理されつつあるので、それに沿って粛々と議論を進めていくべきではなかろうか
以上で福田委員の発言は終了しました。次に指名されたのは関委員で、次の内容の発言が行われました。
- まず最初にダビング10の件、最後の会合が実施前だったので、7 月 4 日にスタートできた
- 本当に一同ありがとう。今のところさしたる問題はなくきている
- 先ほど河村委員・長田委員からすこし話があった件、今市場で三波共用が大半を占めているのは事実だが、現在でも地上専用の受信機・チューナというものはある
- 多分 2011 年に向けて、アナログ受信機のデジタル移行というところでは地上の受信チューナというものがおそらく一千万・二千万という数字で出てくるだろうと思っている
- そこには何としてもやっぱり簡易な、エンフォースメントも含めて簡易ということが必要だろうと考えている
- 現在でも、市場的には三波が多いが、今でも地上専用というものが出ている
- 今後の進め方として、答申にもあるように、地上デジタル放送の移行、普及というところに向けて、技術・契約ということと制度ということ、二つの選択肢を並行して検討し、検証していくということになっているので、これはぜひ進めてほしいし、進めていきたいと思っている
- 特にこれは基幹放送である地上デジタルのコンテンツ保護なので、関係省庁との連携を一層具体化しながら、幅広い関係者の参加を得て、情報通信審議会、この場でさらに検証・検討していくことが妥当と考えている
- 一応答申では 2011 年を踏まえながらということもありながら 1 年ぐらいということになっているが、先ほどお話したチューナの製造など色々なことからみると、なるべく前倒しで方向付けをしていただければと考えている
- その中でも一点、福田委員からも話があった、エンフォースメントメントの課題がある
- 視聴者の意識の問題、コスト効果の問題、基幹放送にとってスクランブルとはどうなのかという問題が指摘されている
- これに関しては、制度エンフォースメントを含めて並行して検討したとしても、しばらくは現在の技術・契約によるエンフォースメントが継続するので、これについてはできるだけ改善策というものを検討していきたいと、放送事業者として検討していきたいと考えている
- コピーワンスの時も色々と指摘があって、改善策として検討したといういきさつがあるので、こうした指摘がある以上、指摘を真摯に受け止めて、現在の技術・契約のエンフォースメントに関して改善策を検討していきたいと思っている
以上で関委員の発言は終了しました。次に指名されたのは藤沢オブザーバで、次の内容の発言が行われました。
- パブリックコメントの特定の意見に対するコメントというのではないが、確認という意味で
- コンテンツに対するリスペクトが重要で、コピー制御が必要で、コピー制御を担保するためにエンフォースメントという仕組みが必要だ
- エンフォースメントにはテクニカルエンフォースメントと制度的なエンフォースメントということが考えられるのだけど、それぞれ一長一短があって、問題点があればその問題点をそれぞれ指摘するなり、どちらが良いのか議論して考えていく
- 非常に議論の流れとしては複雑でないと思っているけれど、エンフォースメントに対して色々な議論・意見が出ていると、この一本の流れから外れてしまうようなことがないかと心配になる
- 一つだけ、意見に対して言わせてもらうと、メーカ団体の指摘の中に無反応機に対するコメントがある
- 今議論しているエンフォースメントというのは全てこれで無反応受信機や、言い方が正しいかどうかは別として不正受信機というものを 100% 抑えられるものではないと考えている
- 長田委員からもあったように、色々なことが組み合わさって、色々なことが実現されていく、無反応受信機に対する対策もその一つ
- これが今の技術やエンフォースメントでできないと次の議論に移れないということではない
- 今の現行スキームでも対策は考えているし、私はできると思っているが、それはそれでもっと効率的なものがあるかもしれないので、議論をしていきましょうということだと思うので、先ほど申し上げたように、単純な一連の流れの中で、議論、いい議論をしていきたいと思う
以上で藤沢オブザーバの発言は終了しました。次に指名されたのは田胡委員で、次の内容の発言が行われました。
- 日立の田胡でございます、JEITA の田胡ではありません
- コピーワンスの時は、元々 JEITA 側でコンテンツ保護検討委員会というものをつくり、私はそこの委員長ということで、オーサライズし、資料を作り、JEITA 資料を提出してきた
- ことエンフォースメントに関しては、検討外ということで……ちょっと JEITA のパブコメについての論評は控えさせていただく
- 先ほど堀委員の発言を聞いてまことにもっともだと思っている
- つまり、コンテンツ保護を何のためにやるのかという原点まで戻って考える必要がある
- これはウィンドウ戦略とかから来ているコピー制御、エンコーディングルールというもの、元々ビジネスの観点から来ているもので、それを守るためにエンフォースメントをしようと
- そのときの手段として B-CAS カードを使ったと
- それはなぜかというと、B-CAS というインフラがそこにあったから
- 当時は BS が先行していて、BS も含めてやろうという時に、B-CAS という手段を選んだと記憶している
- そういう意味ではエンフォースメントは単なる手段で、大事なのは何のためにコンテンツ保護をするのかということ
- それはやっぱり、日本のコンテンツが世界に通用するようなところまでビジネスを考えようということで、そのためにコンテンツ保護が必要だというのが原点だったと思う
- エンフォースメントはそのための一種の担保策の手段の話であって、手段の所に、規制論は、やっぱりメーカ側としては望ましくない
- 規制云々といいますが、あれだって技術的保護手段を使うのですよね?
- 基本的には技術を使わないと何もできないというのが現状だと思うので、そういう意味では、エンフォースメントの在り方についてはもう一度原点に戻って、手段として何が一番良いのか考えるべき
- 先ほどから三波共用機の話も出てきているが、三波共用機には有料放送がある
- 元々 B-CAS は有料放送のためのシステムで、それに NHK さんのメッセージがかぶさっていて、どちらも一種の有料放送の技術的仕組みを使っている
- それに昔の情通審で、スクランブルを権利保護の担保手段で使いたいねとなった
- そういったことが昔やられて、もともと有料放送のための仕組みを今でも使っている
- 一方地上放送では、TR-B14 という地上放送向けの規定があるが、これになぜか有料放送が入っていた
- それは免許上、有料放送を行ってはいけないとどこにも書いてないので、一応有料放送が入っている、だから、B-CAS カードが必要になっている
- B-CAS カードの支給条件は、もともと有料放送のためのもので、有料放送では、生活がかかっているので、そこはきちんと受信機を作る必要があるから、当然必要となっている
- そういう意味で、エンフォースメントというのはいわゆるビジネスを守るためのコンテンツ保護を裏側で担保している手段であって、技術的ソリューションも含めて、長田委員が発言されたように、色々な検討があると思う
- 先ほど河村委員の「ストレスは問題ではない」と、実はその通りで、メーカの方にも実はほとんどクレームは来ていない
- 余談だけど、私はこの間、受信相談会で群馬県の渋川の老人クラブで説明に立ち、お年寄りから質問がでたけれど「これは入れておくものですね」と「はいわかりました」で、その方は三波共用機を持っていたけれど、あまりどうもストレスを感じていない
- 河村委員が発言されたようにあまりストレスは感じていないで、電源スイッチのように当たり前のものになっている
- というところで、エンフォースメントの方法論も含めて、一体何が問題なのか原点に戻って議論をすると、その先にあるのはやはり、堀委員の発言されたように、日本のコンテンツが世界で勝てる仕組みでコンテンツ保護がいるのだと、そこからもう一度、原点志向で改めて確認をしなければ
- 何のためにコンテンツ保護をやるのか、制度にしろ、技術契約にしろお金はかかるので、どちらにかかるかは別にして、いずれにしろお金はかかる
- 原点志向に戻って、コンテンツ保護、その先にビジネス、コンテンツが世界で勝つ仕組みを作るのが最終着地点になると思う
- あまり個別の議論ではなく、全体で、マクロで見て、どういう方向にしていくのかということをもう一度、後戻りしても良いと思うので議論しなおすべきではないか
以上で田胡委員の発言は終了しました。次に指名されたのは浅野委員で、次の内容の発言が行われました。
- パブリックコメントに意見・改善策などあったが、あまり気にすることは無いのではないか
- ここで、ダビング10というものについて、3 年近くかけて議論している
- この場は他の場と大きく異なり、色々な立場の異なるステークホルダーが一同に会して、各々の立場を主張しながらも、それではコンセンサスが取れない中で、自分の立場を言うのをやめるとか、あるいは自分の立場よりも譲歩するという形で、やっとここまでコンセンサスを持ってきた
- このプロセスは非常に民主的な形でやっていて、しかもそれをオープンな環境でやってきたなかで、ここまでの結論を出してきた
- 当然のことながら、それぞれ違う考え方を持っているでしょから、私たちが結論として出してきたこと自体が、他の人たちも同じ考え方を持ってくださいということは言えない
- ただし、そういう人たちに対しても、そういう議論をして、じゃあ、われわれの考え方はこういう観点からということで回答できるのじゃないか
- だからあまり気にする必要はなくて、そこに一喜一憂する必要はないのじゃないか
- 今後の進め方に関しては、この委員会のこういう運営というのですが、村井主査のこの運営の中で、非常にオープンで民主的なプロセスでやってきた
- 議論していく中で、誰が悪いのだという言い方をしないで、それはそれとして、今後どういう形でやってきたらいいかというその課題に対して、できるだけコンセンサスがとれるような形で議論を深掘りしていくと、正規化していくというところに焦点を取ったほうがよいのではないか
- そういう観点で、先ほど堀委員のいった意見に非常に賛成で、まさに生産的に、犯人探しをするような形での議論の進め方はやめた方がいいのではないかと思う
- これだけ立場の違うステークホルダーが集まっているが、我々自体はオープンなのだから、参加していないということであれば、そういう人たちにも参加の招聘をして、どんどんこの場で意見を言っていくような形にしていった方がよいのではないか
- 意見の異なる立場の人たちに対してもですね、どんどんここに呼んで、そして議論していけば良いという風に思っている
以上で浅野委員の発言は終了しました。次に指名されたのは中村委員で、次の内容の発言が行われました。
- 生産的に、取引市場を今後どうしていくかについて、私から2点コメントする
- 一点目は、取引市場の検証が必要だということ
- コンテンツの流通を促進させようということについては、皆さんコンセンサスで、誰も反対をする人はいない
- それに対する政策のアプローチとしては規制によるものと、民間の活動を支援していくという二つあるが、まず後者で進めている
- 民民でうまく達成できる、つまり、こう WIN-WIN-WIN-WIN の関係を作れるのならば、その方が望ましいではないかというのが、この審議会の議論の方向性
- そうしたことは、答申の資料の中にも書きこまれていて、パワーポイントの 31 ページ、最後のページにもあるように、すでにトライアルも半年進めているので、まずその検証をしっかりしていくというのが我々の仕事ではないかという風に考えている
- 仮にその結果、民民の努力では難があるということがあれば、別の手段を考えればよいのではないかと言う風に考える
- 二点目は、今日話題になっているネット権について
- これも実証が必要ではないかと思う
- 私はこれを知財本部の場でも、あるいはシンポジウムなどでも何度も繰り返しているので、このうえでも繰り返すが、ネット権・ネット法というのは一つのアプローチであろうと思う
- ただここで、制度を動かす場合には、その提案者に必要性とか実効性といったものを実証していただくことが必要
- まず必要性でいうと、これだけのコスト、あるいはこれだけの時間をかけた、にもかかわらずコンテンツが動かない、ので規制をすべきだというデータや事例を示して頂くべきではないか
- 次に実効性でいうと、そうした制度を導入したら本当にコンテンツが動くのか、効果があるのかということをシミュレーションしてもらうことが必要ではないか
- たとえばその権利の制度が導入されることによって、恩恵を受けるべき放送局のなかに、ネット権が導入されると、権利者がブロードバンド側につくので、それならばネット権はほしくないという声も聞かれるところである
- つまり制度が導入されれば逆効果になる事態も想定されるということなので、せめてシミュレーションしておく必要があるだろう
- そういったことについて、関係者から話を聞くのが良いのではないかと私は思った
- いずれにしても、そういったことも含めて、取引市場のワーキングの方でも引き続き検討をしていきたい
以上で中村委員の発言は終了しました。以上で村井主査からの指名は終了しましたが、他に何か意見のある方はという問い合わせに応えた方が 3 名いて、順に発言が進みました。
最初の発言者は植井委員で、内容は次のようなものでした。
- 放送事業者のはしくれとして、椎名委員から指摘いただいた、放送局はそういう風にネット法・ネット権について考えているのかという意見について一言申し上げる
- 先ほど浅野委員から一喜一憂しない方が良いと、特にもうパブコメのことはあまり気にしなくていいのじゃないかというご発言があったが、同じ番組制作の立場に、携わっているものとして、いわば仲間である椎名委員の疑念を晴らす意味でも一言申し上げたい。
- この 20 ページの、そもそもどこどこフォーラムの方々が出してこられたもので、そもそも放送事業者から「インターネットで配信するのに権利処理が非常にめんどうで困っている」まあ困っているとまでは書いてませんが、そういうふうなニュアンスで出されて、だから、権利を制限して使いやすくするべきだというようなご意見だろうと思う
- 決して、少なくとも私どもは、私は特に著作権の実務に携わっているものは、そのようなことは一切考えていない
- 手間暇というか、ちゃんとした処理をするのを手間暇ととるのかどうかというそこの価値観の問題があるかもしれない
- 許諾を、権利を持っている方々から頂いて、こういう風な形でという条件を交渉して出すというのがごくごく普通の、私ども昔から、子供のころから教えてもらっていたビジネスのやりかたという風にも認識している
- そういったことからいきますと、これはまあ、そういった趣旨でこの放送事業者も発言されたわけではないと思いますが、一般的に考えても、そのようなものを放送局の方で求めているということでは決してない
- 特に権利者の方々皆さんにはご理解いただきたい
以上で植井委員の発言は終了しました。次の発言者は河村委員で、田胡委員の引用に対するフォローとして次のような内容の発言が行われました。
- 田胡委員に、私の言葉を引用されて、このままでは河村委員は「B-CAS カードにはストレスがない」と言ったというところだけがクローズアップされて蔓延すると、私として本意とは違う
- ストレスは、もっと大きなところに本質的な問題があると思ったから、それよりは問題ではないと申し上げた
- 本質的な問題は、もう一度同じことをいえば、アナログテレビを買いに行った時、アナログテレビは大変安いものがあった
- 私は三台目の寝室のテレビを、一万円台のどこの国かよく判らないようなものを買ったが、あのような、多様な国の、多様なメーカのテレビがデジタルではなぜないのだろうか
- そういうことに B-CAS カードが関係していると思って、それが一番の消費者にとっての不利益だと申し上げている
- こうしたことに関してなにも答がなくて、河村委員は「ストレスがない」と言いましたねと
- 説明をしても何も文句を言わなかったお年寄りは、元々なにか、わけのわからないものを説明して頂いてどうもありがとうございましたぐらいの感じでで、その、問題のありかを判ることもできない
- 私は本気でそうした方たちが気の毒だと思っている
- ですから、もっと安くて、もっとシンプルなテレビが出てくるような仕組みを考えなければいけない
- 有料放送・有料放送とおっしゃるのであれば、有料放送は本当に見たいひとが見るものなのですから、それとは切り離して
- 100% の人間が買わなければいけない地上波に関しては、何度も言います、多様な国の、多様なメーカの、とても安いものも入ってこれるような、エンフォースだけがシンプルに行われるルールでやったらいいのではないか
以上で河村委員の発言は終了しました。次の発言者は土井委員で、次の内容の指摘が行われました。
- 私はメーカの人間ではあるが、ちゃんと東芝を代表しているかというと、なかなかそう言えないところもある
- 審議会の委員という立場も背負いつつ、ここで発言しているつもり
- それが色々なところに飛ぶかもしれませんけれども、あくまでも色々な観点で考えて発言しているという風に自分では思っている
- まったく今までの話と関係ないところを申し上げて恐縮だけど、有料放送を除きますといった時に、NHK は受信料を払っている
- 最近モンスターペアレンツとかモンスターなんとかという話があって「無料っていったじゃないか」といって、受信料を払う人がいなくなるとかっていうことが無いように、文言には少し気を付けて頂いた方がよいのではないか
以上で土井委員の発言は終了しました。以上で出席者からの発言は全て終了し、村井主査が次の内容のまとめを行いました。
- 大変、予想どおりというか、色々なご意見いただきましてありがとう
- 冒頭申し上げたように、この間の答申から、これから先に進めるということで、大枠というかマクロとか、パブリックコメント気にするなという意見もあって、多分これは私どもが議論してきたことに自信をもって先にいこう、そういうことだろう
- 色々なことをやっていくわけで、ある意見というのは一点の視点から見れば、私たちが議論してきたコンセンサスというのはそこではまだちょっとなと、委員の方でもそう思いつつ進めているわけですから、パブリックコメントに出てくるのはある意味で当然だろう、そういう意味だと思う
- 私もそう思う
- そういう形で色々なご意見を、むしろ今日の議論も相当パブリックコメントに反応していただいたということは、やはりそれだけの方がパブリックコメントに出していただいたということ
- パブリックコメントで意見を聞けるというのは、この場でやっているからで、そうでない場所でやっていると、パブリックコメントというしくみが無いので、その意見を聞くチャンスがなくなってしまう
- 大変皆さんのご貴重な時間で議論していただくのは、そういうことで意味があると思う
- パブリックコメントの中に皆さん反応していただいて、今後の進め方を議論して頂いたということをベースに、今後の、ここで、委員会の議論を進めさせて頂きたいと思う
- メンバーということでは、色々な意見の調整ができるようにするといいなと思う
- 多少時間がかかってしまうが、今までもそれでやってきたと思う
- 各省庁との関係という、それぞれの議論している場ということで、幸い今回は、文化庁の方にも、それから経産省の方にもオブザーバとして参加して頂いている
- 流通ということも含めて、何人かの委員の方から、パブリックコメントを含めて意見を頂いた方をおよびしつつ、今までも諸外国の状況とか、堀委員から、グローバルな強さを日本のコンテンツ産業が持つためにというお話があったように、そういったことも含めた事情をヒアリングする、そういうことも含めて、議論をすすめさせていただきたいなと思う
- そういったことに関しても、進め方に関してのご意見もございましたら、また事務局の方にお伝えいただければと思う
- そういうわけで、引き続き、そういったことに基づきまして、技術検討ワーキンググループ私の方で、取引市場ワーキンググループは中村主査の方で進めさせていただきたいと思うので、そちらの方への参加、御意見の集約ということも、引き続きお願いしたい
以上で、村井主査の発言は終了しました。最後に小笠原課長から、次回は 9 月下旬頃という予告があって会議は終了しました。
◆◇◆
えー会議開催からレポートを載せるまでに時間がかかったのは……半分は土日に文学少女シリーズ最終巻とかローマ人の物語の33〜35巻を読んでたりしたせいもあるのですが……委員の方々の発言内容を振り返るにつけ気が滅入ってきてやる気がそぎ落とされていたからだったりします。
河村委員の「問題点をヒアリングしても無駄、問題点を認識できないのが問題点」というアレな発言に「うわぁ」という気分になったり。
堀委員の発言に対して「おまいが言うな」という突っ込みを入れたくなったり、「自腹を切ってダビング10を導入」という発言についても「コピーワンスは漏れ等が希望した訳じゃないし、導入の経緯なんてシラネ」じゃなかったのかと、拾ったものを手放すのを自腹を切ると表現するのかと文句を言いたくなったり。
福田委員の「放送事業者の団体も参加してないからね」の発言でポカーンと口をあけて暫く放心してしまったり。
田胡委員の「日立の田胡で JEITA の田胡ではない」の発言に対しては、B-CAS の田胡 (一応 B-CAS 社の非常勤取締役に名を連ねてる) としての立場には触れないんだーと思ったり。
途中からは心を無にしてひたすら手を動かして無理やり最後まで書いたけど……次からはもっと早くレポート上げられるようにしなきゃいけないなと決意した。
とりあえず本格的なコメントはまた後日書くことにして、今日のところはこれまで。
9月17日(水) 例えばそんな考え方
「デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会」では「コンテンツに対するリスペクトの為にコピー制御が必要」とされています。この「コンテンツに対するリスペクト」というのも判り難い表現なのですが、どうやら「リスペクト」を日本語に直訳した場合の「尊敬」とは違うようで、検討委員会の場では「市場の拡大」とほぼ同義で使われていて、B-CAS カードというシステムがその費用に見合うだけの「市場の拡大」をもたらしているかどうかという視点で議論が進んでいるように感じます。
そこで、社団法人日本映像ソフト協会 (JVA) [URI] の公開資料をもとに、ここ数年の映像ソフトの売上高を眺めてみることにしました。とりあえず 1990 年以降の、メディアやジャンル、流通経路の別を除いた総売上の推移が次の図になります。
縦軸が売上高 (単位は億円) で、横軸が年度になります。二つ、色を変えている年がありますが、赤で塗りつぶした 2002 年は、いわゆる中古ゲームソフト販売訴訟で「映画の著作物の頒布権は、一度適法に流通した後は消尽する」との最高裁判決で判例が確定 [参考 URI] し、今までは流通側が自粛していた中古 DVD の販売が公式に行われるようになった年です。
青で塗りつぶした 2004 年は BS デジタル / 地上デジタル放送で、それまでは有料放送に対してのみだったコピー制御が全面的に導入され、全てのデジタル放送がコピーワンス化された年です。
ここまで見事なデータだとは思っていなかったのですが、事実として、中古 DVD 流通が行われるようになっても映像ソフトの総売上高は増加を続け、コピー制御の導入以降、映像ソフトの総売上高は減少を続けているという形になっています。
◆◇◆
これだけで「コピー制御の存在はマーケットの拡大に悪影響を及ぼす」と主張してしまうと「劣化のないデジタルコピーの存在は死活問題」とオウムのように繰り返し主張される方々と同レベルになってしまうので、もう少し詳しくデータを見てみることにします。
次のグラフはジャンル別に見た売上高の推移になります。総売上高では総務省統計局のページ [URI] で 2000 年以前のデータも拾えたのですが、こちらは見つけることができなかったので一般公開されている 2001 年以降のデータのみになります。
400 億未満でのたくっているジャンルが多いので見づらいグラフになっていますが、このグラフから読み取って欲しいのは、海外映画と国内アニメのマーケットシェアが頭抜けているという点と、2004 年以降、海外映画のシェアが急減少している点です。
2004 年に集計ジャンルが変更され、それまでは海外映画に含まれていた海外ドラマが別ジャンル化されたという影響もあるのですが、それを考慮に入れたとしても、海外映画 (+ 海外ドラマ) は減少しています。海外ドラマは順調に伸びているのですが、それでは補えないほど海外映画が減少しているという状況です。実際、総売上の減少は、大半がこの海外映画の減少に起因するものだったりします。
ジャンル別の売上げ金額の推移から、おそらくデジタル放送のコピー制御の存在が影響するだろうと思われる、国内ドラマ・国内アニメ・国内子供向けの3つと、参考用に国内映画を抜き出したグラフが次のものになります。
国内アニメは 2004 年に一度下落したものの、2005 年に増加、2006/2007 では微減。国内ドラマは 2004 年に増加するも、2005 年に反落、2006/2007 と微増でなんとか 2004 年水準を超えるところまで到達。国内子供向けは単調に減少。国内映画はほぼ横ばいで 2005 年に増加した水準を維持。そういう形です。
このグラフから読み取れるのは、特にコピー制御の存在がビデオソフトの売上げを左右することはないのではないかということです。特に変動の多い国内アニメで言えば、2002 年に関してはその年だけで 200 万枚売れた「千と千尋」要因によるものでしょうし、2005 年にしても 100 万枚売れた「ハウル」要因と、2004 年後半から顕著になった TV アニメ放映本数の増加とそれに伴う DVD 発売点数の増加によるものではないかと推測できます。
結局のところ、売れるコンテンツはコピー制御があろうがなかろうが売れて、売れないコンテンツは売れないという当たり前の事実がそこにあるだけで、コピー制御の存在は市場に影響を及ぼすことはなく、アナログ放送時代と比較して視聴者の利便性を下げるだけの効果しかないのではと考えています。
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